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第9話 フィリップ・ライナス視点(4)

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「ちぃっ! 無能共のせいで来てしまったじゃないかっっ!! やっ、ヤツは何をするつもりなんだっっ!?」

 俺達王族は、あんな化け物にケンカを売った覚えはない。さっきのあれは突然現れたから放っただけ!
 だから、攻撃は仕掛けてこないよな? さっきのは自己防衛だとちゃんと理解をしていて、こちらに攻撃を仕掛けてこないよなっ!?

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 鼓膜を穿つような咆哮が耳朶を打ち、竜は右腕を横に薙ぐ。
 そうすれば――。まるで飴細工のように城の一部が破壊され、王の間が剥き出しになってしまった。

「………………。な、なんだよ、あれ……。滅茶苦茶じゃ、ないか……」

 たった一回、それも軽く腕を振っただけなんだぞ。なのにデカくて鋭い爪が、城壁を軽々と破壊して……。
 あんなの、もう……。どうしようも、ない……。

「でっ、殿下っ! どっ、どうしたらいいんですの……っ? わたくし達は、どうなりますの……っ?」
「あ、安心して、安心してくれエミ。城には、脱出用の地下通路がある。そこを使えば逃げられるっ。生き延びれるよっ!」

 今の時間父上達は、私室にいる。
 適当なヤツを使って時間を稼がせ、その間に合流して逃げよう。すぐ逃げた負け犬でも、家族を人質にすると脅せば立ち向かうはずだからな……っ。

「サッズっ。サッズっ!」
「はっ、はいっ!」
「命令だっ。よく聞けよ!! これからオレが出す指示に従わなければ、貴様らの家族をまとめて――」

「これで、僕の強さが分かっただろう? お前達はどう足掻いても勝てはしない。このまま蹂躙されたくなければ、こちらの要望を呑め」

 !? 竜が、喋った……!?
 この化け物は、人語を扱えるのか――そっ、そんなことはどうでもいいっ!

 要望、だって……?

 コイツは……。何を、企んでいるんだ……?









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