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第9話 フィリップ・ライナス視点(3)
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「「………………。………………。え……?」」
城門の真上に、漆黒の竜がいる。創作物でしか目にしたことのない生き物が、そこに存在しているのだ。
「……………………」
「……………………」
「……………………でん、か……」
「……………………な、んだい……?」
「……………………これは……。夢じゃ、ありません、わよね……?」
「……………………ちゃんと、感覚がある……。ゆめじゃ、ないね……」
頬を抓れば痛みがあるし、強風が――羽ばたきによって生まれた風が、肌にぶつかってきている。
信じられないが、信じるしかない。竜は間違いなく、そこにいる……。
「りゅ、竜はっ。破滅っ、崩壊をもたらすとっ、聞いたことがありますわっ! でっ、殿下っ!!」
「だ、大丈夫っ、大丈夫だよっ。君もさっき口にしたように、ここは堅牢だっ。常時100人以上の精鋭が護っているのだからね!」
相手が化け物でも、この戦力差なら勝てる。そんな事実が俺に落ち着きを取り戻させて、俺はサッズへと向き直った。
「衛兵たちは何をやっているっ? もう出動しているのかっ?」
「はっ、はぃっ! 敵は空、ですので……っ。護衛を除いた全員が――101人が弓を持ち、向かっております……っ」
そんな説明があって間もなく数多の兵が飛び出し、化け物の正面で隊列を組んで並んだ。
竜の鱗は硬いと聞くが、この数の矢が当たれば効く。一斉射撃による先制攻撃で、そのまま押し切ってやれ!!
『撃ち方用意っ! てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
指揮官の合図で101人が弓を射り、大量の矢が一斉に飛んでいく。
いいぞっ! いけいけっ!! そのままヤツの体に――
「な……。あたら、ない……?」
ヤツに命中する直前、だった。飛んでいた矢がピタリと止まり、向きが九十度変化。全てが真下へと向いてしまい、そのまま地面に突き刺さってしまったのだ……。
『『『『『『な、なにが起きたんだ……? どうなっている……?』』』』』
『ひっ、怯むなっ! もう一度だ!! うてぇえええええええええええええええええ!!』
兵達は再び一斉射撃を行い、だが、その結果は同じ。またあの位置ですべての矢が真下を向き、全部地面に刺さってしまった。
『『『『『だ、駄目だ……っ。効かない……っ!』』』』』
『『『『『バカな……! どうなっているんだ……!?』』』』』
『おっ、おいっ! あの化け物、城に近づいてくるぞっ! こっちに飛んでくるっ!』
『無理だっ! あんなの止められるはずがない!! にっ、にげろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』
「お前達、まてっ! 逃げるんじゃないっ! 兵なら命を懸けて俺達を守れっ!!」
身を乗り出して怒鳴りつけるが、アイツらは一切反応しない……! 全兵士が無様に逃げ出してしまい――
竜はあっさりと、俺達が住む城に到達してしまった。
城門の真上に、漆黒の竜がいる。創作物でしか目にしたことのない生き物が、そこに存在しているのだ。
「……………………」
「……………………」
「……………………でん、か……」
「……………………な、んだい……?」
「……………………これは……。夢じゃ、ありません、わよね……?」
「……………………ちゃんと、感覚がある……。ゆめじゃ、ないね……」
頬を抓れば痛みがあるし、強風が――羽ばたきによって生まれた風が、肌にぶつかってきている。
信じられないが、信じるしかない。竜は間違いなく、そこにいる……。
「りゅ、竜はっ。破滅っ、崩壊をもたらすとっ、聞いたことがありますわっ! でっ、殿下っ!!」
「だ、大丈夫っ、大丈夫だよっ。君もさっき口にしたように、ここは堅牢だっ。常時100人以上の精鋭が護っているのだからね!」
相手が化け物でも、この戦力差なら勝てる。そんな事実が俺に落ち着きを取り戻させて、俺はサッズへと向き直った。
「衛兵たちは何をやっているっ? もう出動しているのかっ?」
「はっ、はぃっ! 敵は空、ですので……っ。護衛を除いた全員が――101人が弓を持ち、向かっております……っ」
そんな説明があって間もなく数多の兵が飛び出し、化け物の正面で隊列を組んで並んだ。
竜の鱗は硬いと聞くが、この数の矢が当たれば効く。一斉射撃による先制攻撃で、そのまま押し切ってやれ!!
『撃ち方用意っ! てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
指揮官の合図で101人が弓を射り、大量の矢が一斉に飛んでいく。
いいぞっ! いけいけっ!! そのままヤツの体に――
「な……。あたら、ない……?」
ヤツに命中する直前、だった。飛んでいた矢がピタリと止まり、向きが九十度変化。全てが真下へと向いてしまい、そのまま地面に突き刺さってしまったのだ……。
『『『『『『な、なにが起きたんだ……? どうなっている……?』』』』』
『ひっ、怯むなっ! もう一度だ!! うてぇえええええええええええええええええ!!』
兵達は再び一斉射撃を行い、だが、その結果は同じ。またあの位置ですべての矢が真下を向き、全部地面に刺さってしまった。
『『『『『だ、駄目だ……っ。効かない……っ!』』』』』
『『『『『バカな……! どうなっているんだ……!?』』』』』
『おっ、おいっ! あの化け物、城に近づいてくるぞっ! こっちに飛んでくるっ!』
『無理だっ! あんなの止められるはずがない!! にっ、にげろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』
「お前達、まてっ! 逃げるんじゃないっ! 兵なら命を懸けて俺達を守れっ!!」
身を乗り出して怒鳴りつけるが、アイツらは一切反応しない……! 全兵士が無様に逃げ出してしまい――
竜はあっさりと、俺達が住む城に到達してしまった。
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