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第7話(3)

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「大切な人が苦しんでいる姿を見て、感謝なんてするはずがありません。ましてや利用するだなんて、そんな感情は一瞬たりとも存在していませんよ」
「…………………なるほど、ね。アルクベールはアルクベール。あの言葉は本心、愛する気持ちは本物、というワケか」

 ビエワさんは微苦笑を浮かべ、はぁとため息をつく。

「これまで見ていたものが本心、オレ的にはかなりつまらない結末だね。…………だけど、まあいっか。そのおかげで面白いものが見られて、新しい絵の題材も見つかったことだしね」
「…………あ、あの。それって……。題材というのは……」
「うんそうだよ、ソレはロッザさんの赤面。徐々に赤みを増していって、ラストでボッとなる。滅多に見られない、貴重な変化だったよ」

 ニヤニヤしながら見ていたビエワさんは、わたしの顔を両方の親指と人差し指で作ったフレームで囲む。
 だ、だって……。その前に、好きって言ってくれていて……。一瞬も、極僅かでさえもなかったと知ったら……。
 もともとソラ君はそんな人じゃないって、感じてたけど……。それと、これとは、お話が違うと思います。
 誰だって、こうなると思います……っ。

「幼馴染への援護射撃にもなっちゃったけど、そっちもその顔で相殺しておこう。次の作品のタイトルは、『目覚めの姫』に決まりだね」
「ひ、姫って……。目覚めって……」
「その辺りは、ご想像にお任せしますってね。んじゃ、対価はもらったんで――。そろそろ、オレも仕事をしようかな」

 イタズラっぽく片目を瞑ってキャンドルの火を消し、ソラ君が正気に戻るとビエワさんはわたしの額に触れました。

「正確に診るには、接触が必要なんだ。……………………………。分析、スタート」

 真剣な声で呟くと体内が少し熱くなって、そんな状態が1分くらい続く。そうしたら急に全身にあった熱が消えて、ビエワさんの手がスッとおでこから離れたのでした。


「バッチリ見えたよ。その呪いを安全に解く方法がね」





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