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第7話(1)

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「君は急いでいるようだしね、いきなり核心へと迫る質問をしよう。……アルクベールこと、ソラ君・・・。君は、目の前に居る彼女を――ロッザさんを、好きなのかな?」

 自称『楽しい楽しい』質問タイム。それは予想通り、始まるや真逆のものへと姿を変えました。

「この『好き』はもちろん『人として』じゃなくて、『異性として』ね。いったい、どっちなのかな?」
「あっ、あのっ! こういう内容は、ソラ君も――」
「アリシアちゃん、大丈夫だよ。どうせいずれ、お伝えしようと思っていたことだからね」

 立ち上がろうとしていると右肩にそっと手が添えられて、ソラ君の顔が左、それから正面へと動く。

「はい、お帰りアルクベール。君は異性として、独りの女性として、ロッザさんを好きなのかい?」
「ああ、そうだよ。僕は、彼女が好きだ。あの時からずっとね」

 …………。
 ………………。
 ……………………。

「なるほど。では、質問その2。君はロッザさんの、どんな部分に惹かれたんだい?」
「誰に対しても平等に優しいところと、損得関係なく心から笑ってくれるところ。近くで過ごせば過ごすほど魅力が増えていって、だから、あの日の初恋が今も続いている」

 そ、そうなんだ。
 そう、なんですね。

「ひゅぅ。では質問その3。この状況を、チャンスだと思っているかい?」

 軽く口笛を吹いたビエワさんは、わたしの髪、顔の順番に眺めました。
 さっきソラ君が、竜術は『分析』と言っていたから。この身体に起きていることが、もう分かっているんですね……。

「再会したら、愛しのお姫様は呪いに蝕まれていた。そんなところを颯爽と助けたら、最高に格好いい。おまけにアルクベールも命の恩人となって、それはもう感謝をされるに違いない」
「……………………」
「そんな状況で告白すれば、必ず受け入れられるはず。『このタイミングで出会ってよかったなあ』とか、『呪いよありがとう!』とか。思ってはいないかい?」
「そんな感情は微塵もない。あるのはただ、仕掛けた者への怒りだけだよ」

 それは、言下。ビエワさんが言い終わると同時に、全てが否定されました。

「大切な人が苦しんでいる姿を見て、感謝なんてするはずがない。ましてや利用するだなんて、そんな感情は一瞬たりとも存在していないよ」
「………………ふーん、そうなんだ。今の言葉に、嘘はないんだね?」
「ああ。どこにもない」
「…………………本当に、ないんだね? 今なら、撤回や変更ができるけれど。しなくても、いいんだね?」
「その必要はない。それが僕の、本心だからね」
「…………そっかそっか。じゃあ、質問タイムはこれでおしまい。ここからはお待ちかね、余興の幕開けだよ」

 ビエワさんは不気味な微笑みを携えたまま立ち上がり、そのまま部屋を出て行って――。かなり古びた黒色のアロマキャンドルとマッチを持って、戻ってきました。

 これって、香りを楽しんだり気分転換をしたりするものですよね……?
 この方は……何に使う、つもりなの……?




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