上 下
40 / 44

第14話 そうしてアンジェリク達とオラース達は アンジェリク視点(1)

しおりを挟む
(…………アンジェリクや母さん、俺の行動が……。こんなことを、もたらしてたんだな……)
(…………そう、ですね……。こんなことが、有り得るんですね……)

 つい出てしまった笑みに怯え、怯えたから調べ始めて、調べ始めたから色々と把握していって……。その全てが、ありえないくらい綺麗にハマってしまった。
 事実は小説より奇なりというけれど……。本当だったとは、思わなかったわ……。

(都合が良すぎていて、明晰夢を見ているみたいだ。でも、違うよな?)
(え、ええ。違いますね)

 一緒に自分の頬を引っ張てみると、私もガエル様も痛みを感じた。だからここは、紛れもなく現実。

(……こんなことが、あるんだな……)
(……あるんですね……)

(………………)
(………………)
(………………)
(………………)

(………………でもまあ、あれだな。よかったな)
(そ、そうですね。よかったですね)

 あまりにも予想外が起きると、人って何も言えなくなっちゃうみたい。なので私達は見つめ合ったまま沈黙してしまい、数十秒後に頷き合った。
 悪いこと、問題行動をしていた、いずれまた何かしそうな人達が、心を入れ替えて一切の地位権利を手放すと宣言したんだもの。とても良いことが起きているのだから、喜ぶべきことよね。

「のっ、ノエル様!? ガエル様っ!? えっ、あっ、あのぉっ!? ゆっ、許してはいただけないのでしょうかっ!?」

 私達だけにしか聞こえない声量で会話をしていて、暫く固まってしまっていたからだと思う。衝撃的な告白をされたオラース様が、今にも泣きだしそうな顔で右往左往し始めた。
 そして――

「「「「「!!!!!」」」」」

 ――その様子を見ていたお父様、お母様、ロゼッタ様親子の顔も、更に真っ青なものへと急変。一様に膝から崩れ落ち、仲良く頭を抱え始めた。

「ち、違い、ます、よね!? 許して、いただけますっ、よね!? 出所後も、何かしらの形でお詫びをっ、償いをさせていただきますのでぇっ!! なにとぞ寛大なご判断ぉぉぉっっ!! お許しぉぉぉぉぉっ!!」
「…………いいでしょう、今回は特別です。力の行使はやめましょう」

 さっきも言ったように、これはよいこと。なのでオラース様の話に合わせ凛とした雰囲気で頷き、それを見てガエル様も荘厳に頷いた。
 そうすると、オラース様達は大粒の嬉し涙を零し始めて――

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【BL】こんな恋、したくなかった

BL / 完結 24h.ポイント:205pt お気に入り:947

5人の幼馴染と俺

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:18

私の通り名が暴君シッターでした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7,470pt お気に入り:250

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

恋愛 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:3,235

約束のクローバー ~僕が自ら歩く理由~

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:53

大好きな幼馴染は僕の親友が欲しい

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:74

処理中です...