わたしがお屋敷を去った結果

柚木ゆず

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第2話 お屋敷を去った結果~妹と婚約者の場合~ 俯瞰視点(4)

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「そうでしたのねっ。うふふふふ」

「大正解。いつもよく当てるね~」
 更に一か月後の、日曜日の午後3時過ぎ。今日もマクサンスがロドレル邸を訪れており、いつものように楽しいお喋りが始まったのですが――

((っっ!!))

((っっ!!))

 ――笑っているのは、顔だけ。フローラもマクサンスも、心の中では拳を震わせていました。

((また、腰を折った……!!))

((また話の邪魔をした……!!))

 せっかくとっておきの話をしようとしているのに、良いところで台無しにされてしまう。
 二人が『不快』と感じることを今回もされてしまった――おまけにまったく悪びれることなくやってくるため、腸(はらわた)が煮えくり返っていたのです。

((………………お、落ち着きなさい、フローラ。怒っては駄目よ))

((………………落ち着くんだ、俺。腹を立てては駄目だ))

『ならば、ソレがきっと上書きしてくれるだろうさ。今は悪い部分に意識がいってしまって目立っているだけで、すぐ良い部分に注目できるようになって気も変わるさ。わたしが保証しよう』
『でしたら、ソレがきっと上書きしてくれますよっ。今は悪い部分に意識がいってしまってそうなっているだけで、すぐ良い部分に注目できるようになって気も変わりますよ。わたしめも同様の経験がございますからっ!』

 父親と従者の言葉を信じている二人は、深呼吸。よい部分に注目できるよう、気持ちを切り替えて努力をします。
 その結果、無事ふたりは相手の良い部分を見つけられて落ち着くことができました。
 ですが――

((またですわ……!!))

((まただ……!!))


((もう……! 今日も……!!))

((ああもう……! まただ……!!))

 ――フローラもマクサンスも自分の言動に問題があるとまったく思っていないため、そういったことは引き続き毎回発生してしまいます。
 ストレス。ストレス。ストレス。ストレス。ストレス。
 そのためイライラやモヤモヤは会うたびに確実に溜まり続けることとなり、しかも――。気が乗らなくても婚約者という間柄のため頻繁に会わないといけませんし、パーティーなどにはペアで出席しなければなりません。

((!!!!!!!))

((!!!!!!!))

 ドンドンドンドンストレスが溜まっていって、そんな時間がさらに一か月続いた時のことでした。ふたりの中にある『不満』が、ついに許容範囲を超えてしまい――

「いい加減にして頂戴!!」

「いい加減にしろ!!」

 ――大爆発、することとなったのでした。


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