4 / 18
第1話 お屋敷を去った結果~使用人達の場合~ 俯瞰視点(3)
しおりを挟む
「なにその目!? なにか文句でもあるの!?」
「ただ見てただけでしょ!? いちゃもんはやめなさいよ!!」
「あらごめんなさい」
「きゃ!? ……いいですよぉ? あっ、こちらこそごめんあそばせ!」
「ぎゃ!? こ、この……!!」
「なによ? 先にぶつかってきたのはそっちでしょ? お互い様よ」
「レイナ、お連れ様。休憩のお茶、淹れておいたわよ」((唾入りの、ね))
「置いていたわたしの服が汚れてるんだけど!? 汚したの誰よ!?」
我慢が限界を迎えた結果、勃発したのは内輪もめ。使用人達は同格である仲間で苛立ちを発散させようとして、使用人の間では毎日醜い争いが起きていました。
「ネックレスがなくなってる!? 誰か盗ったわね!?」
「そんな安物、誰も盗らないわよ。どこかに置き忘れたんじゃないの?」
「っ!? 冷た!?」
「ごめ~ん、うっかり手が滑っちゃった~」
「エミリアンタでしょ!? 奥様に嘘の情報を流したのは!?」
「嘘の情報? なんのこと?」
「サボっていたとかっ、お召し物を踏んでから渡したとか!! ありもしないことを言ったのはアンタでしょ!! 分かってるんだからね!!」
「そういうことは、証拠を出してから言いなさいよ。適当なこと言わないで」
全員が仲良しだった、かつての姿はどこにもありません。一日に何度も、あらゆる場所で、あらゆる形で、あらゆる使用人達が鬱憤をぶつけ合い――それはキャッチボールをしているような状態のため、使用人達の中から膨大なストレスが消えることはありませんでした。
「「「「「もう限界よおおおおおおお!!」」」」」
それによりやがて、全員の怒りが大爆発。屋敷内では殴り合いが発生してしまい、その出来事が彼女達に過去最大級の悲劇をもたらすこととなるのでした。
「ああああああああああ!! あああああああああああああああああああ!!」
「よくもおおおおおおお!! よくもおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「!? こっ、こらなにをやっているのだ!? やめんか――ぐあ!?」
「あなた!?」「お父様!?」
騒ぎを聞きつけやって来たこの屋敷の主を、同僚だと勘違いして思い切り突き飛ばしてしまう。それによって腰を痛めたことで一家全員の怒りを買ってしまい、調査の結果争いの原因は全員にあると分かったため――
「貴様らはクビだ!!」
――使用人が一新されることとなったのでした。
「元はと言えば旦那様達が原因なんですよ!!」
「理不尽がなければ揉めてませんでした!!」
「こんなことも起きていません!!」
「責任があるのはこちらだけではありません!! 考え直してください!!」
「酷すぎますこんなこと!!」
使用人達は必死になって反論しますが、三人は一切認めない。加えて危害を加えたのは事実なため、結局全員お屋敷を去ることとなったのでした。
「…………そんな……」
「…………こんな、こと……」
「…………なんで、こんなことに……」
「…………なんでよぉ……」
そうなった原因は三人にもありますが、最大の要因は自分達の性格。カプシーヌを攻撃したり仲間を攻撃したりする性質がなければ、こんな風にはなっていませんでした。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
良いお給料も。安全な職場も。ステータスも。
自らの行いと性質によってすべてを失い、使用人達はひとしく絶望する羽目になったのでした――。
「ただ見てただけでしょ!? いちゃもんはやめなさいよ!!」
「あらごめんなさい」
「きゃ!? ……いいですよぉ? あっ、こちらこそごめんあそばせ!」
「ぎゃ!? こ、この……!!」
「なによ? 先にぶつかってきたのはそっちでしょ? お互い様よ」
「レイナ、お連れ様。休憩のお茶、淹れておいたわよ」((唾入りの、ね))
「置いていたわたしの服が汚れてるんだけど!? 汚したの誰よ!?」
我慢が限界を迎えた結果、勃発したのは内輪もめ。使用人達は同格である仲間で苛立ちを発散させようとして、使用人の間では毎日醜い争いが起きていました。
「ネックレスがなくなってる!? 誰か盗ったわね!?」
「そんな安物、誰も盗らないわよ。どこかに置き忘れたんじゃないの?」
「っ!? 冷た!?」
「ごめ~ん、うっかり手が滑っちゃった~」
「エミリアンタでしょ!? 奥様に嘘の情報を流したのは!?」
「嘘の情報? なんのこと?」
「サボっていたとかっ、お召し物を踏んでから渡したとか!! ありもしないことを言ったのはアンタでしょ!! 分かってるんだからね!!」
「そういうことは、証拠を出してから言いなさいよ。適当なこと言わないで」
全員が仲良しだった、かつての姿はどこにもありません。一日に何度も、あらゆる場所で、あらゆる形で、あらゆる使用人達が鬱憤をぶつけ合い――それはキャッチボールをしているような状態のため、使用人達の中から膨大なストレスが消えることはありませんでした。
「「「「「もう限界よおおおおおおお!!」」」」」
それによりやがて、全員の怒りが大爆発。屋敷内では殴り合いが発生してしまい、その出来事が彼女達に過去最大級の悲劇をもたらすこととなるのでした。
「ああああああああああ!! あああああああああああああああああああ!!」
「よくもおおおおおおお!! よくもおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「!? こっ、こらなにをやっているのだ!? やめんか――ぐあ!?」
「あなた!?」「お父様!?」
騒ぎを聞きつけやって来たこの屋敷の主を、同僚だと勘違いして思い切り突き飛ばしてしまう。それによって腰を痛めたことで一家全員の怒りを買ってしまい、調査の結果争いの原因は全員にあると分かったため――
「貴様らはクビだ!!」
――使用人が一新されることとなったのでした。
「元はと言えば旦那様達が原因なんですよ!!」
「理不尽がなければ揉めてませんでした!!」
「こんなことも起きていません!!」
「責任があるのはこちらだけではありません!! 考え直してください!!」
「酷すぎますこんなこと!!」
使用人達は必死になって反論しますが、三人は一切認めない。加えて危害を加えたのは事実なため、結局全員お屋敷を去ることとなったのでした。
「…………そんな……」
「…………こんな、こと……」
「…………なんで、こんなことに……」
「…………なんでよぉ……」
そうなった原因は三人にもありますが、最大の要因は自分達の性格。カプシーヌを攻撃したり仲間を攻撃したりする性質がなければ、こんな風にはなっていませんでした。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
良いお給料も。安全な職場も。ステータスも。
自らの行いと性質によってすべてを失い、使用人達はひとしく絶望する羽目になったのでした――。
234
お気に入りに追加
415
あなたにおすすめの小説

【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?
のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。
両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。
そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった…
本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;)
本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。
ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?

〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*

見た目を変えろと命令したのに婚約破棄ですか。それなら元に戻るだけです
天宮有
恋愛
私テリナは、婚約者のアシェルから見た目を変えろと命令されて魔法薬を飲まされる。
魔法学園に入学する前の出来事で、他の男が私と関わることを阻止したかったようだ。
薬の効力によって、私は魔法の実力はあるけど醜い令嬢と呼ばれるようになってしまう。
それでも構わないと考えていたのに、アシェルは醜いから婚約破棄すると言い出した。

代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです
天宮有
恋愛
調合魔法を扱う私エミリーのポーションは有名で、アシェル王子との婚約が決まるほどだった。
その後、聖女キアラを婚約者にしたかったアシェルは、私に「代わりはいる」と婚約破棄を言い渡す。
元婚約者と家族が嫌になった私は、家を出ることを決意する。
代わりはいるのなら問題ないと考えていたけど、代わりはいなかったようです。

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる