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第1話 完璧だ! これでお前は――え……? ジャック視点(4)
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「『私の婚約者は、心変わりをしている』『恐らくノーダメージで婚約破棄をしたがっていて、私を理由にしようとしている』などなど。事細かに伝えられていて、実際にその通りの事が起きたのですよ」
「だから、だね。ワシらはブランティス君が残した証拠を調べ、そう断定したのだよ」
校長と教頭は教科書を開き、複数のページの隅に書かれてあった紋章を――ウチの紋章を、指さした。
ぜ、全然気が付かなかった……。あの時、こんなことをされていたなんて…………。
「君がトイレに立った際に、書き込んだそうだ。……全てを把握していて、証拠が実際にあり、何もかもが実際に起きた。これは否定の理由になるとは思うが、バズセル君。そうは思わないかね?」
「…………………………」
「うむ? ワシは、尋ねているのだよ? 答えてくれないのかのう?」
「あ、そ、それは……。それは……」
「ん? それは? なにかね?」
「そ、それは……。それは…………………………っっ。ちっ、違います! お二人は、オーディエンスもっ! コレットの罠に嵌まっているんですよ!!」
流石は、次期侯爵家当主。窮地となっても諦めず、素早く対応策を見つけた!
「これは、彼女の保険です! コレットは万が一露見してしまった時のために、こうして偽りの証拠を残してたんですよっ。あえて全てを先に伝える事で、自分は被害者だと見せようとしていたのですよっ」
よくよく考えてみたら、この言い分はコレットの証言の上に成り立っている。よってソコを攻めれば、逆転のチャンスはあるっ。
それに――
「幸いにもこちらには、もう一つ彼女が犯人だという証拠があります。それが明らかになれば、疑いの余地はなくなりますよ」
――それに先述したように、こちらだって『保険』を用意してある。これを使えば、コレットを犯人に仕立て上げられる!
「これまでの動向を鑑みると、ソレはコレットの自室に隠されていると思われます。……コレット。潔白を主張するのであれば当然、後ろめたいものは、見られて困るものはないはず。これから部屋を捜索しても、問題はないな?」
「ええ、問題はございません。……生徒の皆様も顛末が気になっておられるでしょうし、私自身も、疑惑は即座かつ確実に払拭したいと考えております。ですので、希望される方はどうぞいらっしゃってください」
生意気にも思惑に気付いていた、コレット。ヤツは何もしていないので堂々と頷いた。
その選択が絶望をもたらし、更には大勢の前で恥をかく素となるとも知らずに。
「校長殿、本人がそう仰っておりますので。早速ですが確認に参りましょう」
「うむ、そうだな。ゆくとしよう」
そうして校長と教頭、それに計67人のオーディエンスも加わり、ブランティス邸へと移動。公開処刑が、始まることとなったのだった。
突然すみません。ご報告になります。
明日視点が変わり、コレットとヒーローに関するお話を、投稿させていただきます。
「だから、だね。ワシらはブランティス君が残した証拠を調べ、そう断定したのだよ」
校長と教頭は教科書を開き、複数のページの隅に書かれてあった紋章を――ウチの紋章を、指さした。
ぜ、全然気が付かなかった……。あの時、こんなことをされていたなんて…………。
「君がトイレに立った際に、書き込んだそうだ。……全てを把握していて、証拠が実際にあり、何もかもが実際に起きた。これは否定の理由になるとは思うが、バズセル君。そうは思わないかね?」
「…………………………」
「うむ? ワシは、尋ねているのだよ? 答えてくれないのかのう?」
「あ、そ、それは……。それは……」
「ん? それは? なにかね?」
「そ、それは……。それは…………………………っっ。ちっ、違います! お二人は、オーディエンスもっ! コレットの罠に嵌まっているんですよ!!」
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「これは、彼女の保険です! コレットは万が一露見してしまった時のために、こうして偽りの証拠を残してたんですよっ。あえて全てを先に伝える事で、自分は被害者だと見せようとしていたのですよっ」
よくよく考えてみたら、この言い分はコレットの証言の上に成り立っている。よってソコを攻めれば、逆転のチャンスはあるっ。
それに――
「幸いにもこちらには、もう一つ彼女が犯人だという証拠があります。それが明らかになれば、疑いの余地はなくなりますよ」
――それに先述したように、こちらだって『保険』を用意してある。これを使えば、コレットを犯人に仕立て上げられる!
「これまでの動向を鑑みると、ソレはコレットの自室に隠されていると思われます。……コレット。潔白を主張するのであれば当然、後ろめたいものは、見られて困るものはないはず。これから部屋を捜索しても、問題はないな?」
「ええ、問題はございません。……生徒の皆様も顛末が気になっておられるでしょうし、私自身も、疑惑は即座かつ確実に払拭したいと考えております。ですので、希望される方はどうぞいらっしゃってください」
生意気にも思惑に気付いていた、コレット。ヤツは何もしていないので堂々と頷いた。
その選択が絶望をもたらし、更には大勢の前で恥をかく素となるとも知らずに。
「校長殿、本人がそう仰っておりますので。早速ですが確認に参りましょう」
「うむ、そうだな。ゆくとしよう」
そうして校長と教頭、それに計67人のオーディエンスも加わり、ブランティス邸へと移動。公開処刑が、始まることとなったのだった。
突然すみません。ご報告になります。
明日視点が変わり、コレットとヒーローに関するお話を、投稿させていただきます。
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