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第4・5話 作戦成功! 成功……? カーラ視点(3)
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「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ蜘蛛に埋め尽くされるっっ‼ わたくし蜘蛛に埋め尽くされちゃうぅぅぅぅううう――あ、あれ……? い、いない……?」
気が付いて飛び起きると、そこは自分のベッド。あれだけいた蜘蛛は一匹の残らず消え去っていて、周りではお父様、お母様、ソフィーが見守っていた。
「よかった……! 正気に戻ったようだな」
「カーラ。貴女は急に取り乱して、気絶してしまったのよ」
「一緒に紅茶を飲んでいたら、突然そうなったの。大丈夫?」
あ、そ、そっか。あの粉末の効果が、切れたのね。
全身…………顔をも埋め尽くす、蜘蛛の群れ……。幻覚と分かっていた、けど……。リアルで……。思い出しただけで、全身に鳥肌が立つ……。
「まだ、顔色が悪そうだな。突然の混乱も気になるし、病院にゆくか?」
「へ、平気ですお父様。実は最近寝不足気味でウトウトしていて、非常にたちの悪い悪夢を見てしまっただけですから」
本当の事は言えないし、入院になったらエドゥに会えなくなるから、まずは言い訳。すぐにベッドから降りて元気だとアピールをして、ソフィーと2人でティータイムを再開させる。そしてお喋りも再開させて間もなく、蜘蛛出現の理由を理解する事になった。
「ね、ねえソフィー。このカップに、何かしなかった? 何か違和感があるの」
「ぁ、それは多分、替えたからだと思う。内緒にしておくつもりだったけど、実は私とカーラのを入れ替えたの」
「やっぱりっ――ううん、何でもないわ。何かが、変だと思ったのよ。どうしてそうしたの?」
「カーラの紅茶に、埃が浮いてたの。だからこっそり入れ替えて、カーラには埃が入ってない私の方を飲んでもらったの」
全ての原因は、この女。ソフィーが余計な事をしたせいで、あんな目に遭ってしまっていた。
((くっ、こんなところで自分より友達を優先する性質が邪魔するなんて……っ。最悪だわ……!!))
今から、この分まで上乗せして『お仕置き』をしてやりたい。さっき以上の、恐怖と苦しみを与えてやりたい…………!!
だけど――
「ぁ、もう4時半になってたんだね。カーラ、今日は楽しかったよ」
――バレないように仕込めるものは何もないし、解散の時間になってしまった。そのため、呑気に去っていくソフィーに手を振り返す事しかできなくって……。
おまけに、お父様やお母様達は現状を知らないから……。大々的にストレスをぶちまけることも、できなくて……。
((ぁぁああああああああああああぁぁあぁああああああああああああああああ!!))
わたくしは心の中で絶叫し、心の中でソフィーの背中を延々と踏み続けたのだった。
気が付いて飛び起きると、そこは自分のベッド。あれだけいた蜘蛛は一匹の残らず消え去っていて、周りではお父様、お母様、ソフィーが見守っていた。
「よかった……! 正気に戻ったようだな」
「カーラ。貴女は急に取り乱して、気絶してしまったのよ」
「一緒に紅茶を飲んでいたら、突然そうなったの。大丈夫?」
あ、そ、そっか。あの粉末の効果が、切れたのね。
全身…………顔をも埋め尽くす、蜘蛛の群れ……。幻覚と分かっていた、けど……。リアルで……。思い出しただけで、全身に鳥肌が立つ……。
「まだ、顔色が悪そうだな。突然の混乱も気になるし、病院にゆくか?」
「へ、平気ですお父様。実は最近寝不足気味でウトウトしていて、非常にたちの悪い悪夢を見てしまっただけですから」
本当の事は言えないし、入院になったらエドゥに会えなくなるから、まずは言い訳。すぐにベッドから降りて元気だとアピールをして、ソフィーと2人でティータイムを再開させる。そしてお喋りも再開させて間もなく、蜘蛛出現の理由を理解する事になった。
「ね、ねえソフィー。このカップに、何かしなかった? 何か違和感があるの」
「ぁ、それは多分、替えたからだと思う。内緒にしておくつもりだったけど、実は私とカーラのを入れ替えたの」
「やっぱりっ――ううん、何でもないわ。何かが、変だと思ったのよ。どうしてそうしたの?」
「カーラの紅茶に、埃が浮いてたの。だからこっそり入れ替えて、カーラには埃が入ってない私の方を飲んでもらったの」
全ての原因は、この女。ソフィーが余計な事をしたせいで、あんな目に遭ってしまっていた。
((くっ、こんなところで自分より友達を優先する性質が邪魔するなんて……っ。最悪だわ……!!))
今から、この分まで上乗せして『お仕置き』をしてやりたい。さっき以上の、恐怖と苦しみを与えてやりたい…………!!
だけど――
「ぁ、もう4時半になってたんだね。カーラ、今日は楽しかったよ」
――バレないように仕込めるものは何もないし、解散の時間になってしまった。そのため、呑気に去っていくソフィーに手を振り返す事しかできなくって……。
おまけに、お父様やお母様達は現状を知らないから……。大々的にストレスをぶちまけることも、できなくて……。
((ぁぁああああああああああああぁぁあぁああああああああああああああああ!!))
わたくしは心の中で絶叫し、心の中でソフィーの背中を延々と踏み続けたのだった。
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