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第13話 タチアナのその後 俯瞰視点
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「……時間だ。出ろ」
ロズリーヌの身体が元に戻った日から、およそ二週間後の火曜日。牢屋にいるタチアナのもとに、執行関係者の男が現れました。
――囚人と化した婚約者をギロチンの前まで連れて行くことによって、関係性を完全に絶つ。この国にはそういった貴族向けの『新たな婚約を結びやすくする』ための儀式が存在していて、その目的でこの方は目の前にいらっしゃるそうです。――。
ここローランズにはそういった決まりがありましたが、これまでの行動によってオディロンに関する縁が絶たれているのは明白。彼自身も二度と関わりたくないと考えており、別人が担当することとなりました。
「い、いや……。出たくない……。死にたく、ない……。死ぬのは、いや……!」
「僻んでいた人間を殺そうとした。その件に関与した者の口封じを命じた。他者はよくて自分は駄目とはな。どこまでも無様を重ねる生き物だ」
「ね、ねえ! 大金を欲しくない!? 貴重な物を欲しくない!? わたくしを逃がしてくれたらっ、欲しい物を何でもあげるわ!! お願い! ここから逃がして!!」
「なんでもあげる? 笑止。貴様には――貴様の家族にも、そのような力はとおになくなっている」
長女の他貴族への殺人未遂と殺人と、当主主導による他国の人間への醜悪な行い。特に後者は国家間の問題に発展するため大騒動となっており、『ルレーラ侯爵家』の消滅が決まっていました。
タチアナは知らなかっただけで、すでに彼女があると思っているものはなくなっていたのです。
「そ、んな……。うそ、よ……」
「嘘だと言いたいのは、ルレーラ家の領民達や陛下達だ。貴様は――貴様らは、とんでもないことをしてくれた」
吐き捨てるように言の葉を紡ぎ、このやり取りをしているうちに移動を始める時間となりました。そのため男はタチアナの髪の毛を掴んで無理やり立ち上がらせ、そのまま牢屋から引きずり出しました。
「やめてぇええええ!! いきたくないい!! やめてえええええええ!!」
「貴様は自ら、こうされる状況を作ってしまった。自業自得だ」
「違うぅぅぅぅ!! ゼナイドだって悪いぃぃぃぃぃ!! ゼナイドが苛立たさせなかったらなにもしていないぃぃぃぃぃ!! こっちだって被害者なのぉぉおおお!!」
そんな言い分が通じるはずがありません。タチアナを引きずる男の動きが止まることはなく、抵抗を続けるも執行場へと到着してしまいました。
「はっ、反省してます!! ゼナイド様っ、ごめんなさい!! 殺してしまった人達っ、ごめんなさい!! ロズリーヌ様っ、ごめんなさい!! 反省しているからっ、許してええええええ!!」
「……見苦しい」
この状況下での謝罪は、本心でないと明白。いわずもがな急遽温情が与えられるはずはなく、タチアナの身体はギロチンの下で固定されてしまいました。
そして――
「いやあああああああああああ!! いやあああああああああああああ!! だれかぁああああああ!! たすけてえええええええええええええええええええええ!!」
「貴様には、この世界の空気を消費する資格すらない。人生の終焉だ」
「いやだぁあああああああああああああ!! たすけええええええええええ!! しにたくなぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
建物の外まで響くほどの大絶叫が轟き、以降――
タチアナの声が聞こえてくることは、二度となかったのでした。
ロズリーヌの身体が元に戻った日から、およそ二週間後の火曜日。牢屋にいるタチアナのもとに、執行関係者の男が現れました。
――囚人と化した婚約者をギロチンの前まで連れて行くことによって、関係性を完全に絶つ。この国にはそういった貴族向けの『新たな婚約を結びやすくする』ための儀式が存在していて、その目的でこの方は目の前にいらっしゃるそうです。――。
ここローランズにはそういった決まりがありましたが、これまでの行動によってオディロンに関する縁が絶たれているのは明白。彼自身も二度と関わりたくないと考えており、別人が担当することとなりました。
「い、いや……。出たくない……。死にたく、ない……。死ぬのは、いや……!」
「僻んでいた人間を殺そうとした。その件に関与した者の口封じを命じた。他者はよくて自分は駄目とはな。どこまでも無様を重ねる生き物だ」
「ね、ねえ! 大金を欲しくない!? 貴重な物を欲しくない!? わたくしを逃がしてくれたらっ、欲しい物を何でもあげるわ!! お願い! ここから逃がして!!」
「なんでもあげる? 笑止。貴様には――貴様の家族にも、そのような力はとおになくなっている」
長女の他貴族への殺人未遂と殺人と、当主主導による他国の人間への醜悪な行い。特に後者は国家間の問題に発展するため大騒動となっており、『ルレーラ侯爵家』の消滅が決まっていました。
タチアナは知らなかっただけで、すでに彼女があると思っているものはなくなっていたのです。
「そ、んな……。うそ、よ……」
「嘘だと言いたいのは、ルレーラ家の領民達や陛下達だ。貴様は――貴様らは、とんでもないことをしてくれた」
吐き捨てるように言の葉を紡ぎ、このやり取りをしているうちに移動を始める時間となりました。そのため男はタチアナの髪の毛を掴んで無理やり立ち上がらせ、そのまま牢屋から引きずり出しました。
「やめてぇええええ!! いきたくないい!! やめてえええええええ!!」
「貴様は自ら、こうされる状況を作ってしまった。自業自得だ」
「違うぅぅぅぅ!! ゼナイドだって悪いぃぃぃぃぃ!! ゼナイドが苛立たさせなかったらなにもしていないぃぃぃぃぃ!! こっちだって被害者なのぉぉおおお!!」
そんな言い分が通じるはずがありません。タチアナを引きずる男の動きが止まることはなく、抵抗を続けるも執行場へと到着してしまいました。
「はっ、反省してます!! ゼナイド様っ、ごめんなさい!! 殺してしまった人達っ、ごめんなさい!! ロズリーヌ様っ、ごめんなさい!! 反省しているからっ、許してええええええ!!」
「……見苦しい」
この状況下での謝罪は、本心でないと明白。いわずもがな急遽温情が与えられるはずはなく、タチアナの身体はギロチンの下で固定されてしまいました。
そして――
「いやあああああああああああ!! いやあああああああああああああ!! だれかぁああああああ!! たすけてえええええええええええええええええええええ!!」
「貴様には、この世界の空気を消費する資格すらない。人生の終焉だ」
「いやだぁあああああああああああああ!! たすけええええええええええ!! しにたくなぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
建物の外まで響くほどの大絶叫が轟き、以降――
タチアナの声が聞こえてくることは、二度となかったのでした。
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