断罪寸前の悪役令嬢になってしまいました

柚木ゆず

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第10話 真実はどっち? ロズリーヌ視点(2)

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「発言の許可をいただきたく思います」

 これから始める『作戦』を考えたのはオディロン様ですが、今回は入室が許可されておらず不在。ですので代わりに、わたしが右手をあげました。

「認めましょう。なんですか?」
「隣にいらっしゃる、貴方様にいくつか質問があります。……貴方様は、タチアナ・ルレーラさんではないのですよね? ロズリーヌ・サンドローブ、だと主張されるのですね?」
「は、はい。わたしは、ロズリーヌ・サンドローブです」

 即答。タチアナさんではないと、改めて明言されました。

「でしたら、タチアナさんの記憶はまったくない、のですね? タチアナさんのことは何も知らない、のですよね?」
「し、知りません。わたしはタチアナさんではありませんし、面識もありませんでしたから……。なにも、知りません」

 また、即答。タチアナさんの記憶はないと、改めて明言されました。

「…………皆様。今のやり取りを――ふたつの明言を、把握できていますでしょうか?」
「把握しました」
「把握しています」
「把握しました」
「把握しております」
「把握しました」

 全員がしっかりと聞いていて、理解できていますね。
 ……でしたら、次のステップへと進めます。

「では皆様、そちらにあるであろう紙をご覧ください。こちらは黙読でお願いいします」
「「「「「…………」」」」」

 オディロン様が記して、ヴァレール様が所持されていたもの。今後に繋がる大事な『証拠』に、しっかりと目が通されたタイミングで――仕掛けます。

「タチアナさん」
「? わたしは、タチアナではありませんが……。ど、どうなさいましたか?」
「これからわたしが口にすることを、しっかり聞いてくださいね」
「?? は、はい。なんでしょうか……?」

 わたしが口にする言葉。それは――

「『猫のニムール』」

 ――こういうものです。

((貴方様はタチアナさんなのですから、この言葉を理解できますよね? そして、言葉を聞いたらどうなるのかも))


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