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第10話 なぜ……⁉ ロドルフ視点(2)
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「あまりにも自己中心的な理由で悪評を広め、あまつさえ顔面目掛けてカップを投げつける。心にも体にも、大きな傷をつけようとした。幸せで居続けて欲しい人に、危害を加えようとしたから――。僕は、大きな怒りを覚えているのですよ」
見たこともないような……。普段の姿からは想像もできない、鋭利な目をしたアーロンは……。
そんな瞳の奥に静かな怒気を宿し、淡々とそう告げた……。
「し、幸せで、居続けて……。もしかして、お前は…………。アイツを…………マリーを……」
「ええ。かつては、異性として愛していました」
アーロンは一瞬だけ自虐的な微苦笑を浮かべ、っっ。再度、鋭く睨みつけてきた……。
「なので、廃嫡、追放だけでは足りない。まずは有難いマリー様の御意思を尊重しつつ貴方を公的に裁けるようになるよう、ああやって泳がせたのですよ」
「……じゃ、じゃあ……。俺がこうして蒸発の計画を立て、指輪などを盗んだのは…………」
「すべてが計算通りの、僕にとってはこの上なく好都合な行動ですね。兄上ならあの状況で、そう閃くと思っていましたよ」
やられた……! やられた……っ!! なにもかも、手のひらの上だったんだ……!!
なんだかんだ言いつつも、要は俺に好きな人を奪われた腹いせに……っ。翻弄されてしまったんだ……!! タチの悪い八つ当たりを、されてしまったんだ……っっ‼
「だから貴方が実行しやすいように、使用人達には睡眠薬を飲んだフリをしてもらいました。言わずもがな、くだんの御者の買収――彼の協力も、お芝居ですよ」
「っっっ!! くそっ、くそっ!! こんなことがあるなんて……!! くそぉっ、くそがぁぁぁ!! よくも騙しやがって――」
「驚き逆上するのは、早いですよ。それは、『まずは』なこと。まだ他にも、目的があるのですからね」
……そう、だ……。そうだった……。
コイツは別に、考えていることが……。あるんだ……。
見たこともないような……。普段の姿からは想像もできない、鋭利な目をしたアーロンは……。
そんな瞳の奥に静かな怒気を宿し、淡々とそう告げた……。
「し、幸せで、居続けて……。もしかして、お前は…………。アイツを…………マリーを……」
「ええ。かつては、異性として愛していました」
アーロンは一瞬だけ自虐的な微苦笑を浮かべ、っっ。再度、鋭く睨みつけてきた……。
「なので、廃嫡、追放だけでは足りない。まずは有難いマリー様の御意思を尊重しつつ貴方を公的に裁けるようになるよう、ああやって泳がせたのですよ」
「……じゃ、じゃあ……。俺がこうして蒸発の計画を立て、指輪などを盗んだのは…………」
「すべてが計算通りの、僕にとってはこの上なく好都合な行動ですね。兄上ならあの状況で、そう閃くと思っていましたよ」
やられた……! やられた……っ!! なにもかも、手のひらの上だったんだ……!!
なんだかんだ言いつつも、要は俺に好きな人を奪われた腹いせに……っ。翻弄されてしまったんだ……!! タチの悪い八つ当たりを、されてしまったんだ……っっ‼
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「っっっ!! くそっ、くそっ!! こんなことがあるなんて……!! くそぉっ、くそがぁぁぁ!! よくも騙しやがって――」
「驚き逆上するのは、早いですよ。それは、『まずは』なこと。まだ他にも、目的があるのですからね」
……そう、だ……。そうだった……。
コイツは別に、考えていることが……。あるんだ……。
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