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第3話 作戦開始。そして ジュリア視点(2)
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「く、口の中に生ゴミが広がった!! 一口含んだだけで、口内がゴミだらけになっちゃったっ!? どうなってるの!?」
20秒近く四つん這いになっていたわたしは、立ち上がるやエマに詰め寄る。
危うくショック死するレベルだったわよ!? なんなのこれは!?
「え……?」
「「え……?」」
え? どうしてエマは――お父様もお母様も、キョトンとしているの……?
なぜ、わたしがおかしいみたいな空気になっているの……?
「どうなっているって……。ついさっき、エマが説明したじゃないか」
「『唯一の問題点は味で、様々なものを使用したため恐ろしいこととなっています。お姉様、どうにか耐えてください』。そう言っていたのを、もう忘れてしまったの?」
「恐ろしい…………えっ、ええ思い出しました! そうでしたねっ、あははははっ」
さっき流した、エマの話。それは、このことだったなんて……っ。
最悪っ! わたしってば、なんで肝心な部分を聞き逃しているのよ……!!
((っ、エマもエマよ……っ! 大事なことなんだから、聞いていないような気がしたら改めて説明しなさいよ――なんて怒っている場合じゃないわ!))
心でエマを睨みつけていたわたしは、大急ぎで容器に視線を戻す。
((『恐ろしい』ですって? そんな優しいものじゃなかったわ! これは液体の形をした地獄よ!!))
まるで口と鼻の中に、数日間放置した生ゴミを大量に詰め込まれたようだった。19年生きてきた中で、群を抜く臭さ。生涯これ以上のものはないって断言出来てしまうレベルだった。
((たった一口でこれなんだもの! まだ10分の1も飲んでいないのにこれなんだものっ! こんなもの飲み干せるはずがないわ……!!))
だから今すぐ、捨てたい。エマの顔に投げつけたい!
でも…………これは、特効薬。わたしの願いを叶える薬で……。1年間快復を祈り続けたわたしが飲まないのは、あまりにも不自然……。
「ジュリア。苦しみの先には、幸せが待っているぞ……!!」
「頑張って、ジュリア……‼」
「東方の国には『良薬口に苦し』という言葉があるようでして、そちらは良い薬の証拠です。お姉様、耐えてください……!!」
「え、ええ。頑張って、全部飲むわ」
なので、拒絶できなくって……。
「ヴぃぼ……!?」
「ぐぶぇ……!?」
「ぶヴぎ……!?」
何度も何度も悲鳴を上げて、涙を流して……。5分かけて、ようやく容器を空にした…………。
やった、やったわ……。これで、終わり……。あとは効かないフリをすれば――
『こちらの服用は1日1回となっており、それを10回程度繰り返せば――10日前後で、回復致します。そのあとで、お姉様には――そちらは、回復後にお話しますね』
――違うっ。そうじゃない!
まだ、終わらないんだった……!!
20秒近く四つん這いになっていたわたしは、立ち上がるやエマに詰め寄る。
危うくショック死するレベルだったわよ!? なんなのこれは!?
「え……?」
「「え……?」」
え? どうしてエマは――お父様もお母様も、キョトンとしているの……?
なぜ、わたしがおかしいみたいな空気になっているの……?
「どうなっているって……。ついさっき、エマが説明したじゃないか」
「『唯一の問題点は味で、様々なものを使用したため恐ろしいこととなっています。お姉様、どうにか耐えてください』。そう言っていたのを、もう忘れてしまったの?」
「恐ろしい…………えっ、ええ思い出しました! そうでしたねっ、あははははっ」
さっき流した、エマの話。それは、このことだったなんて……っ。
最悪っ! わたしってば、なんで肝心な部分を聞き逃しているのよ……!!
((っ、エマもエマよ……っ! 大事なことなんだから、聞いていないような気がしたら改めて説明しなさいよ――なんて怒っている場合じゃないわ!))
心でエマを睨みつけていたわたしは、大急ぎで容器に視線を戻す。
((『恐ろしい』ですって? そんな優しいものじゃなかったわ! これは液体の形をした地獄よ!!))
まるで口と鼻の中に、数日間放置した生ゴミを大量に詰め込まれたようだった。19年生きてきた中で、群を抜く臭さ。生涯これ以上のものはないって断言出来てしまうレベルだった。
((たった一口でこれなんだもの! まだ10分の1も飲んでいないのにこれなんだものっ! こんなもの飲み干せるはずがないわ……!!))
だから今すぐ、捨てたい。エマの顔に投げつけたい!
でも…………これは、特効薬。わたしの願いを叶える薬で……。1年間快復を祈り続けたわたしが飲まないのは、あまりにも不自然……。
「ジュリア。苦しみの先には、幸せが待っているぞ……!!」
「頑張って、ジュリア……‼」
「東方の国には『良薬口に苦し』という言葉があるようでして、そちらは良い薬の証拠です。お姉様、耐えてください……!!」
「え、ええ。頑張って、全部飲むわ」
なので、拒絶できなくって……。
「ヴぃぼ……!?」
「ぐぶぇ……!?」
「ぶヴぎ……!?」
何度も何度も悲鳴を上げて、涙を流して……。5分かけて、ようやく容器を空にした…………。
やった、やったわ……。これで、終わり……。あとは効かないフリをすれば――
『こちらの服用は1日1回となっており、それを10回程度繰り返せば――10日前後で、回復致します。そのあとで、お姉様には――そちらは、回復後にお話しますね』
――違うっ。そうじゃない!
まだ、終わらないんだった……!!
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