仲良しのもふもふに理不尽な婚約破棄を愚痴ったら、国が崩壊することになりました

柚木ゆず

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第14話 関係者のその後 その1・残された4人Side~類は友を呼ぶ~ 俯瞰視点(3)

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「生命反応がない!? わたくし共以外に居ないと!? そっ、そんなはずはございません!! おっ、オーギュスタンっ!」
「え、ええっ。少々お待ちを!! 城内には多くの者がおりますのでっ、まずはその者達を連れてまいります!!」

 全国民を奴隷とするなら、膨大な駒を管理する者が必要だ! そこに座ることができれば最悪の事態は避けられる! 彼らは王族であるが故にすぐそういった打算が浮かび、

「わたしも一緒に探してまいりますっ!! 少しばかりお待ちくださいませ!!」

 腹黒なアリスもすぐさま意図に気付き、王妃メリーとオーギュスタンに追従します。
 ですが――。
 ノアからの要望により、アーテナは4人以外の生物を移動させています。そのため、

「いない!? どこにもいない!?」
「誰もいない!? 嘘でしょうっ!? わたくしの声に応えなさいっ!!」
「馬車にも、誰もいない!? わたしは7人の護衛とここに来たのよ!? アイツらはっ、御者はっ、車を引っ張っていた馬はっ!! どこに行ったのよ!?」

 どんなに必死に探しても見つかることはなく、3人は仲良く顔面蒼白になって戻ってきました。

「そんな……。我々だけ……!? なぜだ……!? 民はどこに行ったのだ!?」
「チィッ、オレらをおびき寄せるための罠だったのか!? おいっ!」
「はっ! デネリオス様――っっ、駄目です!! この世界から出入りができなくなってしまっています!! この世界の周囲は凍結されっ、外界から完全に隔離されています!!」

 彼らが侵入した『穴』は、アーテナが意図的に開いたものです。そしてそのアーテナは上級神の中でもトップに君臨する存在のため、下級神ではどうやってもこじ開けることはできません。
 9体の残党はノアとアーテナの狙い通り、この世界に閉じ込められてしまったのです。

「本物の世界と人間を、餌に使うだなんて……!! 完全に一杯食わされた……!! デネリオス様ぁっ、どうしましょう!?」
「くそがぁぁっ!! よくもやりやがったなぁあああああああああああああああ!!」

 彼らは先の大戦で一度敗れており、苦汁を舐めさせられるのは二度目。しかも寿命が尽きるまで、この場での生活が確定してしまいました。
 そのため怒りに任せて漆黒の槍を投げ、辺りはあっという間に焦土と化してしまいました。

「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」」」」」
「………………お前達がここにいるから、オレは判断ミスをした……!! 貴様らにはこの命が尽きるまで、徹底的にその罪を償わせてやる……!!」

 類は友を呼ぶ――。デネリオスもまた、4人と同じような性質の持ち主でした。
 そのため理不尽な怒りを宿した瞳が、不気味に細まり――

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