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第7話 一つ目の終了と、突然の出会い~必然と必然によって追加される罰~ サーラ視点(3)
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「この国の国王夫妻や王太子は腐っているし、サーラに多くの悪事を働いた。だからボクはね、そんなヤツらが好き放題している遊び場を――この国を、崩壊させるつもりなんだ」
「………………」
自分の顔を自分で見ることはできないけど、それでもかなり酷い顔になっていることはよく分かった。
だって、いきなりこんな言葉が出たんだもの。ひとりでに口が――それも間抜けに大きく開いて、ぱくぱくさせるしかできなくなるのは当たり前よね。
「ああ、安心してよサーラ。国がそうなれば、無関係な人達も命を落としてしまう。それはちゃんと理解していて、そこに関することがアテーナ様へのお願いなんだよ」
「そ、そっか。そうだよね」
ノアは私に友人がいることも、無関係な人が傷つくと悲しむことも知ってくれている。そんな風にはならないよね。
「ちょうど先の大戦の話になって、それを報酬にしていただいたんだ。それで、どんなことが起きるのかなんだけどね。できるなら早く教えたいんだけど、今はまだできないんだよ」
「え? どうして?」
「ボクが頼んだものは、とても大規模な――この世界全体に作用する最上位の神術でね、この世界の住人が独りでもその変化を意識してしまっていたら、ソレが干渉して乱れてしまう可能性があるんだ。もしこの世界に何かあったら大変だから、全部が終わるまで内緒にしないといけないんだよ」
よく分からないけど、私が知ってしまうと世界が壊れかねないみたい。
……そうなっちゃたら大変だから、うん。知らない方がいいよね。
「サーラ。色々なことがあると思うけど、ボクが傍にいるから安心してね。絶対に心も体も護るから」
「うん、心配はしてないよ。ただ、それでノアが大変なことにはならないんだよね?」
「ボクに何かあったら、また自分がボロボロになって看病してくれるでしょ? もうあんな苦労はさせたくないから、そうはならないよ」
ノアは苦笑いを浮かべながらパチッとウィンクをして、「そろそろ行くから乗って」と自分の背中を一瞥した。
そういえばアテーナ様は、『5分の待機』と仰られていたっけ。いつの間にか、もう経ったみたい。
「じゃあ、お邪魔します。これからはさっきの続きで、王城に向かうんだよね?」
「そうだよ。まずは力でねじ伏せて、サーラに悪影響がない形で婚約を白紙にさせる」
私がずっとサーラとして生活できたり、気持ちよく再スタートを切れたりできるように。これから、殿下達を屈服させてくれるみたい。
「ヤツらが自分勝手に振る舞えるのも、今日まで。今までの行いを、何倍にもして心と体に刻んであげるよ」
そんな言葉と共に、ノアの身体は急浮上。私は再び上空の世界を進むようになって、それから十数分後。
聖女による結界が幾重にも張られた、荘厳な建物。この国の政治的な中心地、サンルーフ城が見てきて――
「………………」
自分の顔を自分で見ることはできないけど、それでもかなり酷い顔になっていることはよく分かった。
だって、いきなりこんな言葉が出たんだもの。ひとりでに口が――それも間抜けに大きく開いて、ぱくぱくさせるしかできなくなるのは当たり前よね。
「ああ、安心してよサーラ。国がそうなれば、無関係な人達も命を落としてしまう。それはちゃんと理解していて、そこに関することがアテーナ様へのお願いなんだよ」
「そ、そっか。そうだよね」
ノアは私に友人がいることも、無関係な人が傷つくと悲しむことも知ってくれている。そんな風にはならないよね。
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よく分からないけど、私が知ってしまうと世界が壊れかねないみたい。
……そうなっちゃたら大変だから、うん。知らない方がいいよね。
「サーラ。色々なことがあると思うけど、ボクが傍にいるから安心してね。絶対に心も体も護るから」
「うん、心配はしてないよ。ただ、それでノアが大変なことにはならないんだよね?」
「ボクに何かあったら、また自分がボロボロになって看病してくれるでしょ? もうあんな苦労はさせたくないから、そうはならないよ」
ノアは苦笑いを浮かべながらパチッとウィンクをして、「そろそろ行くから乗って」と自分の背中を一瞥した。
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「じゃあ、お邪魔します。これからはさっきの続きで、王城に向かうんだよね?」
「そうだよ。まずは力でねじ伏せて、サーラに悪影響がない形で婚約を白紙にさせる」
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そんな言葉と共に、ノアの身体は急浮上。私は再び上空の世界を進むようになって、それから十数分後。
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