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第7話 一つ目の終了と、突然の出会い~必然と、必然によって追加される罰~ サーラ視点(1)
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「ノア。ありがとう」
お父様たち3人の姿や声が、この世界から消えたあと。ルベンさん達に口止めを頼み、ガレッテス侯爵邸を発って間もなくのこと。
私は空の澄んだ風を感じながら、大きな背中に感謝を伝えた。
「王城で追い打ちをかけられて、お屋敷に戻っても畳みかけられて、色んな感情が溜まってたんだ。でもノアのおかげで、そんなのは全部消えちゃった。ありがとう」
「サーラに喜んでもらえて、よかったよ。けどそういうのは、あとで改めてもらおうかな」
まだ、もう一つ残ってるからね――。ノアはそう続けて、お城がある前方を見つめた。
「他にも、自分勝手な『敵』はいる。ありがとうは、王族たちに関する嫌な感情が消えてからもらうよ」
「……ん、分かった。じゃあ、そうするね」
ふわふわのですべすべの体毛に顔を埋め、声と身体で同意を伝える。そうしたらノアは嬉しそうに少し全身を揺らしてくれて、??? しばらく進んだら徐々に高度が下がり始めていって、やがて森の中に降り立った。
「? あれ? 王城に向かっているんじゃなかったの?」
「そのつもりだったんだけど、ボクが本来の姿に戻ったからだと思う。神界から――かつて仕えていた神様から、話しがしたいってテレパシーが飛んできたんだよ」
ノアによると、ラグドールの時は――エネルギー節約モードの時は、気配で居場所を探ることができないみたい。神界では7年間も行方不明になったままになってるんだから、安否とかが気になるよね。
「そういえばノアって、完治後はいつでも真の姿に戻れたんだよね? どうして、私がいない時も戻ってなかったの?」
「人間界で神獣の姿になると、流れる波長とかの影響で丸1日あっちの姿に戻れなくなるんだよ。その間にサーラが来てくれたらビックリされちゃうから、ずっとあのままで居たんだ」
実は今までのは偽物の姿で、こっちが本物でした。そう打ち明けた結果、関係性が変わってしまうかも――。
もし私がノアの立場なら、絶対に不安になっている。
だから伏せることにして、それでも。こうしてノアは、私のために姿を解放してくれたんだよね。
「? なにか面白いことがあった?」
「んーん、幸せを感じていただけ。ぽかぽかしてるのはびえ!?」
違います。私は、ぽかぽかしてるのはびえ!? と言いたかったのではありません。目の前に巨大な魔法陣が現れたから、そうなってしまったのです。
「ノア。これって、ノアが出したんじゃないよね?」
「それは、ボクのじゃないよ。そこにあるのは、転移用の魔法陣。これからテレパシーの返事をして、忙しいから待っていただこうと思ってたんだけど――。返事が遅かったから、いらっしゃられるみたいだね」
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