22 / 30
第7話 撃退と、その後のクロードの行動(2)俯瞰視点
しおりを挟む
「父さんっ!! イレギュラーが発生して大恥をかかされたんだ!! アイツをっ、ディオン・ライフェルンをどうにかしてくれ!!」
クリステルの邸宅を訪れ、無様に逃げ帰ったクロード。自邸に戻った彼は早歩きで玄関をくぐり、父が居る執務室に駆け込みました。
馬車の中でも散々暴れ回り、でも、気が収まらない。許せない。彼は理不尽に激怒したまま、早口で一部始終を説明しました。
「あの男は、僕をコケにしやがった……!! できないことが分かっていて、クリステルの前で恥をかかせやがったんだ……!! やられたままではいられないんだよ……!!」
「そ、それはそうだが……。相手には、国王と王太子の庇護があるのだ。ディオンよ、相手が悪すぎる……」
協力者は、言わずもがな国の頂点達。ディオンに喧嘩を売るとトップが出てきて、トップに喧嘩を売った事になってしまいます。
そのため親バカである父ファビアンでしたが、脂汗を浮かべつつ首を左右に振りました。
「どう動いても、こちらがやられてしまう。今回は諦めるんだ」
「っっ!! じゃっ、じゃあっ!! 負けたままでっ、おまけにクリステルを諦めろと言うのか!? 冗談じゃない!! そのままでなんていられるものか!!」
「その気持ちは、分かる。だがな、あまりにも別格なのだ。……お前も貴族なら、分かるはずだ。我々の前にある壁が、どれほどの高さであるかということが――」
「もういい!! まさか父さんがそんなに弱い男だとは思わなかった!! もう父さんに頼りはしない!! 僕がどうにかする!!」
相手が大きすぎる!? 正攻法が通じない!? だったら正面から戦わなければいいだけだ!!
今は反撃が危険だから、躊躇しているだけ。なら、反撃されないようにすればいいだけのこと!!
殺し屋を雇ってディオン・ライフェルンを暗殺すれば、全て解決する!! 暗殺だから僕が対象になることはないし、赤い糸の邪魔をするヤツもいなくなる。
ほらな!! 完璧だ!!
クロードはそんな自称・名案が閃き、今は理不尽に堪忍袋の緒が切れている状態なため、即座に動き出します。
「クロードっ、何をするつもりだ!? やめろっ!! 下手に動けば『家』全体の問題となりかねな――ぐあっ!?」
「うるさい!! 負け犬は引っ込んでろ!!」
制止しようとしたファビアンは思い切り突き飛ばされてしまい、その拍子に腰を強打。この影響によって身動きが取れなくなり、呻いていますが――怒りに満ち満ちているクロードは、介抱はおろか心配すらしません。彼はもがき苦しむ父を嘲笑ったあと執務室を飛び出し、ファビアンの自室に寄ってから――。金庫に保管してある金を盗ってから、暗殺者を雇うべくスラム街を目指したのでした。
その行動が更にエドガーとディオンの怒りを買い、破滅を招くことになるとは知りもせず――。
クリステルの邸宅を訪れ、無様に逃げ帰ったクロード。自邸に戻った彼は早歩きで玄関をくぐり、父が居る執務室に駆け込みました。
馬車の中でも散々暴れ回り、でも、気が収まらない。許せない。彼は理不尽に激怒したまま、早口で一部始終を説明しました。
「あの男は、僕をコケにしやがった……!! できないことが分かっていて、クリステルの前で恥をかかせやがったんだ……!! やられたままではいられないんだよ……!!」
「そ、それはそうだが……。相手には、国王と王太子の庇護があるのだ。ディオンよ、相手が悪すぎる……」
協力者は、言わずもがな国の頂点達。ディオンに喧嘩を売るとトップが出てきて、トップに喧嘩を売った事になってしまいます。
そのため親バカである父ファビアンでしたが、脂汗を浮かべつつ首を左右に振りました。
「どう動いても、こちらがやられてしまう。今回は諦めるんだ」
「っっ!! じゃっ、じゃあっ!! 負けたままでっ、おまけにクリステルを諦めろと言うのか!? 冗談じゃない!! そのままでなんていられるものか!!」
「その気持ちは、分かる。だがな、あまりにも別格なのだ。……お前も貴族なら、分かるはずだ。我々の前にある壁が、どれほどの高さであるかということが――」
「もういい!! まさか父さんがそんなに弱い男だとは思わなかった!! もう父さんに頼りはしない!! 僕がどうにかする!!」
相手が大きすぎる!? 正攻法が通じない!? だったら正面から戦わなければいいだけだ!!
今は反撃が危険だから、躊躇しているだけ。なら、反撃されないようにすればいいだけのこと!!
殺し屋を雇ってディオン・ライフェルンを暗殺すれば、全て解決する!! 暗殺だから僕が対象になることはないし、赤い糸の邪魔をするヤツもいなくなる。
ほらな!! 完璧だ!!
クロードはそんな自称・名案が閃き、今は理不尽に堪忍袋の緒が切れている状態なため、即座に動き出します。
「クロードっ、何をするつもりだ!? やめろっ!! 下手に動けば『家』全体の問題となりかねな――ぐあっ!?」
「うるさい!! 負け犬は引っ込んでろ!!」
制止しようとしたファビアンは思い切り突き飛ばされてしまい、その拍子に腰を強打。この影響によって身動きが取れなくなり、呻いていますが――怒りに満ち満ちているクロードは、介抱はおろか心配すらしません。彼はもがき苦しむ父を嘲笑ったあと執務室を飛び出し、ファビアンの自室に寄ってから――。金庫に保管してある金を盗ってから、暗殺者を雇うべくスラム街を目指したのでした。
その行動が更にエドガーとディオンの怒りを買い、破滅を招くことになるとは知りもせず――。
0
お気に入りに追加
2,117
あなたにおすすめの小説
婚約破棄にはなりました。が、それはあなたの「ため」じゃなく、あなたの「せい」です。
百谷シカ
恋愛
「君がふしだらなせいだろう。当然、この婚約は破棄させてもらう」
私はシェルヴェン伯爵令嬢ルート・ユングクヴィスト。
この通りリンドホルム伯爵エドガー・メシュヴィツに婚約破棄された。
でも、決して私はふしだらなんかじゃない。
濡れ衣だ。
私はある人物につきまとわれている。
イスフェルト侯爵令息フィリップ・ビルト。
彼は私に一方的な好意を寄せ、この半年、あらゆる接触をしてきた。
「君と出会い、恋に落ちた。これは運命だ! 君もそう思うよね?」
「おやめください。私には婚約者がいます……!」
「関係ない! その男じゃなく、僕こそが君の愛すべき人だよ!」
愛していると、彼は言う。
これは運命なんだと、彼は言う。
そして運命は、私の未来を破壊した。
「さあ! 今こそ結婚しよう!!」
「いや……っ!!」
誰も助けてくれない。
父と兄はフィリップ卿から逃れるため、私を修道院に入れると決めた。
そんなある日。
思いがけない求婚が舞い込んでくる。
「便宜上の結婚だ。私の妻となれば、奴も手出しできないだろう」
ランデル公爵ゴトフリート閣下。
彼は愛情も跡継ぎも求めず、ただ人助けのために私を妻にした。
これは形だけの結婚に、ゆっくりと愛が育まれていく物語。
婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。
百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。
半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。
のだけど、ちょっと問題が……
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
という具合に、めんどくさい家族が。
「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」
「よく、言い聞かせてね」
私たちは気が合うし、仲もいいんだけど……
「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」
この婚約、どうなっちゃうの?
婚約破棄されたので30キロ痩せたら求婚が殺到。でも、選ぶのは私。
百谷シカ
恋愛
「私より大きな女を妻と呼べるか! 鏡を見ろ、デブ!!」
私は伯爵令嬢オーロラ・カッセルズ。
大柄で太っているせいで、たった今、公爵に婚約を破棄された。
将軍である父の名誉を挽回し、私も誇りを取り戻さなくては。
1年間ダイエットに取り組み、運動と食事管理で30キロ痩せた。
すると痩せた私は絶世の美女だったらしい。
「お美しいオーロラ嬢、ぜひ私とダンスを!」
ただ体形が変わっただけで、こんなにも扱いが変わるなんて。
1年間努力して得たのは、軟弱な男たちの鼻息と血走った視線?
「……私は着せ替え人形じゃないわ」
でも、ひとりだけ変わらない人がいた。
毎年、冬になると砂漠の別荘地で顔を合わせた幼馴染の伯爵令息。
「あれっ、オーロラ!? なんか痩せた? ちゃんと肉食ってる?」
ダニエル・グランヴィルは、変わらず友人として接してくれた。
だから好きになってしまった……友人のはずなのに。
======================
(他「エブリスタ」様に投稿)
お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました
柚木ゆず
恋愛
侯爵令嬢のファスティーヌ様が自分に好意を抱いていたと知り、即座に私との婚約を解消した伯爵令息のガエル様。
そんなガエル様は「お前なんかに会いに来ることは2度とない」と仰り去っていったのですが、それから1年後。ある日突然、私を訪ねてきました。
しかも、なにやら必死ですね。ファスティーヌ様と、何かあったのでしょうか……?
私を捨てて後悔したようですけど、もうあなたと関わりません
天宮有
恋愛
「クノレラの方が好きだから、俺との婚約を破棄して欲しい」
伯爵令嬢の私キャシーは、婚約者ラウド王子の発言が信じられなかった。
一目惚れしたと言われて私は強引に婚約が決まり、その後ラウド王子は男爵令嬢クノレラを好きになったようだ。
ラウド王子が嫌になったから、私に関わらないと約束させる。
その後ラウド王子は、私を捨てたことを後悔していた。
見た目を変えろと命令したのに婚約破棄ですか。それなら元に戻るだけです
天宮有
恋愛
私テリナは、婚約者のアシェルから見た目を変えろと命令されて魔法薬を飲まされる。
魔法学園に入学する前の出来事で、他の男が私と関わることを阻止したかったようだ。
薬の効力によって、私は魔法の実力はあるけど醜い令嬢と呼ばれるようになってしまう。
それでも構わないと考えていたのに、アシェルは醜いから婚約破棄すると言い出した。
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる