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 第六話 幼女三人を入浴させる。

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 正直、奴隷は汚い。

 もちろん、地球に生きる現代人の感覚からすれば、だが。

 トーリンの奴隷収容の宿舎では、奴隷娘たちは精々、一週間に一度、芋のように洗われるだけである。奴隷も商品であって、それで売れなくなるのは拙いからだ。
 また、汚さからの食中毒や病気の蔓延で死なれてしまっては、労働力的にもマイナスになるのである。

 そんな理由から、奴隷でも一週間に一度はイモのように洗われる慣習が、トーリンの収容所では出来上がっていた。

 とは言っても、一週間も洗われずに強制労働させられれば、汗もかくし埃塗れにもなる。そのため、衛兵や奴隷監督官への、「入浴させて」との懇願が絶えなかった。

 その結果、ある決まり事が出来た。

 女の奴隷たちが自分たちで水を汲んで独自に身体を洗浄することは、衛兵たちにも御目溢しされるという決まり事である。

 実際、衛兵も臭いままの奴隷を相手にすることは嫌なので、結構あっさりとそうすることは決まった。

 だが、そこは人数が多いために順番となる。

 結果、結局は入浴に長い時間を待たされることになる。

 問題の三人娘といえば、とある理由で子供奴隷の販売ルートが消失したことから、トーリンへと送られてきたみぶんであった。

 そのため、彼女たちは三人で一人前扱いにされ、農場の収穫物の運搬をやらされて、かなり薄汚れた姿となった。

 三人は、トーリンの生活一日目の終わりに、汚れた身体を自分たちで洗おうとした。

 だが順番のために、収容されてからTURUGIに連れ出されるまでの三日の間は、満足に身体を洗うことが出来ないでいた。

 それが収容所の事実上のルールであったから、いくら薄汚れていても三人はそのことを受け入れて、大人しく順番を待つ以外に手段がなかったのである。


 ◇ ◇ ◇


 「身体を洗う。三人とも用意が終わったら服を脱げ」

 昼食の後、気温も調度良く暖かくなった時分、ストライダーは少女たちにそう告げた。

 三人娘の身体に衝撃が走る。

 「はい…旦那さま」

 「仰せのままに」

 「…(無言で肯く)」

 「ん? 別に旦那さまとか呼ばなくていい。普通ににストライダーか、IKUMIと呼べ。それじゃ、俺は準備してくる。少し待て」

 素直になったリューコ、マリティア、アマナに、そうフランクに言い残して、IKUMIは三人娘の替えの衣服と、身体を拭き取る手拭いを取りに行った。
 その後は、三人娘の入浴時の足場となる平たい大岩を切り出してくるべく、そちらへと向かった。

 「…」

 「…」

 「…」

 簡易ベットの許に残された三人娘は、とうとうその時が到来したのかと向かい合い、無言のアイコンタクトをして肯き合った。

 美味しい食事も食べさせて貰ったし、婚約のプレゼントとして装飾品の髪飾りも貰い、求愛行為であるもして貰った。

 また、排泄以外は俺が世話してやるとの言質も得た。

 「私…お嫁さんになる覚悟を決めたよ」

 「私も、もうこれは仕方ないと思いますの…受け入れますの」

 「…(無言でコクコクと肯く)」

 これはもう、IKUMIの求愛を受け止める以外、自分たち三人に進む道はあるまい。

 三人娘は決意した。

 三人一緒にIKUMIのお嫁さんになるしかないと。

 身体を洗えと言うことは、もう、その後は決まっている。

 やることをやるということだ。

 「服を脱いで待とう。まずはキレイな身体にならないと」

 「でも、その後、私たちの小さな身体でお嫁さんのお勤めが務まるか不安ですの…」

 「…(コクン)」

 「うん…でも頑張るしかないよ」

 「…ええ…何とか工夫してみますの」

 「…(コクッ、コクッ)」 

 自らをストライダーと名乗るIKUMIの身体は大きい。

 身体の小さい幼女の身体では、とても一人では奉仕しきれない。おそらく身体と同様に巨大であろうそれを、幼女の身体では受け入れられないことだろう。 
 
 しかし、三人いれば順番に、IKUMIが満足するまで、ご奉仕することが可能なはずだ。

 一人が、お口やお手々、太腿の間などを使い、IKUMIの逞しいそれをしゃぶったり、しごいたり、挟んだりしている間に、他の二人がディープにキスをしたり、ペッティングし合ったりすれば、充分にお嫁さんの責務が果たせるはずだ。
 たぶん………

 そう決意を固めて、三人娘は女の本能に従い、色々とそれ以上はいけない状態になって燃え上がった。

 

 まあ、三人娘の勘違いなのですけどね。



 その頃、三人娘の勘違いで事態が急激な変化を遂げているとも気付かず、IKUMIは次の仕事の準備のために、北の岩場へと赴くのであった。

 
 ◇ ◇ ◇


 「はあっ!」

 ビキッ! ズズズズ……ズッ!

 野営地から北に離れた岩場でのこと。IKUMIの手刀が炸裂し、崩壊点を突かれた平たい大岩の中心から、真横へとヒビが伸びていった。
 程なく、平たい大岩は上下二つに別れ、三人娘の入浴時の足場に丁度良い形となった。
 
 ストライダーは、この二つになった平たい大岩を担ぎ、悦に入る。

 「うむ」

 我ながらうまく割れたと自画自賛し、黒装束のストライダーは平たい大岩二つを持って野営地へと帰っていく。

 (三人娘に入浴を終わらせたら、まず用意した服に着替えさせる)

 (その後の時間は、装甲狼の皮を用いて靴を作ることに使おう)

 (まあ、こうして子供の世話をするのも悪くはないな)

 「さて、計画的に動かんとな」

 IKUMIは、今後の計画を頭の中で検討して、そう呟きを洩らしながら野営地へと帰っていった。

 
 ◇ ◇ ◇
 
 
 「リューコ、マリティア、アマナ、こちらに来い。岩の上に乗るんだ。そこで水の精霊術を使って、お前たちを綺麗に洗ってやる」

 そうして野営地へと戻ると、IKUMIは平たい大岩二つを地面へドスンッと置き、三人娘に声を掛ける。親愛の証として本名を呼んでから、三人娘にそう指示を飛ばした。

 「はい…IKUMI…さん」

 「解りましたの…IKUMI」

 「…は…は…い」 

 言われた通りに粗末な囚人服を脱いでいた三人娘は、囚人服を藁束の上に放置して、すっぽんぽんの全裸でIKUMIの許へとやってきた。IKUMIの言いつけを守るべく、素直に平たい大岩の一つ目の上へと乗る。
 ただ、奴隷生活のために粗末で凹凸の少ないままの身体を、異性であるIKUMIに見られるのが恥ずかしいのか、胸を組んで胸元を隠し、頬を上気させる三人娘であった。
 幼くとも、乙女心は複雑なのである。

 「…」

 「…」

 「…」

 もじもじとし、何か言いたげに、上目遣いにIKUMIを見上げる三人娘。

 「では、三人とも手を繋いで横一列となれ。水の精霊術の冴えを見せてやる」

 だが、ストライダーIKUMIは幼女三人の乙女心などしらぬ気に、素っ気なく幼女たちに次の指示を出す。

 (やだ。貧相なままの胸を見られちゃう)

 (でも、未来の旦那さまの指示だもの)

 (どうせ、どこもじっくり見られることになるから…構いません)

 「はい。手、握ろう」

 「はいですの。アマナも」

 「…ん!」

 そう思った幼女たちは恥かしさを押し殺し、渋々ながらIKUMIが自分たちの身体を洗い易い恰好となるべく、胸元で組んだ両腕を解き、お互いの手を握り合った。
 IKUMI側から見て、右からリューコ、中央マリティア、左アマナである。

 「良し。では始める。フムッ!」

 IKUMIが両腕を前に突き出すように翳し、水の精霊へと呼び掛けると、大気中の水素が集まり水滴を形作っていく。

 それはみるみる満ちていき、空中に浮く6メートルはある巨大な水滴となる。

 「ああ…」

 (凄い! これが選ばれし者の力)

 「あ…」

 (これ以上、驚いてしまって声が出せませんの)

 「…すっ…」

 (凄いです、旦那さま)

 初めて水の精霊術に触れて、感動と恐怖を覚えるリューコ、マリティア、アマナ。術者がIKUMIと解っていなければ、恐怖で身体を硬直させていたことだろう。

 「では始めるぞ。まず身体から清めて、巨大水滴内の汚れを一旦排除してから頭部を洗う。頭部は終わるまで息を吸って止めろ。目は瞑れ。長くは掛からん」

 トプッ…トプンッ………

 「冷たい!」

 「でも…ちょっと気持ち良いですの」

 「…う…ん」

 正面張力と水の術法で維持された巨大な水滴が、幼女たち三人の身体へと重なり、首から下が、その効果範囲となる。早速、水滴の内部では流水による洗浄が始まった。

 「…あ、気持ちいい」

 「そうでしょう。実家でばあやに身体を洗って貰った時より気持ち良いですの」

 「…(気持ち良い)」

 初めての感覚に驚きつつも、リューコ、マリティア、アマナは、次第に身体を洗われていく刺激に快感を感じていく。IKUMIのような現代日本出身者的にはお馴染みの、身体の汚れが落ちてスッキリしていく感覚である。

 その間にも、巨大水滴内部から汚れた水はパージされて、幼女たちの足場である平たい大岩へと押し流され、低い位置へと重力に従い流れていった。
 そして、巨大水滴の減った分量の水は、IKUMIの術法によって補給されていった。
 洗われているだけのすっぽんぽんの幼女たちと違い、このようにIKUMIは高度な術式の操作に余念がなかった。

 「では頭だ。目を瞑って、息を吸って止めろ。すぐ済ます」

 三人の幼女は言われた通りに目を瞑って、息を吸い、止めた。すぐに巨大水滴が身体だけでなく、顔と頭、そして髪を効果範囲内に納める。

 (凄い…耳の中まで水流で洗われてる)

 (ああ…気持ち良いですの。これは本当に綺麗になれそう)

 (お嫁さんに相応しい、キレイな身体になれそう…)

 顔が水に浸かる瞬間は少し怖かったが、三人はIKUMIの顔を思い浮かべてそれを耐えた。その水に抱擁されているような短い時間は、すぐに過ぎ去っていった。
 巨大水滴はIKUMIの操作通りに三人の幼女たちの、すっぽんぽんの生まれたままの身体から遠ざかっていった。
 そして、野営地からかなり離れた場所に到達すると、巨大水滴はIKUMIの制御を外れて崩壊し、バシャーンと音を立てて大地へと帰っていったのだった。

 「終わりだ。三人とも綺麗になったな。もう眼を開けて、息を吸っても良いぞ」

 「はい」

 「はいですの」

 「…い」

 巨大水滴が離れた後も、目を瞑って息を止めていた幼女たちは、IKUMIに言われて閉じていた瞼を開いた。

 そして、三人三様に洗われた仲間の姿を互いに見た。

 するとどうだろう。仲間の二人は汚れがなくなって本当に美しい、生まれたままの姿になっていた。

 「わああ、マリティアもアマナも、本当に綺麗だったんだね。金髪も蒼い髪も埃が消えて輝いてるよ。肌も真っ白でとっても綺麗だよ!」

 「それはリューコもですの。薄いピンク色の髪が素敵。私よりは胸がありますしね」

 「…きれっ、きれ・・い(コクッ、コクンッ)」

 お互いの本当の美しさを知って、お互いを美しいと褒め合う三人娘。

 「…」

 (まあ、確かにそうだな。この世界の人間はみんな、少なからず精霊に祝福を受けていて、見た目は地球人より格段に美しいからな)

 無言で三人娘の喜びの声を聞きながら、IKUMIはそんなことを考えていた。

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