"Tacki" for prudish Meg

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Discipline6 南の島での聖淫なる婚姻儀式

第六話 開始前

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 ジュポッ、ジュポッ、ジュポッ。

 時刻は夕方の6時前。芽美は水上コテージの居間で赤い首輪をつけただけの裸体で、同じく裸体でソファにゆったりと腰掛けている拓海ご主人様の足元にぺたりと座って熱心にフェラチオしている。 

 早朝帰宅してから昼過ぎまで一緒に熟睡。昼食をたっぷりと食べて軽く泳いだ後に小一時間ほどウトウトし、夜の準備を半分程度(腸内洗浄や剃毛、シャワー等)済ませた。今は着付けやメイク、儀式の最中のサポートをしてもらう介添えの女の子の到着を待っているところだ。

 儀式が迫ってきて日暮れとともに朝の勇気が消えて不安が大きくなってきて、ご主人様に抱いてくださいとお願いした。しかし儀式の前の3日間は挿入が女体保護の観点から禁止されているとのこと。数時間に100人のペニスを受け入れなければならないのだから納得できる規則だ。

 でも本音を言えば、規則を破って膣と肛門内にご主人様の精液を溜めこんだまま儀式に臨みたかった。だから、せめてご主人様のペニスを口で味わい、精液を喉から注ぎ込んでいただいて、ご主人様を体内に感じながら本番に臨もうとしていた。

 約10日ぶりとなるご主人様の素敵な肉棒を一心不乱に味わっていると、ご主人様が頭に手を置いた。合図を受け数秒間、ここぞとばかりに速度を速めて思い切り激しくしゃぶり、動きを止め唇を隙間なく竿に密着させて舌を裏筋に絡ませる。舌先に震えを感じると同時に熱い粘液が喉を穿つように放たれる。目を閉じムフンムフンと鼻を鳴らして奉仕のご褒美を味わいながら飲み下す。


「芽美様は可愛いお顔とは裏腹な激しいフェラチオをされるのですね。今夜の儀式に耐えられるのか懸念を抱いておりましたが、この様子なら素晴らしい成果を収められることと思いますわ」
「そうですわね。わたくしもそう思いますわ」

 真理愛とその友人の亜理紗の声が室内に響いた。夢中でおしゃぶりしていたから寝室内に背後のドアから入ってきたことに気づかなかったようだ。同じ日本人女性で、この島のことをよく知る二人に日中介添え役をお願いしたところ、快諾してくれて6時に来ることになっていた。

 二人の口調には芽美を揶揄するようなトーンはなく、ただ思ったことをそのまま口にしているようだ。芽美も恥ずかしさは全く感じなかった。これからのことを思えば、この程度のことは何でもない。

「すまないがもう少しだけ待ってくれ、ご覧のとおり取り込み中なのでね」
 ご主人様がそうお答えしたことを受け、落ち着いてご主人様の射精を嚥下し続ける。


―真理愛と亜理紗の姿を見て射精に至ったの?ご主人様はメイド姿がお好きだから仕方ないけど嫉妬しちゃう―

 そんなことを思いながら口を離し、ハンカチで口元をぬぐって振り返る。想像と違い二人ともシンプルなビキニの水着姿だった。介添え役として動き易く目立たない服装を選んでくれたようだ。

 といっても水着の色はラメ入りの金と銀。布面積も非常に小さく、乳首と秘所が申し訳程度に隠されているだけで、乳房と尻肉のほとんどが露出しているから美人の二人がそれなりに目を引くことは間違いない。
 亜理紗も真理愛と似たようなルックスとプロポーションで髪型も同じポニーテールだから、少し遠くから見ればどちらが誰だかわからなさそう。

「お待たせしてごめんなさい。お二人とも今夜はよろしくお願いしますね」
 微笑んで言うと、二人は声を合わせて明るく返事を返す。
「「はい、頑張ってくださいね、『メグミ・ヘドネー・キリハラ』様!」
 それを聞いて拓海が苦笑する。
「おいおい、それはまだ秘密だろうが?」
「「そうでしたぁ、えへへ♪」」

 二人とも揃って舌を出している。どうやら確信犯のようだ。


―ヘドネーというのはなんだろう?―

 その疑問を口に出す間もなく、真理愛が近づいてきて芽美の赤い首輪に手をかける。

「この色の首輪を儀式の後にもつけられるといいですねっ!」
 先ほどと違って真理愛の言葉の裏に愚弄のトーンが篭もっていることを、芽美は同じ女として敏感に察する。あなたには無理でしょうけど、と。その言葉に触発され、はずされた赤い首輪と真理愛の白い首輪を見て、芽美の心に闘志が湧いてくる。

 そんな芽美の手を拓海が取って立たせると、両肩に手をおいて真っ直ぐに見つめて語り出す。
「昨日見ていて察しがつくと思うが、儀式を受けた女には男が予め3つの身分各々に決めておいた新しい名前のひとつが与えられる。ただし、それはどのような名前でもよいというわけではなく、身分毎に選べる範疇が決められているんだ。
『πόρνη(ポルナイ、街娼)』なら、ペットにつけるような名前。
『ἑταίρα(ヘタイラ、高級娼婦)』なら、歴史上の公妾―第二婦人や愛人だな―やクルチザンヌ(フランスの高級娼婦)であった女の名前。
『θεά(テアー、女神)』なら、言葉通り女神の名前」

「俺がお前のために選んだ名前はポルナイなら『ベス』、ヘタイラなら『アニェス 』、テアーなら『ヘドネー』。
 ベスは雌犬によくある名前だな。アニェスはフランス最初の公妾の名前。ἡδονή(ヘドネー)は性愛を司る神エロスと人間の王女プシュケーとの間に生まれた娘で、性的快楽を司るギリシャ神話の女神の名前だ。古代ギリシャ語で『悦楽』という意味でもある。
 儀式が終われば、このどれかがお前のミドルネームとなり、この国の戸籍にお前の名前が登録されるとともに、その名前が刻まれた誕生石入りの首輪が贈呈され、晴れてこの国の国民となる。ちなみにこの国の正式名称「voluptas (ウォルプタース)」はヘドネーを語源とするラテン語で“悦楽”という意味だ。
 今夜の儀式が終われば、お前のフルネームは『メグミ・ベス・キリハラ』『メグミ・アニェス・キリハラ』『メグミ・ヘドネー・キリハラ』のどれかになり、普段は国民から『ベス』と呼び捨てにされるか、『マダム アニェス(アニェス婦人)』と普通に呼ばれるか、『テアーレディ ヘドネー(女神ヘドネー様)』と敬称をつけて呼ばれることになる。
 俺はお前がテアー(女神)に認められることを確信していて、お前の新たな誕生日となる今日の誕生石であるダイアモンドを埋め込み、『Megumi- ἡδονή-Kirihara』と裏側に縫い込んだ特注の赤い革の首輪を準備してある。俺の期待に応えてくれるよなメグ?」

 拓海の言葉を聞いているうちに芽美の心から次第に不安が消えて高揚感に包まれていく。

―わたしはご主人様にこんなにも愛され、信用されているんだわ!―

「はい、もちろんです拓海ご主人様!」
 勢いよくそう言うと半歩前に出て、紅潮した頬と潤んだ瞳の顔で拓海の顔を下から見上げ、両手を拓海の首に回し、こう言ってキスをねだる。
「けなげなマゾ牝奴隷に最後の勇気をくださいませ♡」

 しかし拓海はこういって芽美をからかう。
「勇気の源(みなもと)はたった今、喉奥にたっぷり注ぎ込んであげたばかりだろう?本当に欲張りな濡れ濡れオマンコちゃんだね?」 
「ああん、ご主人様のいじわる!それはそうですけど、ご主人様の今のお言葉でプレッシャーをかけられてハードルがあがっちゃたから、ちょっと足りなくなっちゃったんですぅ~。それにまだ、濡れてなんていませんよ・・・そんなには・・・」
 言っている途中で拓海に秘所を触られて濡れていることがばれてしまい、声が小さくなる。下を向いたままモジモジとしながらも、諦めずに再度小声でおねだり。
「おねがいします・・・ご主人さまぁ・・・♡」

 拓海はそんな芽美に上から温かい視線を向ける。
「そうだな、ハードルを上げた俺が悪かった。だからたっぷりと補給しないとな」
 その言葉にハッとして上を見上げる芽美。その表情は期待に輝いている。

 拓海は芽美を抱きしめると、マゾ牝奴隷は目を閉じて口を薄く開き、差し入れられた舌と自分の舌とを絡ませ口腔内に広がる唾液を嬉しそうに飲み込む。夕日が差し込む水上コテージのリビングに、チュウチュウ、ピチャピチャという濃厚なベーゼの水音が淫らに奏でられる。
 

 3分ほど経過した頃、真理愛の慇懃無礼な声が芽美の邪魔をする。
「拓海ご主人様、芽美奴隷夫人候補様。儀式のお時間が迫っておりますので、そろそろご準備に入られたほうがよろしいのではないかと、僭越ながらポルナイ身分に過ぎない真理愛がご忠告申し上げます」

 芽美が振り向くと、あきれた顔の真理愛と苦笑を浮かべた亜理紗がこちらをジト目で眺めている。拓海も照れ隠しに頬をぽりぽりとかきながら芽美から離れる。

「そうだな・・・忠告ありがとう。すぐに芽美の着付けを始めてくれ。俺のほうは最後にチェックをしてくれれば十分だ。頼んだぞチャッピー!」
「かしこまりました拓海様・・・その名前で呼ぶのは勘弁してくださいませんか?外国人に呼ばれるのは大丈夫なんですが、日本人に呼ばれるのはとても恥ずかしいんですよ。ねぇ亜理紗?」
「あら、わたしは別に平気よ。むしろそっちで呼んで欲しいかも」
「そうなんだ・・・まぁ可愛いしね・・・」
「チャッピーだって可愛いでしょう?」
「それはそうだけど、可愛いの意味が違うというか・・・」
「一緒よ、一緒!」
「いやいや、日本人だとやっぱりねぇ~」

 きょとんとしている芽美に拓海が説明する。

「ポルナイ身分のその二人のこの国でのフルネームは『マリア・チャッピー・キド』と『アリサ・ラブ・コウサカ』だ。だから通称は『チャッピー』と『ラブ』。これからは二人のことをそう呼んでやってくれ」

 芽美は城戸真理愛と高坂亜理紗という二人の名前を知って軽く驚いた。『マリア』も『アリサ』もキラキラネームというほど奇妙な名前ではない。ただ、アニメや小説・漫画ではよく見かける名前だが、実際にそれが本名である女の子には会ったことがなかった。

―『チャッピー』と『ラブ』かぁ―

 芽美は自分がそう呼ばれたらどうかを想定してみる。

―拓海ご主人様に『ベス』と呼ばれることは全然問題ないし、むしろそう呼ばれてみたい気もするなぁ…『アヌェス』とか『ヘドネー』だと、自分がそんな器ではないと思うから、そう呼ばれても慣れるのに時間がかかりそう…でも、ご主人様以外の同じ日本人に犬の名前である『ベス』と呼ばれるのは…これは確かに恥ずかしいかも…特に同性だとなおさらだわね…『ラブ』だと“愛”ていう印象が強いけど『チャッピー』だと犬の名前としか思えない…しかもオスの名前よね…これは確かにちょっとキツいかな…―

 芽美はニヤリとするとまず拓海に返事をする。 
「かしこまりましたご主人様」

 そして真理愛と亜理紗に対して。
「今夜はあらためてよろしくね、ラブさん!・・・それとチャッピー(笑)わたしのことはメグって呼んでくれればいいわ、ラブさんとチャッピー(笑)」

「うん、わかったメグ!私のこともラブでいいわ。でも儀式のときは芽美様って呼ばないといけないから。」
「どうしてわたしは呼び捨てなのよ?しかも語尾に(笑)ってついてるような気がするし!」

―真理愛さん、見た目は馬鹿っぽいけど、なかなか鋭い!「『θεά』になんていつでもなれるわよ」と豪語するだけのことはあるわね!―
 そう思いながら言い直す。

「ああ、ごめんなさいね、チャッピーさん(笑)」
「だから語尾!」
「「うふふ♪」」「ははは♪」

―この二人とはお友達になれそうだわ―

 拓海ご主人様からたっぷりと勇気をもらい、不安は消えて冗談を言ってそんなことを考える余裕まで出てきて柔らかい笑顔を浮かべる芽美。
 
 拓海はそんな芽美を冷静に観察し、これなら大丈夫そうだと安堵する。昼過ぎに目覚めてからの芽美は感情がピーキーに変化していて、このまま儀式を受けさせたらどうなることかと不安に思っていたのだ。この国の神聖な儀式を壊すようなことをすれば留置場に拘束され裁判にかけられて、罰則として多額の賠償金と10人のポルナイ候補の供給義務を科されることになる。正直、芽美の身分がどうなろうと、それだけは絶対に避けたいと拓海は考えていた。


 芽美がこの儀式を受けることを拒否することは全く懸念していなかった。表向きは清楚だが、本性は性欲が強い奉仕好きのマゾヒスト。調教は終盤にはいり、『マゾ牝奴隷』として概ね完成の域に達している。しかも多くの日本人女性と同様、きわめて周囲の雰囲気に流されやすい。婚姻の儀でいったん中断して、1日時間をおいて、儀式を見学させて参加した奴隷女達の生の声を聞かせたのはそのためだ。

 結婚のリハーサルだという無理な言い訳で婚姻の儀を先に済ませてしまったのも、すでにこの儀式に参加してしまってるのだという意識を持たせるためだった。

 自分のご主人様がそれを望んでいることを察し、昨日1日で儀式がどういうものかを知りマゾメスの本能を刺激され、儀式を受けて上位の身分を獲得することがステータスであり、その中で体験する女の悦びが凄いものだと聞かされて自分で結論を出している。

 拓海は芽美に対して「この儀式を受けろ」とはっきりとは命令していない。ただこんな会話をかわしただけだ。
―私はあの儀式に参加させられるのね?―
―そういうことだ―
 おそらく芽美のなかでは拓海が参加を命じたように都合よく記憶が改ざんされているであろう。

「ほんとうに優秀な女だ」
 そうひとりごちた拓海にバスルームの扉を閉めようとしている真理愛がウインクする。

―うまく緊張をほぐしてあげたのだから、チップをはずんでね、という意味だろうな―

 拓海はそう解釈すると、ニコリと笑って右手のひらを上げ親指・人差し指と小指を立てて見せる。I love you という意味。実のところ拓海は真理愛に、日本でも、ここでも、何度か性欲処理の相手をしてもらったことがあった。生意気そうだが、ベッドの中では従順な甘えん坊だったのが印象に残っている。

 真理愛は嬉しそうな顔をすると、ニヤリとして親指と人差し指を合わせてみせる。欧米でカネ、カネ、というジャスチャーだ。しかし、相手をしてもらったときの報酬は拓海がまだここの国民ではないからという理由で微々たるものだった。お腹が空いている時に会って食事を奢り美味しいお酒を飲ませたり、雨の日に偶然会って自宅まで車で送ったりする程度の。


―ルックスとスタイルだけではなく、こういうお茶目さがアイツが人気のある理由なんだろうな―
―それにしてもアイツも成長したものだ・・・介添え役として定められている報酬をきちんと払う予定だが、過去のお礼も含めてたっぷり上乗せしてやることにするか―
―昔のアイツはただのヤンキーだったが…俺も他人のことを批判できるような男でもなかったが…―

 妻の死因を調べてこの島にたどり着き、真相を知った後自暴自棄になり自堕落な生活をしていた頃を振り返る拓海。真理愛と知り合ったのもその頃だった。

―先に千佳と出会っていなければ、アイツに嵌っていたかもしれないな…その場合、俺は芽美と会って、どう対応していただろう―
―いや、いまさら考えても仕方のないことだ、もう賽を投げてしまったのだから―

 頭をふって妄想を振り払い、ふと時計をみると6時半を過ぎている。
「おっと、俺も急がないとまずいな」
 そう口に出して気持ちを切り替えると、拓海もまた急いで身だしなみを整え始めた。



 午後7時50分。
 今夜のメインヒロインである芽美は拓海と介添え役の二人の女の子を従えて、会場内の式典スペースにほど近い控え小屋に、緊張の面持ちで待機している。

 芽美が着ているのは昨日と同様の正統派プリンセスラインのウェディングドレス。純白でシンプルなデザイン。スカートはパニエでふわりと柔らかく広がり、ベアトップでデコルテが大胆に露出している。髪も昨日と同様にアップにまとめられていて銀色のティアラが王女の雰囲気を演出している。
 両腕には白いレースの指ぬきロンググローブが嵌められ、両耳では小さな白い真珠のイヤリングが上品に揺れている。

 昨日と異なる点も多い。婚姻儀式を終えているからショートベールはしていない。首元を飾っているのは銀の首飾りではなく無骨な鉄製の首輪。メイクの色使いは高貴な色とされる紫をベースにしている。目元は古代、王家の色とされたロイヤルブルーで大胆に太目のキャットラインが引かれている。カエサルのマントやクレオパトラの旗艦の帆が染められていたという色だ。
 口紅の色も昨日はオレンジの混じった若々しい赤い色だったが、今日は艶やかな深みのある赤紫色(パープル)。手足の指先を彩るマニキュアの色は鮮やかな青紫色(ヴァイオレット)。愛らしい芽美の顔が別人のような高貴さと妖艶さを放っている。 

 昨日よりさらに背が高く見えるのは、白い10センチヒールではなく12センチの赤いピンヒールを履いているからだ。左手薬指にはゴールデンサファイアのついていないほうの飾り気のないサージカルステンレス製のスレイブリングが嵌められている。

 露出している肌が濡れ光っているのは、長丁場に備えて、いつものオリジナル香油が全身にたっぷり塗られているからだ。近くには男女の理性を失わせる、その甘くセクシーな香りが濃厚に漂っている。


 ゴーン!ゴーン!

 開始を告げる最初の銅鑼が鳴らされた。ごくりとツバを飲み込んだ芽美を気遣い拓海が声をかける。
「綺麗だよメグ!最高にセクシーだ!」
「はい、ありがとうございます、拓海ご主人様」

 芽美はこわばった笑顔をつくってみせる。そんな芽美を安心させるように拓海が柔らかな笑顔を浮かべて言葉を紡ぐ。

「心配しなくても大丈夫だよ。約束はちゃんと守るから。『試練の儀』でお前が俺への愛と忠誠を貫いて、一度も絶頂の叫びを上げなければ、『刻印の儀』を省略する手はずとなっている。そんなことをする必要がないことが証明されるわけだからな」

 芽美はほっとした顔をする。
「はい、お願いを聞き入れてくださってありがとうございます、ご主人様」

 しかし拓海は真剣な表情でこう続ける。
「だが、もし己の意思に反して絶頂の叫びを上げてしまっても、俺を裏切ってしまった自責の念に囚われて絶望することはないぞ」
「・・・どうして、ですか?」
 自分を信じてくれないご主人様に不満そうな顔をする。そんな表情を意に解さずに拓海は続ける。

「身体は俺を裏切ってしまったかもしれないが、心まで俺を裏切ったことにはならないからだ」
「・・・そう、ですね・・・」

「お前は誤解しているようだが、感じてしまうこと自体は大きな問題ではない。俺がそのようにお前を調教したのだし、この場所にお前を連れてきたのも俺だからな。お前は思う存分に気持ちよさを味わって、何回でも絶頂に達していいんだ」
「そう、なのですか?・・・」
「ああ。他の男達にイカされても、心はまだ俺のものであることを示して欲しい!そうしてくれれば俺も耐えられるから」

「・・・うん・・・でも、それは、どうやって?」
「儀式の間中ずっと、俺の目を見つめ続けるんだ、それがお前が心まで俺を裏切っていないことの証となる。お前が見つめている間、俺もまたずっとお前を見つめ続ける」
「わかりました、ご主人様」

「そうだ!ただし、セックスで気持ちよくなれるよう仕込んでくれて、普通に暮らしていたなら決して味わえない快楽を享受する機会を与えてくれた俺への感謝の気持ちを強く持ち続けることを忘れてはならない。思う存分嬌声を上げて、俺に調教されて自分がどれほど気持ちよくなれるようになったのかを俺に教えて欲しい。自分が感じていることを俺に隠すことで、お前はさらに罪を重ねることになることを肝に銘じておけ」
「かしこまりました、ご主人様!」

「それに、俺を裏切った肉体の罪のほうは『刻印の儀』を受けることで許される。『刻印の儀』はそのための贖罪の儀式なのだから」
「・・・そういうことなのですね・・・」

「そうだ。刻印の儀で、お前は死んだほうがましと思うほどの痛みを俺から与えられるだろう」
「・・・はい、ご主人様」

「しかしそれは、俺が愛情を込めてじっくりと調教したお前を許すために、断腸の思いで与える、死に等しい懲罰なのだ」
「・・・はい」

「その懲罰で。俺を裏切ったお前は一度死に、新たな名前を俺に与えられて『セックス-スレイブ-ワイフ』として生まれ変わることになる」
「はい」

「生まれ変わったお前は初夜の儀で、俺にもういちど、精神的な意味での処女を捧げることになる」
「はい!」

「そのときお前は、女として生まれたことに至高の悦びを感じるはずだ」
「はい、ご主人様!」

「そしてお前は全てを捨てて永遠の愛情と忠誠心をもって俺に『セックス-スレイブ-ワイフ』として一生仕えるんだ!」
「はいっ、拓海ご主人様!」

「そんなお前に一生仕えてもらえる俺は幸せだろうな」
「はい、そうですねっ、ご主人さまっ♪」

 拓海はにっこりと笑う。

「吉野芽美、二人で一緒に幸せになろうな」
「大丈夫ですよ、わたし、頑張りますから!頑張れるようにちゃんと見ていてくださいね、桐原拓海ご主人様!」

 芽美も艶やかな笑顔を見せると、表情を引き締めて介添え役に手を取られて小屋を出て行く。一呼吸遅らせて拓海も後を追う。


 こうして芽美が主役の『牝妻降誕の儀』が開始された。
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