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Discipline4 日常化する調教
第十一話 新しい“性”活
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25(水)は予定どおり5回目の自宅奉仕だったが、28(土)・29(日)の週末、拓海は5回目の週末調教の予定を変更し、芽美をつれて温泉旅行に出かけた。宿泊場所は鬼怒川温泉からほど近い塩原温泉の、3つの混浴温泉露天風呂がある有名宿。
芽美は鬼怒川に近いことにぶつぶつ文句を言いながらも、拓海との初めての旅行に胸をときめかせていた。しかし行きの車内でバスタオルなしで裸で入らされると聞くと無言で抵抗し、拓海が肌がふれあうほど近くにいて、芽美のことを誰にも触らせないし、芽美をいやらしい視線で見ることも許さないと誓うと、ようやく了承した。
日中、中高年の男ばかりの露天風呂に拓海に手を引かれて現れた芽美はバスタオルを巻いておらず、多いに注目を集めた。拓海は芽美を抱きかかえるようにして入浴すると、「この女は俳優の卵で演技の才能はあるが緊張しやすいので度胸をつけにきた」と説明し、性的な目で見てくる男にはやんわりと注意すると同時に威圧的な視線をとばした。
それでも20人は入れる大きな露天風呂にはジロジロと下卑た視線を向けてくる男が2人いて、芽美は顔を真っ赤にしてずっと下を向いていた。
その夜の芽美は激しく乱れ、まるで自分が拓海の女であることをアピールするかのように、隣室に聞こえるほどの大きな嬌声をあげ絶頂した。
それで吹っ切れたのか、翌日宿をチェックアウトするときは、拓海の左腕に自分の右腕を絡ませ、好色な視線を向けてくる中年男性に挑発的な微笑を向けながら、堂々と宿を去った。
そして五月が終わった。
毎週水曜日に与えられた自室に拓海を迎え入れて恋人のように一緒の時間を過ごし、濃密な御奉仕セックスをすること。
毎週末に拓海の家へ行って「メグの憩いの部屋」に赤い首輪だけの姿で監禁されて、人間の女から動物のメスに堕とされて、好きなときに好きなように弄ばれ、犯され、罰せられ、拓海の理想のマゾ牝奴隷に躾けられ、自分の奥に眠る性に貪欲で淫乱なマゾヒストの本性を暴かれていくこと。
五月の終わりには、こうした調教に芽美はすっかり慣れて、仕事に行くのと変わらない日常的な活動になっていた。しかも、仕事とは違い、調教前の芽美の心は常にときめいていた。それは単に肉欲が満たされることへの期待だけではなかった。
保育の仕事でたくさんの子どもとふれあい、面倒をみるのは楽しくやりがいのある仕事ではあった。しかし、苦情の多い保護者への対応や新人としての苦労、女性ばかりの先輩との難しい人間関係、給料の安さに反比例して多い仕事は芽美の心身を疲弊させた。
そうしたストレスは拓海に会い、煩わしい日常から隔絶され、セックス漬けにされることで霧散した。
月曜、火曜、木曜や拓海と会わない週末などでも、起き抜けと仕事終わりにSNSや電話で自分の健康状態を報告し、就寝前にはWEBカメラでオナニーと尻穴開発の様子を拓海に見せることを命じられていた。
その時の会話に、雑談や愚痴が混じっていくのは自然な流れだった。だから、芽美には拓海のことがいつも頭の片隅にあった。
―報告書がうまくまとまらない、拓海さんにみてもらおうかな?―
―仕事で褒められたから拓海さんにも報告して褒めてもらおうっと♪―
―このケーキおいしい、今度の水曜日拓海さんにおねだりしちゃお!―
―この服可愛い、拓海さんも似合うって言ってくれるかなぁ?―
―とろいコンビニの店員さんにきつく当たっちゃった、上品にしないと拓海さんに怒られちゃう―等々。
芽美の言動はだんだんと拓海がどう思うかを規範としてなされるようになっていく。
主観的な自己評価や、漠然とした社会的規範、仕事関係・家族・遊び友達などからの打算やしがらみやお世辞まじりの、純粋には信用し難い評価ではなく、信頼できる少数の人間からの客観的で公正な評価のほうが、よほど正しく納得のいくものだ。また、それに基づいて行動するのは心理的にも楽なことだ。実行している最中に本当にこれでいいのか迷うこともなく、実行した結果が失敗に終わっても自分が悪かったのではないと言い訳し他人のせいにできるから。
日々、自分を犯すだけでなく、愚痴交じりの話をしっかりと聞き、自分の行動をちゃんと見てくれている『拓海ご主人様』が自分のことを誰よりも深く理解している、おそらく自分自身よりもよくわかっているのではないかとの思いが芽美の中で育ちつつある。
芽美が身体だけでなく心まで拓海に完全に屈服してしまうのは時間の問題にすぎなくなっていた。
『洗脳』とは虐待や拷問など、暴力的手段を用いて相手の心を支配することであり、また『マインドコントロール』とは情に訴えたり巧みな会話で相手の心の隙に入り込み、相手自身の意思でこちらが望むような行動をするように導くことである。拓海が後者に重点を置いた方法で自分を支配しようとしていることに芽美は気がついているのだろうか?
拓海から「お前を俺の理想のマゾ牝奴隷に調教する」と宣言され契約書を交わし実際に調教を受けているのだから、そのことを認識してはいるし、最初の頃は不安や恐怖で一杯だった。
それが今では、想像していたよりも自分を拓海がずっと大切に扱ってくれることから負の感情は薄れつつあり、むしろ拓海との恋人のような生活を楽しもうという前向きな感情が強まっている。
それがアブノーマルなSMセックスを中核とした“擬似恋人”生活に過ぎず、拓海の甘い言動の中に自分を理想のマゾ牝奴隷に躾けるためのバイアスが強くかかっていることも頭でわかってはいた。
しかし絶頂の悦びを知り、深いエクスタシーを感じさせてくれる拓海とのセックスに溺れている今の芽美にとって、それは歓迎すべきものなのだ。素敵な恋人生活に、さらなる官能の妖艶な彩りを深めてくれる“性的に正しいバイアス”なのだから。
自分を“理想のマゾ牝奴隷”に調教することに何か深い理由がありそうなことへの漠然とした不安や、調教によって自分がどこまで淫乱でマゾヒスティックなメスのケモノに堕とされてしまうのだろうかという甘美な慄き以外に今の充実した毎日から抜け出すべき理由が見あたらず、その不安と慄きを大きく上回る色欲と隷従の悦びに耽溺する芽美は今夜も心をときめかせながら、調教が日常化した新しい“性”活に勤しむ。
芽美は鬼怒川に近いことにぶつぶつ文句を言いながらも、拓海との初めての旅行に胸をときめかせていた。しかし行きの車内でバスタオルなしで裸で入らされると聞くと無言で抵抗し、拓海が肌がふれあうほど近くにいて、芽美のことを誰にも触らせないし、芽美をいやらしい視線で見ることも許さないと誓うと、ようやく了承した。
日中、中高年の男ばかりの露天風呂に拓海に手を引かれて現れた芽美はバスタオルを巻いておらず、多いに注目を集めた。拓海は芽美を抱きかかえるようにして入浴すると、「この女は俳優の卵で演技の才能はあるが緊張しやすいので度胸をつけにきた」と説明し、性的な目で見てくる男にはやんわりと注意すると同時に威圧的な視線をとばした。
それでも20人は入れる大きな露天風呂にはジロジロと下卑た視線を向けてくる男が2人いて、芽美は顔を真っ赤にしてずっと下を向いていた。
その夜の芽美は激しく乱れ、まるで自分が拓海の女であることをアピールするかのように、隣室に聞こえるほどの大きな嬌声をあげ絶頂した。
それで吹っ切れたのか、翌日宿をチェックアウトするときは、拓海の左腕に自分の右腕を絡ませ、好色な視線を向けてくる中年男性に挑発的な微笑を向けながら、堂々と宿を去った。
そして五月が終わった。
毎週水曜日に与えられた自室に拓海を迎え入れて恋人のように一緒の時間を過ごし、濃密な御奉仕セックスをすること。
毎週末に拓海の家へ行って「メグの憩いの部屋」に赤い首輪だけの姿で監禁されて、人間の女から動物のメスに堕とされて、好きなときに好きなように弄ばれ、犯され、罰せられ、拓海の理想のマゾ牝奴隷に躾けられ、自分の奥に眠る性に貪欲で淫乱なマゾヒストの本性を暴かれていくこと。
五月の終わりには、こうした調教に芽美はすっかり慣れて、仕事に行くのと変わらない日常的な活動になっていた。しかも、仕事とは違い、調教前の芽美の心は常にときめいていた。それは単に肉欲が満たされることへの期待だけではなかった。
保育の仕事でたくさんの子どもとふれあい、面倒をみるのは楽しくやりがいのある仕事ではあった。しかし、苦情の多い保護者への対応や新人としての苦労、女性ばかりの先輩との難しい人間関係、給料の安さに反比例して多い仕事は芽美の心身を疲弊させた。
そうしたストレスは拓海に会い、煩わしい日常から隔絶され、セックス漬けにされることで霧散した。
月曜、火曜、木曜や拓海と会わない週末などでも、起き抜けと仕事終わりにSNSや電話で自分の健康状態を報告し、就寝前にはWEBカメラでオナニーと尻穴開発の様子を拓海に見せることを命じられていた。
その時の会話に、雑談や愚痴が混じっていくのは自然な流れだった。だから、芽美には拓海のことがいつも頭の片隅にあった。
―報告書がうまくまとまらない、拓海さんにみてもらおうかな?―
―仕事で褒められたから拓海さんにも報告して褒めてもらおうっと♪―
―このケーキおいしい、今度の水曜日拓海さんにおねだりしちゃお!―
―この服可愛い、拓海さんも似合うって言ってくれるかなぁ?―
―とろいコンビニの店員さんにきつく当たっちゃった、上品にしないと拓海さんに怒られちゃう―等々。
芽美の言動はだんだんと拓海がどう思うかを規範としてなされるようになっていく。
主観的な自己評価や、漠然とした社会的規範、仕事関係・家族・遊び友達などからの打算やしがらみやお世辞まじりの、純粋には信用し難い評価ではなく、信頼できる少数の人間からの客観的で公正な評価のほうが、よほど正しく納得のいくものだ。また、それに基づいて行動するのは心理的にも楽なことだ。実行している最中に本当にこれでいいのか迷うこともなく、実行した結果が失敗に終わっても自分が悪かったのではないと言い訳し他人のせいにできるから。
日々、自分を犯すだけでなく、愚痴交じりの話をしっかりと聞き、自分の行動をちゃんと見てくれている『拓海ご主人様』が自分のことを誰よりも深く理解している、おそらく自分自身よりもよくわかっているのではないかとの思いが芽美の中で育ちつつある。
芽美が身体だけでなく心まで拓海に完全に屈服してしまうのは時間の問題にすぎなくなっていた。
『洗脳』とは虐待や拷問など、暴力的手段を用いて相手の心を支配することであり、また『マインドコントロール』とは情に訴えたり巧みな会話で相手の心の隙に入り込み、相手自身の意思でこちらが望むような行動をするように導くことである。拓海が後者に重点を置いた方法で自分を支配しようとしていることに芽美は気がついているのだろうか?
拓海から「お前を俺の理想のマゾ牝奴隷に調教する」と宣言され契約書を交わし実際に調教を受けているのだから、そのことを認識してはいるし、最初の頃は不安や恐怖で一杯だった。
それが今では、想像していたよりも自分を拓海がずっと大切に扱ってくれることから負の感情は薄れつつあり、むしろ拓海との恋人のような生活を楽しもうという前向きな感情が強まっている。
それがアブノーマルなSMセックスを中核とした“擬似恋人”生活に過ぎず、拓海の甘い言動の中に自分を理想のマゾ牝奴隷に躾けるためのバイアスが強くかかっていることも頭でわかってはいた。
しかし絶頂の悦びを知り、深いエクスタシーを感じさせてくれる拓海とのセックスに溺れている今の芽美にとって、それは歓迎すべきものなのだ。素敵な恋人生活に、さらなる官能の妖艶な彩りを深めてくれる“性的に正しいバイアス”なのだから。
自分を“理想のマゾ牝奴隷”に調教することに何か深い理由がありそうなことへの漠然とした不安や、調教によって自分がどこまで淫乱でマゾヒスティックなメスのケモノに堕とされてしまうのだろうかという甘美な慄き以外に今の充実した毎日から抜け出すべき理由が見あたらず、その不安と慄きを大きく上回る色欲と隷従の悦びに耽溺する芽美は今夜も心をときめかせながら、調教が日常化した新しい“性”活に勤しむ。
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