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Discipline3:セックス合宿で教え込まれる性奴の作法と絶頂の至福
第八話 芽美の長い一日②
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「さあ、今日の調教をはじめよう、まずは挨拶からだよ、メグ!」
調教部屋に戻ってきた拓海さんは、檻の中でひとりで出来上がっている私をキリッとした表情で一瞥すると、映像・音響機器のある部屋の奥へ歩み去りオーディオをオンにする。
調教時のいつもの音楽、エリック・サティのジムノペディが流れ出すのを確認すると、部屋の真ん中の二人掛けの赤いソファに脚を組んで座って、落ち着いたバリトンで調教開始を告げた。
心地よく快楽の妄想の世界をひとり旅していた私は、性体験の乏しい私などの妄想以上に淫靡であろう、これからの現実世界に意識を引き戻し、拓海さんの前まで四つん這いで這っていく。教えられたとおりに正座をして手を後ろで組み、顔を見上げて目を合わせると、セックス奴隷の口上を抑揚をつけて唱える。
大好きなタクミご主人様
今日もマゾの私をお望みのままに調教してくださいませ
SMセックスの快楽で
ふだん上品ぶっている私にメスの自覚を叩き込んでくださいませ
淫らな私のお口・牝穴・尻穴を自由にお使いいただき
何度でも気持ち良く射精してくださいませ
それが処女を捧げてマゾメス奴隷の契約を結んだ
わたくし、吉野芽美の幸せでございます
私がこんな風に素直に従うのは抵抗しても意味がないからだ。この破廉恥なセリフ内容には未だに抵抗感があるし、決して性奴隷であることを受け入れてはいない・・・と思うのだけれど、口上を唱えていると頬が紅潮し身体全体が火照ってくる。これから行なわれるSM調教セックスに期待してしまっているのは否定できない。
「挨拶の姿勢も内容も、可愛いソプラノで歌うように口ずさむ愛らしい口調も完璧じゃないか。さすが優秀なマゾ牝奴隷候補だな」
拓海さんはうんうんとうなづくと、満面の笑みで褒めてくれた。褒められるのは嬉しいけど、こんなことをそんな風に褒められて素直に嬉しさを露わにする気にもなれずに、ムスッとした表情を作って言う。
「どうせ失敗したら、やり直させられるだけだろうし」
「ふふ、大好きなご主人様を喜ばせようと頑張って覚えてくれたんだろう?嬉しいよ、メグ」
「大好きじゃありませんから!ただここで待っていても暇だから」
「昨日は、何度も俺のことが大好きと叫びながらキスしてきたじゃないか。嘘はいけないなぁ」
「あれは言えって命令されたからっ!」
「キスまでは命じてないぞ?」
「うっ・・・あ、あれは・・・そう、何回も好きって言いたくなかったから、キスして口を塞いでたのよっ!」
「それにしても随分と情熱的だったけどな」
「ううっ」
とうとう私は言い訳できなくなって口をつぐむ。確かにキスまでは命じられてはいなかった。でも拓海さんの逞しいペニスに貫かれ、官能の昂ぶりに酩酊していたあの時は、彼のことが本当に好きになっていたのだから仕方ない。
「もしかして芽美は、好きでもない男に抱かれて気持ちよくなって、自分からキスしてしまうようなビッチなのかな?」
「それは・・・違うけどっ!」
「俺とのセックスはだいぶ好きになってきたんじゃないか?」
「それは・・・確かに・・・気持ちはいいけど」
「今も、早く俺に抱かれたくて一人エッチしていただろう?」
「ううっ・・・拓海さ、ご主人様のイジワルっ!」
「ははは、ゴメンゴメン。でも早く俺との気持ちの良いセックスが大好きになって、そんなセックスをしてくれる俺のことも大好きになってくれよ」
「・・・」
自分でもはっきりわかる。これからもセックスを繰り返してあんな絶頂に何度も導かれてしまったら、私はその快楽を求めて彼の言うことに何でも従うようになってしまうのは確実だ。でもそれは好きとか愛しているとかとは違う気がする。まさに性の奴隷となるということなのではないか。
「ん?どうした芽美?」
黙ってしまった私を不審に思ったのか、拓海さんが声をかけてくる。
「うん・・・好きってどういうことなのかなぁって・・・」
そう言うと拓海さんに鎖を引っ張られた。
正座していた私はバランスを崩し、彼の太ももに手をおいて、ソファに横腹を寄りかからせて横座りになる。
「あんっ、なんですか?」
見上げて文句を言うと、拓海さんが憐れむような視線で私を見ている。
「こういう時にそんなことを考えてしまう堅物だから、25年間も彼氏ができなかったんだな」
心にグサッと刺さる一言。
「だって、大事なことじゃないですかぁ」
いちおう反論するものの、妹の琴美や親友の千佳先輩、それに母からも同じようなことを言われていることを経験豊富そうな男性からも言われると、やっぱりそうなんだという気分になり、発言が尻すぼみになってしまった。
「冗談で言っているのだから、軽くかえせばいいんだよ、『おちんちんは大好きになっちゃうかもしれないけど本体はおじさんだからムリです』とか」
「そんなおじさんぽい下ネタ言うほうが難易度高いですよう」
「そもそも好き嫌いは理屈で決まることじゃないよ。好きになった後で、彼の、例えば『いつもさりげなく気をつかってくれるところが好き』とか言えるけど、好きになる前に『いつもさりげなく気をつかってくれる、だから好きになろう』と思うわけじゃないだろう?」
「・・・そうね」
「これは私見だが、男女が同じ時間を過ごし、同じ体験をして、感情と価値観の共鳴が生じたとき、その先に『好き』に通じる感情が顕現するように思う」
理屈じゃないって言っておきながら、理屈っぽい話が好きなのよね、この人。なんていう内心とは別のことを口に出す。
「ということは、一目惚れ否定派ですか?」
「一目惚れというのは、単に外見が好みのタイプ、やりたいルックスやスタイルというだけで、好きという感情とは違うんじゃないかな」
ん?ということは。
「なら拓海ご主人様が私に好きって言っているのは嘘なんですか?会って同じ経験を共有したことなんてそんなに多くないですから」
「おいおい、 忘れちゃったのかい?黄龍で何度も一緒に楽しく食事したじゃないか!草葉の陰でマスターが泣いてるぞ?」
「ああ、そういえばそうでした。何日か前にも行ったばかりですけど、結菜ちゃんのおじい様、元気にお料理作ってました。今度行ったら悪口言ったこと言いつけちゃいますから」
最近の濃密すぎるお付き合いの記憶が強烈すぎて、それ以前のことはすっかり忘れていた。あれはまぁ・・・確かに楽しい時間だったかもしれない。
「それに人間は楽しいから笑ったり、悲しいから泣いたりするけれど、その逆も成り立つことが最近の神経科学でわかってきた。笑うと楽しくなる、泣くと悲しくなるってことが」
「それはわたしも聞いたことがあります」
「つまり好きになったからエッチするというなら、エッチすれば好きになるのは人間にとって当然のことなんだよ」
「はぁ、結局そういう話になるんですね」
「わかりやすくて説得力あるだろ?」
ドヤ顔の拓海さんがうっとおしい。だから意地悪を言う。
「でもしょせん、私たちは契約上のセックスパートナーですけど。しかも、その、エ、エスとエム的な?」
噛んでしまいそうだったが何とか誤魔化した。
「SMパートナーといってもエスの側がなんでもしていいってことにはならないから。相手を尊重し思いやる気持ちは必要だよ?それにやはり好きな相手とするほうが気持ちがいいに決まってる」
「そんな風に思ってたんですか?ずいぶん好き勝手にやられた気がしますけど?まぁ好きな相手とするほうが気持ちがいいのはその通りですね」
「いちいち承諾を得るのは無理だよ全部拒否するだろうから。お前を好きだという俺の言葉が信じられないのならそれでもいい。だがセックスをするときに言う『好き』は信じていいぞ、なにせ自分も気持ちよくなりたいからね」
少しおどけた感じでそんなことを言うから、わたしも軽く返す。
「それって、一番信じちゃいけない『好き』ですよね?」
「あれ、ここは『それなら私ももっと気持ちよくなるために、エッチのときだけでも拓海ご主人様を好きになる!』って返すところだろう?」
「その手には乗りませんよ、何度も騙されてますから」
「ちぇっ、それは残念!」
そう言って本当に悔しそうな表情を作る拓海さんを見て思わず笑みがこぼれる。そんな私をみて拓海さんも表情をやわらげる。
「ふふふ」
「ははは」
なんだか良い雰囲気になった。
首輪の鎖を軽く引っ張られて上半身を浮かせると、脇の下に手を入れられて抱き上げられ、膝の上に跨いで対面で座らせられる。彼の両手が私の背中に回り、私も両手を彼の首に回した。顔が近い。
「独り相撲はイヤだから、エッチのときせめて俺のことを好きなフリくらいはしてくれないか?」
「仕方ありませんね、それくらいなら」
「ありがとう」
そう言って拓海さんは嬉しそうに微笑み、唇を求めてきた。口を開いてキスを受け入れる。
昨夜のセックスで「拓海ご主人様、大好き」と叫んでいたときのことを思い返すと、たしかに気持ちよさが増していたような気がする。試しに心の中で「拓海ご主人様、大好き」とつぶやいてみる。キスが甘さを増した・・・ような。
でも、セックスを繰り返した先にある感情は、やっぱり好きという気持ちとは違うように思う。性の快楽に嵌まり、まさに性の奴隷となるということなのではないか。
拓海さんとのセックスで達した膣オーガズムの、官能の炎に理性を焼き尽くされて全身を性の悦楽に染め上げられる刹那の多幸感。あの快感を経験することは女の最高の幸せだと思う。
けれどもそれは、私がとうとう後戻りのできぬラインを越えてしまったということでもある。拓海さんがあの快楽を与えてくれることを知ってしまった今、この人に逆らったり、離れたりすることはもはや不可能だ。ずるずると流されてきてしまっていたとはいえ、これまでなら私が傷を負う覚悟で本気で抵抗すれば、拓海さんから逃れることは可能だった。しかしこれからは、色々な枷に縛られ消極的にではなく、絶頂を迎える幸せ欲しさに自分の意思で積極的に彼に従うことになる。
つまり、私が拓海さんの性奴隷となる運命の歯車はもう止められなくなってしまったということ・・・。
口内に侵入してくる舌に自分の舌を絡ませながら、鏡面壁へ視線を向ける。窓のない薄暗い調教部屋で、男の膝に跨って朱に染まった頬でキスに応じている赤い首輪の裸の女が映っている。首輪からは銀色の鎖が長く伸び、キスで首が動くたびにジャラリと音を立てる。その姿は恋人というより性奴隷という表現のほうが明らかに相応しい。
鏡の中の性奴隷姿の自分を見ながら、心の中で「私は拓海ご主人様のマゾ牝奴隷です」とつぶやいてみる。キスが甘さを増し、子宮がキュンと疼く。その事実が私を自虐的な悦楽の深みへいざなう。
いったん口を離し、拓海ご主人様の口の周りにチュッチュッと小鳥がついばむようなキスをする。今度は自分から唇を重ねて舌を差し入れ、ご主人様を愉しませようと、唾液を絡ませながら舌を懸命に踊らせる。
目を閉じてディープキスに集中していると、すでに蜜を貯めている媚肉にご主人様の手が伸びてくるのを感じる。唇が離れる。
「キスだけでこんなに濡らしてしまうなんて、優秀なマゾ牝奴隷だね」
「いやん、そんな風に言わないで」
恥ずかしさに駆られ、いっそうの情熱をもってご主人様の唇を奪う。ご褒美とばかりに、ご主人様の左手で胸が揉みしだかれ、右手の指で敏感な肉芽に小刻みな振動が与えられる。
ジムノペティの落ち着いた曲が静かに流れる薄暗い調教部屋内に、ピチャ、クチュという淫らな水音が混じりだす。奉仕の悦びと愛撫される快感が私を酔わせ、他の全てを忘れさせていく。そんな時がゆったりと流れる。とても幸せ。
「いやんっ」
と、拓海さんの唇が離れ、それがイヤで、つい甘え声をあげてしまった。舌同士がねっとりと糸を引き、いかに淫靡なづけを交わしていたのかを物語る。
「さあ、身体の準備もできたことだし、大好きなお前を今日も調教するよ。お前に快楽を与えるために、俺がお前から快楽を得るために。いいね、マゾ牝奴隷メグ?」
唇を離した拓海さんが耳元に口を近づけ、低い声で囁く。その内容とバリトンの響きが私の身体をゾクリとさせる。快感で濡れる双眸でご主人様の情欲の篭もる瞳を覗き込む。
「はい拓海ご主人様。でも、もう少しこのままでいさせてくださいませ。この後の調教、がんばりますから」
そう言って瞳を閉じ、唾液の残る唇を半開きにしてキスの続きをねだってみる。
「仕方ない奴だ。その言葉忘れるなよ」
そう聞こえた後、柔らかくねっとりした感触で口が塞がれ舌が侵入してきた。私は誘惑が成功したことに軽い満足感を感じながら、ご主人様の舌が口腔内を蹂躙する快楽に心身を委ねていった。
ソファに座った拓海さんの膝に跨ってキスの2回戦を堪能した後、冷たいお水を飲んでひと息つくと、黒いゴムマットの床に横たえられ、昨日と同じ香油マッサージを施された。拓海さんが私のために、クレオパトラという香油をベースに調合し「Tacki for prudish Meg」と命名したオリジナルの香油で。
エジプト・ローズ、ダマスクス・ローズ、ジャスミン、ムスク、シベット、チューベローズ、イランイラン等々、フローラルな良い香りの素材、傾国の美女や高級娼婦達が漂わせていた濃厚な香りの素材、リラックス効果や催淫効果のある素材、香りを長持ちさせる素材など、20種類以上の素材がブレンドされているそうだ。名称の意味は今はまだ秘密とのこと。わざわざそう言われるととても知りたくなる。意地悪。
拓海さんはうつ伏せの私の背中に香油をたっぷり垂らすと、肩から脇腹、お尻まで両手のひらで薄く広げ、指の腹に軽く力を込めて揉み込むようにマッサージする。背中が終わると右手にオイルを垂らし同じことを指先から肩まで。次は左手。仰向けにされ右脚の指先から太ももの付け根まで。左脚、お腹、胸まわり、顔。顔はオイルを垂らさず、手で軽くマッサージするだけ。
香油からは最初、私好みの上品で爽やかなフローラルの香りが立ち上るが、次第に甘くエキゾチックでスパイシーな香りが強まり、男女の情欲をかきたてる媚香へ変わる。
マッサージの間、拓海さんはずっと私に「nubile cunt・・・luscious cunt・・ ・sopping cunty・・・rammy cunty・・・」(成熟マンコ、そそるマンコ、びしょ濡れマンコちゃん、発情マンコちゃん)と囁きかけている。いったいどんな顔で囁いているのか顔が見たいが、目隠しをされていて見えないし、口にはボールギャグを噛まされているから、文句を言うこともできない。
視覚を奪い口を聞けないようにするのは触られる箇所に集中させて新たな性感帯を見つけるためとのこと。脇の下や鎖骨の下、背中の肩甲骨のくぼみ、腰のくびれ、手足の指、膝の表裏、太ももは性感帯になり得るらしいけれど、どこもまだ微妙な感じ。
でも、拓海さんの入念なオイルマッサージは私の性感を徐々に高め、バストの先端や太ももの付け根の先の敏感な箇所はすべて、私を焦らすように慎重に避けられていることでますます官能が煽られる。時とともに淫らさを強めていく香りは、私をまるで高級娼婦になったような上品で淫らな気分にさせる。拓海さんの一定速度で繰り返される囁きは、催眠効果を発揮して私の心に浸透する。
だから、最後に両耳を甘噛みされ、耳奥にフッと息を吹きかけられ、「終わったよ、びしょ濡れマンコちゃん」と囁かれて香油マッサージが完了する頃には、私のヴァギナはその通りグショグショに濡れ、ペニスの挿入を待ち望むかのように花弁がうっすらと開き、隙間からメスの匂いを漂わせている。
入れて欲しくておねだりしようとしても、口から出るのはだらだらと流れでる涎と言葉にならないウーウーという、うなり声だけ。まるで動物のようで恥ずかしい・・・・いや、私はメスだから、きっとこれでいいのだわ。
「ウウッ、ウウー♡」
瞼の裏に拓海さんご主人様を思い浮かべてメスの唸り声で懇願するとご主人様の命令が。
「Spred eagle!」
―ああ、その気になってくれたのね―
私は喜び勇んでご主人様の御命令どおりに、素早く膝を立てて両脚を大きく開く。
「慌てすぎで色気がない、やり直しだ!」
「ウウッ!」(申しわけありませんっ!)
あわてて脚をぴたりと閉じる。
「Spred eagle!」
「ウーウー」(かしこまりました、ご主人さま)
―どうしたら色っぽく脚を開けるかしら―
そんなことを思いながら、再びゆっくりと脚を開く。
「まあまあだな。Show」
「ウー」(かしこまりました)
両手を股間に伸ばして、花弁を指で押し開き、ヴァギナの中をさらけ出す。愛液がトロトロと垂れ落ち外気にさらされた膣内がひんやりとするが、一瞬だった。ご主人様に見られていると思うと、愛液が次々と湧いてきて、すぐに温かさをもたらしてくれる。
「・・・・・」
無言のご主人様に不安が募るが、命令されたままの姿勢でひたすら待つしかない・・・だって私は拓海さんのセックス奴隷だから。首を小さく振ってシャラリを鎖を鳴らし、ご主人様との絆を確認して不安な気持ちを落ち着ける。
「お前のオマンコは、整った形もサーモンピンクの色もとても美しい」
「ウウッ?」
思わぬ賞賛だった。だが自分のヴァギナを論評されるのはとても恥ずかしい。
「そして、そんなオマンコが垂れ流す愛液で濡れ光り、挿入を期待してヒクヒクする様子はとても下品で淫らだな」
「ウウッ、ウウツ!」
普段なら下品な悪口かもしれないが、すっかりセックス奴隷気分の私にとっては、ご主人様のそのお言葉もまた嬉しい賞賛だ。喜びに浸っていると、室内が断続的に強く光るのが目隠しの上からもわかった。カシッツ、カシャッというシャッター音も聞こえたから、おそらく写真を撮られたのだろう。
「ウウー、ウウーッ!」
あわてて脚を閉じる。大きくうなり、強く首を振って抗議の意を示す。もちろん奴隷のそんな抗議は受け入れられない。ご主人様の冷酷な命令が聴こえる。
「Spred eagle and show !」
私は脚を閉じたまま。
動かない私に冷酷な審判が下る。
「懲罰決定。ナターシャによる一本鞭のお仕置だ。重大な命令違反だから回数は5回」
「ウウッ、ウウッ、ウウウーッ!」
―それだけはいやっ!5回なんて死んじゃうっ!―
私は恐怖に駆られて唸り声を張り上げ、必死に首を振る。
「だが・・・」
その声にかすかな希望を感じて動きを止め耳をすます。
「・・・今からしっかりと命令に従うのは当然として、課題を出すからそれを上手に達成することを条件に、もう少し軽い刑罰にしてやろう」
無言でうなづく私。難しい課題じゃありませんように。
「明日また同じ写真を撮るから、今日の写真より色っぽい写真が撮れるよう何か工夫してみろ。今日の写真はあとで見せてやる。必要なものがあればナターシャに頼め。協力するよう言っておくから。いいな!」
「ウー、ウー」
どうすればいいのか思いつかないけど、今はとにかくうなづく。
「ではもう一度。Spred eagle and show !」
脚を開いてオマンコを広げる。でもご主人様は溜息をついてしまわれた。
「はぁ、乾いてしまったじゃないか。これでは良い写真が撮れないな」
私はどうしたらいいかわからず、そのままの姿勢でご主人様の次の言動を待つ。
「お前のオマンコの良い写真が取れたら、ご褒美にたっぷりクンニしてやって、気が向けばそのまま挿入してイカせてやろうと考えていたんだが中止にしよう」
手足を戻し身体の力を抜いて横になっていると、目隠しとボールギャグがはずされる。身体を起こし傍らに立つ拓海さんを見上げる。
「忘れているようだから言っておくが、ここでのプレイは全て映像記録されているぞ。だから、いまさら写真を撮られたところで気にするな。諦めて写真に撮られることを楽しんだほうがいいぞ」
そんなことを言われても困ってしまう。
「次の授業はフェラチオの勉強だ。しばらく一人で反省していなさい」
拓海さんはそう宣言すると、困惑している私を残して調教部屋を出て行ってしまった。ほんの少し前までは気持ちよくて幸せだったのに、今は寂しくて悲しい気分。拓海さんの期待に応えられずちょっと冷たくされるだけでこんなに落ち込むことに、自分でもびっくりする。
中途半端に欲望の炎が灯ったままの身体を持て余し、拓海さんにクンニされそのまま挿入されてイカされることを想像して自分を慰めるが、気持ちよくなれずにただ切なさと欲求不満が募るだけだった。
拓海さんに処女を奪われてから、私の心の中に新しい私が生まれ、存在感を急速に増している。それは自分の欲望に忠実で淫らな私。その私が元の私、慎重でお堅い私に攻撃的な議論を挑んでくる。
―反省しなさいって言われたでしょう?
そんなのいやよ、私は悪くないもの―
―拓海さんとセックス奴隷契約を交わしたはずよ、それを忘れたの?
あんな契約、無効よ―
―サインがしてあるならそれを受け入れたことになるわよ?法的にはともかく。
あれは騙されて間違ってサインしただけよ―
―だれが証明するの?ナターシャ?彼女は拓海さんに有利な証言をするわよ?
そうね・・・でも―
―すでにエッチな動画も写真も撮られてしまっているでしょう?
そうだけど、一枚でも少ないほうがいいし―
―琴美の写真がばらまかれてもいいの?
よくないわ!でもきっと拓海さんはそんなことしないはずよ―
―そう思うなら、自分の写真だって大丈夫でしょう?
・・・そうね・・・―
―レイプされそうになったのを助けてもらったわよね?
うん、でも拓海さんにもレイプされたようなものだし―
―なら、ここにまた犯されに来るのはどうして?
だって、契約書とか、動画とか、琴美のこととか、貞操帯のこととか―
―貞操帯の鍵なんて頑張れば開ける方法くらい見つけられるでしょう?
それは、そうかもしれないけど―
―他のことは理由にならないって結論だったわよね?
・・・ええ・・・―
―拓海さんにレイプされたっていうけど、酷いことをされたって思ってるの?
意識が朦朧としているときに処女を奪われてから、何度も犯されたわ―
―処女なんて、いい加減卒業したかったんでしょう?
それはそうだけど、あんなやり方でなんて―
―でも痛くなかった、むしろ気持ちよかったくせに?
そんなことないわ、痛くはなかったけど、気持ちよかったなんてことは―
―なら録画映像を見てみるといいわね、ノリノリだったじゃない?
そんなことっ!・・・ええ―
―今ではもう拓海さんに犯されたくてたまらないくせに?
今だってレイプされているようなものだから・・・監禁されて―
―拓海さんにマッサージされるだけでグチョグチョに濡らしちゃうくせに?
それは、拓海さんが上手だから・・・―
―マッサージが?それとも優しく処女を奪ったりイカせてくれるセックスが?
それは・・・両方よ―
―隣の男は拒絶して、拓海さんのセックスは受け入れている―
―それでも拓海さんにレイプされたって言い張るの?―
―本音では処女を卒業させてくれたり絶頂を教えてくれたりして感謝してる―
―性に対して奔放になれない自分の固い殻を突き破ってくれてありがとうって―
―いくら被害者ぶっても無駄、わたしはあなた自身なのだから全てお見通しよ―
―本当にイヤならここに来なければいいのに、あなたはここにいる―
―あなたは本心ではこの状況を受け入れ楽しんでいるの―
―拓海さんのマゾ牝奴隷として調教され、女の性(さが)の深淵を覗き見ることを―
―素直になるのよ芽美、ここではあなたを縛るものはなにもないわ―
―鏡を見てごらんなさい、その姿はセックス奴隷そのものじゃないの―
―認めるのよ芽美、あなた=わたしはもう、拓海ご主人様の『虜』なの―
長い自問自答の末、私は本当の私に敗北した。
「拓海ご主人様、ごめんなさい」
こう呟いて、ひとしきり泣く。檻の中に横たわると、昨日の絶頂セックスのことを思い出しながら、ご主人様が戻るのをただひたすら従順に待った。
調教部屋に戻ってきた拓海さんは、檻の中でひとりで出来上がっている私をキリッとした表情で一瞥すると、映像・音響機器のある部屋の奥へ歩み去りオーディオをオンにする。
調教時のいつもの音楽、エリック・サティのジムノペディが流れ出すのを確認すると、部屋の真ん中の二人掛けの赤いソファに脚を組んで座って、落ち着いたバリトンで調教開始を告げた。
心地よく快楽の妄想の世界をひとり旅していた私は、性体験の乏しい私などの妄想以上に淫靡であろう、これからの現実世界に意識を引き戻し、拓海さんの前まで四つん這いで這っていく。教えられたとおりに正座をして手を後ろで組み、顔を見上げて目を合わせると、セックス奴隷の口上を抑揚をつけて唱える。
大好きなタクミご主人様
今日もマゾの私をお望みのままに調教してくださいませ
SMセックスの快楽で
ふだん上品ぶっている私にメスの自覚を叩き込んでくださいませ
淫らな私のお口・牝穴・尻穴を自由にお使いいただき
何度でも気持ち良く射精してくださいませ
それが処女を捧げてマゾメス奴隷の契約を結んだ
わたくし、吉野芽美の幸せでございます
私がこんな風に素直に従うのは抵抗しても意味がないからだ。この破廉恥なセリフ内容には未だに抵抗感があるし、決して性奴隷であることを受け入れてはいない・・・と思うのだけれど、口上を唱えていると頬が紅潮し身体全体が火照ってくる。これから行なわれるSM調教セックスに期待してしまっているのは否定できない。
「挨拶の姿勢も内容も、可愛いソプラノで歌うように口ずさむ愛らしい口調も完璧じゃないか。さすが優秀なマゾ牝奴隷候補だな」
拓海さんはうんうんとうなづくと、満面の笑みで褒めてくれた。褒められるのは嬉しいけど、こんなことをそんな風に褒められて素直に嬉しさを露わにする気にもなれずに、ムスッとした表情を作って言う。
「どうせ失敗したら、やり直させられるだけだろうし」
「ふふ、大好きなご主人様を喜ばせようと頑張って覚えてくれたんだろう?嬉しいよ、メグ」
「大好きじゃありませんから!ただここで待っていても暇だから」
「昨日は、何度も俺のことが大好きと叫びながらキスしてきたじゃないか。嘘はいけないなぁ」
「あれは言えって命令されたからっ!」
「キスまでは命じてないぞ?」
「うっ・・・あ、あれは・・・そう、何回も好きって言いたくなかったから、キスして口を塞いでたのよっ!」
「それにしても随分と情熱的だったけどな」
「ううっ」
とうとう私は言い訳できなくなって口をつぐむ。確かにキスまでは命じられてはいなかった。でも拓海さんの逞しいペニスに貫かれ、官能の昂ぶりに酩酊していたあの時は、彼のことが本当に好きになっていたのだから仕方ない。
「もしかして芽美は、好きでもない男に抱かれて気持ちよくなって、自分からキスしてしまうようなビッチなのかな?」
「それは・・・違うけどっ!」
「俺とのセックスはだいぶ好きになってきたんじゃないか?」
「それは・・・確かに・・・気持ちはいいけど」
「今も、早く俺に抱かれたくて一人エッチしていただろう?」
「ううっ・・・拓海さ、ご主人様のイジワルっ!」
「ははは、ゴメンゴメン。でも早く俺との気持ちの良いセックスが大好きになって、そんなセックスをしてくれる俺のことも大好きになってくれよ」
「・・・」
自分でもはっきりわかる。これからもセックスを繰り返してあんな絶頂に何度も導かれてしまったら、私はその快楽を求めて彼の言うことに何でも従うようになってしまうのは確実だ。でもそれは好きとか愛しているとかとは違う気がする。まさに性の奴隷となるということなのではないか。
「ん?どうした芽美?」
黙ってしまった私を不審に思ったのか、拓海さんが声をかけてくる。
「うん・・・好きってどういうことなのかなぁって・・・」
そう言うと拓海さんに鎖を引っ張られた。
正座していた私はバランスを崩し、彼の太ももに手をおいて、ソファに横腹を寄りかからせて横座りになる。
「あんっ、なんですか?」
見上げて文句を言うと、拓海さんが憐れむような視線で私を見ている。
「こういう時にそんなことを考えてしまう堅物だから、25年間も彼氏ができなかったんだな」
心にグサッと刺さる一言。
「だって、大事なことじゃないですかぁ」
いちおう反論するものの、妹の琴美や親友の千佳先輩、それに母からも同じようなことを言われていることを経験豊富そうな男性からも言われると、やっぱりそうなんだという気分になり、発言が尻すぼみになってしまった。
「冗談で言っているのだから、軽くかえせばいいんだよ、『おちんちんは大好きになっちゃうかもしれないけど本体はおじさんだからムリです』とか」
「そんなおじさんぽい下ネタ言うほうが難易度高いですよう」
「そもそも好き嫌いは理屈で決まることじゃないよ。好きになった後で、彼の、例えば『いつもさりげなく気をつかってくれるところが好き』とか言えるけど、好きになる前に『いつもさりげなく気をつかってくれる、だから好きになろう』と思うわけじゃないだろう?」
「・・・そうね」
「これは私見だが、男女が同じ時間を過ごし、同じ体験をして、感情と価値観の共鳴が生じたとき、その先に『好き』に通じる感情が顕現するように思う」
理屈じゃないって言っておきながら、理屈っぽい話が好きなのよね、この人。なんていう内心とは別のことを口に出す。
「ということは、一目惚れ否定派ですか?」
「一目惚れというのは、単に外見が好みのタイプ、やりたいルックスやスタイルというだけで、好きという感情とは違うんじゃないかな」
ん?ということは。
「なら拓海ご主人様が私に好きって言っているのは嘘なんですか?会って同じ経験を共有したことなんてそんなに多くないですから」
「おいおい、 忘れちゃったのかい?黄龍で何度も一緒に楽しく食事したじゃないか!草葉の陰でマスターが泣いてるぞ?」
「ああ、そういえばそうでした。何日か前にも行ったばかりですけど、結菜ちゃんのおじい様、元気にお料理作ってました。今度行ったら悪口言ったこと言いつけちゃいますから」
最近の濃密すぎるお付き合いの記憶が強烈すぎて、それ以前のことはすっかり忘れていた。あれはまぁ・・・確かに楽しい時間だったかもしれない。
「それに人間は楽しいから笑ったり、悲しいから泣いたりするけれど、その逆も成り立つことが最近の神経科学でわかってきた。笑うと楽しくなる、泣くと悲しくなるってことが」
「それはわたしも聞いたことがあります」
「つまり好きになったからエッチするというなら、エッチすれば好きになるのは人間にとって当然のことなんだよ」
「はぁ、結局そういう話になるんですね」
「わかりやすくて説得力あるだろ?」
ドヤ顔の拓海さんがうっとおしい。だから意地悪を言う。
「でもしょせん、私たちは契約上のセックスパートナーですけど。しかも、その、エ、エスとエム的な?」
噛んでしまいそうだったが何とか誤魔化した。
「SMパートナーといってもエスの側がなんでもしていいってことにはならないから。相手を尊重し思いやる気持ちは必要だよ?それにやはり好きな相手とするほうが気持ちがいいに決まってる」
「そんな風に思ってたんですか?ずいぶん好き勝手にやられた気がしますけど?まぁ好きな相手とするほうが気持ちがいいのはその通りですね」
「いちいち承諾を得るのは無理だよ全部拒否するだろうから。お前を好きだという俺の言葉が信じられないのならそれでもいい。だがセックスをするときに言う『好き』は信じていいぞ、なにせ自分も気持ちよくなりたいからね」
少しおどけた感じでそんなことを言うから、わたしも軽く返す。
「それって、一番信じちゃいけない『好き』ですよね?」
「あれ、ここは『それなら私ももっと気持ちよくなるために、エッチのときだけでも拓海ご主人様を好きになる!』って返すところだろう?」
「その手には乗りませんよ、何度も騙されてますから」
「ちぇっ、それは残念!」
そう言って本当に悔しそうな表情を作る拓海さんを見て思わず笑みがこぼれる。そんな私をみて拓海さんも表情をやわらげる。
「ふふふ」
「ははは」
なんだか良い雰囲気になった。
首輪の鎖を軽く引っ張られて上半身を浮かせると、脇の下に手を入れられて抱き上げられ、膝の上に跨いで対面で座らせられる。彼の両手が私の背中に回り、私も両手を彼の首に回した。顔が近い。
「独り相撲はイヤだから、エッチのときせめて俺のことを好きなフリくらいはしてくれないか?」
「仕方ありませんね、それくらいなら」
「ありがとう」
そう言って拓海さんは嬉しそうに微笑み、唇を求めてきた。口を開いてキスを受け入れる。
昨夜のセックスで「拓海ご主人様、大好き」と叫んでいたときのことを思い返すと、たしかに気持ちよさが増していたような気がする。試しに心の中で「拓海ご主人様、大好き」とつぶやいてみる。キスが甘さを増した・・・ような。
でも、セックスを繰り返した先にある感情は、やっぱり好きという気持ちとは違うように思う。性の快楽に嵌まり、まさに性の奴隷となるということなのではないか。
拓海さんとのセックスで達した膣オーガズムの、官能の炎に理性を焼き尽くされて全身を性の悦楽に染め上げられる刹那の多幸感。あの快感を経験することは女の最高の幸せだと思う。
けれどもそれは、私がとうとう後戻りのできぬラインを越えてしまったということでもある。拓海さんがあの快楽を与えてくれることを知ってしまった今、この人に逆らったり、離れたりすることはもはや不可能だ。ずるずると流されてきてしまっていたとはいえ、これまでなら私が傷を負う覚悟で本気で抵抗すれば、拓海さんから逃れることは可能だった。しかしこれからは、色々な枷に縛られ消極的にではなく、絶頂を迎える幸せ欲しさに自分の意思で積極的に彼に従うことになる。
つまり、私が拓海さんの性奴隷となる運命の歯車はもう止められなくなってしまったということ・・・。
口内に侵入してくる舌に自分の舌を絡ませながら、鏡面壁へ視線を向ける。窓のない薄暗い調教部屋で、男の膝に跨って朱に染まった頬でキスに応じている赤い首輪の裸の女が映っている。首輪からは銀色の鎖が長く伸び、キスで首が動くたびにジャラリと音を立てる。その姿は恋人というより性奴隷という表現のほうが明らかに相応しい。
鏡の中の性奴隷姿の自分を見ながら、心の中で「私は拓海ご主人様のマゾ牝奴隷です」とつぶやいてみる。キスが甘さを増し、子宮がキュンと疼く。その事実が私を自虐的な悦楽の深みへいざなう。
いったん口を離し、拓海ご主人様の口の周りにチュッチュッと小鳥がついばむようなキスをする。今度は自分から唇を重ねて舌を差し入れ、ご主人様を愉しませようと、唾液を絡ませながら舌を懸命に踊らせる。
目を閉じてディープキスに集中していると、すでに蜜を貯めている媚肉にご主人様の手が伸びてくるのを感じる。唇が離れる。
「キスだけでこんなに濡らしてしまうなんて、優秀なマゾ牝奴隷だね」
「いやん、そんな風に言わないで」
恥ずかしさに駆られ、いっそうの情熱をもってご主人様の唇を奪う。ご褒美とばかりに、ご主人様の左手で胸が揉みしだかれ、右手の指で敏感な肉芽に小刻みな振動が与えられる。
ジムノペティの落ち着いた曲が静かに流れる薄暗い調教部屋内に、ピチャ、クチュという淫らな水音が混じりだす。奉仕の悦びと愛撫される快感が私を酔わせ、他の全てを忘れさせていく。そんな時がゆったりと流れる。とても幸せ。
「いやんっ」
と、拓海さんの唇が離れ、それがイヤで、つい甘え声をあげてしまった。舌同士がねっとりと糸を引き、いかに淫靡なづけを交わしていたのかを物語る。
「さあ、身体の準備もできたことだし、大好きなお前を今日も調教するよ。お前に快楽を与えるために、俺がお前から快楽を得るために。いいね、マゾ牝奴隷メグ?」
唇を離した拓海さんが耳元に口を近づけ、低い声で囁く。その内容とバリトンの響きが私の身体をゾクリとさせる。快感で濡れる双眸でご主人様の情欲の篭もる瞳を覗き込む。
「はい拓海ご主人様。でも、もう少しこのままでいさせてくださいませ。この後の調教、がんばりますから」
そう言って瞳を閉じ、唾液の残る唇を半開きにしてキスの続きをねだってみる。
「仕方ない奴だ。その言葉忘れるなよ」
そう聞こえた後、柔らかくねっとりした感触で口が塞がれ舌が侵入してきた。私は誘惑が成功したことに軽い満足感を感じながら、ご主人様の舌が口腔内を蹂躙する快楽に心身を委ねていった。
ソファに座った拓海さんの膝に跨ってキスの2回戦を堪能した後、冷たいお水を飲んでひと息つくと、黒いゴムマットの床に横たえられ、昨日と同じ香油マッサージを施された。拓海さんが私のために、クレオパトラという香油をベースに調合し「Tacki for prudish Meg」と命名したオリジナルの香油で。
エジプト・ローズ、ダマスクス・ローズ、ジャスミン、ムスク、シベット、チューベローズ、イランイラン等々、フローラルな良い香りの素材、傾国の美女や高級娼婦達が漂わせていた濃厚な香りの素材、リラックス効果や催淫効果のある素材、香りを長持ちさせる素材など、20種類以上の素材がブレンドされているそうだ。名称の意味は今はまだ秘密とのこと。わざわざそう言われるととても知りたくなる。意地悪。
拓海さんはうつ伏せの私の背中に香油をたっぷり垂らすと、肩から脇腹、お尻まで両手のひらで薄く広げ、指の腹に軽く力を込めて揉み込むようにマッサージする。背中が終わると右手にオイルを垂らし同じことを指先から肩まで。次は左手。仰向けにされ右脚の指先から太ももの付け根まで。左脚、お腹、胸まわり、顔。顔はオイルを垂らさず、手で軽くマッサージするだけ。
香油からは最初、私好みの上品で爽やかなフローラルの香りが立ち上るが、次第に甘くエキゾチックでスパイシーな香りが強まり、男女の情欲をかきたてる媚香へ変わる。
マッサージの間、拓海さんはずっと私に「nubile cunt・・・luscious cunt・・ ・sopping cunty・・・rammy cunty・・・」(成熟マンコ、そそるマンコ、びしょ濡れマンコちゃん、発情マンコちゃん)と囁きかけている。いったいどんな顔で囁いているのか顔が見たいが、目隠しをされていて見えないし、口にはボールギャグを噛まされているから、文句を言うこともできない。
視覚を奪い口を聞けないようにするのは触られる箇所に集中させて新たな性感帯を見つけるためとのこと。脇の下や鎖骨の下、背中の肩甲骨のくぼみ、腰のくびれ、手足の指、膝の表裏、太ももは性感帯になり得るらしいけれど、どこもまだ微妙な感じ。
でも、拓海さんの入念なオイルマッサージは私の性感を徐々に高め、バストの先端や太ももの付け根の先の敏感な箇所はすべて、私を焦らすように慎重に避けられていることでますます官能が煽られる。時とともに淫らさを強めていく香りは、私をまるで高級娼婦になったような上品で淫らな気分にさせる。拓海さんの一定速度で繰り返される囁きは、催眠効果を発揮して私の心に浸透する。
だから、最後に両耳を甘噛みされ、耳奥にフッと息を吹きかけられ、「終わったよ、びしょ濡れマンコちゃん」と囁かれて香油マッサージが完了する頃には、私のヴァギナはその通りグショグショに濡れ、ペニスの挿入を待ち望むかのように花弁がうっすらと開き、隙間からメスの匂いを漂わせている。
入れて欲しくておねだりしようとしても、口から出るのはだらだらと流れでる涎と言葉にならないウーウーという、うなり声だけ。まるで動物のようで恥ずかしい・・・・いや、私はメスだから、きっとこれでいいのだわ。
「ウウッ、ウウー♡」
瞼の裏に拓海さんご主人様を思い浮かべてメスの唸り声で懇願するとご主人様の命令が。
「Spred eagle!」
―ああ、その気になってくれたのね―
私は喜び勇んでご主人様の御命令どおりに、素早く膝を立てて両脚を大きく開く。
「慌てすぎで色気がない、やり直しだ!」
「ウウッ!」(申しわけありませんっ!)
あわてて脚をぴたりと閉じる。
「Spred eagle!」
「ウーウー」(かしこまりました、ご主人さま)
―どうしたら色っぽく脚を開けるかしら―
そんなことを思いながら、再びゆっくりと脚を開く。
「まあまあだな。Show」
「ウー」(かしこまりました)
両手を股間に伸ばして、花弁を指で押し開き、ヴァギナの中をさらけ出す。愛液がトロトロと垂れ落ち外気にさらされた膣内がひんやりとするが、一瞬だった。ご主人様に見られていると思うと、愛液が次々と湧いてきて、すぐに温かさをもたらしてくれる。
「・・・・・」
無言のご主人様に不安が募るが、命令されたままの姿勢でひたすら待つしかない・・・だって私は拓海さんのセックス奴隷だから。首を小さく振ってシャラリを鎖を鳴らし、ご主人様との絆を確認して不安な気持ちを落ち着ける。
「お前のオマンコは、整った形もサーモンピンクの色もとても美しい」
「ウウッ?」
思わぬ賞賛だった。だが自分のヴァギナを論評されるのはとても恥ずかしい。
「そして、そんなオマンコが垂れ流す愛液で濡れ光り、挿入を期待してヒクヒクする様子はとても下品で淫らだな」
「ウウッ、ウウツ!」
普段なら下品な悪口かもしれないが、すっかりセックス奴隷気分の私にとっては、ご主人様のそのお言葉もまた嬉しい賞賛だ。喜びに浸っていると、室内が断続的に強く光るのが目隠しの上からもわかった。カシッツ、カシャッというシャッター音も聞こえたから、おそらく写真を撮られたのだろう。
「ウウー、ウウーッ!」
あわてて脚を閉じる。大きくうなり、強く首を振って抗議の意を示す。もちろん奴隷のそんな抗議は受け入れられない。ご主人様の冷酷な命令が聴こえる。
「Spred eagle and show !」
私は脚を閉じたまま。
動かない私に冷酷な審判が下る。
「懲罰決定。ナターシャによる一本鞭のお仕置だ。重大な命令違反だから回数は5回」
「ウウッ、ウウッ、ウウウーッ!」
―それだけはいやっ!5回なんて死んじゃうっ!―
私は恐怖に駆られて唸り声を張り上げ、必死に首を振る。
「だが・・・」
その声にかすかな希望を感じて動きを止め耳をすます。
「・・・今からしっかりと命令に従うのは当然として、課題を出すからそれを上手に達成することを条件に、もう少し軽い刑罰にしてやろう」
無言でうなづく私。難しい課題じゃありませんように。
「明日また同じ写真を撮るから、今日の写真より色っぽい写真が撮れるよう何か工夫してみろ。今日の写真はあとで見せてやる。必要なものがあればナターシャに頼め。協力するよう言っておくから。いいな!」
「ウー、ウー」
どうすればいいのか思いつかないけど、今はとにかくうなづく。
「ではもう一度。Spred eagle and show !」
脚を開いてオマンコを広げる。でもご主人様は溜息をついてしまわれた。
「はぁ、乾いてしまったじゃないか。これでは良い写真が撮れないな」
私はどうしたらいいかわからず、そのままの姿勢でご主人様の次の言動を待つ。
「お前のオマンコの良い写真が取れたら、ご褒美にたっぷりクンニしてやって、気が向けばそのまま挿入してイカせてやろうと考えていたんだが中止にしよう」
手足を戻し身体の力を抜いて横になっていると、目隠しとボールギャグがはずされる。身体を起こし傍らに立つ拓海さんを見上げる。
「忘れているようだから言っておくが、ここでのプレイは全て映像記録されているぞ。だから、いまさら写真を撮られたところで気にするな。諦めて写真に撮られることを楽しんだほうがいいぞ」
そんなことを言われても困ってしまう。
「次の授業はフェラチオの勉強だ。しばらく一人で反省していなさい」
拓海さんはそう宣言すると、困惑している私を残して調教部屋を出て行ってしまった。ほんの少し前までは気持ちよくて幸せだったのに、今は寂しくて悲しい気分。拓海さんの期待に応えられずちょっと冷たくされるだけでこんなに落ち込むことに、自分でもびっくりする。
中途半端に欲望の炎が灯ったままの身体を持て余し、拓海さんにクンニされそのまま挿入されてイカされることを想像して自分を慰めるが、気持ちよくなれずにただ切なさと欲求不満が募るだけだった。
拓海さんに処女を奪われてから、私の心の中に新しい私が生まれ、存在感を急速に増している。それは自分の欲望に忠実で淫らな私。その私が元の私、慎重でお堅い私に攻撃的な議論を挑んでくる。
―反省しなさいって言われたでしょう?
そんなのいやよ、私は悪くないもの―
―拓海さんとセックス奴隷契約を交わしたはずよ、それを忘れたの?
あんな契約、無効よ―
―サインがしてあるならそれを受け入れたことになるわよ?法的にはともかく。
あれは騙されて間違ってサインしただけよ―
―だれが証明するの?ナターシャ?彼女は拓海さんに有利な証言をするわよ?
そうね・・・でも―
―すでにエッチな動画も写真も撮られてしまっているでしょう?
そうだけど、一枚でも少ないほうがいいし―
―琴美の写真がばらまかれてもいいの?
よくないわ!でもきっと拓海さんはそんなことしないはずよ―
―そう思うなら、自分の写真だって大丈夫でしょう?
・・・そうね・・・―
―レイプされそうになったのを助けてもらったわよね?
うん、でも拓海さんにもレイプされたようなものだし―
―なら、ここにまた犯されに来るのはどうして?
だって、契約書とか、動画とか、琴美のこととか、貞操帯のこととか―
―貞操帯の鍵なんて頑張れば開ける方法くらい見つけられるでしょう?
それは、そうかもしれないけど―
―他のことは理由にならないって結論だったわよね?
・・・ええ・・・―
―拓海さんにレイプされたっていうけど、酷いことをされたって思ってるの?
意識が朦朧としているときに処女を奪われてから、何度も犯されたわ―
―処女なんて、いい加減卒業したかったんでしょう?
それはそうだけど、あんなやり方でなんて―
―でも痛くなかった、むしろ気持ちよかったくせに?
そんなことないわ、痛くはなかったけど、気持ちよかったなんてことは―
―なら録画映像を見てみるといいわね、ノリノリだったじゃない?
そんなことっ!・・・ええ―
―今ではもう拓海さんに犯されたくてたまらないくせに?
今だってレイプされているようなものだから・・・監禁されて―
―拓海さんにマッサージされるだけでグチョグチョに濡らしちゃうくせに?
それは、拓海さんが上手だから・・・―
―マッサージが?それとも優しく処女を奪ったりイカせてくれるセックスが?
それは・・・両方よ―
―隣の男は拒絶して、拓海さんのセックスは受け入れている―
―それでも拓海さんにレイプされたって言い張るの?―
―本音では処女を卒業させてくれたり絶頂を教えてくれたりして感謝してる―
―性に対して奔放になれない自分の固い殻を突き破ってくれてありがとうって―
―いくら被害者ぶっても無駄、わたしはあなた自身なのだから全てお見通しよ―
―本当にイヤならここに来なければいいのに、あなたはここにいる―
―あなたは本心ではこの状況を受け入れ楽しんでいるの―
―拓海さんのマゾ牝奴隷として調教され、女の性(さが)の深淵を覗き見ることを―
―素直になるのよ芽美、ここではあなたを縛るものはなにもないわ―
―鏡を見てごらんなさい、その姿はセックス奴隷そのものじゃないの―
―認めるのよ芽美、あなた=わたしはもう、拓海ご主人様の『虜』なの―
長い自問自答の末、私は本当の私に敗北した。
「拓海ご主人様、ごめんなさい」
こう呟いて、ひとしきり泣く。檻の中に横たわると、昨日の絶頂セックスのことを思い出しながら、ご主人様が戻るのをただひたすら従順に待った。
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※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
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