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Discipline2:躾けられはじめた女
第一話 檻の中での目覚め
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目が覚めたとき、吉野芽美は自分がどこで眠っていたのかわからなかった。なぜなら何も見えなかったから。どうやら目隠しをされているようだ。
目隠しをとろうとするが、両手は後手に手錠で拘束されている。脚だけを使ってなんとか女の子座りの体勢に起き上がる。身体に掛かっていた毛布が腰まですべり落ちる。カチャカチャという手錠の音や、ジャラリという金属音も聞こえる。
靴下さえ履いていない丸裸の状態だが、室内は気温・湿度ともやや高めで風もなく快適だ。少し動けば寒がりの芽美でも汗ばんでしまいそうだった。首筋に違和感を感じる。なにか嵌められている感じ。なぜか身体の節々が痛い。長時間無理な体勢をとっていたかのようだ。
エアコンと加湿器の静かな作動音だけが聞こえる。そのまましばらくじっとしていたが、なんの変化もない。寝起きでぼーっとしている頭を必死に回転させて昨夜の記憶を呼び起こす。
ー金曜日の仕事を終えて拓海さんの事務所へ行ってー
ーナターシャさんていうロシア系の綺麗な女の人とお酒入りのお茶を飲んでー
ー楽しく女子会しているところへ拓海さんが現れてー
ーええっと、恋人契約書にサインしてー
ーその記念に拓海さんが作ってくれた美味しいカクテルを2杯飲んでー
ーそれから?ー
芽美の記憶はそのあたりから曖昧だった。最近、疲れて酔ったまま寝てしまったときによく見る不快な淫夢を見ていたような気がする。でも、途中からは決して不快ではなく、むしろとても気持ちの良い夢だったような・・・?
ぼんやりとした甘い記憶に下半身をモジモジさせていると、カチリと微かな音がして涼しい風が肌を撫でる。人が近づく気配がして緊張に身を震わせる。
「芽美ちゃん、ようやくお目覚めかい?」
拓海の優しい声。ほっとする芽美。
「拓海さん!私、いまどうなってるんですか!?なんだか昨晩から今までのこと、よく覚えてなくて・・・。とりあえずこの目隠しをとってくだ・・・あっ、こっち見ないでくださいっ!」
裸であることを思い出して焦る芽美。その言葉を無視して拓海の手が芽美の頭に触れる。芽美の視界が急に晴れた。眼をパチパチさせていると、だんだんと周囲が見えてくる。殺風景な中に淫靡さを感じさせる奇妙な部屋の中に芽美はいた。
部屋は大きな長方形。片隅に張り出した空間があり、仕切りのないシャワー&トイレブースになっている。
床は全面真っ黒。ゴムでできているような弾力と厚みがあり、水が染み込むことはなく、また大きな音が出ても大部分を吸収してしまいそうだ。
遠くの右の壁及び近くの前の壁はむき出しのコンクリートで、室内をほのかに照らす明かりが幾つか灯っている。前と左の壁がぶつかる角にはそれぞれの面に小さなドアがある。
右の壁には30インチ程度のモニターが掛けられ、手前の台に映像・音響器具がまとめられている。さらにその手前、部屋の真ん中には、室内唯一の家具である小さな赤いソファが置かれている。
ここまでなら『少し変わった部屋』という表現に収まる範疇であろう。しかし奇怪なことに、前方のコンクリート壁面には、グロテスクなSM器具と拘束用のフックが複数設置されている。左と後の壁面および天井はほぼ全面が鏡で、天井の数箇所から拘束用のフックが下がっている。室内中央の床からは黒い鉄の杭が突き出ている。杭の先端の電灯が室内全体をほのかに照らしている。
そしてなにより異様なのは、芽美のいる場所が、左の鏡面近くの鉄の檻の内部であることだ。檻の右下には、四つん這いの姿勢でなら外に出られる程度の空間がある。
この場所は、芽美をマゾ牝として飼いならし、自分専用のセックス奴隷に躾けるために拓海が多額の費用をかけて改造し準備した秘密の調教部屋だった。
芽美は自分の首に真紅の太い革の首輪が嵌められていることに気づく。手前に金属の輪が括り付けられていて、そこに嵌められた銀色の鎖が中央の杭まで伸びている。
前壁面の拘束器具を見て、芽美は昨晩のことをはっきりと思い出す。騙されてSM奴隷契約書にサインし、スタンガンのようなもので気絶させられ、朦朧とする意識のまま破廉恥きわまりない姿勢でそこに拘束され処女を奪われてしまったことを。おそらくお酒の中に、睡眠薬かなにかクスリが入れられていたのだろう。
芽美の脳内を昨夜の拓海のセリフがフラッシュバックする。
ー契約締結の証にお前の処女を頂くぞ、マゾ牝奴隷メグ!ー
ー中に出すぞ、俺の可愛い、マゾ牝奴隷メグっ!ー
「違う!私はマゾ牝奴隷なんかじゃないわ!」
芽美は頭を振りながら、大きな声で心の中に響く拓海のセリフを強く否定する。あの出来事をはっきりと思い出すにつれて、芽吹かせられた隷従の気持ちが存在感を増してくる。拓海はそんな芽美の正面に腰を落とすと、冷静に優しく言葉を紡ぐ。
「そうだね、芽美は本当のセックス奴隷じゃない、今はまだね。でも、昨日交わした2つの契約に基づいて、芽美と俺はこれから約3ヶ月間、SMセックスが大好きな恋人同士として付き合うことになったわけだ。お前はこれから毎週末、この部屋で一匹の牝として飼育され、セックス奴隷として厳しく躾けられてマゾヒストの素質を開花させていくのだから。頑張って早く本当の俺の理想のマゾ牝奴隷になってくれ。」
「何を言っているの!?あんな契約、無効に決まってる!無理やり契約させられたし、公序良俗にだって反するし!」
怒りの言葉が芽美から吐き出されるが、拓海は意に介さずに更に言葉を続ける。
「無理やりって言われても・・・。見てごらん。芽美の自筆ではっきりとサインがしてあるし、拇印だって押してある。誰が見ても無理やりとは思わないさ」
2枚の契約書のコピーが芽美の眼前にかざされる。サインは自分で書いてしまったが拇印は押していない。意識のない時に指を使われてしまったのだろうと芽美は悔しく思う。
「それに公序良俗に反するかどうかは微妙じゃないかな。ちょっと変わったセックスが好きな男女が、実際に行為を行なうにあたってトラブルが発生しないようお互いに守るべきルールを取り決めた私的な契約書にすぎないからね。よく読んでもらえばわかってもらえると思うんだけれど、決して芽美に酷いことをして傷つけたり、お金を巻き上げたり、買春させたりしようとしているわけじゃない。お互いの立場を尊重して一緒に気持ちよくなろうね、っていうだけだから。
ここ数年、恋人同士でもデートDVとかリベンジポルノのようなトラブルが増えているのは頻繁にニュースになっているから知ってるだろう?SMパートナー関係ともなると、そういったトラブルの懸念が格段に高まることも予想がつくね?
だから最近は、あらかじめ行為の詳細を取り決めた契約を交わしてから付き合う男女が日本でも増えているんだ。訴訟社会の欧米ではけっこう前から常識的に行なわれている慣習だし。欧米人のアブノーマルさは僕ら日本人の想像つかない範疇にあるから。そうだよね、ナターシャ?」
「プラービリナ(そのとおり)!ロシアにもHENTAIさん多いね」
芽美が異常な内容を優しく語る拓海に気味悪さを感じ黙っていると、突然のナターシャの声に驚かされる。ドアのほうを見上げると、ちょうどナターシャがサンドウィッチがのったトレーを持って入って来るところだった。
彼女はなぜかメイド服を着ているが、それは秋葉原のメイド達と違い、長いスカート丈の露出が少ない上品な正統派の装い。長身で大柄な体型のナターシャにも、欧州発祥の正統派メイド服はよく似合っている。
芽美には、彼女がどうしてそんな格好をしているのかわからなかった。
「ナターシャさん!どうしてそんな格好を?」
そしてすぐにこう付け加える。
「助けて!私、この人にレイプされたの!」
目隠しをとろうとするが、両手は後手に手錠で拘束されている。脚だけを使ってなんとか女の子座りの体勢に起き上がる。身体に掛かっていた毛布が腰まですべり落ちる。カチャカチャという手錠の音や、ジャラリという金属音も聞こえる。
靴下さえ履いていない丸裸の状態だが、室内は気温・湿度ともやや高めで風もなく快適だ。少し動けば寒がりの芽美でも汗ばんでしまいそうだった。首筋に違和感を感じる。なにか嵌められている感じ。なぜか身体の節々が痛い。長時間無理な体勢をとっていたかのようだ。
エアコンと加湿器の静かな作動音だけが聞こえる。そのまましばらくじっとしていたが、なんの変化もない。寝起きでぼーっとしている頭を必死に回転させて昨夜の記憶を呼び起こす。
ー金曜日の仕事を終えて拓海さんの事務所へ行ってー
ーナターシャさんていうロシア系の綺麗な女の人とお酒入りのお茶を飲んでー
ー楽しく女子会しているところへ拓海さんが現れてー
ーええっと、恋人契約書にサインしてー
ーその記念に拓海さんが作ってくれた美味しいカクテルを2杯飲んでー
ーそれから?ー
芽美の記憶はそのあたりから曖昧だった。最近、疲れて酔ったまま寝てしまったときによく見る不快な淫夢を見ていたような気がする。でも、途中からは決して不快ではなく、むしろとても気持ちの良い夢だったような・・・?
ぼんやりとした甘い記憶に下半身をモジモジさせていると、カチリと微かな音がして涼しい風が肌を撫でる。人が近づく気配がして緊張に身を震わせる。
「芽美ちゃん、ようやくお目覚めかい?」
拓海の優しい声。ほっとする芽美。
「拓海さん!私、いまどうなってるんですか!?なんだか昨晩から今までのこと、よく覚えてなくて・・・。とりあえずこの目隠しをとってくだ・・・あっ、こっち見ないでくださいっ!」
裸であることを思い出して焦る芽美。その言葉を無視して拓海の手が芽美の頭に触れる。芽美の視界が急に晴れた。眼をパチパチさせていると、だんだんと周囲が見えてくる。殺風景な中に淫靡さを感じさせる奇妙な部屋の中に芽美はいた。
部屋は大きな長方形。片隅に張り出した空間があり、仕切りのないシャワー&トイレブースになっている。
床は全面真っ黒。ゴムでできているような弾力と厚みがあり、水が染み込むことはなく、また大きな音が出ても大部分を吸収してしまいそうだ。
遠くの右の壁及び近くの前の壁はむき出しのコンクリートで、室内をほのかに照らす明かりが幾つか灯っている。前と左の壁がぶつかる角にはそれぞれの面に小さなドアがある。
右の壁には30インチ程度のモニターが掛けられ、手前の台に映像・音響器具がまとめられている。さらにその手前、部屋の真ん中には、室内唯一の家具である小さな赤いソファが置かれている。
ここまでなら『少し変わった部屋』という表現に収まる範疇であろう。しかし奇怪なことに、前方のコンクリート壁面には、グロテスクなSM器具と拘束用のフックが複数設置されている。左と後の壁面および天井はほぼ全面が鏡で、天井の数箇所から拘束用のフックが下がっている。室内中央の床からは黒い鉄の杭が突き出ている。杭の先端の電灯が室内全体をほのかに照らしている。
そしてなにより異様なのは、芽美のいる場所が、左の鏡面近くの鉄の檻の内部であることだ。檻の右下には、四つん這いの姿勢でなら外に出られる程度の空間がある。
この場所は、芽美をマゾ牝として飼いならし、自分専用のセックス奴隷に躾けるために拓海が多額の費用をかけて改造し準備した秘密の調教部屋だった。
芽美は自分の首に真紅の太い革の首輪が嵌められていることに気づく。手前に金属の輪が括り付けられていて、そこに嵌められた銀色の鎖が中央の杭まで伸びている。
前壁面の拘束器具を見て、芽美は昨晩のことをはっきりと思い出す。騙されてSM奴隷契約書にサインし、スタンガンのようなもので気絶させられ、朦朧とする意識のまま破廉恥きわまりない姿勢でそこに拘束され処女を奪われてしまったことを。おそらくお酒の中に、睡眠薬かなにかクスリが入れられていたのだろう。
芽美の脳内を昨夜の拓海のセリフがフラッシュバックする。
ー契約締結の証にお前の処女を頂くぞ、マゾ牝奴隷メグ!ー
ー中に出すぞ、俺の可愛い、マゾ牝奴隷メグっ!ー
「違う!私はマゾ牝奴隷なんかじゃないわ!」
芽美は頭を振りながら、大きな声で心の中に響く拓海のセリフを強く否定する。あの出来事をはっきりと思い出すにつれて、芽吹かせられた隷従の気持ちが存在感を増してくる。拓海はそんな芽美の正面に腰を落とすと、冷静に優しく言葉を紡ぐ。
「そうだね、芽美は本当のセックス奴隷じゃない、今はまだね。でも、昨日交わした2つの契約に基づいて、芽美と俺はこれから約3ヶ月間、SMセックスが大好きな恋人同士として付き合うことになったわけだ。お前はこれから毎週末、この部屋で一匹の牝として飼育され、セックス奴隷として厳しく躾けられてマゾヒストの素質を開花させていくのだから。頑張って早く本当の俺の理想のマゾ牝奴隷になってくれ。」
「何を言っているの!?あんな契約、無効に決まってる!無理やり契約させられたし、公序良俗にだって反するし!」
怒りの言葉が芽美から吐き出されるが、拓海は意に介さずに更に言葉を続ける。
「無理やりって言われても・・・。見てごらん。芽美の自筆ではっきりとサインがしてあるし、拇印だって押してある。誰が見ても無理やりとは思わないさ」
2枚の契約書のコピーが芽美の眼前にかざされる。サインは自分で書いてしまったが拇印は押していない。意識のない時に指を使われてしまったのだろうと芽美は悔しく思う。
「それに公序良俗に反するかどうかは微妙じゃないかな。ちょっと変わったセックスが好きな男女が、実際に行為を行なうにあたってトラブルが発生しないようお互いに守るべきルールを取り決めた私的な契約書にすぎないからね。よく読んでもらえばわかってもらえると思うんだけれど、決して芽美に酷いことをして傷つけたり、お金を巻き上げたり、買春させたりしようとしているわけじゃない。お互いの立場を尊重して一緒に気持ちよくなろうね、っていうだけだから。
ここ数年、恋人同士でもデートDVとかリベンジポルノのようなトラブルが増えているのは頻繁にニュースになっているから知ってるだろう?SMパートナー関係ともなると、そういったトラブルの懸念が格段に高まることも予想がつくね?
だから最近は、あらかじめ行為の詳細を取り決めた契約を交わしてから付き合う男女が日本でも増えているんだ。訴訟社会の欧米ではけっこう前から常識的に行なわれている慣習だし。欧米人のアブノーマルさは僕ら日本人の想像つかない範疇にあるから。そうだよね、ナターシャ?」
「プラービリナ(そのとおり)!ロシアにもHENTAIさん多いね」
芽美が異常な内容を優しく語る拓海に気味悪さを感じ黙っていると、突然のナターシャの声に驚かされる。ドアのほうを見上げると、ちょうどナターシャがサンドウィッチがのったトレーを持って入って来るところだった。
彼女はなぜかメイド服を着ているが、それは秋葉原のメイド達と違い、長いスカート丈の露出が少ない上品な正統派の装い。長身で大柄な体型のナターシャにも、欧州発祥の正統派メイド服はよく似合っている。
芽美には、彼女がどうしてそんな格好をしているのかわからなかった。
「ナターシャさん!どうしてそんな格好を?」
そしてすぐにこう付け加える。
「助けて!私、この人にレイプされたの!」
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