64 / 159
勇者物語に首を突っ込む編
064-想い人
しおりを挟む
ガオゴウレンさん……思わぬところで出てきた厄介な人の名前……2年生の終わりの交流会で盗賊相手に大暴れてた私を見ていきなり告白してきたおかしな人だ。その後3年生になってからも遠慮なしに私の研究室にたずねてきては食事や観光に誘ってきて大変でした……最初は止めてくれたアークもそのうち面白がるようになり婚約者なのに「お前も幸せになれ」と意味不明なこと言ってガオゴウレンさんを応援しだして大変でしたね……
「あの方に頼んだらクロービに行けるでしょうが……とても面倒なことになると思います……」
私は今までのことを思い出しぐったりとしてしまった……
「でも他にいないでしょ~いいじゃん別にマルレいまフリーなんだし」
「そうですよ貴方は自由なんですから誰とでも付き合っても良いのですよ」
アリッサとラーバルは無責任に付き合えと言ってきてる。一体どういうことだろう?
「なぜ私がガオゴウレンさんと付き合えば良いみたいな言い方なんです?」
「だって告白された後馬車で移動中すっごい悩んでたじゃん!」
「そうですよ顔を赤くしたり青くしたりまんざらでもないような感じでしたよ?」
だいぶ誤解されてますわ。あれは告白されたと言う事実に戸惑っていただけで彼がどうとかそういう事では無かったのですが……
「それは誤解ですわ、告白されたということについて考えていただけです!私は彼のこと良いと思ったこと一度もありませんもの」
「え~?そうなの?婚約のことで拒否してたんじゃないんだ~」
「そうでしたか……」
「そうですわ!こういう話題になるとあなた達はグイグイ来ますがあなた達はどうなんですの?」
いつも私のことばかりだったので2人の恋愛事情について聞いて見ることにしました。
「ん~私はめんどくさいから全部その場で断ってる」
「私は手合わせしてあなたが勝てたら考えると返事してますが負けた事ありませんので……」
「えーと?何度も告白されているような言い方ですが……」
え?うそでしょ?
「うん学生時代から結構多いよ」
「私も同じく……たまに女性もいますが……」
うん……聞かなきゃよかった……何でしょうかこの謎の敗北感……
「マルレ……表情筋が死んでるけど大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ」
ラーバルはふと悲しげな表情をしながら優しく話しだした。
「私は常々思っております。いくら大勢に求愛されようがたった一人の想い人に振り向いてもらわなければ意味がないのです」
「想い人……」
いくらモテても自分が好きな人に好かれなければ意味がない前世でもよく聞いた言葉だ……ラーバルに言われて忘れたくても忘れられず蓋をして閉じ込めていた思いがちょっぴり溢れてきた……
「そうですか……その想い人にすでにお断りされてる場合はどうしたら良いのでしょう?」
私の口から漏れた秘密を聞いた2人は完全に固まってしまい妙な沈黙のあと2人は丸聞こえなヒソヒソ話しを始めた。
(どうやら特大の地雷を踏んじゃったみたいね……)
(ええ……雑誌の知識で慰めたらとんでもない事になりましたわ)
ラーバル良い事言いますね、と思ったのに雑誌の受け売りでしたの?
(どうするのよ!)
(どうすると言われましても……)
二人のヒソヒソ話を聞いていたらお兄様が2代目勇者の棚から資料を持ってこちらにやってきた。
「マルレまだ……ファーダのこと諦めてなかったのか?そんなことより……これを見てみろ2代目勇者の敵の精気を吸う魔王を初代様が倒してしまってすごく揉めたとの記録があるぞ!」
「え?初代様が魔王を倒していたのですか?」
まさかこんなところでドレストレイル家の初代様の武勇伝を聞くとは思いませんでしたわ!だいぶ自由な方だったみたいですね!
「ああ……お前も危うく今代の勇者と揉めるところだったなあ……ははは」
「そうですわね!アリッサとラーバルに早く来ていただいて助かりましたわ!」
二人の顔を恐る恐る見る……アリッサはポカンと口を開けたままこちらを見ている……
「ファーダってマジか!」
「ファーダさんですか……」
そうですわよね流せませんよね!2人にばっちり聞かれてしまいました!
「お兄様!何さらっと余計なことを言ってくれましたの!?」
「余計なこと?……ああ……すまん……屋敷では全員知っていたからついな……」
「全員知っていたですって!?」
「お前が8歳のとき……急に凶暴になったのを心配した父上が徹底的に調べたらしくファーダがマルレを拒否して悲しいけど嬉しいと所構わず話してたからな」
「そんなことが……私が荒れてた理由をファーダは……」
「知らないはずだ……権力を理解しだして我儘になって困るとか見当違いのこと言ってたぞ」
「そうでしたか……覚えてすらいないのかもしれませんね……」
勇気を出した私の一世一代の告白を「無理」の一言で片付けておいて更にそれを忘れるとかひどすぎ……
「あの~マルレ……なんか変な話になってごめんね……」
「私も謝りますわ……ごめんなさい」
アリッサとラーバルになぜか謝られてしまった……
「いいのよ……気にしないで、それよりクロービに行く方法よ!」
脱線した話を無理やり戻しクロービに行く方法を話し合った。国王に話を通すかガオゴウレンさんにお願いするかの2択でアークには迷惑をかけたのでこれ以上王族に迷惑をかけるのもいけないと言うことになりやはりガオゴウレンさんにお願いするしかないと話がまとまりました。
「あの方に頼んだらクロービに行けるでしょうが……とても面倒なことになると思います……」
私は今までのことを思い出しぐったりとしてしまった……
「でも他にいないでしょ~いいじゃん別にマルレいまフリーなんだし」
「そうですよ貴方は自由なんですから誰とでも付き合っても良いのですよ」
アリッサとラーバルは無責任に付き合えと言ってきてる。一体どういうことだろう?
「なぜ私がガオゴウレンさんと付き合えば良いみたいな言い方なんです?」
「だって告白された後馬車で移動中すっごい悩んでたじゃん!」
「そうですよ顔を赤くしたり青くしたりまんざらでもないような感じでしたよ?」
だいぶ誤解されてますわ。あれは告白されたと言う事実に戸惑っていただけで彼がどうとかそういう事では無かったのですが……
「それは誤解ですわ、告白されたということについて考えていただけです!私は彼のこと良いと思ったこと一度もありませんもの」
「え~?そうなの?婚約のことで拒否してたんじゃないんだ~」
「そうでしたか……」
「そうですわ!こういう話題になるとあなた達はグイグイ来ますがあなた達はどうなんですの?」
いつも私のことばかりだったので2人の恋愛事情について聞いて見ることにしました。
「ん~私はめんどくさいから全部その場で断ってる」
「私は手合わせしてあなたが勝てたら考えると返事してますが負けた事ありませんので……」
「えーと?何度も告白されているような言い方ですが……」
え?うそでしょ?
「うん学生時代から結構多いよ」
「私も同じく……たまに女性もいますが……」
うん……聞かなきゃよかった……何でしょうかこの謎の敗北感……
「マルレ……表情筋が死んでるけど大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ」
ラーバルはふと悲しげな表情をしながら優しく話しだした。
「私は常々思っております。いくら大勢に求愛されようがたった一人の想い人に振り向いてもらわなければ意味がないのです」
「想い人……」
いくらモテても自分が好きな人に好かれなければ意味がない前世でもよく聞いた言葉だ……ラーバルに言われて忘れたくても忘れられず蓋をして閉じ込めていた思いがちょっぴり溢れてきた……
「そうですか……その想い人にすでにお断りされてる場合はどうしたら良いのでしょう?」
私の口から漏れた秘密を聞いた2人は完全に固まってしまい妙な沈黙のあと2人は丸聞こえなヒソヒソ話しを始めた。
(どうやら特大の地雷を踏んじゃったみたいね……)
(ええ……雑誌の知識で慰めたらとんでもない事になりましたわ)
ラーバル良い事言いますね、と思ったのに雑誌の受け売りでしたの?
(どうするのよ!)
(どうすると言われましても……)
二人のヒソヒソ話を聞いていたらお兄様が2代目勇者の棚から資料を持ってこちらにやってきた。
「マルレまだ……ファーダのこと諦めてなかったのか?そんなことより……これを見てみろ2代目勇者の敵の精気を吸う魔王を初代様が倒してしまってすごく揉めたとの記録があるぞ!」
「え?初代様が魔王を倒していたのですか?」
まさかこんなところでドレストレイル家の初代様の武勇伝を聞くとは思いませんでしたわ!だいぶ自由な方だったみたいですね!
「ああ……お前も危うく今代の勇者と揉めるところだったなあ……ははは」
「そうですわね!アリッサとラーバルに早く来ていただいて助かりましたわ!」
二人の顔を恐る恐る見る……アリッサはポカンと口を開けたままこちらを見ている……
「ファーダってマジか!」
「ファーダさんですか……」
そうですわよね流せませんよね!2人にばっちり聞かれてしまいました!
「お兄様!何さらっと余計なことを言ってくれましたの!?」
「余計なこと?……ああ……すまん……屋敷では全員知っていたからついな……」
「全員知っていたですって!?」
「お前が8歳のとき……急に凶暴になったのを心配した父上が徹底的に調べたらしくファーダがマルレを拒否して悲しいけど嬉しいと所構わず話してたからな」
「そんなことが……私が荒れてた理由をファーダは……」
「知らないはずだ……権力を理解しだして我儘になって困るとか見当違いのこと言ってたぞ」
「そうでしたか……覚えてすらいないのかもしれませんね……」
勇気を出した私の一世一代の告白を「無理」の一言で片付けておいて更にそれを忘れるとかひどすぎ……
「あの~マルレ……なんか変な話になってごめんね……」
「私も謝りますわ……ごめんなさい」
アリッサとラーバルになぜか謝られてしまった……
「いいのよ……気にしないで、それよりクロービに行く方法よ!」
脱線した話を無理やり戻しクロービに行く方法を話し合った。国王に話を通すかガオゴウレンさんにお願いするかの2択でアークには迷惑をかけたのでこれ以上王族に迷惑をかけるのもいけないと言うことになりやはりガオゴウレンさんにお願いするしかないと話がまとまりました。
0
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
目が覚めたら誰もいねええ!?残された第四王子の俺は処刑エンドをひっくり返し、内政無双で成り上がる。戻って来てももう遅いよ?
うみ
ファンタジー
『イル・モーロ・スフォルツァ。喜べ、一番の愚息であるお前が今日から王になるのだ』
隣国から帰国した翌日、玉座にふざけたことが書かれた手紙が置いてあった。
王宮はもぬけの殻で、王族連中はこぞって逃げ出していたのだ!
残された俺の元には唯一の護衛である騎士と侍女しかいなかった。
重税につぐ重税で国家は荒廃し、農民は何度も反乱を起こしているという最悪の状況だった。
更に王都に伯爵率いる反乱軍が迫って来ており、自分が残された王族としてスケープゴートにされたのだと知る。
王宮から脱出した俺は伯爵を打ち倒し、荒廃しきった国を最強国にまで導くことを誓う。
いずれ逃げ出した王族たちに痛撃を食らわせることを心に秘めながら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる