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金曜スペシャル(2)

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 「ミス・ヌードコンテスト」などというものもあった。当時は知らなかったが、最近になってネット検索してみると、アメリカにおけるポルノ女優やヌードモデルの「登竜門」のようなものらしい。写真家や監督、製作会社が審査員になるが、一般の人も「入場料」を払って見たり投票したりすることができる。言ってみればミスコンの変形である。もちろん、出場者の大半は普段からそういう「仕事」をしている女性。その中の数名に「密着取材」し、普段の「仕事」をしている所や、彼氏とデートしているところ、裸になって体を磨き上げている所などが映像で紹介された。「仕事」というのはもちろん裸になる仕事で、実際に写真撮影をするところなどが映っていた。男性をいかに興奮させるか、ポーズを工夫しているかインタビューもされていた。

 写真家が、一糸纏わぬ女性に様々なポーズをとらせているシーンも流れる。

 ナレーションが流れる。

 「皆さんはカメラマンを羨ましく思うことだろうが、カメラマンは仕事に集中して実際にはじっくり味わう余裕などない」

 「でも、やっぱり羨ましい」

 当時、日本のヌード写真は股間が映らないようにポーズを工夫したものばかりだったが、海外ではそんなものは無いらしい。股間の部分には雲のような暈しが付けられていた。

 彼氏に、

 「自分の彼女の裸が他の男性たちに見られて平気なのか?」

という質問もあった。答えは、

 「あなたが私にこうやってインタビューするのも仕事だろう。彼女は自分のからだで仕事をしているにすぎない。みんなが彼女のからだを見て喜んでくれれば俺も嬉しい」
 という返事だった。

 彼女以外にも数人のエントリー予定の女性の生活が紹介される。カメラの前で自慢の乳房をマッサージしたりしている。
 
 白人がほとんどだが、黒人女性もいる。東洋人は少ないようで番組中には出て来なかった。


 番組のクライマックスはもちろん実際のコンテストの映像で、入場を制限された会場に一直線に築堤のような細長い「舞台」が造られる。そこに、エントリーした女性が一人ずつ自慢のからだを披露しながら登場するのである。もちろんテレビ上では暈しがかけられている。映像処理の手間を省くためか、脚の付け根付近に一直線に暈しを掛けられていた。身長に差があるためか、下腹部から太腿の間はほぼ映っていない。

 余談だが、当時はもちろん、CG処理などというものは存在しない。映像一コマごとに手作業で「加工」を施したのであろう。当時日本国内で公開されているヌード写真や映像はポーズや角度で股間が写らないようにしたものばかりだったから特に青少年の場合は好奇心から余計に興味を惹いたものだが、その後ヘアヌードが解禁されてしまえば大したものではなく、「作業」に携わった人たち(恐らく大半は男性であろう)も楽しむどころか、いい加減嫌になったかもしれない。30年くらい前には「アダルトビデオ制作会社」の従業員募集というものも結構あり、採用条件に「女性のからだを見るのが大好きな人」などという項目があることもあった。そんな映像ばかり見ていなければならないわけだから、確かに好きでなければやっていられない仕事だっただろう。

 閑話休題。戻ることにする。

 エントリー女性が全て並ぶと、全員正面を向く。そして、後ろ向きになる。背中とお尻だけが映った時は暈しが消えた。

 投票結果が出て、優勝者が決まるとレイがかけられ、ティアラが被せられる。「クイーン」になったことを裸のまま飛び跳ねて喜んでいる。両胸の乳房が揺れている。

 密着取材していた女性は結局選ばれず、

「私こそミス・ヌードだと思っていたのに」

 とがっかりした映像が流れた。裸のままがっくりとうなだれる。

 それにも挫けることなく来年こそ優勝することを信じて、彼女は「仕事」に励むのである。

 このイベントは今でも続いていて、日本人女性が参加することもあるようだ。真偽のほどは分からないが、日本人成人女性の1/200がアダルトビデオ出演経験があると某深夜番組で言っていたから、むしろ当然なのかも。日本国内でもアダルトビデオ女優のコンテストがあるそうだが、こちらは着衣のままだから性格がまるで違う。

 当時子供だった私には衝撃的な映像だったが、大人になった今では、衣服で覆い隠しているほとんどのミスコンより、本来こうあるべきかもしれないとも思う。「女性の美しさ」というのは、体すべてをさらけ出してこそだと思うからである。今でも私はヌードこそ最高の女性の美しさを表現するものだと思っている。顔だけ美人であってもプロポーションが悪い女性は珍しくない。この番組が私に与えた影響は確実に大きかった。

 
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