息子は恋人

zebra

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息子との関係

無言

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 あの日のことは一生忘れないと思う。

 私のからだの中からすっと抜けて行った時の寂しさも。

 それから数日が経過した。

 夕食の席で、夫が言った。

 「今度の日曜から2週間、アメリカに出張だから」

 息子の目が私の目を見ている。それだけで通じ合えた。

 その夜から、夫は惜しむように私のカラダを求めてきた。その間も息子を思い浮かべて思わず笑みがこぼれる。悪いとは思うけど、目覚めてしまったものはもう押えられない。

 もっとも、夫とするのもそんなに悪くはない。10年以上もすっかりなじんだ、自分のからだの一部のような感触。

 そして、その日が来た。

 早朝、夫は大きなトランクを牽いて出かけて行った。

 息子と二人で朝食。私の仕事も息子の学校も休みだから、向かい合ってゆっくりと楽しむ。

 家中のカギをかけて、カーテンを閉める。誰も来ないだろうけど、用心に越したことはない。

 息子の部屋に入る。うちでは自主性を考えるから、息子が招き入れてくれない限り入ることはしない。掃除もすべて自分でやらせている。

 準備は整った。

 向かい合って立つ。それだけで十分。言葉は要らない。

 息子のシャツのボタンに手を掛ける。一つづつ、ゆっくりと外していく。急ぐことは無い。時間は十分すぎるほどあるのだから。

 外し終わると、両手を降ろす。

 息子の両手が伸びてきた。私の服のボタンを一つずつ外していく。高鳴る鼓動を悟られないように必死で押さえる。

 無言のまま繰り返し、私も息子も肌着姿になった。それを脱がせれば、生まれた時の姿に還る。

 意を決してランニングシャツに手を掛ける。息子は応じるように両手を挙げた。そのまま上に引き上げる。

 次は私の番。私のかわいい双子が「早く解放してください」と騒いでいる。

 息子の両手が背中に伸びてきた。一瞬双子が引っ張られる感触を覚えるが、それはすぐ解放される。

 私の上半身が息子の目の前に晒される。恥ずかしいとかいった感情は湧かない。今から私のからだは息子の物なのだから。

 何度も見ているのに、息子の瞳が輝いている。少なくとも私にはそう感じる。

 無言で息子の両手を持って、双子の元に誘う。かわいがってあげて。

 
 今朝から息子と私は一言も交わしていない。外からは分からないのはもちろんのこと、まさかとは思うが夫が私と息子の中を疑って盗聴器を仕掛けていたとしても一切分からないだろう。隠しカメラをしかけられていたりしたらさすがにばれるが、それはいくらなんでも考え過ぎというもの。


 息子は、私のからだをじっと見ている。私も息子のからだを見る。二人はもうそれが自然にできる関係。

 お互い声を出さなくても心が通じ合えている。既に親子を超越した存在。

 息子の指先が、双子に触れた。柔らかい指先が敏感な肌に心地よい。

 お返しに私も息子の胸に触れる。何の変哲もないごく普通の少年のからだ。でも私にはそれが愛おしい。

 息子の唇が私の双子の天辺に当たる。双子は私とは別個の意思を持つが如くピクンと反応した。舌の湿り気が心地よい。

 舌先はそのままゆっくりと下がってくる。双子を征服した後、その狭間の渓谷を、そして腹部へ。

 息子の動きが止まった。どうしたのかなと思ったが、好きなようにさせてみる。

 息子の目が一点を注視している。すぐに分かった。私の臍。

 考えてみれば、臍は私と私の母を繋いできたところだ。そしてその命はこうして息子に繋がっている。双子には気の毒だけれど、息子にとって遥かに大切なところだと言えるのかもしれない。

 私も息子の臍を見る。私と息子を十月十日繋いできた命の痕跡。

 意を決したように、息子は私の臍の周りを舐め始めた。あらためて命の繋がりを実感したのかもしれない。

 その窪みの中に舌が入っていく。夢の中にいるような心地。この子、信じられないようなことをしてくれる。

 両手がショーツに触れる。少しずつずらしていく。私は生まれたままの姿になった。

 息子の両手が後ろに回る。掌が私のお尻をの上を行き来する。自分では見たことのない部分。他の女性と比べてどうなのか分からないけど、気に入ってくれて嬉しい。

 私は立ったまま。息子はしゃがみ込んで私の股間に顔を埋める。

 桜貝に息子の唇が触れる。思いがけないほど強い力で吸ってくる。

 (これはキスなのだ)

 私は自覚する。 隙間に息子の舌が入ってきた。
 
 息子ではあるけど、それ以上に愛しい人。それがいつか確実に終わるものだと分かっていても、それまでこの時間を大切にしたい。

 私が意識する間もなく、一筋の飛沫が「唇」の間から噴き出し、息子の顔に降り注いだ。

 あまりの快感に愛液を吹いてしまったようだ。

 気まずいとは思ったけど、自然現象なのだから謝るのもおかしい。

 息子はそのまま何事もなかったかのように続け、やがて静かに口を離した。

 息子の下半身を見る。パンツの真ん中がはっきりと突っ張っている。私も応えてあげなくちゃ。

 息子のからだを胸から下に丁寧に舐めていく。しゃがみ込むと、すぐ前に臍がある。私のからだと繋がっていた場所。小さなくぼみの中に舌を入れてみる。私の胎内にいる時、ここから栄養をあげていたところ。懐かしく、そして愛おしい。

 パンツをゆっくり下ろしていく。思った通り、固く斜め上を向いている。もうそろ周りに毛が生えてきてもいい頃だ。ツルツルな状態も「見納め」になるだろう。

 包んでいる皮をゆっくりずらす。「中味」が見えてくる。

 口を大きく開き、目で合図する。息子は軽く頷いた。

 私の口の中に進行してきた。ソーセージなんかに例える記述がよくあるが、失礼な話だ。あんな柔らかいものとは全くの別物。
 
 あれだけやってくれたのだから、私も思い切りサービスしてあげなきゃ。

 亀頭をゆっくりと舐めまわす。喉の奥に届くくらい大きく口を開き、「本体」も口に含んでいく。

 目だけ動かして見上げてみる。気持ちよさそうな顔。よかった。満足してくれているみたい。

 心いくまで舐めてから、口をゆっくり離す。目の前には小さな丸い物が二つ入った袋が。こちらも舐めてあげなきゃ。

 舌を使い過ぎたためか、だいぶ疲れた。夫とする時はここまではやらない。そろそろクライマックスにしていこう。

 コンドームを出してきて、息子に渡す。息子は無言で「装着」した。だいぶ手際が良くなった。

 目で合図して、息子のベッドに仰向けになる。

 息子は、私に覆いかぶさるように構える。私は両眼を閉じた。

 「いつでもどうぞ」

 というサインのつもり。前儀はもう十分。

 息子は頷いた。

 亀頭が触れるのを感じる。本当はいけない事なのに、嬉しくて仕方がない。

 そして馴染みの場所であるが如く何のためらいも無く入ってきた。つい先日のことなのに懐かしく、天にも昇るような気持ち。

 このまま逝ってしまってもいい。夫はショックだろうけど。
 
 息子と私は元々一つだった。それが再び一つに戻った。何の不自然も無いことなのかもしれない。

 幸せな時間は過ぎ、また離れる時が来た。

 名残惜しいけど、これっきりというわけでもない。

 結局私と息子は最初から最後まで一言も話しことなく事を終えた。言葉を交わさなくても通じ合える関係になっていた。


 
 数日後、洗濯をしていると、息子のパンツが汚れていることに気付いた。

 「この子、「大人」になったんだ」

 これからは母親と息子ではなく、対等に関係を続けていこうと思った瞬間だった。


 
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