息子は恋人 友情編

アカネ④

　息子はすぐ浴衣を着始めたが、アカネはまだ興奮気味で裸のままベッドに横たわっている。

　息子に声を掛ける。

　「相手をしてもらったんだから、まずアカネにお礼を言いなさい」

　「どうもありがとうございます」

　「いいのよ。また機会があったら相手してあげる。今すぐはちょっと無理だけど」

　次はアカネに声を掛ける。

　「大丈夫？痛くなかった？」

　「それは大丈夫。いくらなんでもまだ小学生だもの。すぽっと挿ってくれたわよ」

　それは私も経験済みだけど、人それぞれだろうからアカネもそうだということは分からなかったわよ。

　「ふたりとも知ってる？ギリシャ神話のキューピッド、あれって「愛」の神様なんだよ。この子、私たちのキューピッドだよ。きっと」

　私はギリシャ神話なんて詳しくないから、愛の神様と言うと「ミロのビーナス」くらいしか思いつかない。私が勘違いしていたのか。

　「日本のキューピー人形はおちんちんが無いから分からないのも無理ないわよね」

　確かに。男の子だなんて意識している人は少ないかもしれない。

　「明日の朝はアヤメの番だけど、大丈夫？できないようならまた私が相手してもいいわよ」

　「私はアカネみたいなカラダじゃないけど、バカにしないで。これでも子持ちなんだから」

　「そう、ならいいけど。今夜はこれで終わりね。寝ましょ」

　アカネも宿の浴衣を手早く着て、満足げな顔ですぐ寝入ってしまった。

　息子を見ると、こちらはもうすでに寝ている。

　アヤメは息子の寝顔を見ながら言った。

　「きっと疲れたのね。普段と違う相手だったから」

　そうかもしれない。