383 / 392
離れた生活
賭博
しおりを挟む
「あそこは娯楽場だ。王都にもあるが、あそこは貴族の遊び場で、こっちはどんな手を使って金持ちになったのかは知らないが、とりあえず超金持ちが集まる場所だ」
「えっと、なんでそんなところに行こうとしているんですか……。お金は誰が出すと……」
「まあまあ、硬いこと言うなよー。ニクスは俺が思っていたより金持ちだったらしいからな。潜伏調査をしに行くだけだ。とりあえず、金貨一〇〇〇枚下ろしてきてくれ。オリハルコンを手に入れたら、返すからよ」
ゲンジさんは僕の肩に腕を乗せ、お願いしてきた。
「返してくれなかったら怒りますからね」
僕は腕を払い、手を柄に当てる。
「おー、こわ、おー、こわ。俺は元刑事だぜ。嘘はつかねえよ」
ゲンジさんは手を上げ、呟いた。
僕は潜入調査と言う言葉を信じ、ルークス銀行から大金貨一〇枚を下ろした。
「とりあえず、大金貨五枚ずつだ。シャ、遊ぶぞ!」
ゲンジさんは巨大な遊技場に足を運ぶ。
――今、遊ぶって言わなかったか?
「主、あの男、普通にダメ人間ですよ……」
プルスは僕の頭上で呟いた。
闘技場より大きいんじゃないかと思われる遊技場は劇場のような見た目でとても煌びやかだ。出たり入ったりするものは顔がいかつく、貴族と言う感じはしない。でも、服装はとてもお金を持っている者が付けそうな装飾品塗れで、自分の地位を表しているように見えた。
僕のような青年はおらず、葉巻をふかしたおっさんや、美女を連れたいかつい男性、ゴツイ体をした護衛を付けている老人などなど、裏社会を牛耳ってそうな者ばかりが去年手入っていく。ゲンジさんは我先にと入っていき、姿を消した。
僕も遊技場の入り口に並び、黒服を着た男性に話しかけられる。
「入場料、金貨一〇〇枚です」
「金貨一〇〇枚……。たっか……」
――ビースト共和国の美術館なんて無料な場所もあったんだぞ、どれだけ金にがめついんだ。
僕は渋々大金貨一枚を支払った。
「遊技場内での乱闘、又は殺人は犯罪です。いかなることが起ころうとも処罰の対象となりますので、節度を守りお楽しみください」
黒服の男性は扉を開ける。
僕は遊技場の中に入った。サイコロやトランプ、ルーレットなどが至る所に見える。ゲームの親(ディーラー)と遊んでいる者達が笑顔になったり悔し泣きしている。
とりあえず、広すぎて息をのんだ。
「一杯、いかがですかー。入場者は無料です」
水着のような薄い服でお酒が入ったお盆を持った美女がお酒を進めてきた。
「い、いただきます」
僕は小さなグラスを受け取り、飲む。蒸留酒でアルコール度数が高いが、僕はお酒をいくら飲もうがただの麦水にしか感じないので、進められたから飲んだに過ぎない。
「あら、お強いのね。じゃあ、頑張ってくださいね」
美女は他の者のもとに向かい、お酒を進めていた。
「こんな世界もあるんだな……」
僕はお金をチップに交換した。手数料は無く、大金貨四枚から中金貨四〇枚分のチップを受け取る。
「博打なんてしたことが無いからな……。学生時代に遊んでいた者達の言葉くらいしか記憶が無いぞ」
僕は多くのテーブルが置かれている遊技場の中を歩いた。どのゲームにするか品定めをしている。最低掛け金と最高掛け金が設定されており、金貨一枚や金貨一〇枚、一〇〇枚、何なら、金貨一〇〇〇枚なんて言う価格もあった。勝負に勝てはお金が増え、負ければ無くなる。学校に通っていたころ、騎士の皆が普段は遊べないから今のうちに遊んで行くんだと言う名目で沢山遊び、沢山泣いていたのを見ている。始めは勝たされ、自分は勝てると思っていたら、大敗するなて言う定番があるので、お金が無くなってしまったら潔く負けを認めよう。それまで普通に楽しもうか。
僕は最低掛け金が金貨一〇枚のトランプゲームのテーブルに座った。ブラックジャックで親と勝負し、数字が二一に近い方が勝ちと言うゲーム。僕以外にもおじさんやおばさん、若い男性など、結構人気な席だ。
「では、皆さん、チップを前に」
親が言うと僕達は金貨一〇枚相当のチップを前に出す。僕は一枚出した。周りは五枚とか八枚とか出している。
親がトランプを皆に二枚配っていった。僕はキングと八を引いた。もう、二一だ。周りはトランプを交換したり、増やしたりして二一に近づける。
皆が納得したころ、一斉に出した。親がひっくり返すと二〇。僕だけ掛けたお金が二倍になった。親からチップを一枚貰う。周りは親にチップを取られる。
「これが遊戯……」
僕は特段面白味を感じず、チップを一枚ずつかけて行く。一〇回くらいやって八回勝った。
その後、掛け金が一〇倍のテーブルに座る。金貨一〇〇枚相当のチップを一枚出し、親と勝負する。こちらも一〇回やって八回勝った。すでに、元の二倍になっている。
そのまま、更に上のテーブルに移動すると、ゲンジさんが座っていた。
元手が金貨四〇〇枚だったのに、いつの間にか物凄い量のチップが積み上がっている。
「ふっ、ハートのキングとスペードの七」
「うぅ……。スペードのキングとハートの六」
「またまた、俺の勝ちだな」
ゲンジさんは藍牛の効果で数秒後の未来が見える。未来を見て親の数字を読み、確実に勝っているようだ。
――いや、普通にいかさまじゃん。
ゲンジさんはいかさま紛いなことをしていると思ったら、親も普通にいかさまをしていた。だが、事前に仕込んでいるいかさまをしても未来を見られたらどうしようもない。
「えっと、ゲンジさん……」
「ああ、ニクス。めっちゃ勝ったから、もう、返すぜ」
ドルトさんはチップの山から金貨一〇〇枚相当のチップを四枚手に取り、僕に返してきた。
「ありがとうございます……」
僕は怒ろうと思ったが、ここで怒っても周りから目を引くだけだと思い、止めた。今はメリー団の者の情報やオリハルコンと貴族の少女の方が大切だ。
遊び疲れたので酒場のある場所に移動した。そこらじゅういかがわしい恰好をした美女だらけ。チップを渡せばお触りしても良いようだ。
「えっと、なんでそんなところに行こうとしているんですか……。お金は誰が出すと……」
「まあまあ、硬いこと言うなよー。ニクスは俺が思っていたより金持ちだったらしいからな。潜伏調査をしに行くだけだ。とりあえず、金貨一〇〇〇枚下ろしてきてくれ。オリハルコンを手に入れたら、返すからよ」
ゲンジさんは僕の肩に腕を乗せ、お願いしてきた。
「返してくれなかったら怒りますからね」
僕は腕を払い、手を柄に当てる。
「おー、こわ、おー、こわ。俺は元刑事だぜ。嘘はつかねえよ」
ゲンジさんは手を上げ、呟いた。
僕は潜入調査と言う言葉を信じ、ルークス銀行から大金貨一〇枚を下ろした。
「とりあえず、大金貨五枚ずつだ。シャ、遊ぶぞ!」
ゲンジさんは巨大な遊技場に足を運ぶ。
――今、遊ぶって言わなかったか?
「主、あの男、普通にダメ人間ですよ……」
プルスは僕の頭上で呟いた。
闘技場より大きいんじゃないかと思われる遊技場は劇場のような見た目でとても煌びやかだ。出たり入ったりするものは顔がいかつく、貴族と言う感じはしない。でも、服装はとてもお金を持っている者が付けそうな装飾品塗れで、自分の地位を表しているように見えた。
僕のような青年はおらず、葉巻をふかしたおっさんや、美女を連れたいかつい男性、ゴツイ体をした護衛を付けている老人などなど、裏社会を牛耳ってそうな者ばかりが去年手入っていく。ゲンジさんは我先にと入っていき、姿を消した。
僕も遊技場の入り口に並び、黒服を着た男性に話しかけられる。
「入場料、金貨一〇〇枚です」
「金貨一〇〇枚……。たっか……」
――ビースト共和国の美術館なんて無料な場所もあったんだぞ、どれだけ金にがめついんだ。
僕は渋々大金貨一枚を支払った。
「遊技場内での乱闘、又は殺人は犯罪です。いかなることが起ころうとも処罰の対象となりますので、節度を守りお楽しみください」
黒服の男性は扉を開ける。
僕は遊技場の中に入った。サイコロやトランプ、ルーレットなどが至る所に見える。ゲームの親(ディーラー)と遊んでいる者達が笑顔になったり悔し泣きしている。
とりあえず、広すぎて息をのんだ。
「一杯、いかがですかー。入場者は無料です」
水着のような薄い服でお酒が入ったお盆を持った美女がお酒を進めてきた。
「い、いただきます」
僕は小さなグラスを受け取り、飲む。蒸留酒でアルコール度数が高いが、僕はお酒をいくら飲もうがただの麦水にしか感じないので、進められたから飲んだに過ぎない。
「あら、お強いのね。じゃあ、頑張ってくださいね」
美女は他の者のもとに向かい、お酒を進めていた。
「こんな世界もあるんだな……」
僕はお金をチップに交換した。手数料は無く、大金貨四枚から中金貨四〇枚分のチップを受け取る。
「博打なんてしたことが無いからな……。学生時代に遊んでいた者達の言葉くらいしか記憶が無いぞ」
僕は多くのテーブルが置かれている遊技場の中を歩いた。どのゲームにするか品定めをしている。最低掛け金と最高掛け金が設定されており、金貨一枚や金貨一〇枚、一〇〇枚、何なら、金貨一〇〇〇枚なんて言う価格もあった。勝負に勝てはお金が増え、負ければ無くなる。学校に通っていたころ、騎士の皆が普段は遊べないから今のうちに遊んで行くんだと言う名目で沢山遊び、沢山泣いていたのを見ている。始めは勝たされ、自分は勝てると思っていたら、大敗するなて言う定番があるので、お金が無くなってしまったら潔く負けを認めよう。それまで普通に楽しもうか。
僕は最低掛け金が金貨一〇枚のトランプゲームのテーブルに座った。ブラックジャックで親と勝負し、数字が二一に近い方が勝ちと言うゲーム。僕以外にもおじさんやおばさん、若い男性など、結構人気な席だ。
「では、皆さん、チップを前に」
親が言うと僕達は金貨一〇枚相当のチップを前に出す。僕は一枚出した。周りは五枚とか八枚とか出している。
親がトランプを皆に二枚配っていった。僕はキングと八を引いた。もう、二一だ。周りはトランプを交換したり、増やしたりして二一に近づける。
皆が納得したころ、一斉に出した。親がひっくり返すと二〇。僕だけ掛けたお金が二倍になった。親からチップを一枚貰う。周りは親にチップを取られる。
「これが遊戯……」
僕は特段面白味を感じず、チップを一枚ずつかけて行く。一〇回くらいやって八回勝った。
その後、掛け金が一〇倍のテーブルに座る。金貨一〇〇枚相当のチップを一枚出し、親と勝負する。こちらも一〇回やって八回勝った。すでに、元の二倍になっている。
そのまま、更に上のテーブルに移動すると、ゲンジさんが座っていた。
元手が金貨四〇〇枚だったのに、いつの間にか物凄い量のチップが積み上がっている。
「ふっ、ハートのキングとスペードの七」
「うぅ……。スペードのキングとハートの六」
「またまた、俺の勝ちだな」
ゲンジさんは藍牛の効果で数秒後の未来が見える。未来を見て親の数字を読み、確実に勝っているようだ。
――いや、普通にいかさまじゃん。
ゲンジさんはいかさま紛いなことをしていると思ったら、親も普通にいかさまをしていた。だが、事前に仕込んでいるいかさまをしても未来を見られたらどうしようもない。
「えっと、ゲンジさん……」
「ああ、ニクス。めっちゃ勝ったから、もう、返すぜ」
ドルトさんはチップの山から金貨一〇〇枚相当のチップを四枚手に取り、僕に返してきた。
「ありがとうございます……」
僕は怒ろうと思ったが、ここで怒っても周りから目を引くだけだと思い、止めた。今はメリー団の者の情報やオリハルコンと貴族の少女の方が大切だ。
遊び疲れたので酒場のある場所に移動した。そこらじゅういかがわしい恰好をした美女だらけ。チップを渡せばお触りしても良いようだ。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
罪人として生まれた私が女侯爵となる日
迷い人
ファンタジー
守護の民と呼ばれる一族に私は生まれた。
母は、浄化の聖女と呼ばれ、魔物と戦う屈強な戦士達を癒していた。
魔物からとれる魔石は莫大な富を生む、それでも守護の民は人々のために戦い旅をする。
私達の心は、王族よりも気高い。
そう生まれ育った私は罪人の子だった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる