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ビースト共和国

求婚

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「うまぁ……」

 ルパは感動しすぎて泣きそうになっていた。美味しい肉を食べながら美味しい葡萄酒を飲み、気の合う仲間と共に食卓を囲むなんて、昔の僕は全く考えていなかった。
 でも、現実で起こっている。あの時、行動したおかげで、今、幸せになっている。そう考えると、動いてよかった……。逃げ続けていたらルパとミアの笑顔を見ることが叶わなかった。ほんと、よかった……。

「ニクス、何泣いてるの。そんなに肉が美味しかった?」

 ルパはお酒の影響か少し赤くなっている顔で僕を見ながら言う。

「はは、ちょっと、美味しすぎて涙が出ちゃったよ」

 僕は手の甲で目頭を擦り、涙を止める。

「ささ、料理が冷める前に食べましょう。まだまだありますからね」

 ミアはパンを摘まみながら、シチューを食す。

「うおー、いっぱい食べて飲むぞっ!」

 ルパは肉にがっつきミアが作った料理を食べまくる。

「あんまり一気に食べると喉に詰まっちゃうから気を付けるんだよ」

 僕達は食事を終え、いい具合に満腹になっていた。お酒を飲んでも酔っぱらえないが、ふわふわした心地い具合を二名から少々貰っている。

「ふぅ……。そろそろ、お開きかな」

「えぇ……。もっと飲みたぃ……。お肉も食べたい……」

 ルパは葡萄酒が入ったグラスを両手で包むようにして口に近づけ、くい、くいっと飲み出す。

「私はこれくらいがちょうどいいです……。体が熱くなってほわほわします……。これ以上飲んだら、気持ち悪くなっちゃいますよ」

 ミアは胸もとをパタパタと仰ぎ熱を逃がしていた。

 僕は汚れた食器をプルスの炎で焼き、綺麗にした後、食器棚に戻していく。皿洗いの手間が省けるので、とても楽だ。

 食事が終わったと思ったら、ホールケーキが出てきて、ルパが飛び跳ねながら喜んでいた。

 四等分にして、僕とルパ、ミア、プルスの皿に移動させる。甘さが控えめで、僕好みの味だ。ルパは甘いココアと一緒に食し、丁度良い具合だと言って微笑んでいる。プルスは相変わらず灰にして食し、ヒヨコのように突きながら食していた。ミアは暖かい紅茶と食し、心を暖めている。この光景が、とても心地い。

「ルパ、こんな時に言うのも変だけど、結婚してほしい」

「…………」

 ルパは手に持っていたフォークを置き、視線を下げる。

「僕は種族とか気にしないし、ルパを一生幸せにする自信がある」

「良いよって……言いたい。けど、まだ言えない……」

 ルパは手の平を膝の上に置き、呟いた。

「理由を聞いてもいい?」

「私、村を襲った人族達をまだ見つけてない。やっぱり、村の皆を差し置いて私だけ幸せになんてなれないよ……。あと、ニクスに一度も勝ってない。負けっぱなしは悔しい……」

「そうか……。残念。僕は何度振られるんだろう……」

「むぅ……。わ、私だってニクスと……け、結婚したいけど……、ここで結婚しちゃったら、ずっと弱いままな気がするの」

 ルパは頬を先ほど以上に赤らめながら、真剣な表情で言う。

「わかった。じゃあ、僕は潔く待つよ。その間にルパに愛想つかれないか心配でならないんだけどね」

 僕は微笑みながら、内心泣きまくっている。

「ルパちゃんは考えすぎなきもするけどなー」

 ミアはケーキを食しながら呟いた。

「結婚しても弱いままかどうかなんてわからないよ。逆に強くなったりするかも。愛ってすごく強いんだよ。正義と悪よりも強くて最後は愛が勝つの」

「はは……。確かに、正義と悪よりも強いかもね」

 僕の求婚が断られた最悪の空気をミアは和やかにしてくれた。ルパも罪悪感を少々減らしてくれただろう。デザートを得終わった後、僕達はお風呂場に向かう。
 今も昔と変わらず三人でお風呂に入り、親睦を深めていた。僕達は皆、鍛錬のし過ぎか、体がバキバキになっている。僕の体は脂肪が燃焼され、筋肉しかないような肉体美をしており、逆に二人は怖いのではと思っていた。
 ルパとミアの体も脂肪がつく部分と筋肉が浮き出る部分があり、綺麗な肉体美をほこっている。どうも、プルスと一緒にいると脂肪が燃焼されやすいらしく、代謝が良くなり、健康体になれるようだ。プルス本体に強さがほぼ無いため、他の恩恵が大きい。

「ううぅ……。ニクスが結婚してなんて言うから、ムラムラしちゃったじゃん……」

「そう言われても……。僕もいっぱしの大人だし、日に日に抑えがきかなくなると言うか」

「そりゃあ、超健康な人族の男性と超健康な獣族の女性が一つ屋根の下で暮らしていたら、そう言う気が起きますよ」

 ミアは僕の腕を掴みながら呟く。
 僕達は体を洗い終え、お風呂から出る。プルスに水分を飛ばしてもらい、寝る準備を進めた。

「じゃあ、それぞれの部屋で眠ろう。お休み」

 僕は理性を振り絞り、言う。

「お休み……」

 ルパは内股を閉じながら、息を苦しそうにして部屋に向かう。

「お休みなさい」

 ミアは瞳をとろかせながら、部屋にとぼとぼと戻る。

 僕は部屋に入り、鍵を閉め、プルスに性欲を燃やしてもらた。
 すっとしたので、僕は描いている途中だった絵の続きを描いていく。部屋の明りはプルスが代わりになってくれているため、案外明るい。石を磨く行為と勝手が少々違い、削り取るのではなく加えていく感じが楽しかった。芸術に命を懸けるのもまた一興……。そんな気持ちになりながら、絵の具を塗っていく。気づくと外が明るくなり始めており、日が明けそうだった。さすがに軽く仮眠をとる。

 朝七時頃……、扉が優しく叩かれる。

「ニクス……、ニクス……。起きてる……?」

 扉の奥から聞こえたのはルパの声だった。
 僕は仮眠からさめ、ベッドから降りて扉を開けた。すると、すぐさま飛びつかれ、後方に倒れる。ルパは無理やり口づけをしてきて舌を貪ってきた。あまりにいきなりで、何が起こっているのか理解するのに一瞬とまどう。僕としては嬉しい限りだが、ここまでがっつかれたことは無い。

「はぁ、はぁ、はぁ……。体のむらむらが全然納まらなくて……、一睡もできなかったの……。苦しくて仕方ないの……、た、助けてぇ……」

 ルパは下半身からどうしようもないほど湿らせており、汗だくだ。一晩中、苦しさを紛らわせるためにミアに教えてもらった発散の仕方を行っていたのかもしれない。
 僕は理性がぶち壊れそうになったが、昨晩のルパの発言を理解し、彼女に手を出さず、体を燃やした。

「はぁ、はぁ、はぁ……。あ、あれ……。体がすってした……。苦しくない」

 僕はルパの性欲を燃やし、発散させた。ものすごくもったいないことをした気がするものの、ルパの発言を守らないわけにはいかなかった。でも、キスだけは許してほしい。

「んっ!」

 僕はルパの後頭部に手を回し、彼女の舌を貪る。ルパは一瞬動揺したが、僕の服を掴むようにして答えてくれた。二、三分ほど経った後、透明な糸を伸ばし、顔を放す。
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