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ビースト共和国
お兄ちゃん
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「お、お兄ちゃん……。えっと、どういうこと?」
「そ、そのままの意味。私にはお兄ちゃんがいたの……。村が襲われた時に殺されちゃったけど……、凄く優しいお兄ちゃんで、大好きだった。でも、もうこの世界のどこにもいない。もっともっと甘えておけばよかったって、もっと大好きって言っておけばよかったとずっと後悔してたの。だから、今日はニクスをお兄ちゃんだと思って過ごしたい」
「じゃあ、ルパは、僕がルパのお兄ちゃんくらい好きってこと?」
「えっと、えっと……。半分そうで半分違う……と思う」
「半分正解で半分違う……。僕がお兄ちゃんに思える、僕が好きのどちらかってことか」
「う、うるさい! いいから黙って従え!」
「わ、わかった。従うよ。じゃあ、ルパ、本当によく頑張って泳いだね。すごかった」
僕はルパを抱きしめながら頭を撫でる。
「え、えへへ……。すごいでしょ……。お兄ちゃんに勝つために、いっぱい練習したんだー」
「まさか負けちゃうとは思わなかった。ルパは強いなー」
「当たり前だよ、だってお兄ちゃんの妹なんだもん。もっともっと強くなるよ」
「そうかそうか。お兄ちゃんも負けていられないな。じゃあ、朝食を取りに行こうか」
「うんっ!」
ルパは満面の笑みを浮かべ、僕を見てきた。あまりにも可愛らしい。
僕たちは朝食を得にお店に入った。朝から肉を頼み、ルパの誕生日を祝う。夜にもたくさん祝うつもりなので、朝は軽めだ。
「お兄ちゃん、凄い分厚いお肉が来たー。これ、全部食べていいの!」
「うん、いいよ。今日はルパの誕生日だから、たくさん願事を叶えてあげる」
「うわーい、やったー」
ルパは大きく万歳し、フォークとナイフでステーキを切り、たくさん食べていく。
僕は食パンと卵、野菜サラダと言う、いたって普通の朝食にした。紅茶を飲み、綺麗な海を見ながら優雅な朝を過ごす。
「お兄ちゃんにもあげる。あーん」
ルパは僕の口もとに一口大の肉を持ってきた。
「ありがとう、ルパ。いただきます」
僕はルパから肉を貰い、美味しく食べる。彼女の頭をなで、感謝した。
「ミアにもあげる」
「ありがとう、ルパちゃん」
ミアもルパから肉を貰い、美味しそうに食べた。
「あー」
プルスは肉を待っていたが、与えられたのはブロッコリーだった。
朝食を終え、僕たちはプールに戻り、鍛錬をして遊んだ。
「うわーい!」
ルパは僕と一緒にウォータースライダーを滑り、大はしゃぎ。
「うわあああっ!」
遊園地のような場所に加え、乗り物がある中、ジェットコースターにも乗り、恐怖を得る。だが、ルパは終始楽しそうだった。
「お兄ちゃん、今日は鍛錬をやめてもっと遊ぼう!」
「うん、そうしようか。じゃあ次はどこに行く?」
「映画と劇を見て、おやつを食べてお買い物して美味しい夕食の流れにする」
「わかった。今日はとことん楽しもう」
僕とルパ、ミアは映画館に向かう。冒険者の記録を見ながら滑らかに動く映像に感動し、多くの魔物と戦う場面に迫力を感じた。
ルパは僕にくっ付きながら、映画を楽しみ、興奮している。やはり戦う系の話の方が好きなのかな。逆にミアの方は少々つまらなそうだ。そのため、僕の方にくっ付き、転寝を挟む。
頭を撫でてあげると、尻尾を揺らしながら喜んだ。
一時間ほどの映画を見終わると、劇場に向かい、劇を見る。こちらも戦いが主な劇で、ルパは楽しそうだ。この間もいくつも理不尽な戦いを申し込まれた。すべてに負け、ルパの小さなお願いを聞き続けている。
「お兄ちゃん。今、私が手の中に隠している数字は何でしょうか」
「ええ……。六」
「残念。二でした。じゃあ、私の体を六カ所なでなでしてー」
僕はルパの頭、頬、顎、お腹、背中、尻尾を撫でた。
「えへへ……。お兄ちゃんになでなでされるの好きー。ああー、楽しいなー」
ルパは笑顔で言い、おやつのケーキを食べるため、喫茶店に入った。普通の生活をしていたら絶対に出来ない贅沢をいくつもいくつも体験し、楽しんでいた。
甘いケーキなんて、森の中で生活していたら手に入らなかっただろう。劇や映画も見ず、ずっと狩りをして生活していく毎日だったはずだ。それも獣族っぽくていいかもしれない。なんなら、ルパと家族が一緒に生活できて幸せだったかもしれない。でも、今だから感じられる幸せもある。
「んー。ケーキ美味しいー。お兄ちゃんももっと食べて食べてー」
「うん。いただきます」
僕は八分の一に切られたチョコレートケーキを食し、ルパはショートケーキワンホールを平らげる。ミアはチーズケーキを半分食べていた。甘党すぎる気がする。夜にもケーキを食べようと言う話をしていたのに……。でも、それは別腹らしい。同じケーキだと思うんだけど。
おやつを得た後、屋上で海をボーっと眺めた。
「お兄ちゃん、今日まで守ってくれてありがとう」
「どうしたんだい、いきなり。妹を守るなんて兄として当たり前のことをしただけだよ」
「今日で私は大人だから、家を出て一人で生きて行かないといけない。すごく不安」
獣族は一五歳になると家を強制的に追い出されるらしい。なんて血も涙もない種族だろうか。でも、生き残っているのだから凄い種族だ。家にお兄さんがいたと言うことは当時のルパのお兄さんはまだ成人していなかったんだろうな……。
「そうだね。僕もルパが一人で生きていけるか凄く心配だ」
「えっとね。私、大好きな雄がいるの。明日からその方について行くつもり」
「そうなんだ……。まあ、ルパが決めた相手ならいいんじゃないかな。僕はルパに幸せになってほしいから、どんな男でも止めはしない。ところで、どんな男なんだ?」
「強くて優しくて私を大切に思ってくれるの。でも、エッチで時々バカになって死にそうなのに頑張っちゃう変な方だよ」
「へぇー。僕も会いたかったなー」
「そ、そのままの意味。私にはお兄ちゃんがいたの……。村が襲われた時に殺されちゃったけど……、凄く優しいお兄ちゃんで、大好きだった。でも、もうこの世界のどこにもいない。もっともっと甘えておけばよかったって、もっと大好きって言っておけばよかったとずっと後悔してたの。だから、今日はニクスをお兄ちゃんだと思って過ごしたい」
「じゃあ、ルパは、僕がルパのお兄ちゃんくらい好きってこと?」
「えっと、えっと……。半分そうで半分違う……と思う」
「半分正解で半分違う……。僕がお兄ちゃんに思える、僕が好きのどちらかってことか」
「う、うるさい! いいから黙って従え!」
「わ、わかった。従うよ。じゃあ、ルパ、本当によく頑張って泳いだね。すごかった」
僕はルパを抱きしめながら頭を撫でる。
「え、えへへ……。すごいでしょ……。お兄ちゃんに勝つために、いっぱい練習したんだー」
「まさか負けちゃうとは思わなかった。ルパは強いなー」
「当たり前だよ、だってお兄ちゃんの妹なんだもん。もっともっと強くなるよ」
「そうかそうか。お兄ちゃんも負けていられないな。じゃあ、朝食を取りに行こうか」
「うんっ!」
ルパは満面の笑みを浮かべ、僕を見てきた。あまりにも可愛らしい。
僕たちは朝食を得にお店に入った。朝から肉を頼み、ルパの誕生日を祝う。夜にもたくさん祝うつもりなので、朝は軽めだ。
「お兄ちゃん、凄い分厚いお肉が来たー。これ、全部食べていいの!」
「うん、いいよ。今日はルパの誕生日だから、たくさん願事を叶えてあげる」
「うわーい、やったー」
ルパは大きく万歳し、フォークとナイフでステーキを切り、たくさん食べていく。
僕は食パンと卵、野菜サラダと言う、いたって普通の朝食にした。紅茶を飲み、綺麗な海を見ながら優雅な朝を過ごす。
「お兄ちゃんにもあげる。あーん」
ルパは僕の口もとに一口大の肉を持ってきた。
「ありがとう、ルパ。いただきます」
僕はルパから肉を貰い、美味しく食べる。彼女の頭をなで、感謝した。
「ミアにもあげる」
「ありがとう、ルパちゃん」
ミアもルパから肉を貰い、美味しそうに食べた。
「あー」
プルスは肉を待っていたが、与えられたのはブロッコリーだった。
朝食を終え、僕たちはプールに戻り、鍛錬をして遊んだ。
「うわーい!」
ルパは僕と一緒にウォータースライダーを滑り、大はしゃぎ。
「うわあああっ!」
遊園地のような場所に加え、乗り物がある中、ジェットコースターにも乗り、恐怖を得る。だが、ルパは終始楽しそうだった。
「お兄ちゃん、今日は鍛錬をやめてもっと遊ぼう!」
「うん、そうしようか。じゃあ次はどこに行く?」
「映画と劇を見て、おやつを食べてお買い物して美味しい夕食の流れにする」
「わかった。今日はとことん楽しもう」
僕とルパ、ミアは映画館に向かう。冒険者の記録を見ながら滑らかに動く映像に感動し、多くの魔物と戦う場面に迫力を感じた。
ルパは僕にくっ付きながら、映画を楽しみ、興奮している。やはり戦う系の話の方が好きなのかな。逆にミアの方は少々つまらなそうだ。そのため、僕の方にくっ付き、転寝を挟む。
頭を撫でてあげると、尻尾を揺らしながら喜んだ。
一時間ほどの映画を見終わると、劇場に向かい、劇を見る。こちらも戦いが主な劇で、ルパは楽しそうだ。この間もいくつも理不尽な戦いを申し込まれた。すべてに負け、ルパの小さなお願いを聞き続けている。
「お兄ちゃん。今、私が手の中に隠している数字は何でしょうか」
「ええ……。六」
「残念。二でした。じゃあ、私の体を六カ所なでなでしてー」
僕はルパの頭、頬、顎、お腹、背中、尻尾を撫でた。
「えへへ……。お兄ちゃんになでなでされるの好きー。ああー、楽しいなー」
ルパは笑顔で言い、おやつのケーキを食べるため、喫茶店に入った。普通の生活をしていたら絶対に出来ない贅沢をいくつもいくつも体験し、楽しんでいた。
甘いケーキなんて、森の中で生活していたら手に入らなかっただろう。劇や映画も見ず、ずっと狩りをして生活していく毎日だったはずだ。それも獣族っぽくていいかもしれない。なんなら、ルパと家族が一緒に生活できて幸せだったかもしれない。でも、今だから感じられる幸せもある。
「んー。ケーキ美味しいー。お兄ちゃんももっと食べて食べてー」
「うん。いただきます」
僕は八分の一に切られたチョコレートケーキを食し、ルパはショートケーキワンホールを平らげる。ミアはチーズケーキを半分食べていた。甘党すぎる気がする。夜にもケーキを食べようと言う話をしていたのに……。でも、それは別腹らしい。同じケーキだと思うんだけど。
おやつを得た後、屋上で海をボーっと眺めた。
「お兄ちゃん、今日まで守ってくれてありがとう」
「どうしたんだい、いきなり。妹を守るなんて兄として当たり前のことをしただけだよ」
「今日で私は大人だから、家を出て一人で生きて行かないといけない。すごく不安」
獣族は一五歳になると家を強制的に追い出されるらしい。なんて血も涙もない種族だろうか。でも、生き残っているのだから凄い種族だ。家にお兄さんがいたと言うことは当時のルパのお兄さんはまだ成人していなかったんだろうな……。
「そうだね。僕もルパが一人で生きていけるか凄く心配だ」
「えっとね。私、大好きな雄がいるの。明日からその方について行くつもり」
「そうなんだ……。まあ、ルパが決めた相手ならいいんじゃないかな。僕はルパに幸せになってほしいから、どんな男でも止めはしない。ところで、どんな男なんだ?」
「強くて優しくて私を大切に思ってくれるの。でも、エッチで時々バカになって死にそうなのに頑張っちゃう変な方だよ」
「へぇー。僕も会いたかったなー」
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