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仲間が増えた生活
ベルーギ街
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「キュゥ……。あ、朝っぱらから恥ずかしいこと言うな……」
ルパは頬赤らめ、枕に顔を埋めながら尻尾を振る。数分もだえた後、ルパは顔を上げ、上半身を起こす。
「朝起きた時、ニクスの顔が見れるだけで安心した。匂いとか、熱とか、声とか、何もかも私にとって必要不可欠なんだって……、気づいちゃった……」
ルパは指先を突きながら、呟く。何が言いたいのかわからないが、恥じらっている姿も可愛らしい。
「に、ニクス。噛みつきながら抱き着いてもいい……?」
「仕方ないな。血が出るほど噛んだら駄目だよ」
「う、うん……」
僕は腕を広げ、ルパを迎え入れる。すると、彼女は僕に抱き着いて来て首元にガブリと噛みついてきた。
「ふぅー、ふぅー、ふぅー」
ルパは鼻息を荒げながら僕に抱き着いていた。尻尾が大きく揺れ、嬉しいと言う気持ちがひしひしと伝わってくる。
後頭部や背中を優しく撫でてあげると、もう尻尾が千切れそうだ。
そんなルパはお漏らしをしてしまった。嬉しすぎて漏らしたのかもしれない。プルスがいれば何ら問題ないので、気にしないでおこう。
ルパの方はあまりにいきなりだったからか、僕から離れ、疑問の表情を浮かべた。なぜ下半身が濡れているのかと言った顔だ。
「こ、これは、えっと、えっと……」
ルパの表情は真っ赤になり、耳と尻尾が垂れさがっていた。
「気にしないでいいよ。すぐに乾かせば何ともない」
僕はプルスにお願いして炎で水分を飛ばしてもらった。
「なにが起こったのか別に理解する必要はない。ゆるんじゃっただけだから、気にしないで」
「き、気にしないでって……言われても無理。恥ずかしすぎる……」
ルパは自分の行動と引き起こされた弊害により、大きな羞恥心を得ていた。今はどうやったって取り除け無さそうだ。とりあえず、相手が恥ずかしがっている時は普通に接するのが一番いい。
「さてと、朝食にしようか」
僕はルパの頭を撫でながらベッドから降り、寝間着から冒険着に着替える。ルパとミアも服を着替え、三名と一匹で食堂に向かう。
食堂に到着し、パンと卵、紅茶の組(セット)を三種類買い、プルスには大量のパンを食してもらった。
「はむはむ……。はむはむ……」
「モグモグ……。モグモグ……」
ルパとミアはとても静かだった。いつもはもっと喋るのに。
「二人共どうしたの、今日は静かだね」
「目覚めは最高だったのに……、その後が最悪だった……」
ルパは頬を赤らめながらぼそぼそと呟く。
「うぅ、あんなになっちゃうなんて……、仕事をしている時は無かったのに……」
ミアも頬を赤くし、両手で頬を冷ます。
「まあ、生きていたら毎日何かあるよ。恥ずかしいことの一個や二個、自分だけが恥ずかしいことを覚えていて他の人は全然覚えていないのが普通。だから、気にする必要はない」
僕はルパとミアに今朝の行動は恥ずかしくなかったと言っておく。
両者にとって羞恥心があったから今、悶えているわけで何も無かったら無感情のはずだ。
両者に羞恥心が芽生えていると言うことは成長していると言うことだ。経験を通じてこんなことをしたらはずかしいなと言う固定概念が形成されていることがわかった。そう考えると、両者共に成長しているんだと伝える。
僕の言っている言葉がわかるかどうか、理解してもらえているかわからないが、出来るだけ言葉にして伝えた。すると、ルパとミアは少しだけ羞恥心が薄れたのか、心地よさそうに朝食を得ていた。
朝食を得た後、雪が積もった道を移動していく。プルスに雪を燃やしてもらい、通路を確保した。雪の上は走りにくく横転しやすかったが雪が無くなったおかげで馬と馬車は移動しやすくなった。
村を出発し、四つの村を経由したあと、大きな街に到着。雰囲気はフランツに似ているが、少し違う。建物が少ない気がする……。あと、フランツより暖かい。
「うぅ。厚着をしてたら苦しいくらいだ……。なんでこんなに暖かいんだろう。上の方に来ているのに、風の影響かな……」
僕は竜の谷に向かう経由地のベルーギに到着した。
田舎街なので、たいして高い建物があるわけではないが、近くに竜の谷があるからか、観光業に力を入れており、露店や屋台、宿などが沢山あった。
どうせ、明日には竜の谷に行くから高すぎる宿に泊まる必要はない。必要最低限の設備が整っていればいいかと言う理由で、金貨一枚で部屋を借りる。お風呂にトイレ、キングベッドで金貨一枚なら安い。食事は別料金なのでこのくらいが妥当か。
「大きなベッドがある……。これなら、寝相が悪くても大丈夫そう」
ルパは大きなベッドに倒れ込んだ。
「ああ……、久しぶりに大きなベッドを見た気がします……」
ミアもベッドに倒れ込む。臭いや汚れなどは目立たず、掃除がしっかりと行きわたっていて値段の割に良い宿だった。価格競争とかあるのかな。
僕はベッドに座り、マットレスの柔らかさを上半身で得る。反発力があり、腰がしずみすぎない丁度いい硬さ。
「うん。悪くない」
僕は立ち上がり、室温を上げる魔道具の起動ボタンを押した。すると、温風が吹き、室内の温度が上昇する。暑すぎても寝にくいので、寒すぎず暑すぎない状態を保った。
お風呂場はお金を入れれば使えるようだ。銀貨一枚でお風呂一杯のお湯を使えるらしい。銀貨投入口に入れるだけなので、店員さんを呼ぶ必要もなく便利だ。
「お風呂に入るには早すぎるし、街に散歩にでも行く?」
「散歩っ! 行く行くっ!」
ルパは僕に飛びついてきて散歩に行きたがった。彼女は散歩が大好きなので、今すぐにでも行きたいと尻尾を大きく振る。
ミアはルパほど散歩をしたがらないが、体を動かすのは好きなので一緒についてくる。
一番運動しないのはプルスだが、どれだけ食べても体型は変わらず、ずっとヒヨコのまま。灰の栄養が無さすぎるせいか、ほぼ成長しないし、太らない。まあ、体の中がずっと燃えているから、かもしれないけど……。
僕達は宿を出てベルーギ街の中を散歩する。
ルパは頬赤らめ、枕に顔を埋めながら尻尾を振る。数分もだえた後、ルパは顔を上げ、上半身を起こす。
「朝起きた時、ニクスの顔が見れるだけで安心した。匂いとか、熱とか、声とか、何もかも私にとって必要不可欠なんだって……、気づいちゃった……」
ルパは指先を突きながら、呟く。何が言いたいのかわからないが、恥じらっている姿も可愛らしい。
「に、ニクス。噛みつきながら抱き着いてもいい……?」
「仕方ないな。血が出るほど噛んだら駄目だよ」
「う、うん……」
僕は腕を広げ、ルパを迎え入れる。すると、彼女は僕に抱き着いて来て首元にガブリと噛みついてきた。
「ふぅー、ふぅー、ふぅー」
ルパは鼻息を荒げながら僕に抱き着いていた。尻尾が大きく揺れ、嬉しいと言う気持ちがひしひしと伝わってくる。
後頭部や背中を優しく撫でてあげると、もう尻尾が千切れそうだ。
そんなルパはお漏らしをしてしまった。嬉しすぎて漏らしたのかもしれない。プルスがいれば何ら問題ないので、気にしないでおこう。
ルパの方はあまりにいきなりだったからか、僕から離れ、疑問の表情を浮かべた。なぜ下半身が濡れているのかと言った顔だ。
「こ、これは、えっと、えっと……」
ルパの表情は真っ赤になり、耳と尻尾が垂れさがっていた。
「気にしないでいいよ。すぐに乾かせば何ともない」
僕はプルスにお願いして炎で水分を飛ばしてもらった。
「なにが起こったのか別に理解する必要はない。ゆるんじゃっただけだから、気にしないで」
「き、気にしないでって……言われても無理。恥ずかしすぎる……」
ルパは自分の行動と引き起こされた弊害により、大きな羞恥心を得ていた。今はどうやったって取り除け無さそうだ。とりあえず、相手が恥ずかしがっている時は普通に接するのが一番いい。
「さてと、朝食にしようか」
僕はルパの頭を撫でながらベッドから降り、寝間着から冒険着に着替える。ルパとミアも服を着替え、三名と一匹で食堂に向かう。
食堂に到着し、パンと卵、紅茶の組(セット)を三種類買い、プルスには大量のパンを食してもらった。
「はむはむ……。はむはむ……」
「モグモグ……。モグモグ……」
ルパとミアはとても静かだった。いつもはもっと喋るのに。
「二人共どうしたの、今日は静かだね」
「目覚めは最高だったのに……、その後が最悪だった……」
ルパは頬を赤らめながらぼそぼそと呟く。
「うぅ、あんなになっちゃうなんて……、仕事をしている時は無かったのに……」
ミアも頬を赤くし、両手で頬を冷ます。
「まあ、生きていたら毎日何かあるよ。恥ずかしいことの一個や二個、自分だけが恥ずかしいことを覚えていて他の人は全然覚えていないのが普通。だから、気にする必要はない」
僕はルパとミアに今朝の行動は恥ずかしくなかったと言っておく。
両者にとって羞恥心があったから今、悶えているわけで何も無かったら無感情のはずだ。
両者に羞恥心が芽生えていると言うことは成長していると言うことだ。経験を通じてこんなことをしたらはずかしいなと言う固定概念が形成されていることがわかった。そう考えると、両者共に成長しているんだと伝える。
僕の言っている言葉がわかるかどうか、理解してもらえているかわからないが、出来るだけ言葉にして伝えた。すると、ルパとミアは少しだけ羞恥心が薄れたのか、心地よさそうに朝食を得ていた。
朝食を得た後、雪が積もった道を移動していく。プルスに雪を燃やしてもらい、通路を確保した。雪の上は走りにくく横転しやすかったが雪が無くなったおかげで馬と馬車は移動しやすくなった。
村を出発し、四つの村を経由したあと、大きな街に到着。雰囲気はフランツに似ているが、少し違う。建物が少ない気がする……。あと、フランツより暖かい。
「うぅ。厚着をしてたら苦しいくらいだ……。なんでこんなに暖かいんだろう。上の方に来ているのに、風の影響かな……」
僕は竜の谷に向かう経由地のベルーギに到着した。
田舎街なので、たいして高い建物があるわけではないが、近くに竜の谷があるからか、観光業に力を入れており、露店や屋台、宿などが沢山あった。
どうせ、明日には竜の谷に行くから高すぎる宿に泊まる必要はない。必要最低限の設備が整っていればいいかと言う理由で、金貨一枚で部屋を借りる。お風呂にトイレ、キングベッドで金貨一枚なら安い。食事は別料金なのでこのくらいが妥当か。
「大きなベッドがある……。これなら、寝相が悪くても大丈夫そう」
ルパは大きなベッドに倒れ込んだ。
「ああ……、久しぶりに大きなベッドを見た気がします……」
ミアもベッドに倒れ込む。臭いや汚れなどは目立たず、掃除がしっかりと行きわたっていて値段の割に良い宿だった。価格競争とかあるのかな。
僕はベッドに座り、マットレスの柔らかさを上半身で得る。反発力があり、腰がしずみすぎない丁度いい硬さ。
「うん。悪くない」
僕は立ち上がり、室温を上げる魔道具の起動ボタンを押した。すると、温風が吹き、室内の温度が上昇する。暑すぎても寝にくいので、寒すぎず暑すぎない状態を保った。
お風呂場はお金を入れれば使えるようだ。銀貨一枚でお風呂一杯のお湯を使えるらしい。銀貨投入口に入れるだけなので、店員さんを呼ぶ必要もなく便利だ。
「お風呂に入るには早すぎるし、街に散歩にでも行く?」
「散歩っ! 行く行くっ!」
ルパは僕に飛びついてきて散歩に行きたがった。彼女は散歩が大好きなので、今すぐにでも行きたいと尻尾を大きく振る。
ミアはルパほど散歩をしたがらないが、体を動かすのは好きなので一緒についてくる。
一番運動しないのはプルスだが、どれだけ食べても体型は変わらず、ずっとヒヨコのまま。灰の栄養が無さすぎるせいか、ほぼ成長しないし、太らない。まあ、体の中がずっと燃えているから、かもしれないけど……。
僕達は宿を出てベルーギ街の中を散歩する。
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