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仲間が増えた生活
お年玉の使い道
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僕の家族も完全に二日酔いで、皆辛そう。
そんな気持ちになるのなら、お酒など飲まなくてもいいのではないかと思うのだが、それとこれとは違うらしい。
次の日に気持ち悪くなってでもお酒を飲んで気分をよくする利点がどこにあるのかわからなかった。
皆の朝食はルパが作り、僕も手伝った。
コーンスープと干し肉や野菜が入ったサンドイッチと言う軽めの料理だ。
ルパの料理は皆、美味しい美味しいと言いながら食し、あっと言う間に完食する。料理を美味しそうに食べてくれる姿を見たルパは口角を上げ、尻尾を振った。
酔っぱらった者は朝食後、ベッドで眠り、僕とルパは教会に新年のあいさつに向かう。
「皆、私が作った料理をおいしいって言ってた……。なんか……、すごく嬉しかった」
「ルパの料理が美味しいから美味しいと言ったんだよ。それ以外の理由はない。ほんと、ルパは料理も出来るようになっちゃって、良いお嫁さんになれるよ」
「えへへ……。そ、そんなに褒めても、まだ結婚できないぞ……」
ルパは照れながら尻尾を振り、僕の左手をぎゅっと握る。顔や体は寒いが、手の平は一段と暖かい。僕達は教会までの道を歩いた。
教会が見えてくると、人々が並んでおり、結構人込みだった。
ルパの方を見ると少し怖気づいていたが、僕の手をぎゅっと握り締めた後、顎を引いて歩きだす。人込みの中に向かう勇気が出たようで、ルパの成長を感じた。
人びととすれ違うたび、ルパの体が震えるものの、前を見て歩けている。会話しないのであれば大丈夫のようだ。
教会に入る人たちの最後尾に並び、待つ。待っている間。何もすることが無い。ルパの後方から優しく抱き着き、暖を取る。
「もう……。周りに人がいるのに……。恥ずかしいって……」
「誰も気にしてないよ。気にしているのは案外自分だけなんだ。あと、こうした方が暖かいでしょ」
「そうだけど……。逆に熱すぎる……」
「まあまあ、そう言わず、新年の豊富でも言い合おうよ」
「んー、今年こそはニクスを倒す。私が勝って言うことを聞かせる」
「なるほど、そうなると、僕はまだまだ負けられないな」
「もう、ニクスは十分勝ってるんだから、一回くらい勝たせてくれてもいいじゃん。そうじゃないとつまらない」
「つまらないって。まあ、ルパが僕に勝てたら、何でも言うことを聞くよ。死ぬ以外はね。だから、僕も簡単には負けられない」
「むぅ……。ニクスが強くなったら勝てなくなるし、弱くなったらカッコ悪いし……。どっちに行っても私が良いようにならないじゃん」
ルパはブツブツ言いながら、僕の手を持ち、温まっていた。
三〇分ほどすると、僕達は教会の中に入ることが出来た。両手を合わせ、女神の像に祈る。壮大な夢はなく、ただルパやミア、プルスと一緒に楽しく生きていけますようにとお願いする。
ルパは何を祈っているかわからないが、真剣な表情で両手を握り合わせ、ブツブツ呟いていたどうやら、ビースト語で話しているらしく、僕には聞き取れなかった。
「よしっ! 祈り終わった!」
ルパは両手を持ちあげ、教会の中に声を響かせる。思ったよりも大きな音が出たらしく、ルパは驚いてしまった。僕は笑いそうになり、ルパの頭を撫でて落ちつかせ、教会の外に出た。
「うぅ……。あそこまで響くとは思ってなかった……」
「まあまあ、そう言うこともあるさ。でも、可愛かったなー。祈り終わった! って」
「い、言うなっー!」
ルパは赤面し、殴ってくる。ぽこすかと言う音が鳴りそうなほど弱いが、その動きがまた愛らしい。
僕はルパの頭を優しく撫でて落ちつかせる。家に戻るまでずっと機嫌が悪かったが、昼食を得たらけろっと戻ってしまった。気変わりが秋の天気よりも早くて困る。
二日酔いで眠っていた皆が起き、昨日渡せなかったお年玉をルパとミアにあげた。
皆、金貨一枚なので全部で金貨五枚だ。ルパは良いものの、ミアは成人しているのに良いのかなと思ったが、渡してきたのだからいいだろうと言うことで、貰ってもらう。
「あー、金貨五枚、何に使おうかなー」
「使わずに貯金しておくと言う手もあるよ」
「でも貰ったお金だし、使わないともったいないかなーって」
ルパはお金をあまり使わない。たまにお菓子を買うくらいだ。金貨五枚もあれば、週に一回銀貨一枚のカステラを食べ続けたら一年で丁度なくなるくらいだろう。
「ルパちゃん、お金は大切だから、しっかりと残しておかないと後悔するよ」
ミアはお金をよく使う。手持ちにあったら使ってしまう子だ。
両者共に、発言と真逆の性格をしているので興味深い。僕が見てきた限り、うだうだ言って、結局ルパは使わず、ミアは使う未来が待っている。
僕とルパ、ミアは夕食の買い出しに出た。両者、お年玉の金貨五枚を持ち、ルパは買い物、ミアはギルドに貯金しに向かう。
一時間後。
「やっぱり、買わなくていいや。ニクスといるだけで十分だし、お金なんていらないな」
ルパは金貨五枚を懐にしまい、僕の腕に抱き着いてくる。
「あ、あれ……? 私、いつの間にお金を使ってたんだろう……」
ミアの手には紙袋が五袋あり、全て金貨一枚の品が入っている。下着や化粧品、読むかわからない本、靴、避妊具……。購入品が大人なのだが、ミアは自分がいつの間にこのような品を買っていたのか覚えていないと言う。もう、楽しそうに買い物してたのに、その記憶が無いなんて何かの病気かと思ったが……。
「じゃあ、全部返品してくる?」
「へ、返品はしなくていいんじゃないですかねー。いつか使うかもしれませんしー」
ミアは視線を反らし、大切そうに抱える。購入した覚えは無いが、欲しい品ではあったらしく、息をするようにお金を使ってしまうのだろう。
仕事ができるのに、お金使いが荒いのはもったいない。でも、買い物できる範囲でお金を使っているのだからよしとしよう。
そんな気持ちになるのなら、お酒など飲まなくてもいいのではないかと思うのだが、それとこれとは違うらしい。
次の日に気持ち悪くなってでもお酒を飲んで気分をよくする利点がどこにあるのかわからなかった。
皆の朝食はルパが作り、僕も手伝った。
コーンスープと干し肉や野菜が入ったサンドイッチと言う軽めの料理だ。
ルパの料理は皆、美味しい美味しいと言いながら食し、あっと言う間に完食する。料理を美味しそうに食べてくれる姿を見たルパは口角を上げ、尻尾を振った。
酔っぱらった者は朝食後、ベッドで眠り、僕とルパは教会に新年のあいさつに向かう。
「皆、私が作った料理をおいしいって言ってた……。なんか……、すごく嬉しかった」
「ルパの料理が美味しいから美味しいと言ったんだよ。それ以外の理由はない。ほんと、ルパは料理も出来るようになっちゃって、良いお嫁さんになれるよ」
「えへへ……。そ、そんなに褒めても、まだ結婚できないぞ……」
ルパは照れながら尻尾を振り、僕の左手をぎゅっと握る。顔や体は寒いが、手の平は一段と暖かい。僕達は教会までの道を歩いた。
教会が見えてくると、人々が並んでおり、結構人込みだった。
ルパの方を見ると少し怖気づいていたが、僕の手をぎゅっと握り締めた後、顎を引いて歩きだす。人込みの中に向かう勇気が出たようで、ルパの成長を感じた。
人びととすれ違うたび、ルパの体が震えるものの、前を見て歩けている。会話しないのであれば大丈夫のようだ。
教会に入る人たちの最後尾に並び、待つ。待っている間。何もすることが無い。ルパの後方から優しく抱き着き、暖を取る。
「もう……。周りに人がいるのに……。恥ずかしいって……」
「誰も気にしてないよ。気にしているのは案外自分だけなんだ。あと、こうした方が暖かいでしょ」
「そうだけど……。逆に熱すぎる……」
「まあまあ、そう言わず、新年の豊富でも言い合おうよ」
「んー、今年こそはニクスを倒す。私が勝って言うことを聞かせる」
「なるほど、そうなると、僕はまだまだ負けられないな」
「もう、ニクスは十分勝ってるんだから、一回くらい勝たせてくれてもいいじゃん。そうじゃないとつまらない」
「つまらないって。まあ、ルパが僕に勝てたら、何でも言うことを聞くよ。死ぬ以外はね。だから、僕も簡単には負けられない」
「むぅ……。ニクスが強くなったら勝てなくなるし、弱くなったらカッコ悪いし……。どっちに行っても私が良いようにならないじゃん」
ルパはブツブツ言いながら、僕の手を持ち、温まっていた。
三〇分ほどすると、僕達は教会の中に入ることが出来た。両手を合わせ、女神の像に祈る。壮大な夢はなく、ただルパやミア、プルスと一緒に楽しく生きていけますようにとお願いする。
ルパは何を祈っているかわからないが、真剣な表情で両手を握り合わせ、ブツブツ呟いていたどうやら、ビースト語で話しているらしく、僕には聞き取れなかった。
「よしっ! 祈り終わった!」
ルパは両手を持ちあげ、教会の中に声を響かせる。思ったよりも大きな音が出たらしく、ルパは驚いてしまった。僕は笑いそうになり、ルパの頭を撫でて落ちつかせ、教会の外に出た。
「うぅ……。あそこまで響くとは思ってなかった……」
「まあまあ、そう言うこともあるさ。でも、可愛かったなー。祈り終わった! って」
「い、言うなっー!」
ルパは赤面し、殴ってくる。ぽこすかと言う音が鳴りそうなほど弱いが、その動きがまた愛らしい。
僕はルパの頭を優しく撫でて落ちつかせる。家に戻るまでずっと機嫌が悪かったが、昼食を得たらけろっと戻ってしまった。気変わりが秋の天気よりも早くて困る。
二日酔いで眠っていた皆が起き、昨日渡せなかったお年玉をルパとミアにあげた。
皆、金貨一枚なので全部で金貨五枚だ。ルパは良いものの、ミアは成人しているのに良いのかなと思ったが、渡してきたのだからいいだろうと言うことで、貰ってもらう。
「あー、金貨五枚、何に使おうかなー」
「使わずに貯金しておくと言う手もあるよ」
「でも貰ったお金だし、使わないともったいないかなーって」
ルパはお金をあまり使わない。たまにお菓子を買うくらいだ。金貨五枚もあれば、週に一回銀貨一枚のカステラを食べ続けたら一年で丁度なくなるくらいだろう。
「ルパちゃん、お金は大切だから、しっかりと残しておかないと後悔するよ」
ミアはお金をよく使う。手持ちにあったら使ってしまう子だ。
両者共に、発言と真逆の性格をしているので興味深い。僕が見てきた限り、うだうだ言って、結局ルパは使わず、ミアは使う未来が待っている。
僕とルパ、ミアは夕食の買い出しに出た。両者、お年玉の金貨五枚を持ち、ルパは買い物、ミアはギルドに貯金しに向かう。
一時間後。
「やっぱり、買わなくていいや。ニクスといるだけで十分だし、お金なんていらないな」
ルパは金貨五枚を懐にしまい、僕の腕に抱き着いてくる。
「あ、あれ……? 私、いつの間にお金を使ってたんだろう……」
ミアの手には紙袋が五袋あり、全て金貨一枚の品が入っている。下着や化粧品、読むかわからない本、靴、避妊具……。購入品が大人なのだが、ミアは自分がいつの間にこのような品を買っていたのか覚えていないと言う。もう、楽しそうに買い物してたのに、その記憶が無いなんて何かの病気かと思ったが……。
「じゃあ、全部返品してくる?」
「へ、返品はしなくていいんじゃないですかねー。いつか使うかもしれませんしー」
ミアは視線を反らし、大切そうに抱える。購入した覚えは無いが、欲しい品ではあったらしく、息をするようにお金を使ってしまうのだろう。
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