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仲間が増えた生活
正月前の大掃除
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「ルパ、いつも一緒にいてくれてありがとう。ルパが友達になってくれて仲間になって凄く嬉しかった。こんな楽しい日々がいつまで続くかわからないけど、来年もずっと一緒にいようね。大好きだよ」
「な、な、なな……。わ、私は……、ニクスなんて大嫌いだけど……、仕方がないから来年も一緒にいてあげる……。あ、あと……誕生日になったらミアみたいにキス、いっぱいする」
ルパはブツブツと呟きながら指先を突き合わせ、赤面していた。
「ミア、出会ってまだ短いけど、持ち前の明るさと仕事の腕前にいつも助けられているよ。最近はしてないけど、別の仕事のことは気にせず、ミアの心が治るまで僕達が支える。これからも僕達の仲間としてよろしくね。大好きだよ」
「はわ、はわわ……。わ、私もニクスさんが大好きですっ! 心が治っているかわからないですけど、ニクスさんとルパちゃん、プルスちゃんの三名と一緒に生活出来て、私、幸せです。これからも、末永くよろしくお願いします」
ミアは泣きだし、ルパが優しく抱き寄せた。仲間同士で、思いを共有するのはとても大切な行いだ。ルパにミア、僕。あとプルス。ずっと眠ってるけど、さすがに寝過ぎじゃないかな。
「ぴよー。ぴよー。ぴよー。ぴよー」
プルスは寝息を立てながら、炭の中で眠っている。あまりに眠りこくっているので、生きているのか不安になるも、時おりおならをして炎が燃え、驚きながら目を覚ますので生きているとわかる。
「ルパ、ミア。元日だけど、僕の実家に向っても大丈夫?」
「全然大丈夫だけど……、また長いことニクスに抱き着いていけないのかー。面倒だなー」
ルパは胡坐をかき、嬉しそうに尻尾を振る。
「うぅ……。また高い所を移動しないといけないんですか……」
ミアは高所に恐怖を覚えており、身を縮こませる。
「必ず帰らないといけない訳じゃないけど、兄さんたちに顔を見せた方がいいかなと思ったんだ。正月くらい帰省して安心させてあげないと、クワルツ兄さんの手紙が止まらない」
家の隅っこに置かれている袋の中に、クワルツ兄さんから送られてくる手紙が、溜まっていた。一日に一通届くらしく、何をそこまで心配しているのだろうか。クワルツ兄さんは少々過保護すぎる。止めさせないと、返事を書く気も起きない。
「じゃあ、着替えの用意をしないといけないね」
「顔だけ見せてその日の内に帰ってもいいんだよ」
「ええ……。さすがに疲れるでしょ……。一日くらい休んでからの方が安全じゃない?」
「それもそうか……。なにか他の場所に行く予定があればいいんだけど、冬だし、王国内だと今日が一番盛り上がっているはず。催し物でもあればいいんだけど、全然しらないし……」
「ニクスが友達と遊んでこなかったのがよくわかる。そんなんだから、予定が決められないんだ」
「うぐ……。その通り……。僕が遊んでこなかったばっかりに、冬に楽しい思い出を残すことができない……。旅先を考えることができないんだ……」
僕は手を床に突き、うなだれる。
「なら、記事を読んで気になった場所に行くのはどうですか? 冬にしか見れない絶景とか、料理とか、何かあるかもしれませんよ」
「んー、それもありかもしれないな。フランツに行って記事や小冊子を買えば、少なからず行きたい場所が見つかるかもしれない。冬だからあまり遠い場所には行けないけど、少しの移動で行けるのなら、行かない方がもったいない。旅の準備は一応行っておこう。そうしておけば、やっぱりいかなくていいかと言う言い訳が作れる」
「むぅー、行かない理由ってなにー? 行くのー」
ルパは遊ぶ気満々でボンサックに下着や服を入れ、出発の準備をしていた。
「ルパが旅行をしたいなんて珍しいね」
「別に旅行がしたい訳じゃない……。ニクスとの思い出が欲しいだけ」
「ルパ……。そうだね、皆で思い出を沢山作ろう。そうした方が楽しいよね」
「もう、そうなったら行かない訳にはいかないじゃないですか……」
僕達は正月に実家に帰省することにした。
一二月三一日まで鍛錬と素材集めを行い、家の中の掃除も行う。
いらない物は捨て、大切な品だけ残す。
今のところ、僕達の私物は四つ角の棚に置かれており、入口から右奥が僕の棚、左前がルパの棚、右前がミルの棚、左奥は布団が置いてある。
干し草は毎回プルスが乾燥させてくれるので、ダニや虫などはわかず、良い香りがする。布団もプルスの炎で燃やし、寝汗を乾燥させると鳥羽の軽い布団に元通りだ。乾燥と言う力があるだけでとても生活しやすい。
「ルパちゃん、そんなゴミ、残していても意味ないでしょ。捨てなさい」
「ご、ゴミじゃないもん。思い出だもん」
ルパは木の枝を持ちながら言う。
「どんな思い出があるの?」
「この木の枝が足下に無かったらニクスに攻撃が届いていたって言う思い出があるの」
ルパの思い出は少々独特が過ぎる。はたから見たらゴミにしか見えないが、ルパにとっては思い出の棚になっている。
「ミアの棚の方が捨てたほうがいい物いっぱいあるじゃん。あんなに下着いらないでしょ。いつもメイド服着てるくせに、私服もいっぱいあるし、全然着てないじゃん」
「お気に入りの品なんだからいいでしょ。あと、着ようと思って溜めてるのー」
ミアの棚には衣服類が沢山陳列されていた。もう、服の露店を開けそうなほど、服が溜まっている。街に行くたびに新しい服を買うので、どんどん溜まるのだ。
「ニクスさんの棚は毎朝キラキラしすぎて目が痛くなるので、カーテンでも付けてください。あと、品が良すぎて宝石店を開けてしまいそうなくらいです、盗まれても知りませんよ」
「怒ってるのか褒めてるのかわからないけど、カーテンか……。つけておくよ」
「な、な、なな……。わ、私は……、ニクスなんて大嫌いだけど……、仕方がないから来年も一緒にいてあげる……。あ、あと……誕生日になったらミアみたいにキス、いっぱいする」
ルパはブツブツと呟きながら指先を突き合わせ、赤面していた。
「ミア、出会ってまだ短いけど、持ち前の明るさと仕事の腕前にいつも助けられているよ。最近はしてないけど、別の仕事のことは気にせず、ミアの心が治るまで僕達が支える。これからも僕達の仲間としてよろしくね。大好きだよ」
「はわ、はわわ……。わ、私もニクスさんが大好きですっ! 心が治っているかわからないですけど、ニクスさんとルパちゃん、プルスちゃんの三名と一緒に生活出来て、私、幸せです。これからも、末永くよろしくお願いします」
ミアは泣きだし、ルパが優しく抱き寄せた。仲間同士で、思いを共有するのはとても大切な行いだ。ルパにミア、僕。あとプルス。ずっと眠ってるけど、さすがに寝過ぎじゃないかな。
「ぴよー。ぴよー。ぴよー。ぴよー」
プルスは寝息を立てながら、炭の中で眠っている。あまりに眠りこくっているので、生きているのか不安になるも、時おりおならをして炎が燃え、驚きながら目を覚ますので生きているとわかる。
「ルパ、ミア。元日だけど、僕の実家に向っても大丈夫?」
「全然大丈夫だけど……、また長いことニクスに抱き着いていけないのかー。面倒だなー」
ルパは胡坐をかき、嬉しそうに尻尾を振る。
「うぅ……。また高い所を移動しないといけないんですか……」
ミアは高所に恐怖を覚えており、身を縮こませる。
「必ず帰らないといけない訳じゃないけど、兄さんたちに顔を見せた方がいいかなと思ったんだ。正月くらい帰省して安心させてあげないと、クワルツ兄さんの手紙が止まらない」
家の隅っこに置かれている袋の中に、クワルツ兄さんから送られてくる手紙が、溜まっていた。一日に一通届くらしく、何をそこまで心配しているのだろうか。クワルツ兄さんは少々過保護すぎる。止めさせないと、返事を書く気も起きない。
「じゃあ、着替えの用意をしないといけないね」
「顔だけ見せてその日の内に帰ってもいいんだよ」
「ええ……。さすがに疲れるでしょ……。一日くらい休んでからの方が安全じゃない?」
「それもそうか……。なにか他の場所に行く予定があればいいんだけど、冬だし、王国内だと今日が一番盛り上がっているはず。催し物でもあればいいんだけど、全然しらないし……」
「ニクスが友達と遊んでこなかったのがよくわかる。そんなんだから、予定が決められないんだ」
「うぐ……。その通り……。僕が遊んでこなかったばっかりに、冬に楽しい思い出を残すことができない……。旅先を考えることができないんだ……」
僕は手を床に突き、うなだれる。
「なら、記事を読んで気になった場所に行くのはどうですか? 冬にしか見れない絶景とか、料理とか、何かあるかもしれませんよ」
「んー、それもありかもしれないな。フランツに行って記事や小冊子を買えば、少なからず行きたい場所が見つかるかもしれない。冬だからあまり遠い場所には行けないけど、少しの移動で行けるのなら、行かない方がもったいない。旅の準備は一応行っておこう。そうしておけば、やっぱりいかなくていいかと言う言い訳が作れる」
「むぅー、行かない理由ってなにー? 行くのー」
ルパは遊ぶ気満々でボンサックに下着や服を入れ、出発の準備をしていた。
「ルパが旅行をしたいなんて珍しいね」
「別に旅行がしたい訳じゃない……。ニクスとの思い出が欲しいだけ」
「ルパ……。そうだね、皆で思い出を沢山作ろう。そうした方が楽しいよね」
「もう、そうなったら行かない訳にはいかないじゃないですか……」
僕達は正月に実家に帰省することにした。
一二月三一日まで鍛錬と素材集めを行い、家の中の掃除も行う。
いらない物は捨て、大切な品だけ残す。
今のところ、僕達の私物は四つ角の棚に置かれており、入口から右奥が僕の棚、左前がルパの棚、右前がミルの棚、左奥は布団が置いてある。
干し草は毎回プルスが乾燥させてくれるので、ダニや虫などはわかず、良い香りがする。布団もプルスの炎で燃やし、寝汗を乾燥させると鳥羽の軽い布団に元通りだ。乾燥と言う力があるだけでとても生活しやすい。
「ルパちゃん、そんなゴミ、残していても意味ないでしょ。捨てなさい」
「ご、ゴミじゃないもん。思い出だもん」
ルパは木の枝を持ちながら言う。
「どんな思い出があるの?」
「この木の枝が足下に無かったらニクスに攻撃が届いていたって言う思い出があるの」
ルパの思い出は少々独特が過ぎる。はたから見たらゴミにしか見えないが、ルパにとっては思い出の棚になっている。
「ミアの棚の方が捨てたほうがいい物いっぱいあるじゃん。あんなに下着いらないでしょ。いつもメイド服着てるくせに、私服もいっぱいあるし、全然着てないじゃん」
「お気に入りの品なんだからいいでしょ。あと、着ようと思って溜めてるのー」
ミアの棚には衣服類が沢山陳列されていた。もう、服の露店を開けそうなほど、服が溜まっている。街に行くたびに新しい服を買うので、どんどん溜まるのだ。
「ニクスさんの棚は毎朝キラキラしすぎて目が痛くなるので、カーテンでも付けてください。あと、品が良すぎて宝石店を開けてしまいそうなくらいです、盗まれても知りませんよ」
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