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新年になり、心が入れ替わる。暖かくなったら、旅に行こう。
抱き着くと癒される
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「ううぅ……、ニクス、ずっと戦っていたのに助けに行けなくてごめんなさいィ……」
ルパは僕に抱き着いて泣き、涙で服をビチャビチャにしていた。あまりにも泣くので頭を撫でながら無事なことを喜ぶ。
騎士達から武器は全て返してもらった。鉄砲はもちろん回収されたが、剣と短剣は僕の手もとに返されたので、ルパの腰に二本短剣を掛ける。
「じゃあルパ。今日から一ヶ月間。この街で暮らすよ」
「えっ! ど、どどど、どういうこと! もう、帰れるんじゃないの!」
ルパはてんやわんやし、目を見開いて聞いてくる。
「せっかく大きな街に来たんだ。人に慣れるにはちょうどいい。もちろん、いきなり人と話せるようになれとは言わないけど、少しでも慣れて行った方がいいと思ってさ。この街で一ヶ月の間生活してみよう」
「嫌嫌嫌嫌嫌……」
ルパは頭を横に何度も振る。
「もう、そんな嫌々言わないの。本当に生活できなかったら一緒に帰ろう。やってみてもないのに、嫌と言っていたら何もできないよ」
「う、うぅ……。わかった……。少し頑張ってみる。でも、出来なくても怒らないでよ」
「怒らないさ。ルパの努力を尊重するよ」
僕はルパの頭を撫でながら囁く。少なくとも、恐怖心をなくせると嬉しいんだけど、いまのところ難しそうだ。
現在の時刻は午後六時。まだ明るいが、すぐに暗くなる。宿を探しておかないと土地勘のない街で迷ってしまう。
僕は資金から、逆算して三〇日で金貨八〇枚の宿を借りた。一拍金貨二枚と銀貨五枚くらいだ。ベッドの大きさは普通でいいと言ったのだが、値段は据え置きでダブルベッドにされた。まぁ、部屋が大きくなるから良いのだけれど複雑な気分だ。
朝食や夕食は食堂に来て食べるらしい。
ビュッフェ形式なので自分で好きな料理を取って食べて良いのだとか。
ルパは眼を輝かせ、料理をお皿にモリモリに乗せ、掻き込んでいく。あまり食べすぎると他の人の分が無くなってしまうので腹七分目に抑えてもらう。
食事を終えた僕達は部屋に戻った。
「ふぅ……。今日は疲れた……」
僕がベッドに倒れ込むとルパが僕の腕を引っ張り、ベッドの中央に移動させる。僕はいったい何をしているのかと思い、聞いた。
「ルパ、何してるの?」
「ニクスが疲れたって言うから、揉んであげようと思った。私が疲れた時はいつも揉んでくれるから……今日は私が揉むの」
「そうなんだ、ありがとうルパ。助かるよ」
僕は頭上に乗っているプルスを掌に載せ、疲れていないと思うが羽や体を指圧してあげる。すると溶けるようにくつろぎ、トロトロになってしまった。
僕がプルスを揉んでいる間にルパはローブを脱ぎ、ハンガーに掛けた後、靴を脱いでベッドに上る。僕の靴も脱がせてくれた。革の鎧もはぎとられ、端に置かれる。剣やらお金やらも木の台に置いた。
「じゃ、じゃあ。揉むから」
「うん、あまり力は入れないでね。ルパの力だと骨が折れるからさ」
「わかってる」
ルパは僕の肩甲骨辺りに親指を当て、グイグイと揉んでくる。丁度凝っていた部分なのでとても気持ちが良い。肩回りや腕、脚、足裏など丁寧に揉んでくれた。力加減はほど良くて痛気持ちいいくらい。体臭をやたら嗅いでくるのが恥ずかしかったが、ルパは嫌がっている訳ではないらしいので、許した。背中を揉み終わったあと、仰向けにされ、ルパが乗ってきた。ムギュっと抱き着かれ、ルパの布団を堪能する。
「えっと、いったい何のつもり?」
「ギュッとすると疲れが無くなるってテリアが言ってた。今、私の疲れは消えて行ってる気がする。ニクスは?」
「まぁ、僕もかな……」
僕はルパの背中を撫でながら、抱擁する。尻尾がブンブン振れており可愛らしい。一五分ほど抱き合ったのち、体の疲れが取れた気がする僕は起き上がり、二人でお風呂に入った。魔法でお湯が出るらしいが飲めないのだそう。飲まないでくださいとお風呂に掛かれている。
浴槽にお湯を溜め、二人で一緒に脚を伸ばして入る。
「ふわぁ~。気持ちいイ……」
「うん……。温かくて癒される……」
「ぴよぉ……」
僕とルパは温かいお湯に浸かるだけで体の芯から解れ、疲れが抜けていく。プルスはお湯に浮かび、船のように漂っていた。ルパがプルスの頭を撫でるとプルスがパタパタと羽ばたき、水しぶきを上げる。
僕はルパの背中に抱き着き、温もりを得ていた。手が乳房に当たらないように肩を包み込むようにして抱きしめる。
「なにしてるの……」
「疲れたからルパに癒してもらっているんだよ……」
「こんなので癒されるの? ただ抱き着いてるだけでしょ」
「凄く癒されるよ。何だろう、安心すると言うか、嬉しいと言うか……、よくわからないけどルパを抱きしめていると疲れが薄くなるんだ」
「ニクスの疲れが取れるのなら、抱きしめられるくらい嫌じゃないからいいけど……」
ルパは僕の腕を握りずり下げてくる。柔らかい部分が腕に当たるもルパは気にする素振りを見せず、胸の下あたりまで腕の位置を落とした。
「ここの方が持ちやすいでしょ。お湯にも浸かれるし、私も楽だから、こっちで抱きしめて」
「わ、わかった」
僕はルパの華奢な体を抱きしめる。さっきよりも抱きしめやすくなったが、下乳が腕に当たりそうではらはらする。にしても、さっき当たった胸がとんでもなく柔らかかった。ルパも女の子の体をしているのだと再確認させられる。
数分間ルパを抱きしめ、疲れが飛んだと感じたころ、体を洗いあい、汚れを落とした。お風呂からあがり、体を乾いた布で拭き、水気を取ったらプルスの炎で完全に乾かす。空っからに乾いた体に飲み水を入れ、ルパの髪と尻尾を櫛で解いた。
「よし、良い感じだ。ルパはどうかな?」
「うん。すごく気持ちよかった。やっぱりブラッシングは好き……」
僕とルパは互いに下着姿になり、服を残り湯で洗濯したあと、プルスに乾かしてもらい汗臭い状態を防ぐ。
僕とルパはダブルベッドの上で天井を見上げ、明日からどうするかを話し合った。
ルパは僕に抱き着いて泣き、涙で服をビチャビチャにしていた。あまりにも泣くので頭を撫でながら無事なことを喜ぶ。
騎士達から武器は全て返してもらった。鉄砲はもちろん回収されたが、剣と短剣は僕の手もとに返されたので、ルパの腰に二本短剣を掛ける。
「じゃあルパ。今日から一ヶ月間。この街で暮らすよ」
「えっ! ど、どどど、どういうこと! もう、帰れるんじゃないの!」
ルパはてんやわんやし、目を見開いて聞いてくる。
「せっかく大きな街に来たんだ。人に慣れるにはちょうどいい。もちろん、いきなり人と話せるようになれとは言わないけど、少しでも慣れて行った方がいいと思ってさ。この街で一ヶ月の間生活してみよう」
「嫌嫌嫌嫌嫌……」
ルパは頭を横に何度も振る。
「もう、そんな嫌々言わないの。本当に生活できなかったら一緒に帰ろう。やってみてもないのに、嫌と言っていたら何もできないよ」
「う、うぅ……。わかった……。少し頑張ってみる。でも、出来なくても怒らないでよ」
「怒らないさ。ルパの努力を尊重するよ」
僕はルパの頭を撫でながら囁く。少なくとも、恐怖心をなくせると嬉しいんだけど、いまのところ難しそうだ。
現在の時刻は午後六時。まだ明るいが、すぐに暗くなる。宿を探しておかないと土地勘のない街で迷ってしまう。
僕は資金から、逆算して三〇日で金貨八〇枚の宿を借りた。一拍金貨二枚と銀貨五枚くらいだ。ベッドの大きさは普通でいいと言ったのだが、値段は据え置きでダブルベッドにされた。まぁ、部屋が大きくなるから良いのだけれど複雑な気分だ。
朝食や夕食は食堂に来て食べるらしい。
ビュッフェ形式なので自分で好きな料理を取って食べて良いのだとか。
ルパは眼を輝かせ、料理をお皿にモリモリに乗せ、掻き込んでいく。あまり食べすぎると他の人の分が無くなってしまうので腹七分目に抑えてもらう。
食事を終えた僕達は部屋に戻った。
「ふぅ……。今日は疲れた……」
僕がベッドに倒れ込むとルパが僕の腕を引っ張り、ベッドの中央に移動させる。僕はいったい何をしているのかと思い、聞いた。
「ルパ、何してるの?」
「ニクスが疲れたって言うから、揉んであげようと思った。私が疲れた時はいつも揉んでくれるから……今日は私が揉むの」
「そうなんだ、ありがとうルパ。助かるよ」
僕は頭上に乗っているプルスを掌に載せ、疲れていないと思うが羽や体を指圧してあげる。すると溶けるようにくつろぎ、トロトロになってしまった。
僕がプルスを揉んでいる間にルパはローブを脱ぎ、ハンガーに掛けた後、靴を脱いでベッドに上る。僕の靴も脱がせてくれた。革の鎧もはぎとられ、端に置かれる。剣やらお金やらも木の台に置いた。
「じゃ、じゃあ。揉むから」
「うん、あまり力は入れないでね。ルパの力だと骨が折れるからさ」
「わかってる」
ルパは僕の肩甲骨辺りに親指を当て、グイグイと揉んでくる。丁度凝っていた部分なのでとても気持ちが良い。肩回りや腕、脚、足裏など丁寧に揉んでくれた。力加減はほど良くて痛気持ちいいくらい。体臭をやたら嗅いでくるのが恥ずかしかったが、ルパは嫌がっている訳ではないらしいので、許した。背中を揉み終わったあと、仰向けにされ、ルパが乗ってきた。ムギュっと抱き着かれ、ルパの布団を堪能する。
「えっと、いったい何のつもり?」
「ギュッとすると疲れが無くなるってテリアが言ってた。今、私の疲れは消えて行ってる気がする。ニクスは?」
「まぁ、僕もかな……」
僕はルパの背中を撫でながら、抱擁する。尻尾がブンブン振れており可愛らしい。一五分ほど抱き合ったのち、体の疲れが取れた気がする僕は起き上がり、二人でお風呂に入った。魔法でお湯が出るらしいが飲めないのだそう。飲まないでくださいとお風呂に掛かれている。
浴槽にお湯を溜め、二人で一緒に脚を伸ばして入る。
「ふわぁ~。気持ちいイ……」
「うん……。温かくて癒される……」
「ぴよぉ……」
僕とルパは温かいお湯に浸かるだけで体の芯から解れ、疲れが抜けていく。プルスはお湯に浮かび、船のように漂っていた。ルパがプルスの頭を撫でるとプルスがパタパタと羽ばたき、水しぶきを上げる。
僕はルパの背中に抱き着き、温もりを得ていた。手が乳房に当たらないように肩を包み込むようにして抱きしめる。
「なにしてるの……」
「疲れたからルパに癒してもらっているんだよ……」
「こんなので癒されるの? ただ抱き着いてるだけでしょ」
「凄く癒されるよ。何だろう、安心すると言うか、嬉しいと言うか……、よくわからないけどルパを抱きしめていると疲れが薄くなるんだ」
「ニクスの疲れが取れるのなら、抱きしめられるくらい嫌じゃないからいいけど……」
ルパは僕の腕を握りずり下げてくる。柔らかい部分が腕に当たるもルパは気にする素振りを見せず、胸の下あたりまで腕の位置を落とした。
「ここの方が持ちやすいでしょ。お湯にも浸かれるし、私も楽だから、こっちで抱きしめて」
「わ、わかった」
僕はルパの華奢な体を抱きしめる。さっきよりも抱きしめやすくなったが、下乳が腕に当たりそうではらはらする。にしても、さっき当たった胸がとんでもなく柔らかかった。ルパも女の子の体をしているのだと再確認させられる。
数分間ルパを抱きしめ、疲れが飛んだと感じたころ、体を洗いあい、汚れを落とした。お風呂からあがり、体を乾いた布で拭き、水気を取ったらプルスの炎で完全に乾かす。空っからに乾いた体に飲み水を入れ、ルパの髪と尻尾を櫛で解いた。
「よし、良い感じだ。ルパはどうかな?」
「うん。すごく気持ちよかった。やっぱりブラッシングは好き……」
僕とルパは互いに下着姿になり、服を残り湯で洗濯したあと、プルスに乾かしてもらい汗臭い状態を防ぐ。
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