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鶏を買ったら……知り合いが増えた。
仲直り
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――にしてもやわらかいなぁ……。小っちゃくても、ちゃんと柔らかいんだ……。と言うことはあっちはもっと柔らかいということか。
僕は両手をルパのお尻の上に置いた。ふんわり、もちもち、すべすべ、このまま揉みしだきたいという思いがふつふつと沸き上がる。だが、ここでそんな行動をとれば確実に嫌われるだろう。いや、もう嫌われているのならありか、いや、なしか。
「ん~~。どうするべきか……」
「ニクス、なにしてるの……」
ルパの瞳が潤い、頬が真っ赤になっていた。今にも噛みついて来そうで、背筋が凍る。
「ん? 何って……。はっ!」
僕は無意識のうちにルパのもちもちのお尻を揉んでいた。置いたのが運のつきだったようだ。こんな物体に触れたら手が勝手に、なんて言い訳をしてももう遅い。
「あ、いや、その……。手が勝手に……」
一度揉んでしまったら気が済むまで止まらない。僕の性格上、あと一日くらいは揉み続けられてしまう。
「一回死ねや! 変態ニクスが!」
ルパは僕の額に強烈な頭突きを食らわせてきた。
「うごっ!」
視界が真っ白に飛び、頭がかち割れたかと思うほどの激痛が走る。そのまま僕は気を失ってしまった。
次に目を覚ましたのは家の中だった。蒲団を被り、ルパが僕に抱き着いている。服をちゃんと着た状態でだ。
「うぅ……。背中よりも頭が痛い……。血がないせいか、それともルパに強烈な頭突きを食らったからか。多分両方だな。でも、僕が家にいるのを考えるとルパが運んでくれたのかな。なんだかんだ言っても優しい子なんだ。悪いのは全部僕、自業自得だよ」
僕は眠るルパの頭を撫でて重い体を動かした。
「んん……」
ルパは僕を放してくれなかった。ぎゅっと抱き着き放そうとしない。寝ているのに、力がしっかりとあるのは流石獣族とでも言うべきか。
「お兄ちゃん……、行かないで……」
ルパは寝言を呟きながら涙を流している。
僕はルパのお兄ちゃんではないのだが、夢の中で出てきているのだろう。
僕はルパの頭を撫でて落ち着かせる。頭を撫でていると少しだけ表情が和らぎ、辛い表情を解いた。だが、ルパにここまで深い傷を負わせたのが僕と同じ人間だと思うといたたまれない。
僕にルパの深い傷を癒してあげられるのだろうか。なぜこんないたいけな少女が辛そうな顔をして泣いているのを見ないふり出来るんだ。僕にはわからない。お金よりも命の方が大事に決まっているのに……。
「ニクス……、頭撫でるの……、不愉快……。でも、ありがとう……。凄く嬉しい」
――ルパの夢の中で僕が出てる。僕もルパと一緒にいれて凄く嬉しいよ。
ルパの頭を抱き寄せるようにして頭を撫でる。少しでもルパの不安が和らぐのなら、僕はどれだけ嫌われても構わないさ。
ルパのお尻を揉み、盛大に嫌われたわけだが、なぜか朝起きた時、ルパは僕に怒っていなかった。
「怒ってないの?」
「怒ってた。でも、弱ってるニクスに頭突きして気絶させたら、なぜか後悔したの。だから、お尻を揉んだのは頭突きで許すことにした。だから、はい。仲直り……」
ルパは少し腕を広げていた。どうやら『抱き着いてもいいよ』の合図らしい。
「僕の方もごめんね。ルパのお尻に手を置いたのがまずかった。あんなに気持ちがいいとは思わなかったよ」
「変態……。そんなこと、わざわざ言わなくてもいいのに」
ルパは視線を背けながらも手の広げ方は変わりない。照れ隠しをしているみたいだ。
僕はルパのもとにそっと寄り添い、優しく抱擁する。昨日の温泉も暖かかったがルパの体も凄く暖かい。湯たんぽのような温もりがあり、ずっと抱き着いていたくなるがあまり抱き着き過ぎるとルパに嫌われてしまうので三〇秒ほどで離れた。
「これで仲直りだね。ルパ」
「う、うん。仲直り……」
僕とルパは手を握り、昨日の件は二人で謝り合って仲を戻した。
今日は猛吹雪ではなく、快晴で青い空が透き通っておりとても綺麗な色だった。ニ〇センチほど積もっている雪が日の光を反射し、ギラギラと輝いている。目が開けられそうになく、外に出たら寒いに決まっているのに、あまりに空が広いので出ずにはいられなかった。
「うわぁ~。すっごーい。空、広すぎる」
ルパは空を見上げ、口を開けていた。純粋無垢なその表情は三カ月前の少女と比べ物にならないほど綺麗で素敵だった。あの時、救い出せて本当に良かった。そう思う。これからも守っていけるのなら、僕はルパを支えてあげたい。
「ニクス、空飛びたい! こんな綺麗な空、飛べるのに飛ばないのはもったいないよ!」
ルパは無邪気な少女の顔で抱き着いてきた。きっと今すぐに飛びたいのだろう。
「そうだね。僕も飛びたくなってきたよ。プルス、飛べる?」
「ぴよぉ~。朝早いですが可能です。ま、時間は関係ないですけど」
プルスは僕の頭の上であくびをして翼をはためかせたあと、背中へと移動した。
背中に炎の翼が生える。僕はルパをぎゅっと抱き寄せて跳躍した。
空を走るよりも格段に速い速度で飛び、地上から五〇メートル付近にまでやってきた。
「どう、ルパ。すっごく綺麗だよ。海と森、空……。あと腕の中に美少女。最高の眺めだ」
「もぅ、美少女って……。まぁ、いいや。でも、本当にすごい景色……。私、こんな綺麗な景色見たの初めてかもしれない」
「確かに、こうやってマジマジトこの場所を見てたわけじゃないからわからなかったけど、ここら辺ってすごい綺麗な場所だよね。ま、ルパが一番綺麗だけど」
「うぅ……。なんかこそばゆい……。何でそんなに褒めてくるの?」
ルパは頬を赤くしながら、はにかむ。
「何でって、本当のことだからだよ。ルパはどの景色よりも綺麗だ。僕の瞳にはそう映ってる。景色の見え方は人それぞれだから、どんな感想があってもいいんだ。ルパはどの景色が一番好きかな?」
「わ、私はニクスが一番……、綺麗に見える」
ルパは視線をそらし、ぼそぼそと言った。僕を真似して恥ずかしがらせようと言う魂胆かもしれないが、何ともこそばゆい。
「ほんとだ。ルパの言った通り、なんかくすぐったいね」
「だって、私が擽ってますからね~」
プルスが炎の翼を使って僕の体を擽っていた。どうやら、ルパの体も擽っていたらしい。
「プルス、旋回しよう」
「了解です」
僕達は朝焼けの景色を上空から見た。何ともまぁ綺麗な場所だと再認識する。この場所から出ていこうと思えば出て行けるのだが、行く当てもないのでもうしばらくここにいようと思う。ここが僕とルパにとっての第二の故郷なのだ。
僕は両手をルパのお尻の上に置いた。ふんわり、もちもち、すべすべ、このまま揉みしだきたいという思いがふつふつと沸き上がる。だが、ここでそんな行動をとれば確実に嫌われるだろう。いや、もう嫌われているのならありか、いや、なしか。
「ん~~。どうするべきか……」
「ニクス、なにしてるの……」
ルパの瞳が潤い、頬が真っ赤になっていた。今にも噛みついて来そうで、背筋が凍る。
「ん? 何って……。はっ!」
僕は無意識のうちにルパのもちもちのお尻を揉んでいた。置いたのが運のつきだったようだ。こんな物体に触れたら手が勝手に、なんて言い訳をしてももう遅い。
「あ、いや、その……。手が勝手に……」
一度揉んでしまったら気が済むまで止まらない。僕の性格上、あと一日くらいは揉み続けられてしまう。
「一回死ねや! 変態ニクスが!」
ルパは僕の額に強烈な頭突きを食らわせてきた。
「うごっ!」
視界が真っ白に飛び、頭がかち割れたかと思うほどの激痛が走る。そのまま僕は気を失ってしまった。
次に目を覚ましたのは家の中だった。蒲団を被り、ルパが僕に抱き着いている。服をちゃんと着た状態でだ。
「うぅ……。背中よりも頭が痛い……。血がないせいか、それともルパに強烈な頭突きを食らったからか。多分両方だな。でも、僕が家にいるのを考えるとルパが運んでくれたのかな。なんだかんだ言っても優しい子なんだ。悪いのは全部僕、自業自得だよ」
僕は眠るルパの頭を撫でて重い体を動かした。
「んん……」
ルパは僕を放してくれなかった。ぎゅっと抱き着き放そうとしない。寝ているのに、力がしっかりとあるのは流石獣族とでも言うべきか。
「お兄ちゃん……、行かないで……」
ルパは寝言を呟きながら涙を流している。
僕はルパのお兄ちゃんではないのだが、夢の中で出てきているのだろう。
僕はルパの頭を撫でて落ち着かせる。頭を撫でていると少しだけ表情が和らぎ、辛い表情を解いた。だが、ルパにここまで深い傷を負わせたのが僕と同じ人間だと思うといたたまれない。
僕にルパの深い傷を癒してあげられるのだろうか。なぜこんないたいけな少女が辛そうな顔をして泣いているのを見ないふり出来るんだ。僕にはわからない。お金よりも命の方が大事に決まっているのに……。
「ニクス……、頭撫でるの……、不愉快……。でも、ありがとう……。凄く嬉しい」
――ルパの夢の中で僕が出てる。僕もルパと一緒にいれて凄く嬉しいよ。
ルパの頭を抱き寄せるようにして頭を撫でる。少しでもルパの不安が和らぐのなら、僕はどれだけ嫌われても構わないさ。
ルパのお尻を揉み、盛大に嫌われたわけだが、なぜか朝起きた時、ルパは僕に怒っていなかった。
「怒ってないの?」
「怒ってた。でも、弱ってるニクスに頭突きして気絶させたら、なぜか後悔したの。だから、お尻を揉んだのは頭突きで許すことにした。だから、はい。仲直り……」
ルパは少し腕を広げていた。どうやら『抱き着いてもいいよ』の合図らしい。
「僕の方もごめんね。ルパのお尻に手を置いたのがまずかった。あんなに気持ちがいいとは思わなかったよ」
「変態……。そんなこと、わざわざ言わなくてもいいのに」
ルパは視線を背けながらも手の広げ方は変わりない。照れ隠しをしているみたいだ。
僕はルパのもとにそっと寄り添い、優しく抱擁する。昨日の温泉も暖かかったがルパの体も凄く暖かい。湯たんぽのような温もりがあり、ずっと抱き着いていたくなるがあまり抱き着き過ぎるとルパに嫌われてしまうので三〇秒ほどで離れた。
「これで仲直りだね。ルパ」
「う、うん。仲直り……」
僕とルパは手を握り、昨日の件は二人で謝り合って仲を戻した。
今日は猛吹雪ではなく、快晴で青い空が透き通っておりとても綺麗な色だった。ニ〇センチほど積もっている雪が日の光を反射し、ギラギラと輝いている。目が開けられそうになく、外に出たら寒いに決まっているのに、あまりに空が広いので出ずにはいられなかった。
「うわぁ~。すっごーい。空、広すぎる」
ルパは空を見上げ、口を開けていた。純粋無垢なその表情は三カ月前の少女と比べ物にならないほど綺麗で素敵だった。あの時、救い出せて本当に良かった。そう思う。これからも守っていけるのなら、僕はルパを支えてあげたい。
「ニクス、空飛びたい! こんな綺麗な空、飛べるのに飛ばないのはもったいないよ!」
ルパは無邪気な少女の顔で抱き着いてきた。きっと今すぐに飛びたいのだろう。
「そうだね。僕も飛びたくなってきたよ。プルス、飛べる?」
「ぴよぉ~。朝早いですが可能です。ま、時間は関係ないですけど」
プルスは僕の頭の上であくびをして翼をはためかせたあと、背中へと移動した。
背中に炎の翼が生える。僕はルパをぎゅっと抱き寄せて跳躍した。
空を走るよりも格段に速い速度で飛び、地上から五〇メートル付近にまでやってきた。
「どう、ルパ。すっごく綺麗だよ。海と森、空……。あと腕の中に美少女。最高の眺めだ」
「もぅ、美少女って……。まぁ、いいや。でも、本当にすごい景色……。私、こんな綺麗な景色見たの初めてかもしれない」
「確かに、こうやってマジマジトこの場所を見てたわけじゃないからわからなかったけど、ここら辺ってすごい綺麗な場所だよね。ま、ルパが一番綺麗だけど」
「うぅ……。なんかこそばゆい……。何でそんなに褒めてくるの?」
ルパは頬を赤くしながら、はにかむ。
「何でって、本当のことだからだよ。ルパはどの景色よりも綺麗だ。僕の瞳にはそう映ってる。景色の見え方は人それぞれだから、どんな感想があってもいいんだ。ルパはどの景色が一番好きかな?」
「わ、私はニクスが一番……、綺麗に見える」
ルパは視線をそらし、ぼそぼそと言った。僕を真似して恥ずかしがらせようと言う魂胆かもしれないが、何ともこそばゆい。
「ほんとだ。ルパの言った通り、なんかくすぐったいね」
「だって、私が擽ってますからね~」
プルスが炎の翼を使って僕の体を擽っていた。どうやら、ルパの体も擽っていたらしい。
「プルス、旋回しよう」
「了解です」
僕達は朝焼けの景色を上空から見た。何ともまぁ綺麗な場所だと再認識する。この場所から出ていこうと思えば出て行けるのだが、行く当てもないのでもうしばらくここにいようと思う。ここが僕とルパにとっての第二の故郷なのだ。
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