1 / 1
鬼畜上司にトイレを使って鉄槌を下す話
しおりを挟む
この会社は小さい。社長の肝も小さければ社員の声も小さい。俺は中小企業の子会社で係長という役職に就いているが、別に実力でなったわけじゃない。ただ社長の親戚だったと言う理由だけでパンピー社員達の上に君臨している。
たった今、部長から雷を落とされて気分は最悪だ。さて適当な部下を呼びつけ、適当に因縁をつけ、適当に怒鳴りつけてスカッとする事にしよう。八つ当たりってやつだ。使い古したオフィスチェアーに座り、偉そうに足を組む。
「戸井君。ちょっと来たまえ」
「はっ……はい」
戸井はビクビクしながら俺の前に立つ。戸井は色白でやせ細った男だ。どこかエノキダケに似ている。気の弱い性格で俺の罵倒を1時間も聞かせてやった。
その後でこないだ頼んでおいた大企業からの大事な契約書を恐々提出してきたので、分捕るように受け取とり、俺は席を立った。
弱い者いじめはこうだからやめられない。気分がスッキリした所でこの建物に唯一あるトイレへ向かった。無論男女兼用の洋式トイレだ。ズボンを下ろし、いつも通り便座に座った。
「アツッ!」
反射的に便座から飛び上がった。便座の温度設定が1番高くなっているではないか。もちろん火傷する程ではないのだが何も知らないで座るとビックリする。
「クソッ。誰だ最後に使ったやつ」
便座の温度を1番下に下げだ。気を取り直してもう1度座り、用を足す。ホッと一息ついたところで、いつもの習慣でウォシュレットのボタンを押した。すると次の瞬間。
「痛たたたたた!!!」
俺の悲鳴は狭い社内に響き渡っただろう。ウォシュレットの水勢が最強になっていて、痔を患っている俺の肛門に激痛が走った。
クソッと言いながらレバーを回し、水を流すとポロッと何かがトイレの中へ落ちたのを目の隅でとらえた。
「おいっ!! ちょっと待て!! 頼む!!」
それが先ほど受け取った契約書だと分かった時にはもう手遅れだった。完全に自分のミスである。
俺は青ざめながらデスクに戻る。そういえば戸井は零という名前で“トイレイ”と読む。トイレの霊。まさか……。
背中に凍りつくような視線を感じたので思わず振り返った。するとそこにはこちらを見ながら不気味に笑う戸井の姿があった。
たった今、部長から雷を落とされて気分は最悪だ。さて適当な部下を呼びつけ、適当に因縁をつけ、適当に怒鳴りつけてスカッとする事にしよう。八つ当たりってやつだ。使い古したオフィスチェアーに座り、偉そうに足を組む。
「戸井君。ちょっと来たまえ」
「はっ……はい」
戸井はビクビクしながら俺の前に立つ。戸井は色白でやせ細った男だ。どこかエノキダケに似ている。気の弱い性格で俺の罵倒を1時間も聞かせてやった。
その後でこないだ頼んでおいた大企業からの大事な契約書を恐々提出してきたので、分捕るように受け取とり、俺は席を立った。
弱い者いじめはこうだからやめられない。気分がスッキリした所でこの建物に唯一あるトイレへ向かった。無論男女兼用の洋式トイレだ。ズボンを下ろし、いつも通り便座に座った。
「アツッ!」
反射的に便座から飛び上がった。便座の温度設定が1番高くなっているではないか。もちろん火傷する程ではないのだが何も知らないで座るとビックリする。
「クソッ。誰だ最後に使ったやつ」
便座の温度を1番下に下げだ。気を取り直してもう1度座り、用を足す。ホッと一息ついたところで、いつもの習慣でウォシュレットのボタンを押した。すると次の瞬間。
「痛たたたたた!!!」
俺の悲鳴は狭い社内に響き渡っただろう。ウォシュレットの水勢が最強になっていて、痔を患っている俺の肛門に激痛が走った。
クソッと言いながらレバーを回し、水を流すとポロッと何かがトイレの中へ落ちたのを目の隅でとらえた。
「おいっ!! ちょっと待て!! 頼む!!」
それが先ほど受け取った契約書だと分かった時にはもう手遅れだった。完全に自分のミスである。
俺は青ざめながらデスクに戻る。そういえば戸井は零という名前で“トイレイ”と読む。トイレの霊。まさか……。
背中に凍りつくような視線を感じたので思わず振り返った。するとそこにはこちらを見ながら不気味に笑う戸井の姿があった。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
野辺帰り
だんぞう
ホラー
現代ではすっかり珍しいものとなった野辺送りという風習がある。その地域では野辺送りに加えて野辺帰りというものも合わせて一連の儀式とされている。その野辺の送りと帰りの儀式を執り行う『おくりもん』である「僕」は、儀式の最中に周囲を彷徨く影を気にしていた。
儀式が進む中で次第に明らかになる、その地域の闇とも言えるべき状況と過去、そして「僕」の覚悟。その結末が救いであるのかどうかは、読まれた方の判断に委ねます。
コ・ワ・レ・ル
本多 真弥子
ホラー
平穏な日常。
ある日の放課後、『時友晃』は幼馴染の『琴村香織』と談笑していた。
その時、屋上から人が落ちて来て…。
それは平和な日常が壊れる序章だった。
全7話
表紙イラスト irise様 PIXIV:https://www.pixiv.net/users/22685757
Twitter:https://twitter.com/irise310
挿絵イラスト チガサキ ユウ様 X(Twitter) https://twitter.com/cgsk_3
pixiv: https://www.pixiv.net/users/17981561
ヤンデレ義弟の作り方
アキナヌカ
ホラー
私はリアン・プリューム・アンティエット、子爵令嬢で母親を出産時に失くしていた。そんな私のところに新しいお義母さまと義弟がくることになった。その義弟はとても可愛い男の子で、私はその子のことをとても大切に可愛がった。
梟(フクロウ)の山
玉城真紀
ホラー
人を愛するという事は、とても素晴らしい事。
兄妹愛、親の愛、夫への愛、子供への愛。人は、様々な愛情を知っている。しかし、その「愛」を間違った使い方をしてしまうとそれは「憎しみ」へと変わる。
話をしてはいけないという奇妙な祭りの禁忌を犯してしまった事から始まる物語。
愛した男の裏切りから女の死、村の全滅。
それは、死んだ女の怨念がなしたものなのか、それともそれ以前からの呪詛のせいなのか・・・
【短編集】霊感のない僕が体験した奇妙で怖い話
初めての書き出し小説風
ホラー
【短編集】話ホラー家族がおりなす、不思議で奇妙な物語です。
ーホラーゲーム、心霊写真、心霊動画、怖い話が大好きな少し変わった4人家族ー
霊感などない長男が主人公の視点で描かれる、"奇妙"で"不思議"で"怖い話"の短編集。
一部には最後に少しクスっとするオチがある話もあったりするので、怖い話が苦手な人でも読んでくださるとです。
それぞれ短くまとめているので、スキマ時間にサクッと読んでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる