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終戦と停戦
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1940年5月、開戦から1年もしないうちに帝国は降伏いたしました。
四方からタコ殴りでしたからね…
結果的にMk-2戦車が完成することはなく終戦協定が結ばれました。
我が国はブレーメンとデュッセルドルフを含めたルール地方を割譲され、いっぱしの大国となりました。
帝国の東側は平野国家が掌握、ただ1939年9月17日平野国家に対して無通告で国境を越えた共産国家による侵攻も受けており、現在、連合国側と共産国側とで戦闘が継続中です。
平野国家については帝国との戦闘終結によって、国が西に移動したような状態になっています。
事実上帝国は崩壊、連合国による分割統治となっております。
「ルール工業地帯を一部でも抑えられたのは大きいですわね…しかし今度は共産国家との戦争ですか…」
「それについては停戦合意が成立しそうだ。あくまで停戦だがな」
「向こうとこちらでは政治思想的に受け入れられませんからね…」
「そういうことだ…奴らはいつまでも我々を帝国主義だとののしっているからな」
「独裁による暴君国家はあちらでしょうに…」
「とはいえ、共産国家群は我々と本気で事を構える気はないようだよ。
どうも、帝国との密約による侵攻だったようだからね」
お父様が新聞をたたみながら言います。
帝国と共産国家は平野国家を分割統治するような密約を交わしていたというのですからひどい話です。
「平野国家への支援は連合国としても行うのでしょう?」
「もちろんだ。ただ王国軍を向かわせることはしないつもりだ」
「10万人規模の負傷者が出ておりますのね…これ以上の犠牲は国として容認できないでしょう?」
「その通りだ。
そこで、我が国として過剰生産されたユーディー戦車を平野国家に売却予定だ」
「おとうさま、Mk-1とおっしゃってください」
「まぁ無理だろう、世界各国でもうユーディーの名で通っている」
私はがっくりと肩を落とします。
まさか連合国側の標準戦車にまで上り詰めることになるとは思っておらず、しかも王立国家では前大戦の戦車がすでにMk-1と名がついていたため、ユーディーが通り名として定着、連合国側では何処でも我が国の戦車は”ユーディー戦車”で通ってしまうようになりました。
また、最悪なのが連合国側の現有戦車において最も信頼性が高く攻撃力・防御力・機動力を兼ね備えた戦車がMk-1しかないという実情もあり、すでに総合計で1万台を超える生産数を誇るようになってしまったのです。
「王立国家では17ポンド砲に載せ替えたユーディー戦車がいるそうだ」
「弾薬供給の影響でしょうね…」
「Mk-2の開発も急いだほうがいい。各国ではユーディー戦車を基に次期主力戦車の開発が始まっている」
「わかっております。
我が国の実情に合わせた乗務員3名で運用可能な戦車の開発を進めておりますわよ」
「現時点でも5名ものっているのに、二人も減らせるのか?」
「操縦手、砲手、戦車長の3人で運用できるようにあらゆるものを自動化しようとしておりますのよ。
ニーナ様が再度提案してきた自動装填装置があれば可能になると思いますし、無線に関してはシルビア様が新大陸から最新のものを取り寄せてくださっているおかげで目処が立ちそうですわ」
現在、Mk-2戦車の開発は大詰めを迎えています。
ルール工業地帯を制圧したことで入ってきた技術によって、装甲は複合装甲化、自動装填装置についても船舶用のモノを小型化することで、120mm砲でも使えるようになりそうです。
さらには航空機用ディーゼルエンジンの高出力化によってエンジンパワーも申し分なく、重量増加分を帳消しにできるでしょう。
おかげで車体規模はだいぶ大きく、帝国の4号戦車を越えます。
砲塔なんてユーディー戦車の車体をひっくり返したような大きさがあるんですから。
それでも機動力は整地で70km/hを確保、ギアボックスの改良による信地旋回半径の縮小のめども立ちました。
市街地で砲塔を旋回すると砲塔後部が周囲にぶつかりそうで怖いですけれど。
ただ、コストは現在のユーディー戦車3両分にもなります。
流石に高すぎです。
とはいえ、現行のユーディー戦車は連合各国で作られているおかげで部品単価が急速に低下しており生産当初の半分の価格になっていますから、ある程度目をつぶってほしいですわね。
「それを聞いて安心したよ。
ところでユーディ。お前さん結婚する気は…」
「全くありませんのでお気遣いなく」
結婚など今更です。30手前の行き遅れですよ。
そんな女性を愛してくれる殿方など、それこそ偏屈ジジィか戦争成金のデブしかいないでしょう。
いやですよそんなの。
「いや、我が家はどうなるのかと…」
「すでに貴族の時代でもございませんでしょう?そろそろ爵位を返してもよいのではないですか?」
「うー…むむむ」
「まぁどうしてもダルムシュタット家を残したいなら親類から養子をとればよろしいかと。
従兄弟がこないだ結婚したではないですか」
「あれは戦争に行く前に式を挙げてしまおうというやつだ…まぁ無事に帰ってくるようだからそれも考えるか…」
「そうしてくださいまし」
ともかく戦争が終わっても私たちの仕事はまだまだ終わらなそうですわ…
四方からタコ殴りでしたからね…
結果的にMk-2戦車が完成することはなく終戦協定が結ばれました。
我が国はブレーメンとデュッセルドルフを含めたルール地方を割譲され、いっぱしの大国となりました。
帝国の東側は平野国家が掌握、ただ1939年9月17日平野国家に対して無通告で国境を越えた共産国家による侵攻も受けており、現在、連合国側と共産国側とで戦闘が継続中です。
平野国家については帝国との戦闘終結によって、国が西に移動したような状態になっています。
事実上帝国は崩壊、連合国による分割統治となっております。
「ルール工業地帯を一部でも抑えられたのは大きいですわね…しかし今度は共産国家との戦争ですか…」
「それについては停戦合意が成立しそうだ。あくまで停戦だがな」
「向こうとこちらでは政治思想的に受け入れられませんからね…」
「そういうことだ…奴らはいつまでも我々を帝国主義だとののしっているからな」
「独裁による暴君国家はあちらでしょうに…」
「とはいえ、共産国家群は我々と本気で事を構える気はないようだよ。
どうも、帝国との密約による侵攻だったようだからね」
お父様が新聞をたたみながら言います。
帝国と共産国家は平野国家を分割統治するような密約を交わしていたというのですからひどい話です。
「平野国家への支援は連合国としても行うのでしょう?」
「もちろんだ。ただ王国軍を向かわせることはしないつもりだ」
「10万人規模の負傷者が出ておりますのね…これ以上の犠牲は国として容認できないでしょう?」
「その通りだ。
そこで、我が国として過剰生産されたユーディー戦車を平野国家に売却予定だ」
「おとうさま、Mk-1とおっしゃってください」
「まぁ無理だろう、世界各国でもうユーディーの名で通っている」
私はがっくりと肩を落とします。
まさか連合国側の標準戦車にまで上り詰めることになるとは思っておらず、しかも王立国家では前大戦の戦車がすでにMk-1と名がついていたため、ユーディーが通り名として定着、連合国側では何処でも我が国の戦車は”ユーディー戦車”で通ってしまうようになりました。
また、最悪なのが連合国側の現有戦車において最も信頼性が高く攻撃力・防御力・機動力を兼ね備えた戦車がMk-1しかないという実情もあり、すでに総合計で1万台を超える生産数を誇るようになってしまったのです。
「王立国家では17ポンド砲に載せ替えたユーディー戦車がいるそうだ」
「弾薬供給の影響でしょうね…」
「Mk-2の開発も急いだほうがいい。各国ではユーディー戦車を基に次期主力戦車の開発が始まっている」
「わかっております。
我が国の実情に合わせた乗務員3名で運用可能な戦車の開発を進めておりますわよ」
「現時点でも5名ものっているのに、二人も減らせるのか?」
「操縦手、砲手、戦車長の3人で運用できるようにあらゆるものを自動化しようとしておりますのよ。
ニーナ様が再度提案してきた自動装填装置があれば可能になると思いますし、無線に関してはシルビア様が新大陸から最新のものを取り寄せてくださっているおかげで目処が立ちそうですわ」
現在、Mk-2戦車の開発は大詰めを迎えています。
ルール工業地帯を制圧したことで入ってきた技術によって、装甲は複合装甲化、自動装填装置についても船舶用のモノを小型化することで、120mm砲でも使えるようになりそうです。
さらには航空機用ディーゼルエンジンの高出力化によってエンジンパワーも申し分なく、重量増加分を帳消しにできるでしょう。
おかげで車体規模はだいぶ大きく、帝国の4号戦車を越えます。
砲塔なんてユーディー戦車の車体をひっくり返したような大きさがあるんですから。
それでも機動力は整地で70km/hを確保、ギアボックスの改良による信地旋回半径の縮小のめども立ちました。
市街地で砲塔を旋回すると砲塔後部が周囲にぶつかりそうで怖いですけれど。
ただ、コストは現在のユーディー戦車3両分にもなります。
流石に高すぎです。
とはいえ、現行のユーディー戦車は連合各国で作られているおかげで部品単価が急速に低下しており生産当初の半分の価格になっていますから、ある程度目をつぶってほしいですわね。
「それを聞いて安心したよ。
ところでユーディ。お前さん結婚する気は…」
「全くありませんのでお気遣いなく」
結婚など今更です。30手前の行き遅れですよ。
そんな女性を愛してくれる殿方など、それこそ偏屈ジジィか戦争成金のデブしかいないでしょう。
いやですよそんなの。
「いや、我が家はどうなるのかと…」
「すでに貴族の時代でもございませんでしょう?そろそろ爵位を返してもよいのではないですか?」
「うー…むむむ」
「まぁどうしてもダルムシュタット家を残したいなら親類から養子をとればよろしいかと。
従兄弟がこないだ結婚したではないですか」
「あれは戦争に行く前に式を挙げてしまおうというやつだ…まぁ無事に帰ってくるようだからそれも考えるか…」
「そうしてくださいまし」
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