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もう一人の悪役令嬢
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試作2号戦車の概略設計が完了した。
未来の本からすればおおよそ三号戦車と言えなくもない物体になった。
実は、この基礎設計をするまでの間に、ローザ様と一緒に傾斜装甲の研究も行って効果は確認していた。
同じ厚さの鉄板でも斜めに傾けると目安板厚が増えるうえに、力学的特性から跳弾が狙える。
この実証実験を完成したばかりの45mm対戦車砲で実験した結果、60度傾けた30mmの浸炭焼入装甲で跳ね返してしまった。
本来ならば60mmでも貫通できるはずだった45mm砲は試験用の砲弾がなくなるまでぶっ放しても装甲を貫通できずニーナ様が
「ユーディ様の理想で言えばローザ様の用意した装甲は理想的で十分なんでしょうけれど、家の対戦車砲は主砲としてはだめですわね」
といつもの間延びしたしゃべり方ではなくハキハキと言い放ち、一緒にいた開発担当者を凍り付かせていた。
そこで、この60度傾斜30mm装甲を車体全周に施したかったのですが、問題が発生したのです。
「斜めに固定した鉄板の溶接が難しく、何らかの方法を考えないと簡単に作れません」
ローザ様の一言により、斜め装甲による車体製造という課題を先送りにして、まずは試作2号を作ってしまおうとなり、ずいぶんと角ばった設計の戦車が出来ました。
砲塔も全体を鋳造とするのではなく、正面に来る防盾用に弧を描いた装甲をボルトオンする形としました。
主砲は45mm対戦車砲と砲と同軸に7.92mm機銃を搭載。
こちらは実戦形式の訓練にも歩兵に対するけん制にも使うものですわね。
そして、車体側に7.92mm機銃を搭載。
エンジン出力は航空機用のV8エンジンを使い、250馬力を確保。
正面装甲を50mmとし、側面を30㎜とした溶接を多用した車体とリーフスプリング式の車輪が5個
三号戦車の本にはトーションバーサスペンションとありましたが、ねじり棒ばねは中々製造が難しく、トラックなどにも使われているリーフスプリング式となりました。
一番苦労したのはトランスミッションですわね。
「お招きいただきありがとうございますわ皆様方。
このフランツィスカ・フォン・ネリスがお助けいたしますわぁ~!」
まぁーたキャラの濃い令嬢が増えました。
ネリス家のフランツィスカ様。
今回航空機用エンジンを見繕ってくださったお方です。
珍しい赤髪のグラマラスなご令嬢で、私達より1つ年上です。
経営学を専攻されているそうですが、今回私たちの研究会に参加していただけました。
どうやら、シルビア様が浮気をした元婚約者を経済的にコテンパンにしたのが痛快だったらしく、シルビア様を通じてご参加いただきました。
そして、このフラン様も婚約破棄済み…兵器開発局の少佐がお願いする前にネリス家のご令嬢が増えていたことに少佐は頭をひねっておりましたわね…
ですが、フラン様からもたらされた航空機エンジン用のギアボックスを基に、改良をしてただいたトランスミッションとシャフトのおかげで、ようやくこの試作2号戦車は形になりそうなのです。
整地巡航速度は計算上50km/h程度。
履帯幅は40cm程度となり、走破性は十分ではと考えています。
「ところで、ユーディちゃん。
開発している戦車の天板って8mmもないけど、こんなの飛行機から打たれたら貫通しない?」
「戦車同士で砲撃しあうことが目的ですから、重量の兼ね合いからも天板を厚くするのは限界があるのです」
戦車の大敵、それは航空機です。
7.92mm機銃だって天板は抜けてしまうかもしれません。
とはいっても、飛行機から戦車を狙うのは容易ではないと思うので、そこまで考えていません。
「ってことは、他国の戦車だって天板は薄いのよね?
戦車だけで敵を倒せない時のために、戦車を倒すための飛行機を作るのも、ありかもしれませんわね」
フラン様がえらいことを思いついたようです。
確かに本にもありました。
T-34だって無敵の戦車ではありません。
航空機に対しては無力だったことは本にも書いてあります。
急降下爆撃機という飛行機からの爆撃や砲撃で落とされたと言います。
ですが、それにも穴があります。
「フラン様、飛行機で戦車を落とすことは確かに可能ですが、それですとその飛行機を守る戦闘機が必要になりません事?」
そう、これら地上攻撃をする飛行機は制空権と呼ばれる空の安全が確保されていないとダメなのです。
逆に言えば、私達の国も空の安全が無ければ戦車の効率的な運用は難しいと言えます。
「であれば、なんでもできる万能な機体を作ればいいんですわね?」
「いえ、それが出来れば苦労はしないと…」
「大丈夫ですわ。お任せ下さいな…ふふふ」
そういってフラン様は研究室を後にされました。
大丈夫でしょうか?そんなものが作れるなら他国だって作れるということ。
どんなことでもできる機体なんて作って器用貧乏で敵に簡単に落とされては困るのですが…
未来の本からすればおおよそ三号戦車と言えなくもない物体になった。
実は、この基礎設計をするまでの間に、ローザ様と一緒に傾斜装甲の研究も行って効果は確認していた。
同じ厚さの鉄板でも斜めに傾けると目安板厚が増えるうえに、力学的特性から跳弾が狙える。
この実証実験を完成したばかりの45mm対戦車砲で実験した結果、60度傾けた30mmの浸炭焼入装甲で跳ね返してしまった。
本来ならば60mmでも貫通できるはずだった45mm砲は試験用の砲弾がなくなるまでぶっ放しても装甲を貫通できずニーナ様が
「ユーディ様の理想で言えばローザ様の用意した装甲は理想的で十分なんでしょうけれど、家の対戦車砲は主砲としてはだめですわね」
といつもの間延びしたしゃべり方ではなくハキハキと言い放ち、一緒にいた開発担当者を凍り付かせていた。
そこで、この60度傾斜30mm装甲を車体全周に施したかったのですが、問題が発生したのです。
「斜めに固定した鉄板の溶接が難しく、何らかの方法を考えないと簡単に作れません」
ローザ様の一言により、斜め装甲による車体製造という課題を先送りにして、まずは試作2号を作ってしまおうとなり、ずいぶんと角ばった設計の戦車が出来ました。
砲塔も全体を鋳造とするのではなく、正面に来る防盾用に弧を描いた装甲をボルトオンする形としました。
主砲は45mm対戦車砲と砲と同軸に7.92mm機銃を搭載。
こちらは実戦形式の訓練にも歩兵に対するけん制にも使うものですわね。
そして、車体側に7.92mm機銃を搭載。
エンジン出力は航空機用のV8エンジンを使い、250馬力を確保。
正面装甲を50mmとし、側面を30㎜とした溶接を多用した車体とリーフスプリング式の車輪が5個
三号戦車の本にはトーションバーサスペンションとありましたが、ねじり棒ばねは中々製造が難しく、トラックなどにも使われているリーフスプリング式となりました。
一番苦労したのはトランスミッションですわね。
「お招きいただきありがとうございますわ皆様方。
このフランツィスカ・フォン・ネリスがお助けいたしますわぁ~!」
まぁーたキャラの濃い令嬢が増えました。
ネリス家のフランツィスカ様。
今回航空機用エンジンを見繕ってくださったお方です。
珍しい赤髪のグラマラスなご令嬢で、私達より1つ年上です。
経営学を専攻されているそうですが、今回私たちの研究会に参加していただけました。
どうやら、シルビア様が浮気をした元婚約者を経済的にコテンパンにしたのが痛快だったらしく、シルビア様を通じてご参加いただきました。
そして、このフラン様も婚約破棄済み…兵器開発局の少佐がお願いする前にネリス家のご令嬢が増えていたことに少佐は頭をひねっておりましたわね…
ですが、フラン様からもたらされた航空機エンジン用のギアボックスを基に、改良をしてただいたトランスミッションとシャフトのおかげで、ようやくこの試作2号戦車は形になりそうなのです。
整地巡航速度は計算上50km/h程度。
履帯幅は40cm程度となり、走破性は十分ではと考えています。
「ところで、ユーディちゃん。
開発している戦車の天板って8mmもないけど、こんなの飛行機から打たれたら貫通しない?」
「戦車同士で砲撃しあうことが目的ですから、重量の兼ね合いからも天板を厚くするのは限界があるのです」
戦車の大敵、それは航空機です。
7.92mm機銃だって天板は抜けてしまうかもしれません。
とはいっても、飛行機から戦車を狙うのは容易ではないと思うので、そこまで考えていません。
「ってことは、他国の戦車だって天板は薄いのよね?
戦車だけで敵を倒せない時のために、戦車を倒すための飛行機を作るのも、ありかもしれませんわね」
フラン様がえらいことを思いついたようです。
確かに本にもありました。
T-34だって無敵の戦車ではありません。
航空機に対しては無力だったことは本にも書いてあります。
急降下爆撃機という飛行機からの爆撃や砲撃で落とされたと言います。
ですが、それにも穴があります。
「フラン様、飛行機で戦車を落とすことは確かに可能ですが、それですとその飛行機を守る戦闘機が必要になりません事?」
そう、これら地上攻撃をする飛行機は制空権と呼ばれる空の安全が確保されていないとダメなのです。
逆に言えば、私達の国も空の安全が無ければ戦車の効率的な運用は難しいと言えます。
「であれば、なんでもできる万能な機体を作ればいいんですわね?」
「いえ、それが出来れば苦労はしないと…」
「大丈夫ですわ。お任せ下さいな…ふふふ」
そういってフラン様は研究室を後にされました。
大丈夫でしょうか?そんなものが作れるなら他国だって作れるということ。
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