28 / 69
28話:敵の奇襲部隊を見つける
しおりを挟む
敵輸送部隊が帝国側へ引き返すのを確認した私たちは排莢した薬莢を回収し、一度森を引き返すことにした。
理由は補給部隊が到着しなかった帝国側の動きを確認するため。
「後方はかなり混乱しているようですね」
今回はあえて王国軍側へ戻るための位置ではなく、帝国軍の後ろに広がる森に潜伏して様子を確認している。
木の上に登り帝国軍部隊の動きを確認してきたルーナが落ち葉を避けた地面に状況を書いてくれる。
「つまり王国軍と対面している部隊はそのままにして、何個かの部隊を後方で再編している?」
「おそらくは、輸送部隊の護衛強化、あるいは私たちの捜索、または王国軍への奇襲ではないかと」
「護衛強化と私たちの捜索はわかるけれど、なんで王国側への奇襲と判断したの?」
「理由は武装です。今まで輸送隊の護衛に銃を持っているものはいませんでした。ほとんどが槍か剣です。一部弓兵もいましたが」
「今、急遽動き出している帝国側が作っている部隊は銃を装備している?」
「その通りです。1人1丁かならず持っています。荷物も多そうです」
ルーナ曰く、皆兵士が背負いバッグを装備しているとのこと。
そして、隊長と思われる将校もあえて羽飾りなどの派手な装備をしていないらしい。
「そう考えると奇襲部隊と考えた方が良いと思います」
「流石に今ここから狙うわけにはいかないわよね?」
「ミリア様、木登りできますか?」
「ごめんなさい」
運動音痴の私には木登りなんてできません。
庭を駆け回っていてもたまにコケる私が木登りなんてできるわけがないのです。
いつも木登りするルーナを見て「いいなぁ」と思っていたのです悔しい。
それはともかく、ここから敵部隊を狙うことは不可能。
今から王国側に戻れば奇襲について進言できるかと言われれば言ったところですぐに対処できるような時間は得られないかもしれない。
少なくとも2人で移動する限りは無理ね。
私そんなに早く林の中を移動できない。
「ルーナ、あなただけなら敵部隊より先に王国軍に着けるかしら?」
「もちろんですミリア様」
「今の感じだと敵奇襲部隊は夜か、翌朝王国軍側面に攻撃を仕掛ける可能性が高いわよね?であればルーナはその旨を伝えに行って、私は敵の侵攻路上で迎え撃ちます」
これには王国兵の命がかかっている。
しかも直接的に。
であれば躊躇わない。
あいつらを足止めしないといけない。
「…わかりました。ですが途中まで一緒に行きましょう。ミリア様だけでは潜伏場所の選定に不安があります」
「ありがとうルーナ。そこについては頼りにしているわ」
すでに王国軍と帝国軍の間にあるこの林の地形をルーナはある程度把握している。
人数がいる部隊が安全に通行できる地点を予測して、私の潜伏場所を選んだ後、最速で王国側へ状況を説明することで奇襲を頓挫させる。
まずはこれで行こう。
「ですが、こうなるとこの林は互いの兵士で激闘になる可能性がありますね…」
「ただの通り道にはできなくなるってことね…」
そうなるとこの林を抜けての敵後方撹乱は難しくなるかもしれないわね…
理由は補給部隊が到着しなかった帝国側の動きを確認するため。
「後方はかなり混乱しているようですね」
今回はあえて王国軍側へ戻るための位置ではなく、帝国軍の後ろに広がる森に潜伏して様子を確認している。
木の上に登り帝国軍部隊の動きを確認してきたルーナが落ち葉を避けた地面に状況を書いてくれる。
「つまり王国軍と対面している部隊はそのままにして、何個かの部隊を後方で再編している?」
「おそらくは、輸送部隊の護衛強化、あるいは私たちの捜索、または王国軍への奇襲ではないかと」
「護衛強化と私たちの捜索はわかるけれど、なんで王国側への奇襲と判断したの?」
「理由は武装です。今まで輸送隊の護衛に銃を持っているものはいませんでした。ほとんどが槍か剣です。一部弓兵もいましたが」
「今、急遽動き出している帝国側が作っている部隊は銃を装備している?」
「その通りです。1人1丁かならず持っています。荷物も多そうです」
ルーナ曰く、皆兵士が背負いバッグを装備しているとのこと。
そして、隊長と思われる将校もあえて羽飾りなどの派手な装備をしていないらしい。
「そう考えると奇襲部隊と考えた方が良いと思います」
「流石に今ここから狙うわけにはいかないわよね?」
「ミリア様、木登りできますか?」
「ごめんなさい」
運動音痴の私には木登りなんてできません。
庭を駆け回っていてもたまにコケる私が木登りなんてできるわけがないのです。
いつも木登りするルーナを見て「いいなぁ」と思っていたのです悔しい。
それはともかく、ここから敵部隊を狙うことは不可能。
今から王国側に戻れば奇襲について進言できるかと言われれば言ったところですぐに対処できるような時間は得られないかもしれない。
少なくとも2人で移動する限りは無理ね。
私そんなに早く林の中を移動できない。
「ルーナ、あなただけなら敵部隊より先に王国軍に着けるかしら?」
「もちろんですミリア様」
「今の感じだと敵奇襲部隊は夜か、翌朝王国軍側面に攻撃を仕掛ける可能性が高いわよね?であればルーナはその旨を伝えに行って、私は敵の侵攻路上で迎え撃ちます」
これには王国兵の命がかかっている。
しかも直接的に。
であれば躊躇わない。
あいつらを足止めしないといけない。
「…わかりました。ですが途中まで一緒に行きましょう。ミリア様だけでは潜伏場所の選定に不安があります」
「ありがとうルーナ。そこについては頼りにしているわ」
すでに王国軍と帝国軍の間にあるこの林の地形をルーナはある程度把握している。
人数がいる部隊が安全に通行できる地点を予測して、私の潜伏場所を選んだ後、最速で王国側へ状況を説明することで奇襲を頓挫させる。
まずはこれで行こう。
「ですが、こうなるとこの林は互いの兵士で激闘になる可能性がありますね…」
「ただの通り道にはできなくなるってことね…」
そうなるとこの林を抜けての敵後方撹乱は難しくなるかもしれないわね…
1
お気に入りに追加
438
あなたにおすすめの小説

Red Assassin(完結)
まさきち
ファンタジー
自分の目的の為、アサシンとなった主人公。
活動を進めていく中で、少しずつ真実に近付いていく。
村に伝わる秘密の力を使い時を遡り、最後に辿り着く答えとは...
ごく普通の剣と魔法の物語。
平日:毎日18:30公開。
日曜日:10:30、18:30の1日2話公開。
※12/27の日曜日のみ18:30の1話だけ公開です。
年末年始
12/30~1/3:10:30、18:30の1日2話公開。
※2/11 18:30完結しました。
聖女の証
とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
後の世界で聖女と呼ばれる少女アメリア。
この物語はアメリアが世界の果てを目指し闇を封印する旅を描いた物語。
異界冒険譚で語られる全ての物語の始まり。
聖女の伝説はここより始まった。
これは、始まりの聖女、アメリアが聖女と呼ばれるまでの物語。
異界冒険譚シリーズ【アメリア編】-聖女の証-
☆☆本作は異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。☆☆
その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

悪夢なのかやり直しなのか。
田中ボサ
ファンタジー
公爵家嫡男、フリッツ・マルクスは貴族学院の入学式の朝に悪夢を見た。
だが、フリッツは悪夢を真実だと思い、行動を起こす。
叔父の命を救い、病気に侵される母親を救う。
妹の学園生活を悪夢で終わらせないために奔走するフリッツ。
悪夢の中でフリッツは周囲が見えていなかったため、家族や友人を救うことができずにすべてが終わってしまい絶望する。
単なる悪夢だったのか、人生をやり直しているのか、フリッツも周囲もわからないまま、それでも現実を幸せにするように頑張るお話。
※なろう様でも公開中です(完結済み)

【完結】追放された実は最強道士だった俺、異国の元勇者の美剣女と出会ったことで、皇帝すらも認めるほどまで成り上がる
岡崎 剛柔
ファンタジー
【あらすじ】
「龍信、貴様は今日限りで解雇だ。この屋敷から出ていけ」
孫龍信(そん・りゅうしん)にそう告げたのは、先代当主の弟の孫笑山(そん・しょうざん)だった。
数年前に先代当主とその息子を盗賊団たちの魔の手から救った龍信は、自分の名前と道士であること以外の記憶を無くしていたにもかかわらず、大富豪の孫家の屋敷に食客として迎え入れられていた。
それは人柄だけでなく、常人をはるかに超える武術の腕前ゆえにであった。
ところが先代当主とその息子が事故で亡くなったことにより、龍信はこの屋敷に置いておく理由は無いと新たに当主となった笑山に追放されてしまう。
その後、野良道士となった龍信は異国からきた金毛剣女ことアリシアと出会うことで人生が一変する。
とある目的のためにこの華秦国へとやってきたアリシア。
そんなアリシアの道士としての試験に付き添ったりすることで、龍信はアリシアの正体やこの国に来た理由を知って感銘を受け、その目的を達成させるために龍信はアリシアと一緒に旅をすることを決意する。
またアリシアと出会ったことで龍信も自分の記憶を取り戻し、自分の長剣が普通の剣ではないことと、自分自身もまた普通の人間ではないことを思い出す。
そして龍信とアリシアは旅先で薬士の春花も仲間に加え、様々な人間に感謝されるような行動をする反面、悪意ある人間からの妨害なども受けるが、それらの人物はすべて相応の報いを受けることとなる。
笑山もまた同じだった。
それどころか自分の欲望のために龍信を屋敷から追放した笑山は、落ちぶれるどころか人間として最悪の末路を辿ることとなる。
一方の龍信はアリシアのこの国に来た目的に心から協力することで、巡り巡って皇帝にすらも認められるほど成り上がっていく。
南洋王国冒険綺譚・ジャスミンの島の物語
猫村まぬる
ファンタジー
海外出張からの帰りに事故に遭い、気づいた時にはどことも知れない南の島で幽閉されていた南洋海(ミナミ ヒロミ)は、年上の少年たち相手にも決してひるまない、誇り高き少女剣士と出会う。現代文明の及ばないこの島は、いったい何なのか。たった一人の肉親である妹・茉莉のいる日本へ帰るため、道筋の見えない冒険の旅が始まる。
(全32章です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる