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21話:そういえばどこを斥候するのか聞いてない
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ルーナのおかげで3日分の荷物を用意することができた。
といっても基本野宿だからそんなに多くの荷物はない。
外で裸になるわけにいかないから着替えも最低限だし。
お母様からもらっていた小さい方の背負いカバンに押し込むことができた。
これも全体が緑色をしている。
「ミリア様、斥候へは明日から行くわけですが、せめて今の敵軍の情報をもらってきてはどうですか?」
「そっか、どこへ斥候に出るのかも決めないといけないし、細かな命令をもらってないや」
戦線は膠着しているときいているけれど、今お互いがどんな陣形なのか私は知らない。
司令室には陣形に関する情報があったから、あそこにいけばおおよその全体像はわかるかな?
「じゃあ後で司令室にいってくるね」
「お願いしますねミリア様」
*****
司令部の天幕に行って入口の騎士に声をかけたら別小屋へ通された。
そこにはベアロン伯爵が待っていた。
「戦場全体の状況を知りたいということならば、教えるのは私が適任だろう。それと君への命令は私が行いたい」
「ありがとうございます伯爵」
スカートじゃないけれど迷彩服の端をもってカーテシーをする。
「ロベルトのやつが悪かったな。君は中立派貴族なのにベリリム家と強い繋がりがあるから気に食わなかったようだ…それにその…」
「まぁ私の見た目が幼いのは認めますが」
「もうしわけないな…タリム子爵夫人などを見れば人は見た目じゃないことはわかるのだが」
私がちっちゃくて同い年の令嬢と比較すると細っこく幼女体型なのは事実なのでいちいち目くじら立てないわよ。
「さて、これがこの周辺の簡易地図だ。現在我々は南側に布陣している。この丘を中心に総勢1万5千の兵が布陣している。敵は今までの情報でほぼ同数と考えられる。現在互いに小高い丘になっているところに本陣を置いている状態だ」
「私たちは今その小高い丘の後ろ側にいるわけですね」
「そうだ、お互いに攻め込もうとすると相手から撃ち下ろされる形になるので、戦線が膠着している。こちらからも攻めることができない状態だ」
「そういえば、大砲類はないのですか?」
そう、この戦場面白いほどに大砲を見ない。
「攻城戦ではないからな…互いに持ってきていないようだ」
「そうなのですね…敵の後方は偵察できていますか?」
「行かせてはいるがあまり芳しくない。うちと同じような陣地構成をしているようだというレベルだな」
なるほど、遠くから確認する分には同じような布陣かどうかはわかるけれど、それ以上はわからないってことか。
「敵の補給路の遮断などができれば戦況はひっくり返ると思うのだが…やってくれるか?」
「わかりました、では敵後方にむけて斥候し敵将校がいた場合は狙撃を試みます」
「そうしてくれ、君の活躍に期待している。それと、戦果報告はメイドに記録させるといい。君の実力だ今更疑うこともない」
「はい、わかりました」
*****
「というわけで敵後方の確認を命令されたわ」
「では明日は朝から大きく迂回して敵の後方へ回り込んでみますか」
「そうね、相手に見つからないようにしないと」
部屋に戻った私は地図を見せながらルーナと相談をしている。
夕飯は肉も入った野菜のスープだった。
配給される硬いパンをひたしながら食べる。
お行儀悪い食べ方だけどこうでもしないと配給のパン硬くて食べられないんだよね…
「じゃ明日からよろしくねルーナ」
「はい、お任せくださいミリア様」
何にもなく敵後方に回り込めるといいんだけどなぁ
相手だって同じことを考えているだろうから、そういう敵と鉢合わせしなければいいんだけれど…
といっても基本野宿だからそんなに多くの荷物はない。
外で裸になるわけにいかないから着替えも最低限だし。
お母様からもらっていた小さい方の背負いカバンに押し込むことができた。
これも全体が緑色をしている。
「ミリア様、斥候へは明日から行くわけですが、せめて今の敵軍の情報をもらってきてはどうですか?」
「そっか、どこへ斥候に出るのかも決めないといけないし、細かな命令をもらってないや」
戦線は膠着しているときいているけれど、今お互いがどんな陣形なのか私は知らない。
司令室には陣形に関する情報があったから、あそこにいけばおおよその全体像はわかるかな?
「じゃあ後で司令室にいってくるね」
「お願いしますねミリア様」
*****
司令部の天幕に行って入口の騎士に声をかけたら別小屋へ通された。
そこにはベアロン伯爵が待っていた。
「戦場全体の状況を知りたいということならば、教えるのは私が適任だろう。それと君への命令は私が行いたい」
「ありがとうございます伯爵」
スカートじゃないけれど迷彩服の端をもってカーテシーをする。
「ロベルトのやつが悪かったな。君は中立派貴族なのにベリリム家と強い繋がりがあるから気に食わなかったようだ…それにその…」
「まぁ私の見た目が幼いのは認めますが」
「もうしわけないな…タリム子爵夫人などを見れば人は見た目じゃないことはわかるのだが」
私がちっちゃくて同い年の令嬢と比較すると細っこく幼女体型なのは事実なのでいちいち目くじら立てないわよ。
「さて、これがこの周辺の簡易地図だ。現在我々は南側に布陣している。この丘を中心に総勢1万5千の兵が布陣している。敵は今までの情報でほぼ同数と考えられる。現在互いに小高い丘になっているところに本陣を置いている状態だ」
「私たちは今その小高い丘の後ろ側にいるわけですね」
「そうだ、お互いに攻め込もうとすると相手から撃ち下ろされる形になるので、戦線が膠着している。こちらからも攻めることができない状態だ」
「そういえば、大砲類はないのですか?」
そう、この戦場面白いほどに大砲を見ない。
「攻城戦ではないからな…互いに持ってきていないようだ」
「そうなのですね…敵の後方は偵察できていますか?」
「行かせてはいるがあまり芳しくない。うちと同じような陣地構成をしているようだというレベルだな」
なるほど、遠くから確認する分には同じような布陣かどうかはわかるけれど、それ以上はわからないってことか。
「敵の補給路の遮断などができれば戦況はひっくり返ると思うのだが…やってくれるか?」
「わかりました、では敵後方にむけて斥候し敵将校がいた場合は狙撃を試みます」
「そうしてくれ、君の活躍に期待している。それと、戦果報告はメイドに記録させるといい。君の実力だ今更疑うこともない」
「はい、わかりました」
*****
「というわけで敵後方の確認を命令されたわ」
「では明日は朝から大きく迂回して敵の後方へ回り込んでみますか」
「そうね、相手に見つからないようにしないと」
部屋に戻った私は地図を見せながらルーナと相談をしている。
夕飯は肉も入った野菜のスープだった。
配給される硬いパンをひたしながら食べる。
お行儀悪い食べ方だけどこうでもしないと配給のパン硬くて食べられないんだよね…
「じゃ明日からよろしくねルーナ」
「はい、お任せくださいミリア様」
何にもなく敵後方に回り込めるといいんだけどなぁ
相手だって同じことを考えているだろうから、そういう敵と鉢合わせしなければいいんだけれど…
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