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~第三章~
第15話 突撃!女戦士クラス
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パーティーの結成。そして仲間集め。新たな課題に取り組む事となった太郎は、仲間をスカウトする為戦士クラスまでやって来た。
閉ざされた扉の前でじっと佇む太郎。
「どどど、どうしよう……。なんて言って入ればいいの?」
「普通にスカウトしに来たって言えばいいじゃん」
心配する太郎と、相変わらず能天気な安倍である。
「ほれ!行くぞ!失礼しまーす!」
そう言うと安倍は、勝手に戦士クラスのドアを開けやがったのだった。
「あーーーーーーっ!!」
やめておくんなまし~、という太郎の悲痛な叫びが響く。
さて、教室に居るのはもちろん強靭な肉体の男戦士……。と、思ったのだが……。
教室の中は女子特有の甘ったるい臭いで溢れていた。そこに居たのは女子、女子、女子!見渡す限りの女子!
予想とは大きくかけ離れた女の子達が、教室の中に溢れていた。
「お、女の子がいっぱい……」
呆気にとられる太郎。と、そこへ一人の少女が威勢よく声を掛ける。
「あなた達、そこで何をしているの!?」
太郎と安倍の前に少女が立ちはだかった。金色の長い髪、そして身に付けているのはちょっときわどいビキニアーマー。お年頃の男子ならこのような格好の美少女が目の前に現れるとドキドキしてしまうだろう。
「何クラスの人?勝手に入ってこないでちょうだい」
少女は高飛車な口調でそう言った。一方太郎は状況が全く理解できず、未だにポカンとしている。
ようやく目の前の少女に対して話しかける事ができたところである。
「あの~、ここって?」
「ここは女戦士クラスよ!」
「女戦士!?」
太郎と安倍は声を揃えてそう言った。こいつら、意外なところで息を合わせてくれるな。
「安倍氏、安倍氏。俺教室間違えちゃったみたい」
「その北斗の拳の断末魔みたいな呼び方やめてくんない?どうりで女ばっかりだ」
太郎は改めて教室の中を見渡した。いつも見慣れているいかつい男だらけの勇者クラスと違い、ここはなんて可愛らしい雰囲気なのだろうか。
「な、なんか普通に可愛い子ばっかりで変な感じ……」
太郎は少し照れ気味につぶやいた。
「いやよく見ろ。そうでもないのもいるぞ」
すかさず鋭い意見を放つのは安倍である。お前はどこに注目しているのだ。
どうでもいい会話をする太郎と安倍に、先程の金髪少女が再び声を掛ける。
「ちょっと質問に答えなさいよ!何しに来たの?」
「えーと」
口ごもる太郎に安倍は冷たく言い放つ。
「おい、行こうぜ。女じゃ戦力になんねーよ」
うんと言いたいところだが、身内に元・女戦士の母親がいる為はっきり返事できない太郎である。
「もしかして、あなたスカウトしに来たの?」
少女の問いかけに太郎は素直に答えた。
「はい。でも教室間違えちゃったみたいで」
その時、女戦士クラスの教室から一斉に声が湧きあがった。
「うそー!?あれが勇者!?」
「見えなーい!」
「ダサーイ!」
「弱そー!」
「ちっちゃそー!」
なんだかよくわからない罵声まで紛れ込んでいるが、見るからにダサくて弱そうな太郎に女戦士達は猛攻撃(悪口)を仕掛けた。
何故女どもは集団になるとこんなに口が悪いのか。
「な、なんだよ!別にこっちだってスカウトしたい訳じゃねーし!おい、何か言い返せ!」
負けん気の強い安倍が、すかさず女戦士達に言い返した。しかしそれでも女達の口は塞がらない。
「ちんちくりんの勇者超ウケるー!」
何も悪い事をしていないのにとことん文句を言われる太郎は、ショックのあまり放心状態である。
流石は女戦士、腕っぷしだけではなく口喧嘩もとことん強い。勝気な女集団である。
それでも安倍に言い返せと言われたので、必死の思いで反撃した。
「ち、ちん……ちんちくりんじゃ……」
太郎にはこれがやっとである。
(駄目だ、全然言い返せてねえ)
これには安倍も呆れ顔。
「なにあれ、カッコワルーイ!」
中途半端な反撃のせいでますます女戦士達の罵声は盛り上がる。
「うるせーっ!メスはパンケーキでも食ってろ!」
あんまり言われっぱなしなので遂には安倍までキレた。ウッカリ教室を間違えてしまったせいで、なんだか大変な騒ぎになってしまった。
とにかくこんなおっかない女どもの居る教室からは一刻も早く逃げ出したい。豆腐メンタルのあまりすっかり傷付いてしまった太郎は、顔を真っ青にして震えている。
「行こうぜ太郎!こんなクラス用無しだ!」
安倍は太郎の腕を掴み、足早に教室を出ようとした。
その時、金髪少女が何かに気付いたような表情で二人を呼び止めた。
「えっ、太郎?あんたもしかして勇者太郎?」
「はい、そうです」
「太郎!律儀に答えるなよ!」
その返事を聞いた途端、女戦士クラスは先程とは違った雰囲気で盛り上がり始めた。
「嘘!?まさかあの、勇者太郎なの!?」
「あの勇者太郎が!?」
(あの、あの、ってどの勇者太郎だよ)
なんだかわからないが、「あの」と言われるほど太郎は噂の存在らしい。
しかし何故そこまで女子の噂になっているのかさっぱりわからない太郎であった。
【つづく】
閉ざされた扉の前でじっと佇む太郎。
「どどど、どうしよう……。なんて言って入ればいいの?」
「普通にスカウトしに来たって言えばいいじゃん」
心配する太郎と、相変わらず能天気な安倍である。
「ほれ!行くぞ!失礼しまーす!」
そう言うと安倍は、勝手に戦士クラスのドアを開けやがったのだった。
「あーーーーーーっ!!」
やめておくんなまし~、という太郎の悲痛な叫びが響く。
さて、教室に居るのはもちろん強靭な肉体の男戦士……。と、思ったのだが……。
教室の中は女子特有の甘ったるい臭いで溢れていた。そこに居たのは女子、女子、女子!見渡す限りの女子!
予想とは大きくかけ離れた女の子達が、教室の中に溢れていた。
「お、女の子がいっぱい……」
呆気にとられる太郎。と、そこへ一人の少女が威勢よく声を掛ける。
「あなた達、そこで何をしているの!?」
太郎と安倍の前に少女が立ちはだかった。金色の長い髪、そして身に付けているのはちょっときわどいビキニアーマー。お年頃の男子ならこのような格好の美少女が目の前に現れるとドキドキしてしまうだろう。
「何クラスの人?勝手に入ってこないでちょうだい」
少女は高飛車な口調でそう言った。一方太郎は状況が全く理解できず、未だにポカンとしている。
ようやく目の前の少女に対して話しかける事ができたところである。
「あの~、ここって?」
「ここは女戦士クラスよ!」
「女戦士!?」
太郎と安倍は声を揃えてそう言った。こいつら、意外なところで息を合わせてくれるな。
「安倍氏、安倍氏。俺教室間違えちゃったみたい」
「その北斗の拳の断末魔みたいな呼び方やめてくんない?どうりで女ばっかりだ」
太郎は改めて教室の中を見渡した。いつも見慣れているいかつい男だらけの勇者クラスと違い、ここはなんて可愛らしい雰囲気なのだろうか。
「な、なんか普通に可愛い子ばっかりで変な感じ……」
太郎は少し照れ気味につぶやいた。
「いやよく見ろ。そうでもないのもいるぞ」
すかさず鋭い意見を放つのは安倍である。お前はどこに注目しているのだ。
どうでもいい会話をする太郎と安倍に、先程の金髪少女が再び声を掛ける。
「ちょっと質問に答えなさいよ!何しに来たの?」
「えーと」
口ごもる太郎に安倍は冷たく言い放つ。
「おい、行こうぜ。女じゃ戦力になんねーよ」
うんと言いたいところだが、身内に元・女戦士の母親がいる為はっきり返事できない太郎である。
「もしかして、あなたスカウトしに来たの?」
少女の問いかけに太郎は素直に答えた。
「はい。でも教室間違えちゃったみたいで」
その時、女戦士クラスの教室から一斉に声が湧きあがった。
「うそー!?あれが勇者!?」
「見えなーい!」
「ダサーイ!」
「弱そー!」
「ちっちゃそー!」
なんだかよくわからない罵声まで紛れ込んでいるが、見るからにダサくて弱そうな太郎に女戦士達は猛攻撃(悪口)を仕掛けた。
何故女どもは集団になるとこんなに口が悪いのか。
「な、なんだよ!別にこっちだってスカウトしたい訳じゃねーし!おい、何か言い返せ!」
負けん気の強い安倍が、すかさず女戦士達に言い返した。しかしそれでも女達の口は塞がらない。
「ちんちくりんの勇者超ウケるー!」
何も悪い事をしていないのにとことん文句を言われる太郎は、ショックのあまり放心状態である。
流石は女戦士、腕っぷしだけではなく口喧嘩もとことん強い。勝気な女集団である。
それでも安倍に言い返せと言われたので、必死の思いで反撃した。
「ち、ちん……ちんちくりんじゃ……」
太郎にはこれがやっとである。
(駄目だ、全然言い返せてねえ)
これには安倍も呆れ顔。
「なにあれ、カッコワルーイ!」
中途半端な反撃のせいでますます女戦士達の罵声は盛り上がる。
「うるせーっ!メスはパンケーキでも食ってろ!」
あんまり言われっぱなしなので遂には安倍までキレた。ウッカリ教室を間違えてしまったせいで、なんだか大変な騒ぎになってしまった。
とにかくこんなおっかない女どもの居る教室からは一刻も早く逃げ出したい。豆腐メンタルのあまりすっかり傷付いてしまった太郎は、顔を真っ青にして震えている。
「行こうぜ太郎!こんなクラス用無しだ!」
安倍は太郎の腕を掴み、足早に教室を出ようとした。
その時、金髪少女が何かに気付いたような表情で二人を呼び止めた。
「えっ、太郎?あんたもしかして勇者太郎?」
「はい、そうです」
「太郎!律儀に答えるなよ!」
その返事を聞いた途端、女戦士クラスは先程とは違った雰囲気で盛り上がり始めた。
「嘘!?まさかあの、勇者太郎なの!?」
「あの勇者太郎が!?」
(あの、あの、ってどの勇者太郎だよ)
なんだかわからないが、「あの」と言われるほど太郎は噂の存在らしい。
しかし何故そこまで女子の噂になっているのかさっぱりわからない太郎であった。
【つづく】
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