86 / 104
外伝~女帝の熊と悪役令嬢~
これじゃいけねぇだろうな、周りが悪い。
しおりを挟む
綺羅の空間、王宮の大広間ってものが綺羅の空間じゃなかったらおかしいだろうが。
俺ぁ用意してもらった、そこそこ高級な衣装に身を包み、本日の主役であるお二人のお姫様の登場を、ほかの貴族と同じように待っていた。
その中でいくつか話を聞いていたわけだが。
どうも、アリアノーラの評判はよろしくないらしい。
気位の高いお姫様も、我儘極まりないお姫様も、珍しい物じゃねえんだが、どうもバスチアでは評判が悪い。
それはクリスティアーナ姫という、比べるにしては立派過ぎる相手が双子の姉というものだからか?
姉妹だろうが、比べる事でどうにかしようってのは気にいらねぇ。
人には出来不出来もあるし、俺からすれば違いってのは同じ腹から生まれたって存在する。
それを、人よりも何とか、なんて比べ続けりゃ、そりゃ歪んじまうだろうぜ。
比べない生き方ってのは、くそが付くほどつまらねぇかもしれないがな。
一個くらい、自分に秀でたものがあるって思えるようになれば、周りの評判がどうであれ、強くなれるんだが。
アリアノーラの優れている部分を、俺ぁこの貴族社会の極みみたいな場所で、聞いてない。
こういうのも、足元をすくわれる要因の一個なんだぜ。
とは、俺は周りには言わねぇ。
ただ、帝国の物慣れない奴の態度を貫く。
それで手に入れる情報は、多くて助かるぜ。俺ぁ情報が欲しいんだ。
ちらりと辺りを確認して、俺はちっこいグラスに入ったシャンパンか? とにかく酒を喉に流し込んだ。
出された酒を飲むってのは、それ位そこを信用しているという証なんだ。
特に、俺を狙って差し出されるようなグラスはな。
そう言う態度からも俺は、この場所で警戒されないように気を遣う。
そうして俺は、祝宴の盛り上がる部分である、双子の王女の登場を待っていた。
その時だ。
掛け声がして、大広間に続くでっかい扉が開いた。
開いて現れたのは、二人の全く違う王女だった。
真っすぐに歩いてくる、美貌の金髪碧眼に、緑の衣装が豪華な女の子。こっちがクリスティアーナ姫だ。
彼女のきらめかしさは群を抜いているだろう。
貴族の女の中で、あの少女よりも綺麗だと言えるだろう女が見当たらなかった。
そして、車椅子を動かして、姉王女の少し後ろを続く王女。
赤い髪と、対照的な赤い衣装。
しかし。
「趣味の悪い飾りもんだな」
俺は誰にも聞こえない声で、そう呟いた。
車椅子の王女、アリアノーラは、これでもかと言わんばかりに、びかびかと飾り立てた、ある種悪趣味な衣装を着ていた。
これがアリアノーラの趣味なのか。それとも。
「まあ、趣味が悪い」
「二の姫の趣味は悪趣味ですからね」
「いつも、場にふさわしくない衣装ばかり」
「一の姫と自分の差を、分かっていないのだ」
俺が思っていれば、周りは批判的な声を口々に、小さい、しかしこれ見よがしな声で囁いていく。
貴族様ってのの趣味は悪趣味すぎていやだな。
ああ、あの方のもとで、気心の知れた連中と和気あいあいとしたいぜ。
もっともそれのためには、この国のいろんな物を腹の中にぶち込まにゃならねえ。
俺、頑張るんだ、辛抱しろ。
第二の故郷が懐かしくなった俺を、俺は何とかなだめて、王女たちを見ていた。
クリスティアーナ姫が祝いへの感謝を述べる。
アリアノーラが続けようとしても、あっという間に、主役の話は終わったと、皆々様が囀り始める。
おい、王女なんだろ。
そんな蔑ろにしていていいのか。
俺はバスチアの考え方に、一部というかかなりというか、不安な物を覚えた。
俺の心配する物じゃねえんだけれどな。
アリアノーラの反応を見れば、これも慣れているのか? きついがしかし、いつも通りという顔をしていた。
俺の話で、笑い声を立てていた表情とは、きっと大違いだろうな。
そんな事を思っていれば、この誕生日の宴も、仮成人の宴なのだろう、今年やっと社交界デビューも許されたらしいクリスティアーナ姫が、男たちに群がられながら、踊り始めた。
ああ、やっぱりここも踊れないのは出来損ないなのか。
この周辺の国々の考え方で、貴族はきちんと踊れなきゃならねえ。
それができない奴は、どんな理由でも軽く見られるのだ。
ってこたぁ。
俺はまたアリアノーラを観察した。
アリアノーラは遠巻きにされていて、あの姫君に声をかけるやつが一人もいなかった。
さみしい人生を送ってきてんだな、あのアリアノーラは。
俺は……誕生日すらねえから、わからんが。
俺の誕生日っていつだった? いかん、全く覚えてねぇ。
誕生日を祝えるほどの、裕福な環境で生まれて来てないからな……
俺はシャンパンをまたお代わりし、人々の話題を注意深く聞いていく。
そして、程よく体が温まったあたりで、クリスティアーナ姫が一人の男と歓談している場面をちらりと見た。
あの銀髪に薄蒼の目は、たしかシュヴァンシュタインという家の特徴だ。
高位貴族なのは間違いない。
なるほどな。おそらく前々から面識がある男だろう。
男の目の中には、王女に対する男としての感情が、うっすらと見えていた。
おいおい。
俺はどうでもいい相手だが、失笑した。
その色位隠せないで、貴族やってられねえだろう。
そうやってしばらく見ていれば、クリスティアーナ姫の周りには、栄えある名前を持った、顔も頭も揃い踏みな男たちが群がって、お互いに牽制を始めていた。
そんなに粉をかけたって、王命でそのお姫様の相手は決まるんだろうに。
愛は全てに勝つ、なんていう嘘くさい物を、貴族の癖に持っているのだろうか。
だとしたら非常に、ばかばかしいし頭が悪い。
俺みたいな頭の悪い奴だってそう思うんだからな、相当だ。
そこまで判断した後に俺は、アリアノーラを探した。
俺的に見て、仲良くして損がない相手である。
目をかけられていない、王の子供ってのは、外から来た怪しい奴にとって非常に役に立つ立ち位置だ。
程よく国の内情を知っている場合が多い。
もしかしたら、権力に野心を抱いていて、あの方が操りやすい場合もあるしな。
そんなのを判断するのは、あの方だが。
俺は景気づけにもういっちょシャンパンをあおってから、視線を走らせて、あのひどく俺の中のなんかに訴えかけてくる、赤色をバルコニーで見つけたから、近付いた。
「楽しんでいらっしゃいませんね、お姫様」
出会った初めと違う。俺も相手も、お互いの身分を知っている。
敬語を使うのは、そう言った事を踏まえているからだ。
ここで無礼な調子なんぞしたら、俺ぁ自分の不手際に自己嫌悪だ。
「楽しめるわけがないわ」
固い声が、自分の殻を分厚くする事で、自分の心を守ってきた人間の、特有の声で、アリアノーラが言った。
「知っているかしら、イリアス様」
「何を?」
「踊れない貴族の娘は、幸せにもなれないのよ。デビュタントのダンスが踊れないんだから」
「はあ」
「でもわたくしは特例ね。踊れなくてもこうして仮成人の宴ができるのだから」
皮肉屋だな。我儘で高慢で皮肉屋。
人間らしい気質のお姫様だ。
悪かねぇ。
あの方がいいって言ったら、俺ぁこのお姫様を、あの方の国に連れて行ってもいいな。
あの方は、お喜びになるだろうか。
あの方の趣味と考えは、さっぱりぽんだかな。
「皆踊るのは楽しいというわ。わたくしはそんな事を、練習すらしないからわからなけれど」
「人それぞれとしか、言いようがありませんねぇ、あ、でも」
俺はアリアノーラのもっと奥深くに踏み込む調子で、こう言ってみた。
なんでかって、そりゃ好奇心だ。
いかんせん俺ぁ、こういうちびに提案するのが好きなんだ。
あの、ラジャラウトスのちびにも、同じように提案したからな。
その結果があれだが。口説かれたが。
あれはあのちびの黒歴史に、なるだろう。
美貌のお姉さんじゃなく、毛深い熊男を口説くんだからな。黒歴史だ。決定だ。
「踊ってみたいのでしたら、それっぽい事ができますよ」
「え?」
アリアノーラは意味が分からなかったらしい。そりゃそうだ。ダンスっぽい事ってなんだ。
彼女じゃなくったって、思うだろう。しかし。
俺は、周りに人がいないのを十分に確認してから、ずいとアリアノーラに近付いた。
見た目のぎらぎらに反して、しつこくない、嫌にならない程度の練り香の匂いが、アリアノーラ自身の匂いに混じっていた。
かなり、いい匂いだな。
俺はそう思いつつも、子供をたぶらかす悪い大人の声で、提案してみた。
「俺に身を任せてくれれば。こんな人気のない場所でしかできませんが、どうです?」
俺が提案するのにも、下心がある。
人間、ちょっと触った相手の方が警戒心を薄くする。
手を握るだの、頭をなでるだの、何でもいい。触れていれば。
一番いいのは、ヤる事だろうが、俺はそれをしない。第一、出来ねぇぞ、一国の王女になんぞ。
俺は命が惜しいんだ。
まあとにかく、俺ぁアリアノーラの心の近くに、自分を位置づける事で、より有力な情報を引き出す手間を惜しまないんだ。
罪悪感なんぞ、あるわけがねえ。
俺の仕事だ。大事な、な。
そんな俺の内心を知らないアリアノーラが、俺をずいぶんと深い輝きの銀の目玉で見つめてくる。
眼帯の中に隠れている方の目玉も、つい見ちまう。
そうして答えを待っていれば。
「やってみたいわ、やってちょうだい」
アリアノーラは、俺の提案に乗った。
俺ぁ用意してもらった、そこそこ高級な衣装に身を包み、本日の主役であるお二人のお姫様の登場を、ほかの貴族と同じように待っていた。
その中でいくつか話を聞いていたわけだが。
どうも、アリアノーラの評判はよろしくないらしい。
気位の高いお姫様も、我儘極まりないお姫様も、珍しい物じゃねえんだが、どうもバスチアでは評判が悪い。
それはクリスティアーナ姫という、比べるにしては立派過ぎる相手が双子の姉というものだからか?
姉妹だろうが、比べる事でどうにかしようってのは気にいらねぇ。
人には出来不出来もあるし、俺からすれば違いってのは同じ腹から生まれたって存在する。
それを、人よりも何とか、なんて比べ続けりゃ、そりゃ歪んじまうだろうぜ。
比べない生き方ってのは、くそが付くほどつまらねぇかもしれないがな。
一個くらい、自分に秀でたものがあるって思えるようになれば、周りの評判がどうであれ、強くなれるんだが。
アリアノーラの優れている部分を、俺ぁこの貴族社会の極みみたいな場所で、聞いてない。
こういうのも、足元をすくわれる要因の一個なんだぜ。
とは、俺は周りには言わねぇ。
ただ、帝国の物慣れない奴の態度を貫く。
それで手に入れる情報は、多くて助かるぜ。俺ぁ情報が欲しいんだ。
ちらりと辺りを確認して、俺はちっこいグラスに入ったシャンパンか? とにかく酒を喉に流し込んだ。
出された酒を飲むってのは、それ位そこを信用しているという証なんだ。
特に、俺を狙って差し出されるようなグラスはな。
そう言う態度からも俺は、この場所で警戒されないように気を遣う。
そうして俺は、祝宴の盛り上がる部分である、双子の王女の登場を待っていた。
その時だ。
掛け声がして、大広間に続くでっかい扉が開いた。
開いて現れたのは、二人の全く違う王女だった。
真っすぐに歩いてくる、美貌の金髪碧眼に、緑の衣装が豪華な女の子。こっちがクリスティアーナ姫だ。
彼女のきらめかしさは群を抜いているだろう。
貴族の女の中で、あの少女よりも綺麗だと言えるだろう女が見当たらなかった。
そして、車椅子を動かして、姉王女の少し後ろを続く王女。
赤い髪と、対照的な赤い衣装。
しかし。
「趣味の悪い飾りもんだな」
俺は誰にも聞こえない声で、そう呟いた。
車椅子の王女、アリアノーラは、これでもかと言わんばかりに、びかびかと飾り立てた、ある種悪趣味な衣装を着ていた。
これがアリアノーラの趣味なのか。それとも。
「まあ、趣味が悪い」
「二の姫の趣味は悪趣味ですからね」
「いつも、場にふさわしくない衣装ばかり」
「一の姫と自分の差を、分かっていないのだ」
俺が思っていれば、周りは批判的な声を口々に、小さい、しかしこれ見よがしな声で囁いていく。
貴族様ってのの趣味は悪趣味すぎていやだな。
ああ、あの方のもとで、気心の知れた連中と和気あいあいとしたいぜ。
もっともそれのためには、この国のいろんな物を腹の中にぶち込まにゃならねえ。
俺、頑張るんだ、辛抱しろ。
第二の故郷が懐かしくなった俺を、俺は何とかなだめて、王女たちを見ていた。
クリスティアーナ姫が祝いへの感謝を述べる。
アリアノーラが続けようとしても、あっという間に、主役の話は終わったと、皆々様が囀り始める。
おい、王女なんだろ。
そんな蔑ろにしていていいのか。
俺はバスチアの考え方に、一部というかかなりというか、不安な物を覚えた。
俺の心配する物じゃねえんだけれどな。
アリアノーラの反応を見れば、これも慣れているのか? きついがしかし、いつも通りという顔をしていた。
俺の話で、笑い声を立てていた表情とは、きっと大違いだろうな。
そんな事を思っていれば、この誕生日の宴も、仮成人の宴なのだろう、今年やっと社交界デビューも許されたらしいクリスティアーナ姫が、男たちに群がられながら、踊り始めた。
ああ、やっぱりここも踊れないのは出来損ないなのか。
この周辺の国々の考え方で、貴族はきちんと踊れなきゃならねえ。
それができない奴は、どんな理由でも軽く見られるのだ。
ってこたぁ。
俺はまたアリアノーラを観察した。
アリアノーラは遠巻きにされていて、あの姫君に声をかけるやつが一人もいなかった。
さみしい人生を送ってきてんだな、あのアリアノーラは。
俺は……誕生日すらねえから、わからんが。
俺の誕生日っていつだった? いかん、全く覚えてねぇ。
誕生日を祝えるほどの、裕福な環境で生まれて来てないからな……
俺はシャンパンをまたお代わりし、人々の話題を注意深く聞いていく。
そして、程よく体が温まったあたりで、クリスティアーナ姫が一人の男と歓談している場面をちらりと見た。
あの銀髪に薄蒼の目は、たしかシュヴァンシュタインという家の特徴だ。
高位貴族なのは間違いない。
なるほどな。おそらく前々から面識がある男だろう。
男の目の中には、王女に対する男としての感情が、うっすらと見えていた。
おいおい。
俺はどうでもいい相手だが、失笑した。
その色位隠せないで、貴族やってられねえだろう。
そうやってしばらく見ていれば、クリスティアーナ姫の周りには、栄えある名前を持った、顔も頭も揃い踏みな男たちが群がって、お互いに牽制を始めていた。
そんなに粉をかけたって、王命でそのお姫様の相手は決まるんだろうに。
愛は全てに勝つ、なんていう嘘くさい物を、貴族の癖に持っているのだろうか。
だとしたら非常に、ばかばかしいし頭が悪い。
俺みたいな頭の悪い奴だってそう思うんだからな、相当だ。
そこまで判断した後に俺は、アリアノーラを探した。
俺的に見て、仲良くして損がない相手である。
目をかけられていない、王の子供ってのは、外から来た怪しい奴にとって非常に役に立つ立ち位置だ。
程よく国の内情を知っている場合が多い。
もしかしたら、権力に野心を抱いていて、あの方が操りやすい場合もあるしな。
そんなのを判断するのは、あの方だが。
俺は景気づけにもういっちょシャンパンをあおってから、視線を走らせて、あのひどく俺の中のなんかに訴えかけてくる、赤色をバルコニーで見つけたから、近付いた。
「楽しんでいらっしゃいませんね、お姫様」
出会った初めと違う。俺も相手も、お互いの身分を知っている。
敬語を使うのは、そう言った事を踏まえているからだ。
ここで無礼な調子なんぞしたら、俺ぁ自分の不手際に自己嫌悪だ。
「楽しめるわけがないわ」
固い声が、自分の殻を分厚くする事で、自分の心を守ってきた人間の、特有の声で、アリアノーラが言った。
「知っているかしら、イリアス様」
「何を?」
「踊れない貴族の娘は、幸せにもなれないのよ。デビュタントのダンスが踊れないんだから」
「はあ」
「でもわたくしは特例ね。踊れなくてもこうして仮成人の宴ができるのだから」
皮肉屋だな。我儘で高慢で皮肉屋。
人間らしい気質のお姫様だ。
悪かねぇ。
あの方がいいって言ったら、俺ぁこのお姫様を、あの方の国に連れて行ってもいいな。
あの方は、お喜びになるだろうか。
あの方の趣味と考えは、さっぱりぽんだかな。
「皆踊るのは楽しいというわ。わたくしはそんな事を、練習すらしないからわからなけれど」
「人それぞれとしか、言いようがありませんねぇ、あ、でも」
俺はアリアノーラのもっと奥深くに踏み込む調子で、こう言ってみた。
なんでかって、そりゃ好奇心だ。
いかんせん俺ぁ、こういうちびに提案するのが好きなんだ。
あの、ラジャラウトスのちびにも、同じように提案したからな。
その結果があれだが。口説かれたが。
あれはあのちびの黒歴史に、なるだろう。
美貌のお姉さんじゃなく、毛深い熊男を口説くんだからな。黒歴史だ。決定だ。
「踊ってみたいのでしたら、それっぽい事ができますよ」
「え?」
アリアノーラは意味が分からなかったらしい。そりゃそうだ。ダンスっぽい事ってなんだ。
彼女じゃなくったって、思うだろう。しかし。
俺は、周りに人がいないのを十分に確認してから、ずいとアリアノーラに近付いた。
見た目のぎらぎらに反して、しつこくない、嫌にならない程度の練り香の匂いが、アリアノーラ自身の匂いに混じっていた。
かなり、いい匂いだな。
俺はそう思いつつも、子供をたぶらかす悪い大人の声で、提案してみた。
「俺に身を任せてくれれば。こんな人気のない場所でしかできませんが、どうです?」
俺が提案するのにも、下心がある。
人間、ちょっと触った相手の方が警戒心を薄くする。
手を握るだの、頭をなでるだの、何でもいい。触れていれば。
一番いいのは、ヤる事だろうが、俺はそれをしない。第一、出来ねぇぞ、一国の王女になんぞ。
俺は命が惜しいんだ。
まあとにかく、俺ぁアリアノーラの心の近くに、自分を位置づける事で、より有力な情報を引き出す手間を惜しまないんだ。
罪悪感なんぞ、あるわけがねえ。
俺の仕事だ。大事な、な。
そんな俺の内心を知らないアリアノーラが、俺をずいぶんと深い輝きの銀の目玉で見つめてくる。
眼帯の中に隠れている方の目玉も、つい見ちまう。
そうして答えを待っていれば。
「やってみたいわ、やってちょうだい」
アリアノーラは、俺の提案に乗った。
0
お気に入りに追加
2,149
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?
猿喰 森繁
恋愛
私の名前は、琴葉 桜(ことのは さくら)30歳。会社員。
風呂に入ろうと、全裸になったら異世界から聖女として召喚(という名の無理やり誘拐された被害者)された自分で言うのもなんだけど、可哀そうな女である。
日本に帰すことは出来ないと言われ、渋々大人しく、言うことを聞いていたら、ある日、国外追放を宣告された可哀そうな女である。
「―――サクラ・コトノハ。今日をもって、お前を国外追放とする」
その言葉には一切の迷いもなく、情けも見えなかった。
自分たちが正義なんだと、これが正しいことなのだと疑わないその顔を見て、私はムクムクと怒りがわいてきた。
ずっと抑えてきたのに。我慢してきたのに。こんな理不尽なことはない。
日本から無理やり聖女だなんだと、無理やり呼んだくせに、今度は国外追放?
ふざけるのもいい加減にしろ。
温厚で優柔不断と言われ、ノーと言えない日本人だから何をしてもいいと思っているのか。日本人をなめるな。
「私だって好き好んでこんなところに来たわけじゃないんですよ!分かりますか?無理やり私をこの世界に呼んだのは、あなたたちのほうです。それなのにおかしくないですか?どうして、その女の子の言うことだけを信じて、守って、私は無視ですか?私の言葉もまともに聞くおつもりがないのも知ってますが、あなたがたのような人間が国の未来を背負っていくなんて寒気がしますね!そんな国を守る義務もないですし、私を国外追放するなら、どうぞ勝手になさるといいです。
ええ。
被害者はこっちだっつーの!
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。