君と暮らす事になる365日

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「まずは大家に相談だけれど。大丈夫だったらの話になるけれどな、その条件はこれからじっくり考える。それに晴美、今から言う書類をお前が用意できたらの話だからな?」

「わかった、何用意すればいいのかな」

向いの席で身を乗り出し、薄いあかみがかった茶色の瞳をきらめかせる幼馴染は、わくわくという顔をした。
そして依里の説明した書類の事をスマホにメモし、晴美はここ一番晴れやかな笑顔になった。

「それだけ用意すれば同居できるなんて最高! ヨリちゃん頼ってよかった!」

彼が喜んだ時である。不意に、テーブルに置かれていた、彼の仕事用の携帯電話がぶるぶると震え、晴美がちょっとだけ視線を依里にあわせてから、電話にでる。

「もしもし、林君でしょう、どうしたの、朝早くに。ちゃんと今日から二号店に行くってば、道に迷ったりしないよ。何のためにGPSつけてるの」

電話の相手は、何かしらを晴美に訴えかけているらしい。うん、うん、と晴美は頷きながら、冷蔵庫のあそこ、だとか、ストッカーの右側がどうだとか指示を出している。

「だからにんにくの脇だってば、しっかりしてよ、把握しないでどうするの」

柔らかな声が林君に向けられていて、晴美の基本的な穏やかさが垣間見える。
でも絶対に助けに行かないのだろう。助けに言っては元も子もないとこの男は知っている。
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