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ドローンレース大会
第36話 あれから
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わたしは、ドローン部のみんなと一緒に、YouTubeにアップされた動画を見た。クラッシュしたわたしは、VRゴーグルをつけているのに泣いているのがモロバレだった。
……めちゃくちゃはずかしい。
でも、わたしはチャンピオンの林田選手にものすごく評価されていた。一周目も上昇切り返しは、自分でも不可能だって、まさに神業だって。
……めちゃくちゃうれしい。
わたし、というか、わたしたちドローン部は、実はもうプロ選手だ。スポンサーになりたいって会社からたくさん声がかかったから、代田くんのお父さんの会社で契約をしてもらって、ドローン事業部を設立してもらうことになった。
ドローンを使った空撮の仕事も何本か受けている。
今後もドローンの市場が拡大するかはわかんない。今はレースが定期的に開催されるからスポンサーがついているけど、今後はどうなっていくかわからない。
でも、空撮なら、これからも確実に需要がある。アリアちゃんのていねいな操縦テクはすっごく見やすいし、わたししかできない特別なオファーだってある。
そのうち1本はパパの会社からの依頼だった。
(レースを見た社長さんから直接オファーをもらったらしい)
建設中のビルを、ドローンで縦横無尽に走り抜けるアクロバット撮影。わたしの専売特許。全国、いや世界でもこんな空撮を撮れるレーサーはなかなかいない。わたし、いや、わたし達の会社が世界にほこる専売特許だ。
(って、代打君が言ってた)
ちょっと話がすごすぎて、頭がクラクラする。
クラクラついでにもうひとつ、とんでもない事件が起きた。
遊梨がモデル事務所にスカウトされた。
確かに、遊梨は百七十センチを超える長身で、手足も長くてスタイルもめちゃくちゃ良い。ついでに、やたらと度胸がある。言われてみれば、モデルにうってつけだ。
だから遊梨は今日はドローン部に来ていない。モデルの仕事があるからだ。しかも、今日は、ほのかさんと一緒の現場らしい。
すごすぎて、もうわけがわからない。
わたしたちは、年末の大会に向けて練習をしている。次の大会はみんなでエントリーしている。だから、代田くんとアリアちゃんもライバル。負けられない。絶対に負けたくない!
だから、毎日練習をしている。三階の空き教室で試合形式の練習をしている。今は、チェックポイントレースの真っ最中だ。
「あーずっこい!」
代田くんは、椅子の中で陣取った。代田くんの戦法は、いつもずるかしこい。
わたしはそんなずるがしこい戦い方をする代田くんが大嫌いだ。
でも知っている。代田くんはやさしい。わたしのために、いつもドローンをメンテナンスしてくれる。わたしのためにお姫様抱っこ……じゃない、車椅子の乗り降りを介助してくれる。わたしは、そんな代田くんが大好きだ。
「ちょっと、代田くん、いいかげん、そこ避けてよ!」
「いやだね!」
わたしと代田くんが言い争いをしているなか、アリアちゃんは慎重に慎重にドローンを地面スレスレの高さにキープすると、代田くんのドローンの下を華麗にくぐりぬけた。
「……勝ちました……」
アリアちゃんは、消え入りそうな声でよろこんだ。そして、
「……ふたりとも……………………です……うらやましい」
「え? なに? アリアちゃん、声がちっちゃすぎて聞こえない!」
「……なんでも……ないです……」
アリアちゃんは、顔を真っ赤にしていた。
イカロスのプロペラ ― 完 ―
……めちゃくちゃはずかしい。
でも、わたしはチャンピオンの林田選手にものすごく評価されていた。一周目も上昇切り返しは、自分でも不可能だって、まさに神業だって。
……めちゃくちゃうれしい。
わたし、というか、わたしたちドローン部は、実はもうプロ選手だ。スポンサーになりたいって会社からたくさん声がかかったから、代田くんのお父さんの会社で契約をしてもらって、ドローン事業部を設立してもらうことになった。
ドローンを使った空撮の仕事も何本か受けている。
今後もドローンの市場が拡大するかはわかんない。今はレースが定期的に開催されるからスポンサーがついているけど、今後はどうなっていくかわからない。
でも、空撮なら、これからも確実に需要がある。アリアちゃんのていねいな操縦テクはすっごく見やすいし、わたししかできない特別なオファーだってある。
そのうち1本はパパの会社からの依頼だった。
(レースを見た社長さんから直接オファーをもらったらしい)
建設中のビルを、ドローンで縦横無尽に走り抜けるアクロバット撮影。わたしの専売特許。全国、いや世界でもこんな空撮を撮れるレーサーはなかなかいない。わたし、いや、わたし達の会社が世界にほこる専売特許だ。
(って、代打君が言ってた)
ちょっと話がすごすぎて、頭がクラクラする。
クラクラついでにもうひとつ、とんでもない事件が起きた。
遊梨がモデル事務所にスカウトされた。
確かに、遊梨は百七十センチを超える長身で、手足も長くてスタイルもめちゃくちゃ良い。ついでに、やたらと度胸がある。言われてみれば、モデルにうってつけだ。
だから遊梨は今日はドローン部に来ていない。モデルの仕事があるからだ。しかも、今日は、ほのかさんと一緒の現場らしい。
すごすぎて、もうわけがわからない。
わたしたちは、年末の大会に向けて練習をしている。次の大会はみんなでエントリーしている。だから、代田くんとアリアちゃんもライバル。負けられない。絶対に負けたくない!
だから、毎日練習をしている。三階の空き教室で試合形式の練習をしている。今は、チェックポイントレースの真っ最中だ。
「あーずっこい!」
代田くんは、椅子の中で陣取った。代田くんの戦法は、いつもずるかしこい。
わたしはそんなずるがしこい戦い方をする代田くんが大嫌いだ。
でも知っている。代田くんはやさしい。わたしのために、いつもドローンをメンテナンスしてくれる。わたしのためにお姫様抱っこ……じゃない、車椅子の乗り降りを介助してくれる。わたしは、そんな代田くんが大好きだ。
「ちょっと、代田くん、いいかげん、そこ避けてよ!」
「いやだね!」
わたしと代田くんが言い争いをしているなか、アリアちゃんは慎重に慎重にドローンを地面スレスレの高さにキープすると、代田くんのドローンの下を華麗にくぐりぬけた。
「……勝ちました……」
アリアちゃんは、消え入りそうな声でよろこんだ。そして、
「……ふたりとも……………………です……うらやましい」
「え? なに? アリアちゃん、声がちっちゃすぎて聞こえない!」
「……なんでも……ないです……」
アリアちゃんは、顔を真っ赤にしていた。
イカロスのプロペラ ― 完 ―
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