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才能の開花
第26話 楽しい。楽しい! 楽しい‼︎
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わたしは思いっきり、左の親指前に倒した。
地面に、棒高跳びのポールを突き刺すような感覚が頭の中によぎる。
フィ~~~~~~~~~~~~~~~~ん!
ドローンは、きっちり四メートルの高度を保った。
眼下に、迷路のように入り組んだサバイバルゲームのフィールドが広がっている。わたしは、それを頭の地図の中におしこむと、車椅子に乗って右手で操作した感覚とすり合わせる。
「いくよ!」
わたしは、思いっきり左指を下に引いて、高度を高さ一メートル五センチに合わせる。わたしが車椅子に乗っている時の目線だ。わたしは右スティックを前に倒した。
ドローンはたちまち加速する。いつも部活で使っているホビー用のドローンとは大違いだ。でも、スピードが早いだけだ。わたしは、前に倒した右スティックをゆるめながら、左スティックを思いっきり右に倒す。ドローンは、減速しながらわたしの思い通りに右折をした。
次のカーブは、直角だから一旦止まって左旋回。わたしは四メートルの高さで見下ろした平面の画面と、車椅子を走らせて体で覚えさせた立体の地図を頭の中でくっつけてドローンを操作した。まるでドローンに自分が乗り込んだみたいだ。
楽しい。楽しい! 楽しい‼︎
わたしは、夢中でコースを一周した。次はもっとスピードを上げよう‼︎ あの直角カーブも全速で突っ込んで、旋回じゃなくってそのまま横移動すればもっとスムーズに移動できる。
楽しい。楽しい! 楽しい‼︎
もっと上手く飛べる。わたしはもっとドローンになりきれる。わたしは、無我夢中でコースをもう一周すると、ドローンをわたしの足元にゆっくりと着地させて、右手でゴーグルをはぎとった。
身体がちょっとフワフワする。楽しかった。本当に楽しかった。
「斑鳩、マジか! プロ並みだろ!」
「露花さん……すごいです……」
「露花、バッチリ撮影したよ」
「斑鳩さんのドローンが早すぎて、上手く撮影できているか心配だよ」
みんなが口々に驚いている。わたしはちょっと興奮がとまらなくて、愛想笑いしかできなかった。
わたしのあとに、今度はアリアちゃんもドローンを飛ばした。アリアちゃんのドローン操作は、やっぱり丁寧。最初に、天井近くまで飛んで全景を撮影してから、着実にコースを一周した。
コースを跳び終わって、ゴーグルを外したアリアちゃんは、汗をびっしょりかいていた。
「……これ……ぼくは無理です……露花さんや代田先輩みたいにスピードをだすのは……怖くて……」
「アリアは、どっちかというと空撮向きかもしれない」
代田くんは、代田くんとわたし、あとアリアちゃんが操作したカメラ画像ファイルを、三つ同時再生してくれた。
「たしかに、アリアちゃんの映像は見ていて気持ち悪くならないかも」
わたしが感想を述べる。
「てか、代田くんと露花の映像が気持ち悪いんだって、よくこれつけて平気でいられるよね……」
遊梨が信じられないって顔をする。
「でも、これで決まったな。うちの代表は斑鳩だ」
「え? 代田くんとわたし、タイム同じくらいじゃない?」
わたしが言うと、代田くんが首を降った。
「全然違うよ、全然。俺はコースを一周できていない。ちゃんと一周しようとしたら、アリアくらい慎重に飛ぶ必要がある。それに、これはチーム戦でもあるんだ。操作するドローンは、他のメカニックがチューニングしてもいいらしいから。むしろ俺はそっちをやりたい」
代田くんはそう言うと、わたしの目をまっすぐ見た。
「頼む、斑鳩が出場してくれ」
わたしは、考えるまでもなかった。自由に飛べるんだ。こんなにうれしいことはない。
「うん! あ、でも書類選考通らないと参加できないよね……」
「あぁ。だからこっから先は斑鳩だけが飛んでくれ。その動画を編集して、七月末のしめきにに提出するから!」
ブルブルッ!
緊張じゃない。もちろん七月に寒いわけがない。それなのに、なぜだかわたしの身体はふるえていた。
わたしはこのふるえを経験したことがある。これは、棒高跳びで四メートルをジャンプをする前に感じたふるえと全く同じだった。
地面に、棒高跳びのポールを突き刺すような感覚が頭の中によぎる。
フィ~~~~~~~~~~~~~~~~ん!
ドローンは、きっちり四メートルの高度を保った。
眼下に、迷路のように入り組んだサバイバルゲームのフィールドが広がっている。わたしは、それを頭の地図の中におしこむと、車椅子に乗って右手で操作した感覚とすり合わせる。
「いくよ!」
わたしは、思いっきり左指を下に引いて、高度を高さ一メートル五センチに合わせる。わたしが車椅子に乗っている時の目線だ。わたしは右スティックを前に倒した。
ドローンはたちまち加速する。いつも部活で使っているホビー用のドローンとは大違いだ。でも、スピードが早いだけだ。わたしは、前に倒した右スティックをゆるめながら、左スティックを思いっきり右に倒す。ドローンは、減速しながらわたしの思い通りに右折をした。
次のカーブは、直角だから一旦止まって左旋回。わたしは四メートルの高さで見下ろした平面の画面と、車椅子を走らせて体で覚えさせた立体の地図を頭の中でくっつけてドローンを操作した。まるでドローンに自分が乗り込んだみたいだ。
楽しい。楽しい! 楽しい‼︎
わたしは、夢中でコースを一周した。次はもっとスピードを上げよう‼︎ あの直角カーブも全速で突っ込んで、旋回じゃなくってそのまま横移動すればもっとスムーズに移動できる。
楽しい。楽しい! 楽しい‼︎
もっと上手く飛べる。わたしはもっとドローンになりきれる。わたしは、無我夢中でコースをもう一周すると、ドローンをわたしの足元にゆっくりと着地させて、右手でゴーグルをはぎとった。
身体がちょっとフワフワする。楽しかった。本当に楽しかった。
「斑鳩、マジか! プロ並みだろ!」
「露花さん……すごいです……」
「露花、バッチリ撮影したよ」
「斑鳩さんのドローンが早すぎて、上手く撮影できているか心配だよ」
みんなが口々に驚いている。わたしはちょっと興奮がとまらなくて、愛想笑いしかできなかった。
わたしのあとに、今度はアリアちゃんもドローンを飛ばした。アリアちゃんのドローン操作は、やっぱり丁寧。最初に、天井近くまで飛んで全景を撮影してから、着実にコースを一周した。
コースを跳び終わって、ゴーグルを外したアリアちゃんは、汗をびっしょりかいていた。
「……これ……ぼくは無理です……露花さんや代田先輩みたいにスピードをだすのは……怖くて……」
「アリアは、どっちかというと空撮向きかもしれない」
代田くんは、代田くんとわたし、あとアリアちゃんが操作したカメラ画像ファイルを、三つ同時再生してくれた。
「たしかに、アリアちゃんの映像は見ていて気持ち悪くならないかも」
わたしが感想を述べる。
「てか、代田くんと露花の映像が気持ち悪いんだって、よくこれつけて平気でいられるよね……」
遊梨が信じられないって顔をする。
「でも、これで決まったな。うちの代表は斑鳩だ」
「え? 代田くんとわたし、タイム同じくらいじゃない?」
わたしが言うと、代田くんが首を降った。
「全然違うよ、全然。俺はコースを一周できていない。ちゃんと一周しようとしたら、アリアくらい慎重に飛ぶ必要がある。それに、これはチーム戦でもあるんだ。操作するドローンは、他のメカニックがチューニングしてもいいらしいから。むしろ俺はそっちをやりたい」
代田くんはそう言うと、わたしの目をまっすぐ見た。
「頼む、斑鳩が出場してくれ」
わたしは、考えるまでもなかった。自由に飛べるんだ。こんなにうれしいことはない。
「うん! あ、でも書類選考通らないと参加できないよね……」
「あぁ。だからこっから先は斑鳩だけが飛んでくれ。その動画を編集して、七月末のしめきにに提出するから!」
ブルブルッ!
緊張じゃない。もちろん七月に寒いわけがない。それなのに、なぜだかわたしの身体はふるえていた。
わたしはこのふるえを経験したことがある。これは、棒高跳びで四メートルをジャンプをする前に感じたふるえと全く同じだった。
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