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才能の開花
第23話 バズらないとダメってことですな?
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その大会は、十一月の上旬に開催される東京モーターショーのイベントとして開催される大会だった。
一番おっきなスポンサーは携帯電話メーカー。そのほか、ドローンメーカーや、たくさんのスポンサーがついている。しかも公式アンバサダーに、超有名なアイドルグループが参加するって書いてある。会場でコラボコンサートをするらしい。
あまりの規模の大きさに、ものおじしてしまう。これでも、陸上をやっていたし、小学校では、高跳びで表彰台にのぼった。だから、おっきな大会は、平気だと思っていたけど、ここまで大規模な大会だと、正直、頭がクラクラしてくる。
だって、アイドルが歌っておどるステージ上で、ドローンを操作するって書いてあるんだよ? 本当にこんな大会に参加するの?
とても中学の、しかもたった三人しか部員がいない部活動が参加する大会には思えない。
「テレビも来るらしいし、ここで優勝すれば、露花、チヤホヤされて、めっちゃテンションあがるんじゃない?」
遊梨がニヨニヨしながら言った。でも、図星だ。ホンネを言うと、結構乗り気になってしまっている。チヤホヤされたい、自分の性格がちょっと恥ずかしい。
「出場するには。七月締め切りの書類選考を通過する必要があるんだ。チームをアピールできる動画を撮影して、書類選考で選ばれたチームだけが、予選回に参加できる」
「てことは、インパクトのある映像が撮れるといいってこと?」
遊梨の質問に、代田くんが答える。
「そう。でも多分なんだけど、テクニックとかより重要なことがあると思う。海外からも招待選手がくるらしいし、審査されるのはテクニックだけじゃないと思う。なんというか……話題性?」
ピンときた遊梨がニヨニヨしながら言った。
「バズらないとダメってことですな?」
「そう、目立ってなんぼ! 実力でプロに勝つなんて無理スジだから、話題重視で普通じゃない動画を送る!」
わたしはピンと来て叫んだ。
「そっか、アリアちゃんなら目立つね! もう、むちゃくちゃカワイイから」
アリアちゃんの顔が真っ赤になって首をブンブンと横にふる。
「……そんな……カワイくなんかないです……それにぼく、大会に出るなんてキンチョウしちゃう……」
消え入りそうな声で参加を辞退した。もったいない。
「代田くんは、露花に出場して欲しいんでしょ?」
遊梨が言った。
「そう! 車椅子のドローンレーサー! かなりバエると思う」
「いいねいいね。で、それをイケメン男子がサポートするってのがいい!」
遊梨がニヨニヨしながら言った。イケメンってところをしっかりと強調している。
「そう! アリアがメカニックならバエる! 斑鳩をサポートするメカニックとして参加する」
「ふーん……いいんじゃない」
求めていたリアクションと、ずいぶんと違う返事が帰ってきた遊梨は、ちょっと棒読みで返事をした。
(遊梨的には、代田くんがイケメンの自覚がないのがご不満らしい)
かわりに、アリアちゃんがほほを赤らめている。そして、興奮しながらつぶやいて言った。
「ボクよりも代田先輩の方がいいです。だって、イカロスの神話みたいだもん。露花さんが、イカロスで、代田先輩がダイダロス……ダイダロスの作った羽で、イカロスは太陽に向かって飛ぶから……」
「なにそれロマンティック! 斑鳩露花と代田鹿太で、イカロスとダイダロス! キャッチコピーとしてありかも!」
遊梨は参加しないのにノリノリだ。
「いやだよ! それじゃあわたし、最後に羽が溶けて死んじゃうじゃない!」
「あれ? そんな話だったっけ?」
遊梨がスッとボケると、アリアちゃんは、
「……ごめんなさい」
と、肩をすくめてシュンとした。わたしはあわててとりつくろう。
「ア、アリアちゃんは悪くないって……それより、やっぱり代表選手は実力でえらぼうよ。やっぱり、一番の実力者が代表になるべきだと思う。出場するからには優勝を目指さないと意味がない。みんなわたしの性格を理解してないよ。
わたしは、実力でチヤホヤされたいの。車椅子を……同情はされたくない。正直それが一番イヤ!」
わたしがそう言うと、代田くんは腕を組んで考え始めた。そして、遊梨にたずねた。
「なあ、磐田、撮影とかできる?」
「一応、スマホ使ってなら。TikTokでなら、編集もできなくはない」
「じゃあ、合宿をやろう! そこで代表を選抜しよう。
レースは、かなり大きな舞台で、ヘッドマウントディスプレイ……つまりVRゴーグルを使うんだ。だから、VRゴーグルをつかってレースをしている映像を撮ろう。それで一番いいタイムを出した部員が代表ってことで」
「合宿ってどこでやるの?」
わたしの質問に、代田くんはちょっと興奮気味に答えた。
「サバゲーフィールドさ!」
キーンコーンカーンコーン!
わたしが、「なにそれ?」って聞こうと思ったら、昼休みが終了するチャイムが響き渡った。
一番おっきなスポンサーは携帯電話メーカー。そのほか、ドローンメーカーや、たくさんのスポンサーがついている。しかも公式アンバサダーに、超有名なアイドルグループが参加するって書いてある。会場でコラボコンサートをするらしい。
あまりの規模の大きさに、ものおじしてしまう。これでも、陸上をやっていたし、小学校では、高跳びで表彰台にのぼった。だから、おっきな大会は、平気だと思っていたけど、ここまで大規模な大会だと、正直、頭がクラクラしてくる。
だって、アイドルが歌っておどるステージ上で、ドローンを操作するって書いてあるんだよ? 本当にこんな大会に参加するの?
とても中学の、しかもたった三人しか部員がいない部活動が参加する大会には思えない。
「テレビも来るらしいし、ここで優勝すれば、露花、チヤホヤされて、めっちゃテンションあがるんじゃない?」
遊梨がニヨニヨしながら言った。でも、図星だ。ホンネを言うと、結構乗り気になってしまっている。チヤホヤされたい、自分の性格がちょっと恥ずかしい。
「出場するには。七月締め切りの書類選考を通過する必要があるんだ。チームをアピールできる動画を撮影して、書類選考で選ばれたチームだけが、予選回に参加できる」
「てことは、インパクトのある映像が撮れるといいってこと?」
遊梨の質問に、代田くんが答える。
「そう。でも多分なんだけど、テクニックとかより重要なことがあると思う。海外からも招待選手がくるらしいし、審査されるのはテクニックだけじゃないと思う。なんというか……話題性?」
ピンときた遊梨がニヨニヨしながら言った。
「バズらないとダメってことですな?」
「そう、目立ってなんぼ! 実力でプロに勝つなんて無理スジだから、話題重視で普通じゃない動画を送る!」
わたしはピンと来て叫んだ。
「そっか、アリアちゃんなら目立つね! もう、むちゃくちゃカワイイから」
アリアちゃんの顔が真っ赤になって首をブンブンと横にふる。
「……そんな……カワイくなんかないです……それにぼく、大会に出るなんてキンチョウしちゃう……」
消え入りそうな声で参加を辞退した。もったいない。
「代田くんは、露花に出場して欲しいんでしょ?」
遊梨が言った。
「そう! 車椅子のドローンレーサー! かなりバエると思う」
「いいねいいね。で、それをイケメン男子がサポートするってのがいい!」
遊梨がニヨニヨしながら言った。イケメンってところをしっかりと強調している。
「そう! アリアがメカニックならバエる! 斑鳩をサポートするメカニックとして参加する」
「ふーん……いいんじゃない」
求めていたリアクションと、ずいぶんと違う返事が帰ってきた遊梨は、ちょっと棒読みで返事をした。
(遊梨的には、代田くんがイケメンの自覚がないのがご不満らしい)
かわりに、アリアちゃんがほほを赤らめている。そして、興奮しながらつぶやいて言った。
「ボクよりも代田先輩の方がいいです。だって、イカロスの神話みたいだもん。露花さんが、イカロスで、代田先輩がダイダロス……ダイダロスの作った羽で、イカロスは太陽に向かって飛ぶから……」
「なにそれロマンティック! 斑鳩露花と代田鹿太で、イカロスとダイダロス! キャッチコピーとしてありかも!」
遊梨は参加しないのにノリノリだ。
「いやだよ! それじゃあわたし、最後に羽が溶けて死んじゃうじゃない!」
「あれ? そんな話だったっけ?」
遊梨がスッとボケると、アリアちゃんは、
「……ごめんなさい」
と、肩をすくめてシュンとした。わたしはあわててとりつくろう。
「ア、アリアちゃんは悪くないって……それより、やっぱり代表選手は実力でえらぼうよ。やっぱり、一番の実力者が代表になるべきだと思う。出場するからには優勝を目指さないと意味がない。みんなわたしの性格を理解してないよ。
わたしは、実力でチヤホヤされたいの。車椅子を……同情はされたくない。正直それが一番イヤ!」
わたしがそう言うと、代田くんは腕を組んで考え始めた。そして、遊梨にたずねた。
「なあ、磐田、撮影とかできる?」
「一応、スマホ使ってなら。TikTokでなら、編集もできなくはない」
「じゃあ、合宿をやろう! そこで代表を選抜しよう。
レースは、かなり大きな舞台で、ヘッドマウントディスプレイ……つまりVRゴーグルを使うんだ。だから、VRゴーグルをつかってレースをしている映像を撮ろう。それで一番いいタイムを出した部員が代表ってことで」
「合宿ってどこでやるの?」
わたしの質問に、代田くんはちょっと興奮気味に答えた。
「サバゲーフィールドさ!」
キーンコーンカーンコーン!
わたしが、「なにそれ?」って聞こうと思ったら、昼休みが終了するチャイムが響き渡った。
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