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才能の開花
第22話 斑鳩露花という女の子
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わたしは、斑鳩露花という女の子の性格を、あきらめて全部言うことにした。
「えっと、うまく説明できないんだけど、わたしね、昔は、高跳びの選手だったの」
「うん、知ってる」
遊梨がうなずいた。
「露花、当時からめっちゃ有名だもん。小学生の時は全国一だし」
「でもね、中一の冬で辞めたの。百六十センチがどうしても飛べなかったから。背が伸びるのがとまっちゃったら、記録も止まっちゃった」
わたしが言うと、遊梨はちょっと気まずそうな顔をした。これから言う言葉は多分、遊梨を傷つける。だからわたしは、今まで一回もう言ったことがない。これからもずっと心も奥の奥のずっと向こうの引き出しに、鍵をかけてしまっておくと決めていた。
でも、言うことにした。白状することにした。
「わたしは、遊梨ズルい! って、思っていた。そんなに背が高ければ、百六十センチなんて楽勝じゃん! って、ずっと思っていた。
だから、わたしは棒高跳びに逃げたの。棒高跳びなら、棒を使えるから、身体のアドバンテージが少ないから……」
代田くんと、アリアちゃんは、だまって聞いていた。
そして、「ズルいっ!」って言われた遊梨もだまって聞いていた。多分だけど、わたしが何を言いたいのか、わかってくれたんだ。
「スポーツって残酷なんだよ。持って生まれた身体のポテンシャル以上は、絶対に出せない。まあ、努力や才能でカバーできるところはあるけど、身体のサイズだけは絶対に変更できない。だからね、わたしは棒高跳びに逃げたの。わたし、ワガママだから。全国一が大好きなの。『すごいね!』って、チヤホヤされるのが大好きなの」
「知っているよ。露花はチヤホヤされるのが好きって言うか、とにかくすっごい負けず嫌い! 腕相撲だって、ガチでくやしがるもん」
遊梨が笑いながら言った。
「確かに、レースで負けると、本当にくやしがるもんな!」
代田くんも笑いながら言った。アリアちゃんはウンウンと首をたてに振った。
「でもね、ハンデキャップがあるからって思われるのはすっごいイヤなの。体が不自由だから、代田くんとアリアちゃんよりも、不利だって思われるのはすっごいイヤ!」
今度は、代田くんがうなずいた。アリアちゃんもうなずいた。真剣な目をしてうなずいた。
「わたしは、この身体を言い訳につかうのは、だいっキライ!
スッゴイイヤなの。でもね、利用するならOK! ゼンゼンアリ!
今わかったの。代田くんが教えてくれて、はっきりわかったの。わたしの身体は、この、親指がほんのちょっとしか動かない左指は、ドローンを操るにはすっごく有利なんだって。
だからわたしは、この身体を利用するんだ! 遊梨が高跳びで背の高さを利用するみたいに、わたしはこの身体を利用して、ドローンをもっと上手に操作したい!
だれよりもドローンを上手に操作して、だれよりも速く飛んで、みんなから『スゴイね!』ってチヤホヤされたいの!」
わたしの身もふたもない宣言に、遊梨は笑っていた。
アリアちゃんは。ポカーンとしていた。
そして代田くんは、
「だったら、日本一を目指そう!」
って言った。
え? どういうこと?
代田くんは、ズボンのポケットからスマホを取り出すと、スイスイと検索をした。そして、
「この大会に、うちのドローン部でエントリーしたいんだ」
そう言って、スマホをみんなに見せた。
「なにこれ? めっちゃすごい!」
遊梨が驚いた。その大会は、ドローンのことなんて全く知らない遊梨でもびっくりするくらいの規模だった。
「えっと、うまく説明できないんだけど、わたしね、昔は、高跳びの選手だったの」
「うん、知ってる」
遊梨がうなずいた。
「露花、当時からめっちゃ有名だもん。小学生の時は全国一だし」
「でもね、中一の冬で辞めたの。百六十センチがどうしても飛べなかったから。背が伸びるのがとまっちゃったら、記録も止まっちゃった」
わたしが言うと、遊梨はちょっと気まずそうな顔をした。これから言う言葉は多分、遊梨を傷つける。だからわたしは、今まで一回もう言ったことがない。これからもずっと心も奥の奥のずっと向こうの引き出しに、鍵をかけてしまっておくと決めていた。
でも、言うことにした。白状することにした。
「わたしは、遊梨ズルい! って、思っていた。そんなに背が高ければ、百六十センチなんて楽勝じゃん! って、ずっと思っていた。
だから、わたしは棒高跳びに逃げたの。棒高跳びなら、棒を使えるから、身体のアドバンテージが少ないから……」
代田くんと、アリアちゃんは、だまって聞いていた。
そして、「ズルいっ!」って言われた遊梨もだまって聞いていた。多分だけど、わたしが何を言いたいのか、わかってくれたんだ。
「スポーツって残酷なんだよ。持って生まれた身体のポテンシャル以上は、絶対に出せない。まあ、努力や才能でカバーできるところはあるけど、身体のサイズだけは絶対に変更できない。だからね、わたしは棒高跳びに逃げたの。わたし、ワガママだから。全国一が大好きなの。『すごいね!』って、チヤホヤされるのが大好きなの」
「知っているよ。露花はチヤホヤされるのが好きって言うか、とにかくすっごい負けず嫌い! 腕相撲だって、ガチでくやしがるもん」
遊梨が笑いながら言った。
「確かに、レースで負けると、本当にくやしがるもんな!」
代田くんも笑いながら言った。アリアちゃんはウンウンと首をたてに振った。
「でもね、ハンデキャップがあるからって思われるのはすっごいイヤなの。体が不自由だから、代田くんとアリアちゃんよりも、不利だって思われるのはすっごいイヤ!」
今度は、代田くんがうなずいた。アリアちゃんもうなずいた。真剣な目をしてうなずいた。
「わたしは、この身体を言い訳につかうのは、だいっキライ!
スッゴイイヤなの。でもね、利用するならOK! ゼンゼンアリ!
今わかったの。代田くんが教えてくれて、はっきりわかったの。わたしの身体は、この、親指がほんのちょっとしか動かない左指は、ドローンを操るにはすっごく有利なんだって。
だからわたしは、この身体を利用するんだ! 遊梨が高跳びで背の高さを利用するみたいに、わたしはこの身体を利用して、ドローンをもっと上手に操作したい!
だれよりもドローンを上手に操作して、だれよりも速く飛んで、みんなから『スゴイね!』ってチヤホヤされたいの!」
わたしの身もふたもない宣言に、遊梨は笑っていた。
アリアちゃんは。ポカーンとしていた。
そして代田くんは、
「だったら、日本一を目指そう!」
って言った。
え? どういうこと?
代田くんは、ズボンのポケットからスマホを取り出すと、スイスイと検索をした。そして、
「この大会に、うちのドローン部でエントリーしたいんだ」
そう言って、スマホをみんなに見せた。
「なにこれ? めっちゃすごい!」
遊梨が驚いた。その大会は、ドローンのことなんて全く知らない遊梨でもびっくりするくらいの規模だった。
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