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三人のドローン部
第11話 アリアちゃん
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校長先生は、ちょくちょく保健室にいっては、蟻戸くんを校長室にさそってお話をしているらしい。校長先生は、まるで友達を紹介するみたいに、蟻戸くんのことを説明してくれた。
「今日聞いたら、蟻戸くんはゲーム大好きみたいだからさ、ドローンにも興味あるかなって、さそってみたのさ」
校長先生が話している中、代田くんはドローンを教室の床の真ん中に置いて、蟻戸くんにプロポをわたした。
「そんなもん、やった方が早いだろ?」
そういって、代田くんは、蟻戸くんにドローンの操作の説明をはじめた。有無を言わないって感じ。もう、グイグイだ。そう言えば、わたしも最初は結構むりやりだった。結果、今はすごく楽しいからラッキーだったけど。
ドローンは楽しい。めちゃくちゃ楽しい。なにが楽しいって、ノーハンデで真剣勝負ができるから。極端なはなし、親指だけ動かすことができれば、ドローンは操作できる。まあ、わたしの場合、ふとももにはさんで操作するから、ちょっとバランスが取りづらいけど……。
代田くんは、熱心にドローンの操作の説明を続けている。最初は、代田くんが一方的に話しているのかな? って、思っていたけど、よくよく見ていると、蟻戸くんもけっこう代田くんに話しかけている。声は全然聞こえてこないけど、代田くんがときどき首を傾けている。あれ多分、蟻戸くんの声を聞いてるんだ。
あ、蟻戸くんが笑った。ものすごくうれしそう。
わたしは、なんとなく蟻戸くんがドローン部に入ってくれる気がしたから、いまさらだけど、気になっていたことを聞いてみた。
「校長先生、代田くんとどこいっていたんですか?」
「あ! 斑鳩さん気になるぅ?」
「いや別に(なんだかヘンにテンションが高いな……)」
「ト・イ・レ」
「あ、そうですか(くだらない……聞くんじゃなかった)」
本当にどうでもいい理由だったから、わたしが話を打ち切ろうとしたら、校長先生はゴキゲンで話をつづけた。
「代田くん、斑鳩さんのこと、気になっているみたいだよ」
「うぇ!?」
し、しししまった! 突然のことで変な声がでちゃった。結構な音量でちゃった。
不思議そうに、代田くんと蟻戸くんくんがこっちを見ている。
「斑鳩さんは、ハンデがあるから、ドローンの操作がやりづらそうだって」
あ……なんだ……そういうこと……。
「代田くん、斑鳩さんが初めてドローンを操作した時、本当に驚いたそうだよ。イキナリあんなに上手に操作できるなんて、普通はあり得ないって。距離感のつかみかたが天才的だって」
あのときか……代田くんが、わたしの左手を支えてくれた時のこと。まるで王子様のように、片ひざをついてわたしの左手をそっと支えてくれた……いま思い出しても、顔があつくなってしまう。
「だからさ、斑鳩さんが操作に集中できるようにするためにはどうすればいいのか、相談を受けたのさ」
そうだったんだ……。トイレのガールズトークならぬボーイズトークに花を咲かせていたのかと思ったら、ドローンの話だったのか。あ、でもその方が、いかにもボーイズトークって気がする。わたしのお父さんより年上の校長先生を、ボーイズと呼んでいいのかは知らないけど。
「代田くんはね、斑鳩さんが百パーセント、ドローンの操作に集中する方法を、もう、ずっと考えているそうだよ。そして、百パーセント、ドローンの操作に集中したその斑鳩さんに勝ちたいって言っていたよ」
そうなんだ……ちょっとうれしい。それにしても代田くんって、めちゃくちゃ負けずぎらいだな。まあ、わたしも人のこと言えないけど。
「よし! それじゃあ、ドローン飛ばしてみようか!」
代田くんがそう言いながら教室の窓を閉める。蟻戸くんは、ほほを赤らめながら、コクンとうなずいた。カワイイ!
蟻戸くんは、おぼつかない手で、ドローンを操作する。ドローンは、ちょこんと上昇して、すぐに地面に着地した。
「もっとスロットルをあげないと!」
代田くんのアドバイスに、蟻戸くんはコクンとうなずくと、ドローンは、今度は勢いよく上昇して、たちまち天井にぶつかって、あっけなく落下した。
「ご、ごめんなさい!」
おどろいた蟻戸くんが、顔を真っ赤にして大きな声をだす。カワイイ。
「大丈夫、大丈夫、多少のことじゃ、壊れないから」
代田くんが笑顔でフォローした。
「大丈夫、大丈夫、最初はみんなそんなもんだよ」
校長先生も笑顔でフォローした。
「大丈夫、大丈夫、蟻戸くんはカワイイから」
わたしも笑顔でフォローした。
そしたら、蟻戸くんは、はにかんでわらってくれた。カワイイ。
そしてわたしは、さっきからずっと言ってみたかったことを聞いてみた。
「ねえ、蟻戸くん、蟻戸くんのこと、アリアちゃんって呼んでいい? 有亜の『亜』って、ふつうは『亜』って読むじゃない? それにそっちの方がカワイイし」
そしたらね、蟻戸くんは、顔を真っ赤にしてコクンとうなずいた。本当にカワイイ。
「よろしくね、アリアちゃん!」
わたしがそう言うと、代田くんと、校長先生もつづいた。
「ん、名前で呼ぶの? そんじゃよろしくな、アリア!」
「よろしく、アリアくん。ドローン部へようこそ」
「……よろしくおねがいします」
アリアちゃんは、顔をまっかにして、消え入りそうな声で返事をした。でも、そのはにかんだ笑顔は、とっても嬉しそうに見えた。
「今日聞いたら、蟻戸くんはゲーム大好きみたいだからさ、ドローンにも興味あるかなって、さそってみたのさ」
校長先生が話している中、代田くんはドローンを教室の床の真ん中に置いて、蟻戸くんにプロポをわたした。
「そんなもん、やった方が早いだろ?」
そういって、代田くんは、蟻戸くんにドローンの操作の説明をはじめた。有無を言わないって感じ。もう、グイグイだ。そう言えば、わたしも最初は結構むりやりだった。結果、今はすごく楽しいからラッキーだったけど。
ドローンは楽しい。めちゃくちゃ楽しい。なにが楽しいって、ノーハンデで真剣勝負ができるから。極端なはなし、親指だけ動かすことができれば、ドローンは操作できる。まあ、わたしの場合、ふとももにはさんで操作するから、ちょっとバランスが取りづらいけど……。
代田くんは、熱心にドローンの操作の説明を続けている。最初は、代田くんが一方的に話しているのかな? って、思っていたけど、よくよく見ていると、蟻戸くんもけっこう代田くんに話しかけている。声は全然聞こえてこないけど、代田くんがときどき首を傾けている。あれ多分、蟻戸くんの声を聞いてるんだ。
あ、蟻戸くんが笑った。ものすごくうれしそう。
わたしは、なんとなく蟻戸くんがドローン部に入ってくれる気がしたから、いまさらだけど、気になっていたことを聞いてみた。
「校長先生、代田くんとどこいっていたんですか?」
「あ! 斑鳩さん気になるぅ?」
「いや別に(なんだかヘンにテンションが高いな……)」
「ト・イ・レ」
「あ、そうですか(くだらない……聞くんじゃなかった)」
本当にどうでもいい理由だったから、わたしが話を打ち切ろうとしたら、校長先生はゴキゲンで話をつづけた。
「代田くん、斑鳩さんのこと、気になっているみたいだよ」
「うぇ!?」
し、しししまった! 突然のことで変な声がでちゃった。結構な音量でちゃった。
不思議そうに、代田くんと蟻戸くんくんがこっちを見ている。
「斑鳩さんは、ハンデがあるから、ドローンの操作がやりづらそうだって」
あ……なんだ……そういうこと……。
「代田くん、斑鳩さんが初めてドローンを操作した時、本当に驚いたそうだよ。イキナリあんなに上手に操作できるなんて、普通はあり得ないって。距離感のつかみかたが天才的だって」
あのときか……代田くんが、わたしの左手を支えてくれた時のこと。まるで王子様のように、片ひざをついてわたしの左手をそっと支えてくれた……いま思い出しても、顔があつくなってしまう。
「だからさ、斑鳩さんが操作に集中できるようにするためにはどうすればいいのか、相談を受けたのさ」
そうだったんだ……。トイレのガールズトークならぬボーイズトークに花を咲かせていたのかと思ったら、ドローンの話だったのか。あ、でもその方が、いかにもボーイズトークって気がする。わたしのお父さんより年上の校長先生を、ボーイズと呼んでいいのかは知らないけど。
「代田くんはね、斑鳩さんが百パーセント、ドローンの操作に集中する方法を、もう、ずっと考えているそうだよ。そして、百パーセント、ドローンの操作に集中したその斑鳩さんに勝ちたいって言っていたよ」
そうなんだ……ちょっとうれしい。それにしても代田くんって、めちゃくちゃ負けずぎらいだな。まあ、わたしも人のこと言えないけど。
「よし! それじゃあ、ドローン飛ばしてみようか!」
代田くんがそう言いながら教室の窓を閉める。蟻戸くんは、ほほを赤らめながら、コクンとうなずいた。カワイイ!
蟻戸くんは、おぼつかない手で、ドローンを操作する。ドローンは、ちょこんと上昇して、すぐに地面に着地した。
「もっとスロットルをあげないと!」
代田くんのアドバイスに、蟻戸くんはコクンとうなずくと、ドローンは、今度は勢いよく上昇して、たちまち天井にぶつかって、あっけなく落下した。
「ご、ごめんなさい!」
おどろいた蟻戸くんが、顔を真っ赤にして大きな声をだす。カワイイ。
「大丈夫、大丈夫、多少のことじゃ、壊れないから」
代田くんが笑顔でフォローした。
「大丈夫、大丈夫、最初はみんなそんなもんだよ」
校長先生も笑顔でフォローした。
「大丈夫、大丈夫、蟻戸くんはカワイイから」
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「よろしくね、アリアちゃん!」
わたしがそう言うと、代田くんと、校長先生もつづいた。
「ん、名前で呼ぶの? そんじゃよろしくな、アリア!」
「よろしく、アリアくん。ドローン部へようこそ」
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