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第十四話 イヤホン
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私田中一茶にとって、今日はとても歴史に残る1日だ。まさか彼らは私が発明したタイムマシンで未来に来ていたとは・・・
私は最初彼らはサンタクロースの手伝いをしているエルフだと思っていた。もちろん、幼い頃だから今の自分からしてみればおかしな話であることは十分承知している。だが、その当時の私はこの出来事のつい前日に、父親のラジオを壊したせいで、怒られてたばかりであった。その悪いことをしたというタイミングも相まって彼らをエルフと思ったのだろう。
だが、私は彼らをエルフと信じたくはなかった。もしそうだった場合今年のサンタからのクリスマスプレゼントはなしになってしまう。その恐怖心から私は現実逃避という行動に出た。
それが功を奏し、彼らがエルフではないことがわかったが、私がホッとひと息を付いたのも束の間、彼らは急に私の部屋をじろじろと見回し始め、最終的には私を睨みつけたではないか。もちろん、私は恐怖のあまり母親を呼んだ。
彼らは私が母親を呼ぶと、慌てて耳に何かを入れると一瞬にして消えてしまった。私はこの出来事を今でも鮮明に私の脳裏にこびりついて、取り除きたくてもできないほどはっきりと覚えている。
人間が消えるなんていうのはテレビのイリュージョンでしか見たことがない私からしたら、一瞬で彼らがスーパーヒーローに思えてしまった。
それから私は成長と共に彼らが起こしたその行動が、現実世界では不可能であることに当然気づき、
私の中でスーパーヒーローから未確認生物的な存在になった。私はそれからも彼らの正体について考えながら日々の生活を送っていた。
それから数年後、父が飛行機事故で他界し遺品の整理をしていると父が最期に持っていたカバンの中から、私が壊してしまったラジオが出てきた。他のものは砂や事故直前の火事で焦げていたり、灰まみれになっていたりしていたが、このラジオだけは割と状態が良いままカバンに入っていた。
私と母の心に懐かしさが溢れ出し、あの当時の思い出を語り合いながら父の思い出話に花を咲かせたが、しばらく話していると母は、顔を手に伏せながら泣きはじめた。事故死とはいえ遺体が見つかっていないため、ただ父が二度と帰ってくることはないという実感の湧かない現実を突きつけられた私たちが、気持ちの整理をするのはかなり時間がかかりそうだった。
私はしばらく母と二人で暮らすことにした。私は母のためにと気丈に振る舞ってはいたが、やはり私の心にも限界というものはあった。だがそうなった時いつも私の脳裏にはなぜかあの訳の分からない二人組のことが映っていた。もしかすると心のどこかで、まだ彼らをスーパーヒーローとして慕う自分がいるのかもしれない。私はそう考えながらその時の情景を詳しく思い出していた時、ふと彼らが消える直前の行動にどこか引っかかった。彼らは耳に何かを入れていた。
私はその行動を一人でマネみた。その時おそらく私の目はかなり見開いたであろう。私は彼らがイヤホンを耳に装着する動作だと気がついた。だがまだその頃はヘッドフォンが主流でイヤホンはそこまで出回っておらず、全く気がつかなかった。その時、彼らがタイムトラベラーであるという仮説を思いついた。彼らはタイムマシンでおそらくあの格好は未来からやってきたのであろう。
もしいつもの私ならすごいことがわかったことで、頭がスッキリしてそれ以上のことは考えない。だが私はこの仮説からある願望に似たことをひらめいてしまった。
タイムマシンさえ手に入れば、
父が飛行機に乗るのを止められる
私はそれからタイムマシンやタイムトラベル関係の映画や小説を読み漁った。だがどんな書物を読んでも扱われているのはタイムトラベルのこと。タイムマシンの仕組みについて言及しているものを見つけることができなかった。まぁもし見つけていれば、誰もがタイムトラベルをして歴史がヒッチャカメッチャカになってしまうということは理解できるようになっただけでも、本の読み漁りは無駄じゃなかったと言いたいが、やはりタイムトラベルをしなければその後の知識など無意味だ。
私は半ば諦めながら久しぶりにラジオを聴きたい気分になり、物思いにふけながらラジオの受信機の電源を入れ、イヤホンをつけた時ふとひらめいた。
もしあの二人がしていたイヤホンの先が
ポケットラジオだったら?
もちろんそんなことは馬鹿げていると思ったが、よく良く考えたら、タイムトラベルの仕組みの話が言及されているもののほとんどが、「分子」、「量子」いわゆる小さな世界の話をしていることから私は電波もそう言った「電子」という科学的な言葉で言えば辻褄が合う。
なんと浅はかな考えだと思うがそれが大当たり。なぜそう結論づけたかというと、父のラジオの最期に聴いていた周波数がどの局にも当てはまらない不思議な周波数だった。私はとりあえず自分のラジオで合わせて見ると、私のラジオは変な電流を帯びて壊れてしまった。
私はそこで父のラジオをネットを使ってどうにか修理しようと試みた。文章で書くとほんの一瞬のようだが実際修理には2年ほどかかった。
これが私がタイムマシンを完成させた経緯だ。正直仕組みはよくわかっていない。多分修理のタイミングで奇跡的に安定したものが完成しただけだと思う。
そして私のこの行動力の根底にはこんな仮説があった。
父はどこかで生きているのではないか?
私はタイムトラベルをはじめてから父はどこかの時代にいるのでは?と考えている。だがその考えもまた揺らぎはじめていた。その原因はここ最近現れたもう一人の来訪者の存在だ。
私は最初てっきり有名人の平越時哉だと思っていたが、どうも様子がおかしい。そして彼が持っていたポケットラジオ。どう考えてもあれは紛れもなく父のものだ。だが、彼は盗んでいなかった。部屋にちゃんと父のラジオは置いてあり、それをあの二人が使ったのだ。
ということは一つしかないはずのものが二つ存在している。
もう一つの世界?
パラレルワールド
あの二人にこの話をしたがポカンとしていたが、どうやら彼らは彼らで不思議な体験をしているようだ。正直私の人生をかけてきたことが、ようやく報われる日が来るかもしれない。
あとは邪魔が入らなければ良いが・・・
私は最初彼らはサンタクロースの手伝いをしているエルフだと思っていた。もちろん、幼い頃だから今の自分からしてみればおかしな話であることは十分承知している。だが、その当時の私はこの出来事のつい前日に、父親のラジオを壊したせいで、怒られてたばかりであった。その悪いことをしたというタイミングも相まって彼らをエルフと思ったのだろう。
だが、私は彼らをエルフと信じたくはなかった。もしそうだった場合今年のサンタからのクリスマスプレゼントはなしになってしまう。その恐怖心から私は現実逃避という行動に出た。
それが功を奏し、彼らがエルフではないことがわかったが、私がホッとひと息を付いたのも束の間、彼らは急に私の部屋をじろじろと見回し始め、最終的には私を睨みつけたではないか。もちろん、私は恐怖のあまり母親を呼んだ。
彼らは私が母親を呼ぶと、慌てて耳に何かを入れると一瞬にして消えてしまった。私はこの出来事を今でも鮮明に私の脳裏にこびりついて、取り除きたくてもできないほどはっきりと覚えている。
人間が消えるなんていうのはテレビのイリュージョンでしか見たことがない私からしたら、一瞬で彼らがスーパーヒーローに思えてしまった。
それから私は成長と共に彼らが起こしたその行動が、現実世界では不可能であることに当然気づき、
私の中でスーパーヒーローから未確認生物的な存在になった。私はそれからも彼らの正体について考えながら日々の生活を送っていた。
それから数年後、父が飛行機事故で他界し遺品の整理をしていると父が最期に持っていたカバンの中から、私が壊してしまったラジオが出てきた。他のものは砂や事故直前の火事で焦げていたり、灰まみれになっていたりしていたが、このラジオだけは割と状態が良いままカバンに入っていた。
私と母の心に懐かしさが溢れ出し、あの当時の思い出を語り合いながら父の思い出話に花を咲かせたが、しばらく話していると母は、顔を手に伏せながら泣きはじめた。事故死とはいえ遺体が見つかっていないため、ただ父が二度と帰ってくることはないという実感の湧かない現実を突きつけられた私たちが、気持ちの整理をするのはかなり時間がかかりそうだった。
私はしばらく母と二人で暮らすことにした。私は母のためにと気丈に振る舞ってはいたが、やはり私の心にも限界というものはあった。だがそうなった時いつも私の脳裏にはなぜかあの訳の分からない二人組のことが映っていた。もしかすると心のどこかで、まだ彼らをスーパーヒーローとして慕う自分がいるのかもしれない。私はそう考えながらその時の情景を詳しく思い出していた時、ふと彼らが消える直前の行動にどこか引っかかった。彼らは耳に何かを入れていた。
私はその行動を一人でマネみた。その時おそらく私の目はかなり見開いたであろう。私は彼らがイヤホンを耳に装着する動作だと気がついた。だがまだその頃はヘッドフォンが主流でイヤホンはそこまで出回っておらず、全く気がつかなかった。その時、彼らがタイムトラベラーであるという仮説を思いついた。彼らはタイムマシンでおそらくあの格好は未来からやってきたのであろう。
もしいつもの私ならすごいことがわかったことで、頭がスッキリしてそれ以上のことは考えない。だが私はこの仮説からある願望に似たことをひらめいてしまった。
タイムマシンさえ手に入れば、
父が飛行機に乗るのを止められる
私はそれからタイムマシンやタイムトラベル関係の映画や小説を読み漁った。だがどんな書物を読んでも扱われているのはタイムトラベルのこと。タイムマシンの仕組みについて言及しているものを見つけることができなかった。まぁもし見つけていれば、誰もがタイムトラベルをして歴史がヒッチャカメッチャカになってしまうということは理解できるようになっただけでも、本の読み漁りは無駄じゃなかったと言いたいが、やはりタイムトラベルをしなければその後の知識など無意味だ。
私は半ば諦めながら久しぶりにラジオを聴きたい気分になり、物思いにふけながらラジオの受信機の電源を入れ、イヤホンをつけた時ふとひらめいた。
もしあの二人がしていたイヤホンの先が
ポケットラジオだったら?
もちろんそんなことは馬鹿げていると思ったが、よく良く考えたら、タイムトラベルの仕組みの話が言及されているもののほとんどが、「分子」、「量子」いわゆる小さな世界の話をしていることから私は電波もそう言った「電子」という科学的な言葉で言えば辻褄が合う。
なんと浅はかな考えだと思うがそれが大当たり。なぜそう結論づけたかというと、父のラジオの最期に聴いていた周波数がどの局にも当てはまらない不思議な周波数だった。私はとりあえず自分のラジオで合わせて見ると、私のラジオは変な電流を帯びて壊れてしまった。
私はそこで父のラジオをネットを使ってどうにか修理しようと試みた。文章で書くとほんの一瞬のようだが実際修理には2年ほどかかった。
これが私がタイムマシンを完成させた経緯だ。正直仕組みはよくわかっていない。多分修理のタイミングで奇跡的に安定したものが完成しただけだと思う。
そして私のこの行動力の根底にはこんな仮説があった。
父はどこかで生きているのではないか?
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私は最初てっきり有名人の平越時哉だと思っていたが、どうも様子がおかしい。そして彼が持っていたポケットラジオ。どう考えてもあれは紛れもなく父のものだ。だが、彼は盗んでいなかった。部屋にちゃんと父のラジオは置いてあり、それをあの二人が使ったのだ。
ということは一つしかないはずのものが二つ存在している。
もう一つの世界?
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あの二人にこの話をしたがポカンとしていたが、どうやら彼らは彼らで不思議な体験をしているようだ。正直私の人生をかけてきたことが、ようやく報われる日が来るかもしれない。
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