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プロローグ

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太古、空は藍色ってぐらいに青かったんだよ……と家族に自慢できる日は来るのだろうか? と、私は、もう何度目になるか分からない空の色を観て、思う。

 帰れない日々。いい加減に観念して、こっちが現実なんだと受け入れるべきなんだろう。という脳内押し問答も、繰り返して何年になるだろう。

 私が立たされている舞台を取り囲む人波は、私を逃さない。たまに外に出られても、この舞台からは降りられない。なぜなら私が、このクニのミコだから。



「ミコ様」



 目前にかしずく男が、うやうやしく掲げる木の台。30cm角ほどの台に鎮座している、小さな木の箱。とうとう、ここまで来たのか……という感慨と、これは本当に本物なんだろうか? という疑念が入り乱れる。

 複雑な気持ちのまま、差し出された箱を手に取り、蓋を開ける。

 かつて教科書に載っていたのと同じものが、そこにいる。

 かえって騙されている気分になるが、何年もかけて仕掛けるドッキリなんてことは、ない。

 中身を取り出し、高く掲げて皆に見せつける。

 男がひれ伏すのと同時に、クニの皆も「おお……」と、ひれ伏す。

 何千という人々が、まるで波が引くように次々に膝をつく。

 声を張り上げる。



「金印である」



 引いた波が押し寄せて、大喝采を生み出した。
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