国王様は生まれ変わったら冒険者になりたい。

本編

国王様は結局

「あなたはテオドル様です」


はい、皆様。
お察しの通りこうなりました、、。しかも疑問形ではなく肯定形。

保健室ってのが悪かったのか？

先ほどロイドに付き添ってもらい、保健室についた。
そこには保健室の先生だっていた。

ロイドはちゃんと休んでおくんだぞ、と言って授業に戻った。

だがその後に問題発生である。
保健室の先生が、「ちょーっと会議あるから留守にするわあー！」と言ってでいってしまった。

会議とか1時間ほどかかってしまうのではないか？
こんな中途半端な時間にやるものではないだろう？
戻って来てくれよ！！

頭の中でそう言うのもいまとなっては遅い。
なぜならこいつルイはもうすでに俺の目の前にいるからだ。

しかもなんと不運なことに保健室には誰1人いない、みんな体調不良になってくれよ！！！と良くないことを一瞬考えてしまったのも許してくれよ。


「な、なんだお前は！どこから出て来たんだー！」

すっごいびっくりした演技をかましてやる。


「演技下手すぎるのでもう大丈夫です、テオドル様」


うわああああああ、演技の練習しておくんだった詰んだ。


「なんのことか！、んぅ」


なんのことかわからない、誰なんだ！とまたこのレベルの演技で抗議しようとしたその時だった。

俺の口が途端に開かなくなった、というかルイに強制的に開かなくさせられた。

そう強制的にキスで。


「っな！！！なに、を。やっ、んぅ」

俺に喋らせない気なのか？なんだよ、なんだ？
俺の頭の中は爆発寸前、いや爆発してる現在進行形だ。


「お前、なにして、頭おかしくなっ「会いたかった、です、すごく。すごく。」

この男に一発怒りの雷を落としてやろう、などと考えた時だった。普段のあのルイからは想像ができないほど切羽詰まった声でそう発される。

「ほんとに、本当に会いたかった、あなたに！！もう、もう離れないでください、居なくならないで、お願いです。」


サラサラの黒い綺麗な髪と暗闇の1番暗いところをとったような色の瞳。その瞳は今や綺麗な透明な涙で埋め尽くされていた。

いつも無表情な少年だ、と思っていたあの頃には想像できないほど眉毛を八の字に下げ頼りない顔をしている。

随分と成長していまや青年となっているがその崩れてしまった顔面で幾らか幼く感じる。
身体も出来上がっており、というか俺が小さくなってしまったからなのか俺の身体をすっぽりと隠すように肩を震わせながら抱きついてきている。


「うぐ、、」

なんならちょっとくるしい。


そんなに思い詰めさせてしまった事、ルイのこの情けない泣き顔を見てしまい、なんだか考えていた怖い事など全てどうでもよくなった。


ただ、今はルイを泣き止ませることだけを考えて背伸びをして頭を撫でてあげるのだった。